事業再構築補助金の採択事例として当社SoLabo(ソラボ)の事業計画書を公開
2022/03/24
2021/9/9
事業再構築補助金の採択事例として当社SoLabo(ソラボ)の事業計画書を公開します。
当メディアを運営する株式会社SoLabo(ソラボ)は認定支援機関として事業再構築補助金の申請をする事業者の方をサポートする立場ではありますが、事業者の立場を知る必要があると考え、事業再構築補助金は第一回公募で事業計画書を提出しました。
残念ながら不採択でしたが、反省を活かして事業計画書を修正し、事業再構築補助金の第二回公募は、無事に採択されました。
SoLabo(ソラボ)の失敗体験と成功体験を、1人でも多くの事業者に届けるため、次の方に有用な情報となると思い、採択されるまでに実施した事業計画書の改善策を公開いたします。
- 事業再構築補助金にこれからチャレンジしようと考えている方
- 事業再構築補助金の過去の審査で不採択となってしまい、再チャレンジしようと考えている方
本記事をご覧頂き、事業再構築補助金を上手に活用し、成長する企業が増えると当社としてもうれしいです。
目次
1.事業再構築補助金に採択されるための事業計画書のポイント
事業再構築補助金に採択されるためには、合理的かつ説得力があって、実現可能性が高いと判断されるような事業計画の作成が求められています。公募回が変わり申請要件に変更があろうと、申し込む補助枠が変わろうと、共通の審査項目と言えます。
主な不採択理由としては、既存事業とのシナジーがない、市場ニーズが明確になっていない、の2つが挙げられます。
つまり、上記を満たした事業計画の作成が必要です。
既存事業がどのような事業を行っていて、コロナ禍で売上が下がり、事業再構築をすることで、どれだけ収益を上げられるかが重要です。
加えて、補助事業は自社の強みを活かした事業であり、既存事業にもシナジー効果が見込まれ、かつ補助事業に対して市場ニーズが存在することが求められます。
事業再構築補助金の事業計画書の作成方法については、関連記事で詳しく解説しています。当社独自の事業計画書フォーマットも無料でご用意しているので、ぜひご活用ください。
株式会社SoLabo(ソラボ)と上場企業の株式会社ライトアップが補助金申請をサポートします。
株式会社SoLabo(ソラボ)は、事業再構築補助金の第四回公募の採択結果にて認定支援機関として全国トップの支援採択数を獲得しています。
事業再構築補助金第4回採択結果発表、認定支援機関SoLaboの支援数が全体のトップを獲得|PR TIMES
補助金の申請代行10,000件を超える株式会社ライトアップと提携しており、当サイトで、事業再構築補助金が採択されるかを無料診断いただけます。
無料診断詳細に診断項目を入れた方が正確な診断が可能ですが、分からない点はフォーム完了後にお電話で担当者が質疑応答しながらヒアリングしますので、不明な点は不明を選択して提出していただいて問題ありません。
2.事業再構築補助金の採択事例:当社SoLabo(ソラボ)の事業計画書(第二回公募)
※上記は実際に当社が提出した事業計画書の一部です。事業計画書はこちらで公開していますので、ご確認ください。
当社は、神奈川大学みなとみらいキャンバスで、シェアオフィス事業を実施させて頂けるチャンスを頂き、この事業を実施するための投資額に対して補助金を申請したいと考えました。
なお、シェアオフィス事業「QUARTET WORKS」は2021年9月1日よりスタートしています。
3.不採択の理由で見る失敗を成功に変えるポイント
事業再構築補助金は、多くの書類を準備し、その書類を提出し、審査されます。一番大切な資料が事業計画書で、この事業計画書を改善することで、採択させる可能性が高くなると考えております。
不採択となった事業者には、不採択となった理由を、補助金事務局より共有してもらえます。
失敗を成功に変えるポイントは、この不採択となった理由をしっかりまとめ、不採択になった理由を改善(事業計画書の修正)することが成功につながると考えております。
当社SoLabo(ソラボ)でも第1回公募で不採択となったので、不採択となった理由を確認し分析を行いました。以下の通りです。
事業化におけるコメント
新たに展開するシェアオフィス事業であるが補助対象額の内、ハード及びシステム導入費がやや過大ではないでしょうか。そこまで費用(投資)額を膨らませなくても、同様の事業のスタートアップ化は可能と考えます。特に、広告宣伝費の額及び比率が課題です。 補助対象経費としては、認められているが補助対象期間で使うには多すぎます。投資額軽減の工夫か、もしくは自助努力を望みます。 シェアオフィス事業は競合が多く、それらとの差別化も考慮されてはいるが市場性の調査がやや弱いと感じた。 創業支援や資金調達支援をされているノウハウや知見をお持ちだからこそ、補助金ありきではなくスモールスタートアップ、ロースタートアップを意識され、事業者の手本となる事業展開をしていただきたいです。 本事業の目的に沿った事業実施のための体制の記述が無く、この事業を適切に遂行できるかどうか蓋然性に乏しいです。補助事業の成果の事業化が寄与するユーザーマーケットの記述があるものの、自社商圏の市場規模の記述がなく明確とは言い難いです。 事業化に至るまでの遂行方法及びスケジュールの記述はあるものの、2年目以降が毎年同じ内容の繰り返しとなっており新規大学の発掘等本事業に必要と思われる記述がなく、妥当とは言い難いです。 補助金の投入額に対して増額が想定される付加価値額の規模の記述がなく、この事業としての費用対効果が高いか判断し難いです。 |
再構築点におけるコメント
シェアオフィス事業を新分野展開とされているが 、基本的な提供サービスは既存事業と大きく変わりない。場所貸しという付加価値 というよりそこで提供するサービス(これが既存事業と大きく変わりない)に価値があるため新事業展開と言えるかどうかが疑問を感じました。 一時的にはコロナ禍の影響を受けているが事業計画上からは今後回復し、これまでの売上を上回るものとなっており、事業再構築の必要性が他の事業者に比べれば弱いです。 新事業として実施するシェアオフィス関連事業は、ポストコロナの時代云々と言う計画を持ったものでもない。さらには、事業化点でも書いたように投資額(費用)がやや過大であると感じる。ビジネスモデルとしても 革新性の高いものではありません。 既存事業における売上は前年度より増加しており、新型コロナウイルスの影響で深刻な被害が生じているとは言い難いです。 人材設備資金等の経営リソースの最適化に関する記述がなく、判断しがたいです。 |
上記が、不採択となった理由です。こちらは、事務局に電話で確認することができます。不採択理由の共有を受けた時には、そもそも認定支援機関でもある当社SoLabo(ソラボ)に補助金を出したくないのではないか?という考えがよぎり、第2回公募の申請を躊躇しました。
ただ、当社SoLabo(ソラボ)の強みは、自社で経験したこと(失敗体験、成功体験)を多くの起業家に発信することや、自社で経験したことをサービスにすることが得意な会社なので、採択されるまでチャレンジし続けようとチャレンジし、採択されました。
不採択となっている事業者の方もいらっしゃると思いますが、落ちても不採択理由を聞き、改善ができるのであれば改善し、再チャレンジすべきです。
4.採択されるための変更点:事業計画書のBeforeとAfter
(1)課題の明確化
まずは不採択の理由を明確にしました。
①投資額が過大。シェアオフィスをスタートするのに2,400万円は使いすぎである。また広告宣伝費も大きすぎる。創業支援に強い会社なら、スモールスタートの手本になるべき計画にすべき。
②シェアオフィス事業は競合も多い。差別化できているように見えるけど、市場調査が甘い。自社商圏の市場規模の記述なし。
③事業実施のための体制の記述なし。事業を本当に適切に遂行できるのか?人材設備資金等の経営リソースの最適化に関する記述がない。
④2年目以降の計画が繰り返しになっているだけで、2年目以降に必要と思われるタスク等の記述なし。
⑤費用対効果の記述なし。
⑥シェアオフィス事業を新分野展開としているが、既存事業と大きな変わりなし。ビジネスモデルとして革新性が高いものではない。
⑦一時的にコロナの影響を受けているが、売上は回復しているので、他の事業者に比べれば、事業再構築の必要性が弱い。
以上、指摘された課題をまとめると大きく7つでした。しかし⑦に関しては、改善が難しいと判断し、6つについては以下改善をそれぞれ行いました。
(2)課題を事業計画に落とし込む
①投資計画の改善
当社としては適切な投資計画であると判断し、2,400万円という投資計画を作成しました。しかし、2,400万円は使いすぎ!という事務局からのご指摘を真摯に受け止め、計画を改善しました。投資計画を見直し、2,400万円の計画を900万円まで落としました。もっとも指摘された広告宣伝費は500万円を50万円に圧縮しました。
シェアオフィス事業を拡大するためにシステム構築をする予定でしたが、システム構築を断念。他にも、内装工事コストの圧縮をした計画に変更しました。
※すでにシェアオフィスの工事は終了しており、実際には、内装コストは計画以上に使用しておりますが、計画書作成段階では、少しでも採択率を上げるために、極限まで下げて事業計画書を作成しました。
Before
After
②想定市場規模の追記
「自社商圏の市場規模の記述がない」という指摘を頂いていたので【再構築市場における想定市場規模】という情報を追加しました。
Before
After
③体制の記述の明確化
第1回公募では、シェアオフィス事業を実施するために必要な人員も記載はしておりますが、不明確でした。そのため、誰がどこに事業部で対応するのかを明確にするための図を作成し、視覚的にわかりやすくする工夫をしました。
Before
After
④革新性をアピール
シェアオフィス事業を実施する!という計画だけを見ると、既存のシェアオフィスと何が違うの?と思われるので、まずは事業計画名を変更しました。事業計画名を「教育機関×シェアオフィス×事業者」から「教育機関と事業者をマッチングさせるシェアオフィス事業」に変更しました。
Before
After
⑤補助事業2年目以降の計画見直し
2年目以降は、繰り返ししているだけの計画だった部分を変更し、変化を加えました。
Before
After
計画1年目より2年目以降は早く展開できるという計画を作成したため、早く展開するために以下情報を文章で追加しました。
⑥費用対効果の記述を追記
販管費計算資料や売上計画の資料はもともと提出していました。しかし、費用について、文章での記載が少なかったため、数字の説明を下記のように文章でも追記しました。
Before
After
なお、当社以外の採択事例を含め、事業再構築補助金の傾向と対策については関連記事をぜひご覧ください。
この記事のまとめ
事業再構築補助金の採択事例として不採択から採択になったケースは、これからはじめて事業再構築補助金にチャレンジする方にも、再チャレンジする方にも有益な情報になるのではないかと考えております。
事業で失敗することもありますが、失敗を活かして成功させた経験が、多くの事業者の方の参考になれば幸いです。