カメラマンが小規模事業者持続化補助金を利用する条件と採択事例を解説
2024/05/16
2022/3/28
カメラマンやフォトスタジオを経営している人の中には、機材の購入や新たな事業に利用できる補助金がないかと調べている人もいるのではないでしょうか。
小規模事業者持続化補助金は、カメラマンやフォトスタジオでも利用できる補助金です。しかし、カメラの購入には条件があるので、申請前にどのようなことに小規模事業者持続化補助金を利用できるか確認しておくのが良いでしょう。
ここでは、カメラマンやフォトスタジオが小規模事業者持続化補助金を利用する条件と採択事例を解説します。
なお、当記事は小規模事業者持続化補助金の第15回公募要領をもとに作成しています。
小規模事業者持続化補助金で利用できる対象経費
小規模事業者持続化補助金でカメラマンやフォトスタジオを営む事業者が申請できるのは、販路開拓や生産性向上につながる経費です。小規模事業者持続化補助金を検討している人は、どんなことが補助金の対象になるのかを確認してみましょう。
【対象経費と利用例】
対象経費 |
利用例 |
①機械装置等費 |
新たな販路開拓につながるドローン撮影用のドローンや水中専用撮影カメラの購入費 |
②広報費 |
販路拡大につながる看板の製作費、チラシの作成費 |
③ウェブサイト関連費 |
宣伝効果のある自社サイトの制作費、SNS広告費 |
④展示会等出展費 |
写真展に出展するための費用 |
⑤旅費 |
新たなサービスの運営に伴う交通費や宿泊費 |
⑥開発費 |
新サービスのARシステム構築費 |
⑦資料購入費 |
新たな事業に関連する写真集や専門誌などの書籍購入費 |
⑧借料 |
YouTube撮影会場の会場費 |
⑨設備処分費 |
撮影スペースの確保のための既存設備の処分に伴う費用 |
⑩委託・外注費 |
写真のデータをグッズに加工する業者への委託費 |
参考:小規模事業者持続化補助金<一般型>ガイドブック|小規模事業者持続化補助金事務局
たとえば、新しくダイビングの顧客を開拓する場合、水中カメラを機械装置等費として申請できる可能性があります。また、販路開拓のために自身の写真のコンセプトやポートレートを載せるコーポレートサイトを制作する費用も申請できます。
販路拡大や生産性向上のために必要な経費は小規模事業者持続化補助金で対象経費になるので これから購入する予定のものがある人は、小規模事業者持続化補助金の利用を検討してみましょう。
カメラの購入は採択されない可能性もある
小規模事業者持続化補助金を利用する場合、カメラ単体の申請は採択されない可能性があります。小規模事業者持続化補助金では、通常業務にも利用できると判断されると採択されません。そのため、カメラマンの申請したカメラが補助事業以外にも汎用的に利用できると判断されて不採択になる可能性があります。
カメラマンがカメラの購入で小規模事業者持続化補助金を利用する場合、購入予定のカメラに「汎用性がない」ことを事業計画書で示す必要があります。また、公募回によっても判断が異なるため、申請の度に事務局に確認しながら慎重に進めていくことになります。
当サイトを運営する株式会社SoLaboは、小規模事業者持続化補助金の申請サポートをしており、カメラマンの申請が採択された事例もあります。事業内容や購入したい機材が小規模事業者持続化補助金の対象となるか知りたい人は無料診断をお試しください。
カメラマンやフォトスタジオで採択された事例
カメラマンやフォトスタジオを営む事業者が、小規模事業者持続化補助金に申請して採択されたものには以下のような事例があります。
【カメラマンやフォトスタジオの採択事例】
・フォトウエディングの新プラン開発とその広告宣伝 ・レンタルフォトスペースの撮影セットの更新とホームページの作成 ・ペット撮影に特化したフォトスタジオの運営 ・コンサート等の無音撮影を売りにしたワンストップ受注獲得事業 ・ECサイトを活用したフォトレッスンのオンライン化事業 ・店内改装で新サービス“家族写真・マタニティフォト”撮影実施事業 |
たとえば、建設現場撮影用ドローンを購入し、ドローンによる撮影例紹介パンフレットの作成と新聞掲載やDMなどで空撮サービスのPRを行った事例があります。補助事業の実施により、知名度を大きく飛躍させ、新たな販路開拓へとつながりました。
実際に採択された事例を参考にしながら、どのような施策で申請するかを検討してみましょう。
なお、中小企業庁の「ミラサポplus」では、小規模事業者持続化補助金のさまざまな採択事例が紹介されています。実際に採択された事業者の事業計画や補助対象経費の活用方法なども参考にしてみましょう。
小規模事業者持続化補助金を利用する要件
小規模事業者持続化補助金を利用するには、以下の要件を満たす必要があります。
【対象者の要件】
|
参考:小規模事業者持続化補助金の第15回公募要領|小規模事業者持続化補助金事務局
個人のカメラマンであり、特定の店舗などを持たずに活躍されている場合は、登記場所が商工会議所や商工会の管轄地域である必要があります。
また、小規模事業者持続化補助金を利用するには税務署に開業届を出している必要があるので、屋号のないフリーランスとして活躍されているカメラマンの場合は申請するのに開業届を出す必要があります。
フォトスタジオを営んでいる場合は、従業員数が規定数以下でないと小規模事業者持続化補助金に申請できません。事業主とその親族、パートやアルバイトは常時使用する従業員には含まれませんので、正社員として雇用している雇用主とその親族以外の従業員数を確認してください。
小規模事業者持続化補助金の補助額と補助率
小規模事業者持続化補助金の補助額と補助率は、年度によって異なります。2024年4月以降の補助率と補助額は以下の通りです。
【小規模事業者持続化補助金の補助率と補助上限額】
申請枠 |
通常枠 |
賃金引上げ枠 |
卒業枠・後継者支援枠・創業枠 |
補助率 |
2/3 |
2/3 赤字事業者は3/4 |
2/3 |
補助上限額 |
50万円 |
200万円 |
|
インボイス特例が適用された場合 |
100万円 |
250万円 |
参考:小規模事業者持続化補助金第15回公募要領|小規模事業者持続化補助金事務局
小規模事業者持続化補助金で受けられる補助額は、補助金申請のために支払った対象経費に補助率をかけた金額になり、その上限が補助額になります。
たとえば、補助事業を実施するのに30万円支払った場合に受け取れる補助額は20万円です。100万円払っていたとしても、補助額が50万円までの場合、受け取れるのは50万円になります。
なお、インボイス特例が適用される事業者の場合はそれぞれの補助額に一律で50万円が上乗せされるため、通常枠補補助上限は100万円、特別枠の補助上限は250万円となります。
補助額と補助率は、申請する枠によって上限が変わります。インボイス特例に関する詳細は「小規模事業者持続化補助金のインボイス特例を解説」を参考にしてみてください。
補助金は対象経費の前払いが必要
小規模事業者持続化補助金の給付を受けるには、事前に対象経費の前払いが必要です。小規模事業者持続化補助金は、申請されて採択され、実施した事業の経費に対して支払われる補助金だからです。
また、小規模事業者持続化補助金は申請から給付を受けるまでに11か月程度の期間が必要になります。そのため、小規模事業者持続化補助金を開業資金に利用することや運転資金に利用したりすることは出来ません。
もし開業資金や直近の運転資金が必要な場合、補助金ではなく融資の利用を検討してみてください。
この記事のまとめ
小規模事業者持続化補助金をカメラマンが利用するには、すでに開業済みである必要があります。給付を受けるには補助事業を先払いで実施する必要があるほか、11か月ほど期間がかかるので、開業資金や運転資金には利用できません。また、汎用性の高い製品の購入には小規模事業者持続化補助金を利用できないので、カメラの購入には事業用と分かるように申請してください。