ものづくり補助金の基準年度を解説
2024/06/03
2023/11/17
ものづくり補助金の申請時に提出する事業計画書には基準年度を含めた「会社全体の事業計画」を記載しなければなりません。ものづくり補助金の事業計画書を作成している人のなかには、基準年度に何を書けばいいのか分からない人もいるのではないでしょうか。
当記事ではものづくり補助金の基準年度について解説します。会社全体の事業計画についても紹介するので、事業計画書を作成する際は、参考にしてみてください。
Contents
基準年度とは事業計画書の作成の際に基準となる年のこと
ものづくり補助金の基準年度とは、、申請時に提出する「事業計画書」の中で使われる言葉です。事業計画書の中には「会社全体の事業計画」を記載する必要があり、事業者は基準年度を元にして売上や付加価値額を表に記載していきます。
基準年度は事業者の決算日により異なります。決算日が、補助金の申請締切日から6ヶ月前までにある事業者はその決算日のある年が基準年度であり、6ヶ月前までにない事業者は、次回の決算日が基準年度です。
【2024年7月締切の公募回へ申請する場合の例】
決算日 | 基準年度 |
毎年5月 (申請時から6か月以内に決算日がある) |
2024年 |
毎年1月 (申請時から6か月以内に決算日がない) |
2025年 |
たとえば、決算日が毎年5月の企業の場合、応募するものづくり補助金の申請締切日が2024年7月だとすると、基準年度は2024年です。なぜなら、決算日がものづくり補助金の申請時から2か月前なので、当年が基準年度となるためです。
一方、決算日が毎年1月の企業の場合は、応募するものづくり補助金の申請締め切り日が同じく2024年7月だとしても、基準年度は2025年となります。なぜなら、決算日がものづくり補助金の申請時から6か月を超えているため、申請の翌年が基準年度となるためです。
ものづくり補助金における基準年度とは、申請者が提出する事業計画の中で売上高や付加価値額の推移を表す数値を記載する際に必要な基準となる年です。申請者は基準年度をもとに、賃上げが達成できるかという具体的な数値を事業計画書に記載するので覚えておきましょう。
なお、決算日が補助金の申請締切日から6ヶ月前までにない事業者や決算の実績値が確定していない場合は、見込みの数値を基準として基準年度の欄に記入します。決算日が毎年3月でまだ初回の決算日がきていない事業者の場合は、半年分の売上や付加価値額などの実績値を2倍にして1年分にするなどの方法で見込み値を記載してください。
ものづくり補助金の事業計画書に記載する項目項目
ものづくり補助金の事業計画書には、記載が必要な項目があります。事業計画書には自社の事業内容や課題、解決策、実施体制、スケジュールなどを記載します。
記載項目 |
概要 |
補助事業の具体的取組内容 |
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将来の展望 |
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会社全体の事業計画 |
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ものづくり補助金の公募要領をみると、事業計画は3つの区分に分けて書くように指示があります。
1つ目の補助事業の具体的取り組み内容では、主に自社がこれまで行ってきた取り組みや補助事業の現状、課題の解決策などを記入します。
2つ目の将来の展望には、補助事業の市場の特徴や規模、優位性などの想定した内容と事業効果を数値、過去のデータを用いて具体的に記載します。
3つ目の会社全体の事業計画には、表を使用して基準年度から3年~5年間で売上や利益、経費がどれほど変化しているのかを記載します。積算根拠には、会社全体の事業計画に記載した売上や利益の数字の内訳を記載します。な
ものづくり補助金で提出する事業計画書は、事業者がどのように補助事業を実施するのかを客観的に説明する書類です。事業計画書に書くべき内容が漏れていると不採択となるので、決算書や競合調査などの資料をもとに必要項目を漏れなく記載するように留意しましょう。
事業者がどのように補助事業を実施するのかを客観的に説明する書類です。事業計画書に書くべき内容が漏れていると不採択となるので、決算書や競合調査などの資料をもとに必要項目を漏れなく記載するように留意しましょう。
なお、事業計画書は電子申請で送る際、10ページ以内のPDFで送る必要があります。具体的な事業計画書の書き方を知りたい人は、「ものづくり補助金で採択される事業計画書の書き方」を参考にしてみてください。
事業計画書に記載する会社全体の事業計画の内容
事業計画書に記載する「会社全体の事業計画」は、補助金審査で重要な項目のひとつです。なぜなら、会社全体の事業計画には基準年度から3年~5年後の売上高や付加価値額を記載するため、申請要件である付加価値額年率や給与支給総額年率などが申請要件の数値どおり向上しているかを審査員が確認するからです。
【ものづくり補助金の申請要件】
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たとえば、付加価値額の場合、付加価値額は営業利益、人件費、減価償却費を合わせた合計なので、付加価値額率の年平均成長を3%上げるには、営業利益や人件費を上げることで達成できます。
また、給与支給総額の場合は、福利厚生や法定福利費、退職金を除く、全従業員に対する給与、手当を増額することで達成できます。
会社全体の事業計画では、申請要件である年平均成長率や事業場内最低賃金を申請要件で求められる数値以上にする計画を立てることが重要です。数値は過去の損益計算書や帳簿などで根拠を確認できる数値が求められるので、会社全体の事業計画の表を作成する際は留意しましょう。
なお、ものづくり補助金で採択されるには、申請時に要件を満たすことが大切です。ものづくり補助金の要件を確認したい人は「ものづくり補助金の要件とは?基本要件の詳細も解説」を参考にしてみてください。
事業計画書を書く際は審査項目と加点に注意する
ものづくり補助金の事業計画書を書く際は、審査項目を満たし、加点を増やすように注意します。なぜなら、ものづくり補助金の公募要領には、審査は審査項目と加点で決めるという旨が記載されているからです。
審査項目とは、ものづくり補助金の審査員が事業計画を審査する際の基準のことです。2024年の18次公募の場合、審査項目は4つに分けられており、他に申請枠ごとに決められた審査項目もあります。
加点項目とは、申請者が満たすことで審査の評価を高めることができる条件です。2024年の18次公募の場合、加点項目は「成長性加点」や「創業・第二創業後 間もない事業者 (5年以内)」など19種類の加点があります。
【ものづくり補助金の審査項目と加点の例】
項目 |
概要 |
審査項目 |
【補助対象事業としての適格性】
【技術面】
【事業化面】
【政策面】
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加点項目 |
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ものづくり補助金の審査は審査項目と加点項目を元に行われるので、事業計画書を書く際に意識すると採択率が上がる可能性があります。審査項目と加点項目は公募回により内容が異なることがあるので、事業計画書を作成する際は最新の公募幼要領をものづくり補助金の公式サイトからダウンロードしましょう。
この記事のまとめ
ものづくり補助金の申請の際に提出する事業計画書には、会社全体の事業計画という項目があり、基準年度の記載が必要な表を作成します。基準年度とは、3ヶ年~5ヶ年分の事業計画という表を作成する際に一番左列に記載する基準となる年のことです。
基準年度は事業者の決算日により異なります。補助金の申請締切日から6ヶ月前までにある事業者は、その決算日が基準年度であり、6ヶ月前までにない事業者は、次回の決算日を含む年(翌年)が基準年度となります。
ものづくり補助金の事業計画書は記載が必要な複数の項目があります。ものづくり補助金の事業計画書を書く際は、申請要件、審査項目、加点項目に注意して作成しましょう。