事業再構築補助金の交付申請はいつまでに行う?必要書類も解説
2024/04/26
2021/8/20
事業再構築補助金に採択された場合でも、採択の時点ではまだ「申請時に記載した補助金額を全額受けられる」と確定したわけではありません。採択後には必ず「交付申請」を行い、補助事業の経費内容が対象経費として適切であるかを事務局によって精査されることになります。
また、交付申請では、事務局が事業者との確認作業を実施し、必要に応じて修正・訂正などの手続きを数回行ったうえで補助金交付額を決定します。そのため、1回の提出で交付決定されることは難しく、思うように進まずに時間がかかってしまうという事例も見られます。
当記事では、事業再構築補助金の交付申請は「いつまでに行う必要があるのか」また「どれくらいの期間を目安に進めるのか」を解説します。申請方法や必要書類も解説するので、事業再構築補助金の交付申請を調べている人は参考にしてみてください。
なお、2024年4月23日に第12回公募要領が公開されました。公募要領の改訂にともない記載内容の一部が変更となっている可能性があるため、最新の公募内容やスケジュールは事業再構築補助金の公式サイトから確認してください。
交付申請の締切日は公式サイトで公開される
事業再構築補助金の交付申請の締切日は、公式サイトにて「交付申請が始まっている公募回ごと」に公開されます。執筆時点(2023年9月)では、第6回から第9回公募までの情報が確認できます。
第9回公募 |
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通常枠/回復・再生応援枠 最低賃金枠/大規模賃金引上枠/緊急対策枠 |
グリーン成長枠 |
採択結果発表日 |
2023/6/16 |
2023/6/16 |
交付申請 |
2024/6/27 |
2024/8/27 |
補助事業実施期間 |
交付決定日から12ヶ月以内 かつ 採択発表日から14ヶ月以内 |
交付決定日から14ヶ月以内 かつ 交付決定日から16ヶ月以内 |
実績報告 |
補助事業完了期限日 |
補助事業完了期限 |
※中小企業等事業再構築促進補助金「補助事業の手引き」を参考に株式会社SoLaboが作成
事業再構築補助金は、原則として交付申請後に事務局からの交付決定を受けてからでなければ補助事業を開始できません。また、補助事業の実施期間は交付決定後12ヶ月以内かつ採択発表日から14ヶ月以内(グリーン成長枠は16か月以内)と決められています。
交付申請の締切は「採択日から約1年後の日付」が設定されています。しかし、交付申請の期間が長くなればなるほど、本来であれば12ヶ月を費やせるはずの事業実施期間が短くなってしまうことになります。そのため、交付申請は1~2ヶ月で済ませることが理想的です。
なお、事業再構築補助金の交付申請で提出する書類は多岐にわたり複雑です。不備があった場合は事務局から連絡が入り、再提出を求められます。その際の訂正・再提出も織り込んだ上で、交付申請の目安は採択結果後の約1~2ヶ月の期間で進めましょう。
交付申請の差戻しがあると交付決定が遅れてしまう
交付申請の際に提出した書類に不備や問題があった場合、事務局から連絡があり、問題の解決と再提出を求められます。このような交付申請の「差戻し」があると、再提出に時間がとられた分だけ交付決定が遅れてしまうことになります。
・提出書類が不足している ・申請した経費と見積書の内容が一致していない ・添付した書類の有効期限が過ぎている ・申請時の操作ミスにより複数の交付申請が存在している状態 |
事業再構築補助金の交付申請ではかならず見積書の提出が求められます。その際、申請していた経費と見積書に記載されている経費内容が一致していない場合は差戻しの原因となります。
また、差戻しの内容を訂正・再申請する際は、Jグランツ(電子申請用サイト)内で「差戻し対応中」の申請を選択してから再申請を行います。「新規」の申請手順で行ってしまうと、複数申請されている状態となり、差戻しになってしまいます。
事業再構築補助金の交付申請後に差戻しがあることは珍しくありません。事務局からの連絡を受けた際は、速やかに対応し、少しでも早く再提出することが交付決定の大幅な遅れを避けるポイントになります。差戻しの理由を確認し、指示に従い不備を修正しましょう。
なお、原則として「補助事業の実施は交付決定後」と定められていますが「事前着手申請」を行うことで交付決定前に事業を開始することが可能です。万が一予定よりも交付申請に時間がかかってしまった場合でも先に事業を開始できるため、方法の1つとして検討しても良いでしょう。
事前着手申請の詳細は「事業再構築補助金の事前着手申請とは?」を参考にしてみてください。
交付申請や事前着手申請の手続きがないと補助金を受け取れないので、手続きは締切に間に合うように行いましょう。無料診断では、貴社のご状況にあった手続きの方法や流れがわかりますので、ご活用ください。
無料診断交付申請は必要書類を揃えてJグランツで行う
事業再構築補助金の交付申請の方法は、公募申請した際と同様に、①必要書類を揃えて②Jグランツで電子申請するという流れで行います。
事業再構築補助金の交付申請では、すべての申請者が提出する書類に加え、該当する申請者が提出する書類も揃えることになります。
すべての申請者が提出する書類 |
・交付申請書別紙1 ・見積書・見積依頼書、業者選定理由書 ・建物費、機械装置・システム構築費に係る 追加書類 |
法人/個人事業主が提出する書類 |
法人 ・履歴事項全部証明書 ・決算書 個人事業主 ・確定申告書 ・青色申告書/白色申告書 |
該当する申請者に必要になる書類 |
・交付申請書別紙2 ・海外旅費の詳細 ・事前着手承認を確認できる書類 |
たとえば、交付申請の根幹になる「交付申請別紙1」は、すべての申請者が提出する必要があります。一方で「該当の交付申請別紙2」は、技術導入費やクラウドサービス利用費などを利用する申請者に提出が求められる書類です。
事業再構築補助金の交付申請では、すべての申請者が提出する書類と、自分に該当する条件によって提出する書類を揃え、Jグランツで申請を行います。なお、交付申請を行う際は、Jグランツのマニュアルが準備されているので、確認してから進めましょう。
Jグランツの操作マニュアルは「操作マニュアル_事業者用-交付申請20210901.pdf」で確認できます。関連:jGrants
すべての申請者が提出する書類
事業再構築補助金の交付申請ですべての申請者が提出する書類として、まずは「交付申請別紙1」があります。次に、ほぼすべての事業者が申請する経費である「建物・機械・システム構築費」の追加書類として「設計図」「見取り図」「見積書」などの提出が求められます。
提出書類 |
概要 |
交付申請別紙1 |
・「経費明細表」「費目別明細書」「申請者の事業計画に係る情報」 などが 組み込まれたExcelファイルで用意されている |
見積書 見積依頼書 業者選定理由書 |
・50万円以上(税抜き)の補助対象経費に係る2者以上、同一条件の相見積書 ・併せて見積依頼書も提出 ・合理的な理由により相見積もりが出せない場合のみ「業者選定理由書」 を提出 |
建物費、機械装置・ システム構築費に 係る追加書類 |
【建物費を計上する場合】 ・設計図/見取り図 ・補助対象経費により取得する建物に係る宣言・同意書 【機械装置・システム費を計上する場合】 ・価格の妥当性を証明するパンフレットなど ・海外から購入する場合は換算に用いたレート表 |
たとえば、採択された事業計画の中で当初予定していた経費額と、見積後の正確な金額が変わる場合には「交付申請別紙1」で修正します。その際、修正した内容と理由なども記載することになります。
また、事業者は50万円以上(税抜き)の補助対象経費を申請する場合には同条件で2件以上の相見積を取得する必要があります。取得した見積書は「採用した見積書」「不採用になった見積書」の両方を提出します。
事業再構築補助金の交付申請において、すべての申請者はまず、交付申請別紙1の正確な記入と提出が求められます。また、50万円以上の経費申請をする際には、相見積書を提出する必要があります。対象経費ごとに提出する書類も不備なく準備しましょう。
法人と個人事業主によって異なる必要書類
事業再構築補助金の交付申請では、法人と個人事業主のそれぞれに自社の「経営状況」や「税務」に関わる書類の提出が定められています。
法人のみ必要となる書類 |
・履歴事項全部証明書 ・決算書 |
個人事業主のみ必要となる書類 |
・直近の確定申告書 ・青色申告書/白色申告書 |
法人と個人事業主では提出書類が異なり、書類の発行日においても規定があります。
たとえば、法人のみ提出する書類の「履歴事項全部証明書」は、会社の登記情報を証明する書類であり、交付申請に提出する際は「申請日から過去3ヶ月以内」に発行されたものを提出しなければなりません。
個人事業主の場合は、「直近2期分の確定申告書」と「青色申告書(または白色申告書)」を提出します。なお、決算書や確定申告書、青色申告書を応募申請時にすでに提出している場合は、交付申請時の提出が不要です。
法人と個人事業主では、交付申請の提出書類がそれぞれ異なります。また、書類の発行日が有効でなければ提出しても差戻しになってしまうため、必ず確認しておきましょう。
申請者に該当する場合のみ提出する書類
該当する場合のみ提出する書類は、申請する経費や購入方法、事前着手承認を申請した場合など、事業者によってさまざまです。交付申請の際は、自分に該当する項目と書類を確認しておかなければなりません。
・ECで購入した際の値段が他社より安いことがわかる内容の画像等 ・中古品を購入した場合は3社以上の相見積書 ・交付申請書別紙2(技術導入費、専門家経費、クラウドサービス利用料、 外注費、知的財産権等関連経費のいずれかを計上する場合) ・事前着手承認されたことが確認できる事務局からのメール ・海外旅費の詳細 |
たとえば、技術導入費や外注費などの経費を申請した人は、交付申請書別紙2に必要事項を記入し、提出します。また、事前着手申請をして、交付決定前から補助事業を開始した人は、事前着手承認された証拠となるメールのデータを提出しなければなりません。
事業再構築補助金の交付申請では、自分の利用する補助対象経費や製品・サービスの購入方法などによって提出する書類があります。該当する事業者によって提出書類が異なるため、交付申請で提出しなければならない書類は事前に調べて準備しましょう。
事業再構築補助金の交付申請における注意点を確認する
事業再構築補助金の交付申請は、提出する書類が多く複雑であることや、申請方法でも間違えが起こりやすく、差戻しとなる事例が見受けられます。何度も再提出となると、その分交付決定が遅れてしまうので、交付申請の前には注意点を確認しておきましょう。
見積書における注意点 |
交付申請における注意点 |
・50万円以上(税抜)の経費を申請しているのに 相見積の提出がない ・相見積書の内容が同条件でない ・見積書と経費明細表が一致していない ・見積書の有効期限が切れている ・具体性のない経費科目は認められない |
・交付決定前の事業は事前着手承認を受けて いなければ対象外になる ・提出書類の費用は消費税等を差引いたもの を記載する ・不備があった場合に新規で申請をしない ・経費明細表の数字を修正したが事業概要の 資産項目が修正されていない |
事業再構築補助金の交付申請では、見積書の不備で差戻しとなるケースが多くあがっています。たとえば、提出する相見積書は2者(3者)で同一条件の内容でなければなりません。細かい名称の不一致でも差し戻しとなると考える必要があります。
また、見積書の発行日が発注日よりも前になっている場合は期限切れとなり、見積書の撮り直しを求められることもあるため、良く確認しておく必要があります。
事業再構築補助金の公式サイトでは「交付申請時のよくある不備事項」が紹介されています。交付申請を行う前に注意事項を確認し、なるべく差戻しが少なく進められるように準備しましょう。
この記事のまとめ
事業再構築補助金の交付申請は、公募申請で採択された補助事業の経費内容が「対象経費として適切であるか」を審査される工程です。事業者は、交付申請を行い、事務局からの交付決定を受けてからでなければ補助事業を開始することができません。
交付申請の締切日は公式サイトで公開されており、締切日自体は、採択発表から約1年後の日付が記載されています。しかし、補助事業を実施できる期間は、交付決定後の12ヶ月から14ヶ月と決まっているため、交付申請が遅れるとその分、補助事業の期間が短くなってしまいます。
事業再構築補助金の交付申請で提出が求められる書類は多岐にわたり複雑です。交付申請後に事務局より差戻しの連絡を受けた場合は、その理由を確認して速やかに対応し、補助事業実施へとステップを進めていきましょう。