小規模事業者持続化補助金の実績報告書を作成する手順と書き方を解説
2022/3/25
2022/03/25
小規模事業者持続化補助金で採択を受けて事業を実施した後は、実績報告書を作成する必要があります。
実績報告書を提出できないと、補助金の納付を受けられません。また、書類に不備がある場合には再提出が必要になるので、正確に記載して提出できるのが望ましいです。
ここでは、小規模事業者持続化補助金で実績報告書を作成する際の手順と書き方について解説していきます。
実績報告書の作成から提出までの手順
小規模事業者持続化補助金の実績報告書の作成から提出までは、以下の手順で行うとスムーズです。
- 経費支出管理表を作成
- 補助対象経費とする証拠書類の作成
- 収益納付が必要か確認
- (収益納付が必要な場合)収益納付に係る報告書を作成
- 実績報告書を作成
- 支出内訳書を作成
- 上記提出物を郵送かJグランツで提出する
実績報告書を提出するには、他にも経費支出管理表、補助対象経費とする証拠書類、支出内訳書を作成する必要があります。
提出物は申請した方法に合わせて提出する
実績報告書の提出は、小規模事業者持続化補助金に申請した方法と合わせて提出します。郵送で申請した場合は郵送で、Jグランツで申請した場合はJグランツで提出してください。
補助金の申請をJグランツでした場合、実績報告書の提出もJグランツで行います。Jグランツで提出する場合、書類はフォームを記入していく方式になりますが、一定時間の入力をしないと入力データが消えてしまいます。そのため、下書きとして公式サイトにある各種フォーマットをダウンロードし、作成しておき、バックアップ代わりにするのがおすすめです。
また、Jグランツで提出する場合、領収書などの証ひょう作成も資料の写真をアップロードする形になります。そのため、書類を集めてスマートフォンのカメラでアップロード出来る状態にしておくと良いでしょう。
経費支出管理表を作成する
経費支出管理表とは、採択された補助事業の対象経費をまとめる表のことです。小規模事業者持続化補助金の採択者向けのページからフォーマットのエクセルシートのダウンロードができます。
フォーマットは一般型など、申請した枠によって異なりますので、自分が申請した枠の公式サイトからダウンロードするようにしましょう。
エクセルシート内の説明文を読みながら記載すれば問題ありませんが、事業者区分と補助対象経費として計上できる額のみに注意してください。
課税事業者の場合、消費税の支払いは補助対象経費になりません。免税事業者や簡易課税事業者ならば、消費税も補助対象経費として申請可能です。
また、エクセルのA列の証ひょう番号が、証拠書類に記載する番号と一致するようにする必要があります。
補助対象経費とする証拠書類の作成をする
作成した経費支出管理表の証ひょう番号を元に、補助対象経費とする証拠書類を作成します。
証拠書類は、以下の書類を各1枚ずつA4サイズでひとまとめにして提出します。Jグランツで申請する場合には、1つ1つ書類の画像をアップロードすれば問題ありません。
【証拠書類の順番】
- 表紙(郵送申請の場合は証ひょう番号を記載し、インデックスを付す)
- 見積書
- 発注書・契約書
- 納品書・完了報告書
- 請求書
- 支払いの証明
- 写真など
- その他書類
証拠書類は購入から事業実施の手順の順番で並べる必要がありますので、上記の順番にしてください。また、1枚毎に証ひょう番号を右上に記載してください。
上記の書類は全て提出が必要な訳ではなく、たとえば、経費支出管理表で証ひょうを番号を1とした機械装置等費の対象経費であり、機材を量販店で購入した場合は上記の中で表紙、領収書(支払いの証明)、機械の写真の3点で一つの証拠書類としてまとめます。
対象経費に対してどれだけの提出書類が必要なのかは、小規模事業者持続化補助金の実績報告書のまとめ方コーナーに詳しく書かれているので、参考にしてください。
支払いを証明する書類に関する注意事項
支払いを証明する書類に関しては、次のような注意事項があります。
- 支払いを証明する書類は必ずコピーを提出する
- クレジットカード払いの場合は領収書とカード利用代金明細書、引き落としの通帳コピーをすべて張る
領収書などの支払いを証明する書類は、必ずコピーを提出するようにし、原本は申請者の方で保管してください。
また、クレジットカードでの支払いをした場合には領収書だけでなく計3点の書類が必要になりますので注意してください。
収益納付が必要か確認する
収益納付が必要か確認してください。収益納付が必要な場合、提出が必要な実績報告書が増えます。
収益納付とは、補助対象期間内に補助事業の結果により直接収益が生じた場合に、補助金交付額を限度として補助額の一部または全額を国庫に納付することを指します。
収益納付が必要になるのは、補助対象経費から補助金額を差し引いた控除額より収益が上回る時です。たとえば、75万円の補助対象経費で50万円の補助金額が決定していた場合の控除額は25万円です。この25万円よりも補助事業で収益が出ている場合に収益納付が必要になります。
収益納付が必要になる直接収益とは、補助事業と収益の関係性が明確な収益を指します。具体的には、以下のようなケースが当てはまります。
【補助金により直接収益が生じる(⇒交付すべき補助金から減額する)ケースの例】
・補助金を使って購入した設備で生産した商品の販売・サービスの提供による利益 (機械装置等費等が補助対象の場合)
・ 補助金を使って構築した自社のネットショップ(買い物カゴ、決済機能の付加)の 活用での販売や、他社の運営するインターネットショッピングモールでの販売に よる利益(広報費が補助対象の場合)
・ 補助金を使って実施または参加する展示販売会での販売による利益(展示会等出 展費等が補助対象の場合)
・ 補助金を使って開発した商品の販売による利益(開発費等が補助対象の場合)
・ 販売促進のための商品PRセミナーを有料で開催する場合に、参加者から徴収する 参加費収入(借料等が補助対象の場合)
・ 「買い物弱者対策事業」実施のため補助金で車両を購入し、移動販売事業等での販 売・サービス提供による利益(車両購入費が補助対象の場合)
収益納付が必要になるのは補助対象期間内に上げた直接収益のみです。そのため、補助対象期間以降に出た収益については収益納付は必要ありません。
また、ホームページの作成やチラシの配布などの補助事業を行ったことで収益が上がったとしても、収益との因果関係が明確でないため、収益納付は必要ありません。
収益納付が必要な場合は収益納付に係る報告書を作成する
収益納付が必要な場合、収益納付に係る報告書(別紙6)を作成します。
補助事業の実施効果の事業化などの有無については、ワードの罫線で囲みます。
その下の計算部分は、記載注意事項を確認しながら記述していけば問題ありません。納付額(F)を支出内訳書に記載するので、数字を控えておいてください。
実績報告書を作成する
実績報告書は、小規模事業者持続化補助金の公式サイトの様式第8に記入するフォーマットです。フォーマットは一般型など枠ごとに違いがありますので、自分が申請する枠の公式サイトからダウンロードしてください。
実績報告書を記載する時には、以下のような点に注意してください。
【実績報告書作成の注意点】
- 補助事業が完了した日から30日以内でかつ最終提出期限より早い日付を記入する
- 交付決定日は高普通決定通知書に記載された日付を入れる
- 事業期間の開始日は交付決定日当日、または遡及適用を希望した場合にはその日付を記入
- 終了日は全ての支払いが事業完了日以前になることを確認し、完了した日を記入
- 事業の具体的な取組関しては、機材の購入日や実施日を具体的に明記する
- 事業成果に関しては可能な限り売上など客観的な指標で記入する
- 本事業がもたらす効果等については、計画段階で期待していた効果と実施後の差異を分析し、今後の経営計画や事業計画の見直しなどを記載する
なお。実績報告書の記入例も併せてダウンロード可能です。記入例を参考にしながら実績報告書を完成させると良いでしょう。
支出内訳書を作成する
実績報告書の作成が完了したら、支出内訳書(様式第8別紙5)を作成します。
支出内訳書は、ワードファイルで作成できる他に、経費支出管理表のエクセルファイルの2枚目のシートにもついています。経費支出管理表で入力した計算が支出内訳書の関数として反映されているので、エクセルファイルで作成すると良いでしょう。
経費支出管理表管理表のエクセルファイルで支出内訳書を作成場合、記載が必須なのは以下の3か所です。
- 事業者名
- 交付通知書記載の補助金の額
- 収益納付
収益納付が不要だった場合は、収益納付は0円を記載してください。収益納付が必要だった場合には、収益納付に係る報告書で計算した納付額(F)の数字を入力してください。
この記事のまとめ
書類に不備がある場合には再提出が必要になる
補助事業で収益が出ている場合は収益納付が必要なケースがある