補助金ガイド

事業再構築補助金は個人事業主も申請できるのか?

2023/12/27

2022/3/29

この記事の監修

株式会社SoLabo 代表取締役/税理士有資格者田原広一(たはら こういち)

融資支援実績6,000件超、補助金申請支援実績1,300件超、事業再構築補助金採択支援件数は第4回~第8回まで5回連続で日本一を獲得。 『小規模事業者持続化補助金』、『事業再構築補助金』、『IT導入補助金』は自社での申請・採択も経験。「補助金ガイド」LINE公式アカウントでは約4万人の登録者に情報発信を実施。

補助金を探している個人事業主の人のなかには、事業再構築補助金を検討している人もいますよね。その際、個人事業主が事業再構築補助金の対象になるのかどうかを知りたい人もいるでしょう。

当記事では、事業再構築補助金は個人事業主も利用できるのかどうかを解説していきます。利用する際の要件や必要書類に関する情報も説明しているため、事業再構築補助金を利用したい個人事業主の人は参考にしてみてください。

なお、この記事は第10回業再構築補助金の「公募要領(サプライチェーン強靭化枠は別「公募要領」)」をもとに作成しています。

事業再構築補助金は個人事業主も申請できる

事業再構築補助金は個人事業主の人も申請できます。事業再構築補助金は思い切った事業の再構築に利用できる補助金で、中小企業者や中堅企業が対象です。個人事業主は中小企業者に含まれるため、個人事業主の人も事業再構築補助金を利用できます。

【中小企業者の定義(下表の数字以下となる会社または個人)】
業種 資本金 従業員数
(常勤)
製造業、建設業、運輸業 3億円  300人
卸売業 1億円 100人
サービス業 (ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く) 5,000万円 100人
小売業 5,000万円 50人
ゴム製品製造業 (自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く) 3億円 900人
ソフトウェア業又は情報処理サービス業 3億円 300人
旅館業 5,000万円 200人
その他の業種(上記以外) 3億円 300人

参考:事業再構築補助金公式サイト「公募要領」をもとに株式会社ソラボ作成

たとえば、飲食業の人はサービス業であるため、従業員が100人以下の場合、中小企業者に含まれます。また、農業に携わる人はその他の業種であるため、従業員が300人以下の場合、中小企業者になります。

また、基本的に申請は1つ事業者に対して1度の申請です。ただし、原則一度交付申請を受けた申請者は再度申請できませんが、申請枠によっては一定条件を満たす場合は申請できる場合があります。再申請の詳細は「公募要領」を確認してみてください。

事業再構築補助金は個人事業主でも申請できます。自社が事業再構築補助金の補助対象者であるかどうか、業種から資本金や従業員数を確認しましょう。

なお、事業再構築補助金の詳細を知りたい人は「事業再構築補助金とは?対象や要件など概要をわかりやすく解説」を参考にしてみてください。

要件を確認して申請する枠を選ぶことになる

事業再構築補助金を利用できるのは、申請する枠の要件を満たす申請者です。個人事業主などの条件にかかわらず、事業再構築補助金に申請する人は事業再構築補助金の枠の要件を確認し、申請する枠を選ぶことになります。

【事業再構築補助金の枠と要件】
申請枠(事業類型) 共通の要件 申請枠ごとの要件
成長枠
①事業再構築要件
(サプライチェーン強靭化枠は国内回帰の定義のみ)
②認定支援機関要件
③付加価値額要件
④市場拡大要件⑤給与総額増加要件
※1補助率引上要件
グリーン成長枠
(エントリー)
④グリーン成長要件⑤給与総額増加要件
※1補助率引上要件
※2別事業要件、能力評価要件
グリーン成長枠
(スタンダード)
④グリーン成長要件⑤給与総額増加要件
※1補助率引上要件
※2別事業要件、能力評価要件
卒業促進枠
(上乗せ支援枠のため単体での申請不可)
・成長枠またはグリーン成長枠の要件に加えて満たす必要あり
①卒業要件
大規模賃金引上促進枠
(上乗せ支援枠のため単体での申請不可)
・成長枠またはグリーン成長枠の要件に加えて満たす必要あり
①賃金引上要件②従業員増員要件
産業構造転換枠 ③付加価値額要件④市場縮小要件
サプライチェーン強靱化枠 ④国内増産要請要件⑤市場拡大要件⑥デジタル要件⑦事業場内最低賃金要件⑧給与総額増加要件⑨パートナーシップ構築宣言要件
※2別事業要件、能力評価要件
最低賃金枠 ④売上高等減少要件⑤最低賃金要件
物価高騰対策・回復再生応援枠 ④売上高等減少要件⑤再生要件
※1補助率引上げを受ける場合の追加要件(①補助事業期間内に給与支給総額を年平均 6%以上増加させること②補助事業期間内に事業場内最低賃金を年額 45 円以上の水準で引上げること)
※2過去公募回で採択または交付決定を受けている場合の要件

参考:第10回事業再構築補助金「公募要領」より株式会社ソラボ作成(サプライチェーン強靭化枠のみ別「公募要領」)

たとえば、事業再構築補助金では、すべての枠に共通して「事業再構築要件」「認定支援機関要件」「付加価値額要件」の3つの要件が設定されています。申請を検討している人は、まずは共通する3つの要件を満たせるかどうかを確認することになります。

各申請枠には要件があり、すべての申請枠に共通する要件と申請枠により異なる要件があります。申請する枠の要件を知りたい個人事業主の人は「事業再構築補助金の申請要件とは?」を参考にしてみてください。

事業再構築補助金は自分だけでは申請できず認定支援機関からの支援が必須

事業再構築補助金に申請するには、中小企業支援の専門家である認定支援機関への依頼が必須であり、個人事業主のみでの申請はできません。すべての枠で共通の要件のうち認定支援機関要件に「事業計画は認定支援機関の確認を受ける」旨の記載があるためです。

たとえば、認定支援機関要件では事業計画の確認だけでなく、事業再構築補助金の申請時に「認定経営革新等支援機関による確認書」の提出が必須です。また、申請する補助金額が3,000万円を超える場合は「金融機関による確認書」も必要です。

認定支援機関は、金融機関や中小企業診断士などの、国から認められた支援機関です。個人事業主で事業再構築補助金に申請したい人は、事業計画を立てるとともに中小企業庁の「認定支援機関システム」で認定支援機関も選んでおきましょう。

なお、当メディアを運営する株式会社SoLabo(ソラボ)も事業再構築補助金への申請をサポートする認定支援機関です。 第4回~第8回事業再構築補助金の採択数が5回連続TOPだった実績があります。申請のサポートを依頼したい人は、無料診断をしてみてください。

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もらえる補助金額は申請する枠ごとに異なる

事業再構築補助金の補助金額は、申請する枠ごとに異なります。各申請枠で補助金額の範囲と補助率が決められているため、受け取れる補助金額の目安が計算できます。補助金額の目安が知りたい個人事業主の人は、枠ごとの補助金額と補助率を確認しておきましょう。

【申請枠ごとの補助金額と補助率】
申請枠(事業類型) 補助金額 補助率
成長枠 【従業員数20人以下】100万円~2,000万円
【従業員数21~50人】100万円~4,000万円
【従業員数51~100人】100万円~5,000万円
【従業員数101人以上】100万円~7,000万円
中小企業者等1/2
(大規模な賃上げを行う場合は2/3)
中堅企業等1/3
(大規模な賃上げを行う場合は1/2)
グリーン成長枠
(エントリー)
中小企業者等
【従業員数20人以下】100万円~4,000万円
【従業員数21~50人】100万円~6,000万円
【従業員数51人以上】100万円~8,000万円
中堅企業等100万円~1億円
中小企業者等1/2
(大規模な賃上げを行う場合は2/3)
中堅企業等1/3
(大規模な賃上げを行う場合は1/2)
グリーン成長枠
(スタンダード)
中小企業者等100万円~1億円
中堅企業者等100万円~1.5億円
卒業促進枠 成長枠・グリーン成長枠の補助金額上限に準じる。(成長枠・グリーン成長枠の上乗せ支援枠) 中小企業者等1/2
中堅企業等1/3
大規模賃金引上促進枠 100万円~3,000万円(成長枠・グリーン成長枠の上乗せ支援枠) 中小企業者等 1/2
中堅企業等 1/3
産業構造転換枠 【従業員数20人以下】100万円~2,000万円
【従業員数21~50人】100万円~4,000万円
【従業員数51~100人】100万円~5,000万円
【従業員数101人以上】100万円~7,000万円
※廃業を伴う場合には、廃業費を最大2,000万円上乗せ
中小企業者等2/3
中堅企業等1/2
サプライチェーン強靱化枠 1,000万円~5億円以内
※建物費がない場合は3億円以内
中小企業者等1/2
中堅企業等1/3
最低賃金枠 【従業員数5人以下】100万円~500万円
【従業員数6~20人】100万円~1,000万円
【従業員数21人以上】100万円~1,500万円
中小企業者等3/4
中堅企業等2/3
物価高騰対策・回復再生応援枠 【従業員数5人以下】100万円~1,000万円
【従業員数6~20人】100万円~1,500万円
【従業員数21~50人】100万円~2,000万円
【従業員51人~】100万円~3,000万円
中小企業者等2/3(※1)
中堅企業等1/2(※2)
(※1)従業員数5人以下の場合400万円、従業員数6~20人の場合600万円、従業員数21~50人の場合800万円、従業員数51人以上の場合は1,200万円までは3/4
(※2)従業員数5人以下の場合400万円、従業員数6~20人の場合600万円、従業員数21~50人の場合800万円、従業員数51人以上の場合は1,200万円までは2/3

参考:第10回事業再構築補助金「公募要領」より株式会社ソラボ作成(サプライチェーン強靭化枠のみ別「公募要領」)

たとえば「成長枠」で「従業員20人以下」の場合、補助金額の範囲は下限100万円~上限2,000万円です。補助率は1/2となるため、先払いする金額として申請者は200万円~4,000万円の資金を準備する必要があります。

また、事業再構築補助金で補助される経費総額は通常、事業再構築を行う「補助事業」の実施期間にあたる12ヶ月~28ヶ月の間に発注~支払いが完了している経費です。期間を超えての分割払いはできないことに留意して、補助金額を確認しましょう。

事業再構築補助金では、申請する枠ごとに補助金額の範囲や補助率が異なります。事業再構築補助金に申請予定の個人事業主の人は、申請する枠の選択と併せて補助金額や補助率も確認しておくことが望ましいです。

なお、補助金は申請者が全額負担したのち、あとからキャッシュバックされる仕組みです。下限金額に達しない場合は事業再構築補助金を利用できないため、事業再構築補助金を検討中の人は先払いする金額と下限金額の申請前の確認が必要です。

自己負担額の計算方法

自己負担額を計算するには「補助金額」と「補助率」に加え、補助事業で使用する経費である「補助対象経費」を用います。そのため、自己負担額を計算したい場合には、事前に「補助金額」「補助率」「補助対象経費」を確認する必要があります。

【自己負担額の計算方法】
(前提条件:成長枠 従業員数20人以下の中小企業 申請する補助対象経費600万円)
①補助対象経費×補助率=補助金額
600万円×1/2=300万円…(ア)
②補助金額が補助金額の範囲に収まっているか確認する
補助金額の範囲が100万円~2,000万円のため、(ア)300万円は収まっている
③補助対象経費―補助金額=自己負担額
600万円―300万円=300万円…(イ)
→ 自己負担額:(イ)300万円

たとえば「補助対象経費600万円」「補助率1/2」「補助金額100万円~2,000万円」の場合、先払いする金額は600万円です。申請後に補助金額400万円がキャッシュバックされ、最終的な自己負担額は200万円になります。

事業再構築補助金では「補助金額」「補助率」「補助対象経費」から自己負担額を計算できます。事業再構築補助金を利用する際は、先払いする金額を準備するためにも、事前に自己負担する金額も計算しておきましょう。

なお、事業再構築補助金では、申請から補助金を受け取るまでに1年以上かかります。事業再構築補助金を利用したい個人事業主の人は、経費の支払いだけではなく、入金までの期間の資金繰りも計画しておきましょう。

申請するには必要書類を準備することになる

事業再構築補助金に申請する際、申請者は必要書類を準備することになります。必要書類は申請者全員に共通する書類と枠ごとに必要な書類が必要です。事業再構築補助金を検討中の個人事業主の人は、申請前にそれぞれの必要書類を確認しておきましょう。

【個人事業主の人に共通する必要書類】
①事業計画書
②認定経営革新等支援機関・金融機関による確認書
③直近2年分の決算書(直近2年分が提出できない場合は1期分の決算書)
④ミラサポplus「電子申請サポート」の事業財務情報
⑤労働者名簿(※サプライチェーン強靭化枠は不要)
⑥収益事業を行っていることを説明する書類

参考:第10回事業再構築補助金「公募要領」より株式会社ソラボ作成(サプライチェーン強靭化枠のみ別「公募要領」)

たとえば、決算書の場合、個人事業主で直近2年間の貸借対照表や損益計算書が提出できない時があります。その際は、1期分の貸借対照表や損益計算書などの決算書の提出が求められます。

また、収益事業を行っていることを説明する書類の場合、青色申告の個人事業主は「直近の確定申告書第一表」「所得税青色申告決算書の控え」を提出します。白色申告の個人事業主は「直近の確定申告書第一表」「収支内訳書の控え」が必要です。

決算書および収益事業を行っていることを説明する書類以外は、個人事業主の人も法人と同様の必要書類を準備することになります。枠ごとの必要書類を知りたい人は「事業再構築補助金の必要書類を申請する枠別に解説」を参考にしてみてください。

事業計画書を作成するときはサポートを受けられる

必要書類のひとつである事業計画書を作成するときは、認定支援機関からサポートを受けながら作成できます。事業計画書は審査で見られる書類であるため、事業再構築補助金を利用してどのような補助事業を行うのか、第三者に分かる内容の記載が求められます。

事業計画書の作成のサポートを受ける場合、申請者は認定支援機関に補助事業の取組内容や収益計画に関する相談が可能です。第三者が理解しやすい事業計画や実現可能性のある収益計画の書き方を知りたい個人事業主の人は、認定支援機関に相談してみましょう。

認定支援機関によっては、事業計画書の作成サポートだけでなく、採択後の書類作成も行っていることがあります。認定支援機関の選定に悩んでいる個人事業主の人は「事業再構築補助金における認定支援機関とは?選び方や役割を解説」を参考にしてみてください。

なお、事業計画書の作成をすべて代行したり、申請を代行したりすることはできません。申請者は、認定支援機関と共同で事業計画書を作成することになります。事業計画書の作成方法が知りたい人は「事業再構築補助金の事業計画書の記入例と書き方を解説」を参考にしてみましょう。

個人事業主の採択事例

事業再構築補助金に申請するための事業計画を立てるときは、採択事例を参考にできます。採択事例は事業再構築補助金の「公式サイト」から確認できます。採択結果も確認できるので、採択事例や採択結果を参考にしたい人は、申請する業種で調べてみましょう。

【第8回の個人事業主の採択事例】
飲食店
飲食店事業であるバー経営に加えて地域初の美容セルフサロンの新分野展開
本場中国料理レストラン店が本格中華料理のテイクアウト・デリバリー専門店へ業態転換
コロナで売上減少をきっかけに日本料理店からペット霊園・火葬場事業への業種転換
製造業
高圧機械部品加工の既存事業から半導体製造装置部品の試作・量産加工方法の確立による新分野展開
従来のFA・半導体関連事業に加え光学系検査装置市場へ新分野展開し雇用拡大・生産体制強化
既存事業の浴衣帯の製造ノウハウを活かしECサイトを利用した、ニット小物の製造・販売に参入
建設業
下請建設業による受注依存スタイルを脱却しフィリピン料理店出店による新分野展開
建設業からキッチンカーでオリジナル飲食サービスを提供する業種転換
既存事業に加え高齢者雇用の受け皿になる派遣型警備員サービスの設立

参考:事業再構築補助金公式サイト「補助金交付候補者の採択結果」第8回公募 採択結果(全体版)事業計画概要をもとに株式会社ソラボ作成

たとえば、飲食店の場合、コロナの影響でレストランの経営の業績悪化で事業再構築した事例があります。事業計画では、既存事業を活かしたテイクアウトおよびデリバリー専門店を開業する事業内容で採択されています。

また、製造業の場合、新設備を導入と自社で技術開発を行い、半導体製造装置部品の試作および量産加工方法の確立による新分野展開を行う事業計画が採択されています。

第8回事業再構築補助金の採択率は51.2%で、採択数6,456件のうち個人事業主は897件採択されていました。個人事業主でも事業再構築補助金に採択される可能性はあるため、事業再構築補助金に申請したい人は、採択事例を参考に申請準備をしてみましょう。

当メディアを運営する株式会社SoLaboも認定支援機関として個人事業主の補助金申請サポートを行っており、第4回~第8回事業再構築補助金においては国内採択数トップの実績があります。事業再構築補助金の申請に必要な書類の準備や申請の手続きについて知りたい人は無料診断をお試しください。

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この記事のまとめ

事業再構築補助金は個人事業主の人も利用できます。事業再構築補助金の補助金額は申請する枠ごとに設定されているため、事業再構築補助金を利用したい個人事業主の人は、まずは要件を確認して申請する枠を決めてみてください。

事業再構築補助金を申請するには、いくつかの必要書類を準備することになります。そのうちのひとつとなる事業計画書は認定支援機関からサポートを受けながら作成できるため、必要書類の準備に入った人は認定支援機関に相談することも検討してみましょう。

第10回の申請受付は2023年4月24日現在調整中です。第10回事業再構築補助金に申請予定の人は、事業再構築補助金の公式サイト「新着情報」で最新の情報をこまめに確認しておきましょう。

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