補助金ガイド

事業再構築補助金は個人事業主も申請できるのか?

2024/05/14

2022/3/29

この記事の監修

株式会社SoLabo 代表取締役/税理士有資格者田原広一(たはら こういち)

融資支援実績6,000件超、補助金申請支援実績1,300件超、事業再構築補助金採択支援件数は第4回~第8回まで5回連続で日本一を獲得。 『小規模事業者持続化補助金』、『事業再構築補助金』、『IT導入補助金』は自社での申請・採択も経験。「補助金ガイド」LINE公式アカウントでは約4万人の登録者に情報発信を実施。

補助金を探している個人事業主の人のなかには、事業再構築補助金を検討している人もいますよね。その際、個人事業主が事業再構築補助金の対象になるのかどうかを知りたい人もいるでしょう。

当記事では、事業再構築補助金は個人事業主も利用できるのかどうかを解説していきます。利用する際の要件や必要書類に関する情報も説明しているため、事業再構築補助金を利用したい個人事業主の人は参考にしてみてください。

なお、当記事は事業再構築補助金の第12回公募要領をもとに作成しています。

事業再構築補助金は個人事業主も申請できる

事業再構築補助金は個人事業主の人も申請できます。事業再構築補助金は思い切った事業の再構築に利用できる補助金で、中小企業者や中堅企業が対象です。個人事業主は中小企業者に含まれるため、個人事業主の人も事業再構築補助金を利用できます。

【中小企業者の定義(下表の数字以下となる会社または個人)】
業種 資本金 従業員数
(常勤)
製造業、建設業、運輸業 3億円  300人
卸売業 1億円 100人

サービス業

(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く)

5,000万円 100人
小売業 5,000万円 50人

ゴム製品製造業

(自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く)

3億円 900人
ソフトウェア業又は情報処理サービス業 3億円 300人
旅館業 5,000万円 200人
その他の業種(上記以外) 3億円 300人

参考:第12回公募要領|事業再構築補助金

たとえば、飲食業はサービス業であるため、従業員が100人以下の場合、中小企業者に含まれます。また、農業はその他の業種であるため、従業員が300人以下の場合、中小企業者になります。

また、原則として一度交付申請を受けた申請者は再度申請できません。ただし、申請枠によっては一定条件を満たす場合は申請できる場合があるため、再申請の詳細は公募要領を確認してみてください。

事業再構築補助金は個人事業主でも申請できます。自社が事業再構築補助金の補助対象者であるかどうか、業種から資本金や従業員数を確認しましょう。

要件を確認して申請する枠を選ぶことになる

事業再構築補助金を利用できるのは、申請する枠の要件を満たす申請者です。個人事業主などの条件にかかわらず、事業再構築補助金に申請する人は事業再構築補助金の枠の要件を確認し、申請する枠を選ぶことになります。

【申請枠ごとの要件】
申請枠(事業類型) 共通の要件 申請枠ごとの要件
(A)
成長分野進出枠
(通常類型)
①事業再構築要件
②金融機関要件
③付加価値額要件

④給与総額増加要件および市場拡大要件

⑤市場縮小要件

⑥補助率等引上要(補助率引上げを受ける場合)

※④⑤はいずれかを満たすこと

(B)
成長分野進出枠
(GX 進出類型)

④給与総額増加要件

⑤GX 進出要件

⑥補助率等引上要(補助率引上げを受ける場合)

⑦別事業要件(過去公募回で採択または交付決定を受けている場合)

⑧能力評価要件(過去公募回で採択または交付決定を受けている場合)

(C)
コロナ回復加速化枠
(通常類型)

④コロナ借換要件または再生要件

(D)
コロナ回復加速化枠
(最低賃金類型)

④コロナ借換要件(任意)※

⑤最低賃金要件

※満たさない場合は補助率引き下げ

(E)
サプライチェーン強靱化枠

④国内増産要請要件

⑤市場拡大要件

⑥デジタル要件

⑦事業場内最低賃金要件

⑧給与総額増加要件

⑨パートナーシップ構築宣言要件

⑩別事業要件(過去公募回で採択または交付決定を受けている場合)

⑧能力評価要件(過去公募回で採択または交付決定を受けている場合)

(F)
卒業促進上乗せ措置
事業類型(A)~(D)のいずれかに申請すること

②卒業要件

(G)
中長期大規模賃金引上促進上乗せ措置

②賃金引上要件

③従業員増員要件

参考:第12回事業再構築補助金「公募要領(サプライチェーン強靭化枠は別「公募要領」)」|事業再構築補助金

事業再構築補助金では、すべての枠に共通して「事業再構築要件」「金融機関要件」「付加価値額要件」の3つの要件が設定されています。申請を検討している人は、まずは共通する3つの要件を満たせるかどうかを確認することになります。

また、すべての申請枠に共通する要件に加えて申請枠ごとの要件も満たす必要があります。申請する枠の要件を知りたい個人事業主の人は「事業再構築補助金の申請要件とは?」を参考にしてみてください。

事業再構築補助金は自分だけでは申請できず認定支援機関からの支援が必須

事業再構築補助金に申請するには、中小企業支援の専門家であるは認定経営革新等支援機関への依頼が必須であり、個人事業主のみでの申請はできません。すべての枠で共通の要件のうち金融機関要件に「事業計画は金融機関または認定経営革新等支援機関の確認を受ける」旨の記載があるためです。

たとえば、認定支援機関要件では事業計画の確認だけでなく、事業再構築補助金の申請時に「金融機関または認定経営革新等支援機関による確認書」の提出が必須です。補助事業の実施にあたって金融機関等から資金提供を受ける場合は、資金提供元の金融機関等からの確認が必要となります。

認定経営革新等支援機関は、金融機関や中小企業診断士などの国から認められた支援機関です。個人事業主で事業再構築補助金に申請したい人は、事業計画を立てるとともに中小企業庁の「認定経営革新等支援機関検索システム」で依頼する支援機関も選んでおきましょう。

なお、当メディアを運営する株式会社SoLabo(ソラボ)も事業再構築補助金への申請をサポートする認定支援機関です。 申請の相談や申請のサポートを依頼したい人は、以下の無料診断をしてみてください。

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もらえる補助金額は申請する枠ごとに異なる

事業再構築補助金の補助金額は、申請する枠ごとに異なります。各申請枠で補助金額の範囲と補助率が決められているため、受け取れる補助金額の目安が計算できます。補助金額の目安が知りたい個人事業主の人は、枠ごとの補助金額と補助率を確認しておきましょう。

【申請枠ごとの補助金額と補助率】
申請枠(事業類型) 補助金額 補助率

成長分野進出枠

(通常類型)

【従業員数 20 人以下】

100 万円~1,500 万円(2,000 万円)
【従業員数 21~50 人】

100 万円~3,000 万円(4,000 万円)
【従業員数 51~100 人】

100 万円~4,000 万円(5,000 万円)
【従業員数 101 人以上】

100 万円~6,000 万円(7,000 万円)

※()は大規模な賃上げを行う場合

※廃業を伴う場合は廃業費を最大2,000万円上乗せ

中小企業者等1/2 (2/3)
中堅企業等1/3 (1/2)

※()は大規模な賃上げを行う場合

成長分野進出枠

(GX 進出類型)

≪中小企業者等≫
【従業員数 20 人以下】

100 万円~3,000 万円(4,000 万円)
【従業員数 21~50 人】

100 万円~5,000 万円(6,000 万円)
【従業員数 51~100 人】

100 万円~7,000 万円(8,000 万円)
【従業員数 101 人以上】

100 万円~8,000 万円(1億円)

※()は大規模な賃上げを行う場合
≪中堅企業等≫

100万円~1億円

中小企業者等1/2 (2/3)
中堅企業等1/3 (1/2)
※()は大規模な賃上げを行う場合

コロナ回復加速化枠

(通常類型)

 

【従業員数 5 人以下】100 万円~1,000 万円
【従業員数6~20 人】100 万円~1,500 万円
【従業員数 21~50 人】100 万円~2,000 万円
【従業員 51 人以上】100 万円~3,000 万円

中小企業者等2/3(※1)

中堅企業等1/2(※2)

コロナ回復加速化枠

(最低賃金類型)

【従業員数 5 人以下】100 万円~500 万円
【従業員数6~20 人】100 万円~1,000 万円
【従業員数 21 人以上】100 万円~1,500 万円

中小企業者等 3/4(2/3)
中堅企業等 2/3(1/2)

※「コロナ借換要件」を満たさない場合は()内の補助率に引き下げ

サプライチェーン強靱化枠

1,000 万円 ~ 5億円以内

※建物費がない場合は3億円以内

中小企業者等 1/2
中堅企業等 1/3
卒業促進上乗せ措置 各事業類型補助金額上限に準じて上乗せ 中小企業者等1/2
中堅企業等1/3
中長期大規模賃金引上促進上乗せ措置 100 万円~3,000 万円 中小企業者等1/2
中堅企業等1/3
(※1)従業員数5人以下の場合400万円、従業員数6~20人の場合600万円、従業員数21~50人の場合800万円、従業員数51人以上の場合は1,200万円までは3/4
(※2)従業員数5人以下の場合400万円、従業員数6~20人の場合600万円、従業員数21~50人の場合800万円、従業員数51人以上の場合は1,200万円までは2/3

参考:第12回事業再構築補助金「公募要領(サプライチェーン強靭化枠は別「公募要領」)」|事業再構築補助金

たとえば、従業員10人の事業者が「成長分野進出枠(通常類型)」に申請する場合、補助金額の範囲は100万円~1,500万円です。補助率は1/2となるため、先払いする金額として申請者は200万円~3,000万円の資金を準備する必要があります。

また、事業再構築補助金で補助される経費総額は通常、事業再構築を行う「補助事業」の実施期間にあたる12ヶ月~28ヶ月の間に発注~支払いが完了している経費です。期間を超えての分割払いはできないことに留意して、補助金額を確認しましょう。

事業再構築補助金では、申請する枠ごとに補助金額の範囲や補助率が異なります。事業再構築補助金に申請予定の個人事業主の人は、申請する枠の選択と併せて補助金額や補助率も確認しておく必要があります。

なお、補助金は原則として経費を導入して事業を実施したのちに振り込まれる後払いの制度です。経費に掛かる金額は事業者が一時的に全額負担することになるため、資金調達の計画も立てておきましょう。

自己負担額の計算方法

自己負担額を計算するには「補助金額」と「補助率」に加え、補助事業で使用する経費である「補助対象経費」を用います。そのため、自己負担額を計算したい場合には、事前に「補助金額」「補助率」「補助対象経費」を確認する必要があります。

【自己負担額の計算方法】
(前提条件:成長分野進出枠(通常類型) 従業員数20人以下の中小企業 申請する補助対象経費600万円)
①補助対象経費×補助率=補助金額
600万円×1/2=300万円…(ア)
②補助金額が補助金額の範囲に収まっているか確認する
補助金額の範囲が100万円~1,500万円のため、(ア)300万円は収まっている
③補助対象経費―補助金額=自己負担額
600万円―300万円=300万円…(イ)
→ 自己負担額:(イ)300万円

たとえば「補助対象経費600万円」「補助率1/2」「補助金額100万円~1,500万円」の場合、先払いする金額は600万円です。申請後に補助金額300万円がキャッシュバックされ、最終的な自己負担額は300万円になります。

事業再構築補助金では「補助金額」「補助率」「補助対象経費」から自己負担額を計算できます。事業再構築補助金を利用する際は、先払いする金額を準備するためにも、事前に自己負担する金額も計算しておきましょう。

なお、事業再構築補助金では、申請から補助金を受け取るまでにおおむね1年以上かかります。事業再構築補助金を利用したい個人事業主の人は、経費の支払いだけではなく入金までの期間の資金繰りも計画しておきましょう。

申請するには必要書類を準備することになる

事業再構築補助金に申請する際、申請者は必要書類を準備することになります。必要書類は申請者全員に共通する書類と枠ごとに必要な書類が必要です。事業再構築補助金を検討中の個人事業主の人は、申請前にそれぞれの必要書類を確認しておきましょう。

【個人事業主の人に共通する必要書類】

①事業計画書

②認定経営革新等支援機関・金融機関による確認書

③直近2年分の決算書(直近2年分が提出できない場合は1期分の決算書)

④ミラサポplus「ローカルベンチマーク」の事業財務情報

⑤労働者名簿の写し(※サプライチェーン強靭化枠は不要)

⑥固定資産台帳

⑦収益事業を行っていることを説明する書類

たとえば、決算書の場合、個人事業主で直近2年間の貸借対照表や損益計算書が提出できない時があります。その際は、1期分の貸借対照表や損益計算書などの決算書の提出が求められます。

また、収益事業を行っていることを説明する書類の場合、青色申告の個人事業主は「直近の確定申告書第一表」「所得税青色申告決算書の控え」を提出します。白色申告の個人事業主は「直近の確定申告書第一表」「収支内訳書の控え」が必要です。

決算書および収益事業を行っていることを説明する書類以外は、個人事業主の人も法人と同様の必要書類を準備することになります。枠ごとの必要書類を知りたい人は「事業再構築補助金の必要書類を申請する枠別に解説」を参考にしてみてください。

事業計画書を作成するときはサポートを受けられる

必要書類のひとつである事業計画書を作成するときは、認定支援機関からサポートを受けながら作成できます。事業計画書は審査で見られる書類であるため、事業再構築補助金を利用してどのような補助事業を行うのか、第三者に分かる内容の記載が求められます。

事業計画書の作成のサポートを受ける場合、申請者は認定支援機関に補助事業の取組内容や収益計画に関する相談が可能です。第三者が理解しやすい事業計画や実現可能性のある収益計画の書き方を知りたい個人事業主の人は、認定支援機関に相談してみましょう。

認定支援機関によっては、事業計画書の作成サポートだけでなく、採択後の書類作成も行っていることがあります。認定支援機関の選定に悩んでいる個人事業主の人は「事業再構築補助金における認定支援機関とは?選び方や役割を解説」を参考にしてみてください。

なお、事業計画書の作成をすべて委託したり、申請を代行したりすることはできません。申請者は、認定支援機関と共同で事業計画書を作成することになるため、事業計画書の作成方法が知りたい人は「事業再構築補助金の事業計画書の記入例と書き方を解説」を参考にしてみましょう。

個人事業主の採択事例

事業再構築補助金に申請するための事業計画を立てるときは、採択事例を参考にできます。採択事例は事業再構築補助金の公式サイト「採択事例紹介」から確認できます。採択結果も確認できるので、採択事例や採択結果を参考にしたい人は申請する業種で調べてみましょう。

【第8回の個人事業主の採択事例】
飲食店
飲食店事業であるバー経営に加えて地域初の美容セルフサロンの新分野展開
本場中国料理レストラン店が本格中華料理のテイクアウト・デリバリー専門店へ業態転換
コロナで売上減少をきっかけに日本料理店からペット霊園・火葬場事業への業種転換
製造業
高圧機械部品加工の既存事業から半導体製造装置部品の試作・量産加工方法の確立による新分野展開
従来のFA・半導体関連事業に加え光学系検査装置市場へ新分野展開し雇用拡大・生産体制強化
既存事業の浴衣帯の製造ノウハウを活かしECサイトを利用した、ニット小物の製造・販売に参入
建設業
下請建設業による受注依存スタイルを脱却しフィリピン料理店出店による新分野展開
建設業からキッチンカーでオリジナル飲食サービスを提供する業種転換
既存事業に加え高齢者雇用の受け皿になる派遣型警備員サービスの設立

参考:「採択結果」および「採択事例紹介」|事業再構築補助金

たとえば、飲食店の場合、コロナの影響でレストランの経営の業績悪化で事業再構築した事例があります。事業計画では、既存事業を活かしたテイクアウトおよびデリバリー専門店を開業する事業内容で採択されています。

また、製造業の場合、新設備を導入と自社で技術開発を行い、半導体製造装置部品の試作および量産加工方法の確立による新分野展開を行う事業計画が採択されています。

個人事業主でも事業再構築補助金に採択される可能性はあるため、事業再構築補助金に申請したい人は採択事例を参考に申請準備をしてみましょう。

当メディアを運営する株式会社SoLaboも認定支援機関として個人事業主の補助金申請サポートを行っています。事業再構築補助金の申請に必要な書類の準備や申請の手続きについて知りたい人は無料診断からお問い合わせください。

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この記事のまとめ

事業再構築補助金は個人事業主の人も利用できます。事業再構築補助金の補助金額は申請する枠ごとに設定されているため、事業再構築補助金を利用したい個人事業主の人は、まずは要件を確認して申請する枠を決めてみてください。

事業再構築補助金を申請するには、いくつかの必要書類を準備することになります。そのうちのひとつとなる事業計画書は金融機関や認定支援機関からサポートを受けながら作成できるため、必要書類の準備に入った人は支援機関等に相談してみましょう。

事業再構築補助金の公式サイトでは過去の公募回における採択事例を紹介しています。事業計画をたてる際の参考にできるため、申請を検討している人は公式サイトから過去の採択事例を確認してみましょう。

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