事業再構築補助金に申請できる医療法人と対象外になる違いを解説
2024/05/13
2021/6/16
医療法人も事業再構築補助金に申請が可能ですが、対象となる医療法人と対象外となる医療法人があります。
この記事では、どの医療法人が事業再構築補助金の対象でどの医療法人は対象とならないのか、その違いについて解説します。
なお、当記事は事業再構築補助金の第12回公募要領をもとに作成しています。
事業再構築補助金で対象となる医療法人
事業再構築補助金の公募要領を確認すると、一部の医療法人については対象となることがわかります。事業再構築補助金の対象者は中小企業者およびに中堅企業者等と定められていますが、公募要領には「中小企業者等」に含まれる「中小企業者」以外の法人として以下の記載があります。
【「中小企業者等」に含まれる「中小企業者」以外の法人】
- 中小企業等経営強化法第2条第1項第6号~第8号に定める法人(企業組合等)
- 法人税法別表第二に該当する法人
- 農業協同組合法に基づき設立された農事組合法人
- 労働者協同組合法に基づき設立された労働者協同組合
- 法人税法以外の法律により公益法人等とみなされる法人(従業員数300人以下)
参考:第12回公募要領|事業再構築補助金
上記にあてはまる場合は、中小企業者や中堅企業者でなくても事業再構築補助金の対象となります。
事業再構築補助金の申請を検討している人は、対象となる医療法人の種類を確認してみましょう。
社会医療法人
法人税法別表第二に該当する法人を法人税法 別表第二で確認すると、医療法人に関して以下の記載があります。
- 医療法人(医療法第四十二条の二第一項(社会医療法人)に規定する社会医療法人に限る。
社会医療法人とは、自治体のための地域医療と企業医療という異なる2つの機能を持つ医療法人です。地域の中核的な役割をにない、地域医療の約3割~7割を占めています。
‘’<社会医療法人とは?>
企業としての合理性と公益法人としての地域性を併せ持つ医療組織。高コスト体質で赤字が慢性化していた自治体医療が崩壊しかけたことをきっかけに、2006年の医療法の改正により設置された。引用:ウィキペディア|社会医療法人とは’’
社会医療法人は公益性のある医療として、休日診療などの救急医療、感染症患者への医療などを提供しています。
公益財団法人・一般財団法人・一般社団法人の病院
公益財団法人の病院
公益財団法人とは、法人税法別表第二に掲げる法人の一つです。「公益財団法人」という名称は耳にすることもあると思いますが、財団法人の中で公益性を認められた団体を指します。例えば、大手企業が所有する財団法人が地域のために活動を行っている場合は、公益財団法人となることもあります。
数は多くないものの、公益財団法人が運営する医療施設もあります。公益財団法人の病院や医療施設で営利型法人の場合ないしは収益事業を行っている場合は、事業再構築補助金の対象です。
一般財団法人・一般社団法人の病院
一般財団法人・一般社団法人とは「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」により設立された法人です。株式会社と違い、営利のための活動を行う「普通型」と非営利活動のみを行う「非営利型」があります。税制の面で優遇がある代わりに、利益を社員に分配することはできません。
事業再構築補助金の公募要領には【一般財団法人及び一般社団法人については、非営利型法人に該当しないものも対象となります。】との記載があります。営利型法人でかつ収益事業を行っている一般財団法人・一般社団法人については、事業再構築補助金の対象となっています。
このため、一般財団法人および一般社団法人に属する病院や医療施設も事業再構築補助金の対象であることがわかります。一般社団法人に該当する病院には以下のような例があります。
例:一般社団法人 J&C シルバー産業科学技術研究所(病院)
事業再構築補助金で対象とならない医療法人
次に、事業再構築補助金の対象とはならない医療法人について解説します。
大病院
大病院は事業再構築補助金の対象外です。一般的に病床が400以上の病院は大病院としてみなされます。
例えば、JR病院、NTT病院、逓信病院(日本郵政)のような大病院は事業再構築補助金の対象外です。
大学病院
大学病院とは、公立大学医学部等の附属病院のことで、法人の種類としては地方独立行政法人となります。地方独立行政法人は、中小企業者には該当せず、かつ、「法人税法別表第二」と「法人税法以外の法律により公益法人等とみなされる法人」にも該当しません。
<特定機能病院>
大病院の中には「特定機能病院」と呼ばれる病院があります。特定機能病院とは、大学病院の本院や国立がん研究センターなどの専門病院で、病床規模の基準は400床以上です。
医療法人財団
医療法人財団とは、財産を法人の運営費とする医療法人で、個人又は法人が無償で寄付する財産を財源に設立されています。別名:財団医療法人とも呼ばれます。
対象でも、資本金と従業員数をクリアする必要がある
個人のクリニックや社会医療法人であっても、他の中小企業者と同じで、資本金と従業員人数の点で条件をクリアしないと補助金の対象とはなりません。病院の場合は株式会社と違い資本金はありませんので、出資額を目安にします。
【中小企業者の定義】
業種 | 資本金 | 従業員数 |
製造業、建設業、運輸業 | 3億円 | 300人 |
卸売業 | 1億円 | 100人 |
サービス業 | 5,000万円 | 100人 |
小売業 | 5,000万円 | 50人 |
ゴム製品製造業 | 3億円 | 900人 |
ソフトウェア業 情報処理サービス業 |
3億円 | 300人 |
旅館業 | 5,000万円 | 200人 |
その他の業種 | 3億円 | 300人 |
参考:第12回公募要領|事業再構築補助金
個人開業医・社会医療法人の場合、「その他の業種」にあてはまるため出資額は3億円以下、常勤従業員数は300人以下が目安となります。
また、中堅企業者に該当する事業者は、公募要領には「中堅企業の資本金は10億円以下かつ資本金や出資額が定義できない場合は従業員数2,000人以下が目安」と書かれています。それを参考に目安を考えると、
- 資本金額:10億円
- 常勤従業員数:2,000名以下
こちらが大企業レベルの医療法人となるかどうかの境目と予測できます。
なお、法人格のない任意団体(申請時に法人となっていて、任意団体として確定申告をしている場合は申請可能)、収益事業を行っていない法人、運営費の大半を公的機関から得ている法人は補助対象とならない点に留意しましょう。
この記事のまとめ
・医療法人で事業再構築補助金の対象となるのは、①個人開業医(クリニック)②社会医療法人③公益財団法人・一般財団法人・一般社団法人の病院です。
・対象の医療法人でも、出資額と従業員人数の要件を満たし、さらに事業再構築に関わる要件をクリアしなければいけません。
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