事業再構築補助金の概算払制度について解説
2024/05/02
2023/1/19
事業再構築補助金の申請を検討している人のなかには、補助金を早めに受け取りたいと思う人もいますよね。その際、概算払の制度について気になっている人もいるでしょう。
当記事では、事業再構築補助金の概算払の制度について解説します。概算払の申請の流れも紹介しているので、概算払の利用を検討している人は参考にしてみてください。
なお、2024年4月23日に第12回公募要領が公開されました。公募要領の改訂にともない記載内容の一部が変更となっている可能性があるため、最新の公募内容やスケジュールは事業再構築補助金の公式サイトから確認してください。
概算払は補助事業実施期間中に入金してもらえる後払いの制度
事業再構築補助金の概算払とは、補助事業実施期間中に対象経費の補助金を入金してもらえる後払いの制度です。概算払では、支払済みかつ納品済みの経費で事務局に認められたものであれば、補助事業実施期間中に通常の9割の補助金を受け取れる可能性があります。
たとえば、1000万円の設備の支払や納品を済ませている場合、1000万円に補助率を掛けた金額の9割の金額で概算払に申請できます。その際、申請する経費は事務局に「概算払が必要」と認められなければ申請しても入金されません。申請すれば誰でも早めに受け取れるわけではないため注意しましょう。
概算払を利用すると、事業実施期間中に補助金を受け取れる可能性があります。事業再構築補助金の採択後に、資金繰りに不安を感じている人は、概算払の利用も検討してみましょう。
なお、事業再構築補助金の概算払は、支払済みかつ納品済みであることが必須です。「概算払」という制度名であるものの実質後払いであり、一旦経費を自己負担する必要があります。概算払を利用する際は、一旦経費を自己負担する必要がある点に注意しましょう。
概算払と精算払の違いのひとつは入金されるタイミング
事業再構築補助金の通常の「概算払」と「精算払」の違いのひとつは、補助金の入金されるタイミングです。「精算払」とは、通常の補助金の入金方法のことです。
【概算払と精算払の入金のタイミング】
参考:第10回公募以降用 補助事業の手引き|事業再構築補助金
たとえば、通常の精算払の場合、実績報告や精算払請求などの手続きを経て、交付決定日からおおむね1年以上を経て補助金が入金されます。一方で、概算払では、通常の入金よりも早い「補助事業実施期間中」に、概算払分の補助金が受け取れます。
通常の補助金の精算払とは、入金のタイミングのみ異なります。また、各申請のタイミングや補助事業の開始時期は申請者により異なるため、申請時期や入金日も申請者ごとに異なる点にも注意しましょう。
概算払の申請から入金の流れを詳しく知りたい人は、「事業再構築補助金のスケジュールは?申請や入金の時期も解説」を確認してみてください。
支払済みかつ納品済みの経費が対象
概算払の補助対象経費は、支払済みかつ納品済みの経費です。補助事業実施期間中、事務局が必要であると認めた経費については、概算払いを受けられます。
たとえば、交付決定後に発注した、すでに支払いと納品が済んでいる機械装置を補助事業実施期間内に概算払請求できます。概算払請求で申請した経費が、事務局に「概算払が必要」と認められると、補助事業期間中に機械装置分の経費を受け取れる可能性があります。
一方、納品前の経費や補助事業の計画内容がすべて完了している場合などの経費は、概算払請求はできません。
概算払で請求できない経費については「第10回公募以降用 補助事業の手引き」に記載があります。概算払の利用を検討している人は、確認してみてください。
概算払請求できる上限金額は補助率を掛けた経費の9割
概算払請求できる上限金額は、補助率を掛けた経費の9割です。
( 概算払請求額の計算式:補助対象経費(支払済みかつ納品済み)× 補助率 × 0.9 )
|
参考:第10回公募以降用 補助事業の手引き|事業再構築補助金
たとえば、概算払に申請する経費が150万円の場合、通常枠の補助率2/3で計算するともらえる補助金は90万円です。このように、経費に補助率を掛けた金額の9割が、補助金額となります。
概算払で受け取ることのできる金額は、すでに支払った経費の9割が上限になります。また、概算払の申請は1回しかできないため「概算払でいくら欲しいのか」「いつ申請するか」など金額や申請のタイミングなどをよく考えてから概算払を申請してください。
なお、補助事業の手引きは採択後でも改訂することがあり、概算払制度の内容にも変更が生じる可能性があります。事業再構築補助金では公募要領も公開後に改訂される場合があり、補助事業の手引きも随時改訂があるため、申請後もこまめに確認しましょう。
概算払の申請の必要書類
概算払の申請の際は、見積書や発注書などの必要書類の準備が必須です。対象経費となる備品等の納品や支払が補助事業期間中であることを確認するためです。
No. | 必要書類 | 補足 |
1 | 様式第9-1 | 書類の様式は、事業再構築補助金公式サイトの「資料ダウンロード」の「様式集」からダウンロードする |
2 | 様式第9-1 別紙 |
書類の様式は、事業再構築補助金公式サイトの「資料ダウンロード」の「様式集」からダウンロードする |
3 | 見積依頼書 | 仕様書が存在する場合は、仕様書も併せて提出する |
4 | 見積書 | ・発注日時点で有効期限が切れていないもの ・交付申請時に相見積書を提出している場合は、相見積書も併せて提出する |
5 | 発注書や注文書 | ― |
6 | 請書や注文確認書、契約書 | ― |
7 | 納品書や引渡書、または完了報告書 | 補助事業者側で検収日付、検収担当者名が記載されており検収されたことが確認できるもの |
8 | 納品時の写真 | <参考様式17>を使用する ※購入物件ごとの納品後の写真、製造番号(シリアルナンバー)が設定されている場合は表示部の拡大写真により、補助事業実施場所に納品されたことを確認される |
9 | 請求書 | 振込先の口座の記載があること |
10 | 銀行の振込金受領書または支払証明書 | ・Web 振込の場合は、代金支払い済を示す取引記録等の画面コピー ・取引先の口座情報、補助事業者の口座情報、振込金額、振込指定日を確認される ※ 振込手数料が先方の負担であった場合、補助対象経費は実質値引きとされる |
11 | 出納帳 | <参考様式19>を使用する ※入金確認のために必要となる |
12 | 補助事業者の通帳コピー | ・J グランツで登録された振込先の情報を確認される ・表紙(口座名義、金融機関名、口座番号等)と対象ページ(支払い日、支払い金額)が必要となる ※ 表紙で口座名義人等が確認できない場合は表紙裏の見開き部分も用意する ※ J グランツに登録された口座以外の口座で経費の支払をした場合は、両口座の通帳コピーが必要となる ※ 申請事業者が法人の場合は口座名義が法人、個人事業主の場合は事業主名の口座でなければならない |
参考:第10回公募以降用 補助事業の手引き|事業再構築補助金
必要書類は発注書や納品書だけでなく、納品した物の「シリアルナンバー」や「購入物件ごとの納品後の備品等」の写真も求められています。補助事業実施場所に納品されたことを確認するためです。
概算払請求の申請には、様式9-1と様式9-1別紙に加えて、実績報告と同等の書類提出が必要です。必要書類の様式はは事業再構築補助金の公式サイトにある「資料ダウンロード」ページから入手できるため、必要に応じてダウンロードしてみてください。
概算払の申請の流れ
概算払の申請は、必要書類を準備して提出し、補助金の振込を待つ流れになります。事業再構築補助金の概算払の必要書類の提出は、Jグランツという補助金の申請システムを使用します。
① 必要書類をそろえる ② Jグランツから提出する ③ 承認後、口座へ補助金が振り込まれる |
必要書類をすべてそろえた後は、Jグランツから書類を事務局へ提出します。Jグランツの入力方法は、事業再構築補助金公式サイト「資料ダウンロード」にある「Jグランツ事業者マニュアル」から手順が分かるファイルをダウンロードできます。
概算払の申請後、承認を経て8営業日程度で指定口座に補助金が振り込まれますが、振り込み日数は金融機関によって前後します。早めに補助金の振り込みをして欲しい人は、前もって計画を立てスケジュールに余裕をもって必要書類の準備をしましょう。
この記事のまとめ
事業再構築補助金の概算払とは、補助事業実施期間中に入金してもらう後払いの制度です。概算払では、支払済みかつ納品済みの経費で、事務局に認められたものであれば補助事業実施期間中に、経費に補助率を掛けた金額の9割の補助金を受け取れます。
概算払の補助対象経費は、支払済みかつ納品済みの経費であり、支払と納品が済んでいない経費は購入予定でも対象外になります。対象外経費の詳細は、補助事業の手引きで確認できます。また、補助事業の手引きは採択後でも改訂されるため、こまめに確認が必要です。
必要書類の様式の入手方法や、申請システムの入力方法は公式サイトの「採択後の流れ・資料」で確認できます。概算払請求の申請には、様式9-1と様式9-1別紙に加えて、実績報告と同等の書類提出が必要です。スケジュールに余裕をもって必要書類を準備しましょう。