事業再構築補助金の事前着手申請とは?
2024/04/25
2022/9/20
事業再構築補助金の申請を検討している人の中には、審査に通過して「採択」される前に事業計画を進めたい人もいますよね。その際、いつまでに事前着手申請をすればいいかを知りたい人もいるでしょう。
当記事では、事業再構築補助金の事前着手申請の概要を解説します。申請のタイミングや申請項目の記載例も紹介するので、事業再構築補助金の事前着手申請の申請を検討している人は、参考にしてみてください。
なお、2024年4月23日に第12回公募要領が公開されました。公募要領の改訂にともない記載内容の一部が変更となっている可能性があるため、最新の公募内容やスケジュールは事業再構築補助金の公式サイトから確認してください。
事前着手申請は採択される前に補助事業を始めたい人向けの仕組み
事前着手申請は、採択される前に補助事業を始めたい人向けの仕組みです。そのため、事前着手申請をする場合は、各公募回の公募開始日から交付決定日までに事前着手申請の手続きをする必要があります。
たとえば、第10回事業再構築補助金に申請する際、交付決定通知を受領する11月頃までに補助事業を始めたい場合は、事業者は事前着手申請の利用を検討できます。補助事業を始めるタイミングが交付決定後でも間に合う場合は、事前着手申請は必要ありません。
事前着手申請は、購入する設備やサービスの発注や納品などの補助事業を採択される前に始めたい人向けの仕組みです。導入予定の設備の契約や購入など、再構築を行う事業である「補助事業」を早めに始めたい人は、事前着手申請の利用を検討してみましょう。
なお、事前着手申請で承認された場合であっても、必ず事業再構築補助金に採択されるわけではありません。「事業再構築補助金に採択されなくても進めたい事業であるか」を事前に検討した上で事前着手申請を進めましょう。
事前着手申請を利用すると申請締切から交付決定までの間に事業を開始できる
事業再構築補助金では、事前着手申請を利用すると「申請締切から交付決定までの間」に事業を開始できます。補助対象経費の中で、交付決定前に購入したい備品やシステムなどがある人は、事前着手申請を利用することで交付決定前でも補助対象経費として計上できます。
【第10回公募の通常と事前着手申請の流れ比較】
参考:第10回事業再構築補助金「公募要領」をもとに株式会社ソラボ作成
事業再構築補助金では通常、採択後に事業者が事務局へ交付申請をし、事務局から交付決定通知の送付後、設備やサービスなどの発注や納品ができます。その際、申請締切日から交付申請するまでは、約4カ月かかります。
一方、事前着手申請を利用した場合は、申請締切日より前や申請締切日から交付決定までの約4カ月の間に、補助事業を始められます。
事前着手申請をすることで、交付決定よりも先に補助事業を始めることができます。補助事業はどのタイミングで始める必要があるのか、事前着手申請を利用した場合と利用しなかった場合の収益や損失を計算した上で、事前着手申請を利用するか否かを決めましょう。
なお、補助対象経費は、交付申請で認められたもののみです。事業再構築補助金で事前着手申請を利用する人は、補助対象経費として申請した経費が、必ず補助金の対象になるとは限らないことに留意しましょう。
第10回公募から事前着手申請が利用できる申請枠が限定された
事業再構築補助金では、第10回公募から、事前着手申請が利用できる申請枠が限定されました。事前着手申請が利用できるのは「最低賃金枠」「物価高騰対策・回復再生応援枠」に申請する事業者のみになります。
事前着手申請をする際は、事前着手する理由を事務局へ示す必要があります。具体的には「コロナや物価高騰の影響により、既存事業の売上にどの程度影響が出ているか」「補助事業がどのような事業で、早期着手できない場合の損失はどのくらいか」などを示します。
第10回公募では、事前着手申請ができる申請枠が「最低賃金枠」「物価高騰対策・回復再生応援枠」のみです。第10回公募で事前着手申請の利用を検討している人は、申請枠が限定されていることに留意して、事業再構築補助金に申請しましょう。
第10回公募の事前着手申請は令和4年12月2日以降の取引が対象になる
第10回公募の事前着手申請は、令和4年12月2日以降の取引が対象です。そのため、事前着手申請をしようとしている設備の発注や納品が、令和4年12月2日以降取引されたものなのかを確認する必要があります。
たとえば、設備の発注が和4年12月2日、納品が令和4年12月20日である場合は、発注日が事前着手申請の対象のため補助対象経費として申請できます。一方、発注が令和4年12月1日、納品が令和4年12月20日だった場合は、事前着手申請の対象外となります。
また、第10回公募の開始日である令和5年3月30日以前に、すでに事前着手届出が受理されている場合、再度事前着手申請をすると、補助事業の事前着手が認められます。第10回公募に申請予定で、公募開始前に事前着手申請をした人は、もう一度申請をしましょう。
事前着手申請をする人は、交付申請で提出する見積依頼書や見積書などの日付が「事前着手申請の対象であるか」の確認が必要です。交付申請で必要な書類は事業再構築補助金の「公式サイト」にある補助事業の手引きをあらかじめ確認しましょう。
なお、事前着手申請後に設備やシステムなどの購入をする際は、交付申請で通常の補助事業と同様に入札や相見積が必要です。事前着手申請は交付決定前に補助事業が始められますが、交付申請で提出する書類の準備が必要であるのは通常と変わらないためです。
事前着手申請の手続きは Jグランツから行う
事前着手申請の手続きは Jグランツから行います。事前着手申請の受付期間は、令和5年3月30日(木)から交付決定日までとなっており、事業再構築補助金の公式サイト「電子申請用資料」に記載の「事前着手申請用のURL」から申請します。
項目 | 記載例 |
誓約事項のチェック | 【誓約事項】 公募要領の内容をすべて確認し、理解した上で、事前着手の承認を求めます。 経済性の観点から、可能な範囲において相見積をとり、適切な経費の支出・管理を行います。 補助金の応募申請にあたって必要となるGビズプライムアカウントについて(取得済か現在申請中かを選択) みなし大企業に該当しないこと(文章を読んでチェックボックスにチェック) 新築建物について(説明を読んでチェックボックスにチェック) |
事業類型 | 業態転換 |
応募回 | 第10回 |
事前着手開始時期 | 2023年7月10日 |
会社概要(300字以内) ※新型コロナウイルスの影響を受けている事業の概要を記載 |
1990年より〇〇地域でお好み焼きチェーン店として創業。競合他社よりもリーズナブルでトッピングの多い特色を生かし、〇〇エリア・〇〇エリアなどの繁華街だけでなく・〇〇大学などの学校付近に多く出店しています。 当社の「もちめんたい」お好み焼きは雑誌・テレビでも多く取り上げられ、創業以来のヒット商品です。 |
従業員規模 | 90名(パート含む) |
会社ホームページ (ある場合) |
※URL記載 |
事業計画の概要(300字以内) ※申請を検討している事業計画の概要や具体的な投資内容を記載 |
これまでもお持ち帰り用は用意していましたが常温のみだったため、急速冷凍機を導入してより保存がきく冷凍保存商品を開発します。これにより、これまで廃棄されていた店内飲食用の食品素材のコストダウンにもつながります。 また、学生が放課後に立ち寄りやすい飲食店として他店ではアプリを使ったクーポン配信などをしているため、当社でも新たに独自アプリを開発し、より学生を中心としたリピート率を高め、収益力を高めていきます。 |
新型コロナウイルスの長期化における事業への影響 (300字以内) |
2020年に実施された緊急事態宣言により、2019年・2018年の同年間売上と比較し40~60%の売上減少となりました。特に大きな影響としては、当社の主な顧客層である高校生・大学生の通学がなくなりオンライン授業や学級閉鎖が重なったことが大きく影響しました。 飲食店向けの協力金をいただいてきましたが、1店舗あたりの平均家賃は25万円ですので、協力金だけでは大幅な赤字となっています。 |
事業開始が遅れた場合の影響(300字以内) | 当社の「〇〇駅前店」の借地契約が今月いっぱいとなるため、来月には仮店舗に移転するための費用を支払わなければいけません。これまでアルバイトを雇用調整助成金で維持してまいりましたが、すでに15名ほどのアルバイトが退職しております。 アルバイトの仕事確保と新規出店で十分な研修期間をつくるためにも、仮店舗の移転と同時に仮店舗への移転費用を補助対象経費として支払いと考えております。 |
参考:事業再構築補助金公式サイト「電子申請用資料>[第10回事前着手届出マニュアル]」をもとに株式会社ソラボ作成
たとえば、事業計画の概要には、申請時に提出する事業計画と同じ内容を300文字以内で記載します。その際、補助事業を行う理由である、コロナや物価高騰の影響を受けている既存事業の内容を、第3者が分かるように明記する必要があります。
ただし、事前着手届出の内容と申請時の事業計画内容が相違している時や、整合性が確認できない場合などは、事前着手届出の受理は無効となります。そのため、事前着手申請を利用する際は、申請時の事業計画と同様の内容であるかの確認が求められます。
通常の申請と同じく、事前着手申請でも「GビズIDプライムアカウント」の取得が必須です。アカウントがない場合は新たにアカウントを取得します。新たにアカウントを取得する場合は2~3週間程度かかるため、早めにアカウントを取得しておくことが望ましいです。
なお、事前着手申請をする際は「申請者名と同一の法人・個人の連絡先」の記載が必要です。申請者以外の認定支援機関や外部支援者が記載されている場合は、内容に関わらず受理されません。
結果は申請から10日~2週間程度で通知される
事業再構築補助金の事前着手申請の結果は申請から10日~2週間程度で通知されます。そのため、事前着手申請をした人は、事業申請時に「担当者メールアドレス」欄に記載されたメールアドレスに宛に、結果の通知が届いていないか確認をしてみましょう。
事前着手申請の結果は、Jグランツのマイページにある通知文書から確認できます。事前着手申請が承認された場合は、通知文書の注意事項を確認して補助事業を開始することになります。
一方で、申請内容に不備があると事務局から差戻しがある場合があります。差し戻された場合は、事務局からのコメントを確認し、修正後に再申請してください。
事業再構築補助金の事前着手申請の結果の通知は、通常、申請から10日~2週間程度が目安となっています。ただし、内容や申請状況によってはさらに期間を要する場合があるため、必ずしも10日~2週間以内に結果の通知が来るわけではないことに留意しましょう。
なお、事前着手申請に承認された場合でも交付申請は必要です。その際、事前着手申請の通知文書や補助事業で購入する設備の見積書などの書類を提出する必要があるため、補助事業の手引きを確認してから補助事業を開始しましょう。
この記事のまとめ
事前着手申請は、購入する設備やサービスの発注や納品などの補助事業を採択される前に始めたい人向けの仕組みです。そのため、事前着手申請をする場合は、各公募回の公募開始日から交付決定日までに申請手続きをすることになります。
事前着手申請は「事前着手申請用のURL」から、受付期間内である令和5年3月30日(木)から交付決定日までに申請します。申請する内容は、事業計画の概要や事業開始が遅れた場合の影響などを限られた文字数での入力が求められます。
事前着手申請に承認されても、採択を約束されたわけではありません。また、先んじて使った経費も交付申請で承認されない可能性があります。事前着手申請に申請するときは、公募要領や事前着手申請制度関連資料、補助事業の手引きを事前に確認しましょう。