補助金ガイド

小規模事業者持続化補助金の実績報告書とは?作成の流れを解説

2024/04/10

2022/3/25

この記事の監修

株式会社SoLabo 代表取締役/税理士有資格者田原広一(たはら こういち)

融資支援実績6,000件超、補助金申請支援実績1,300件超、事業再構築補助金採択支援件数は第4回~第8回まで5回連続で日本一を獲得。 『小規模事業者持続化補助金』、『事業再構築補助金』、『IT導入補助金』は自社での申請・採択も経験。「補助金ガイド」LINE公式アカウントでは約4万人の登録者に情報発信を実施。

小規模事業者持続化補助金の採択を受けた人や補助事業を実施した人の中には、実績報告書の作成方法を知りたい人もいますよね。また、実績報告書の提出時に揃える書類や提出期限が気になる人もいるのではないでしょうか。

当記事では、小規模事業者持続化補助金の実績報告書を作成する際の流れを解説します。準備する書類や作成方法も解説するので、実績報告書を調べている人は参考にしてみてください。

なお、当記事は小規模事業者持続化補助金の<一般型>公式サイトを元に作成しています。

実績報告書は補助事業の成果や経費の支出状況を報告する書類

小規模事業者持続化補助金の実績報告書は、実施した補助事業の成果や経費の支出状況を報告する書類です。小規模事業者持続化補助金の採択審査に通過し、交付決定通知書を受け取った事業者は、約6ケ月~7ヶ月間で補助事業を実施します。実績報告書は補助事業の実施後に作成し、補助金事務局に提出します。

【採択後の流れ】

採択の流れの図
出典:補助金ガイド

実績報告書は、補助事業が完了した日から30日以内または最終提出期限のどちらか早い日付までに提出する必要があります。また、最終提出期限の具体的な日付は回次や案件によって異なるため、自身の交付決定通知書に記載された日付を確認しましょう。

実績報告書を提出する際は、報告書以外にも「証拠書類」の提出を求められます。証拠書類とは、補助事業の実施期間中に発行された発注書や領収書、成果物の写真などのことを示します。これらの証拠書類は、実績報告の場面では「証ひょう」と称します。

実績報告書を作成する際の流れ

実績報告書を作成する際は、準備から作成までの流れを確認しておきましょう。小規模事業者持続化補助金の実績報告では、提出する必要書類が多いため、流れに沿って準備を整えておくことで効率よく進められます。

【実績報告書を作成する手順の一例】

準備が必要な書類の項目

概要

1. 証拠書類の整理・証ひょう

全員必須

発注書、請求書などの証拠書類を整理し、使用した経費ごとの証ひょうを用意する

2. 収益納付に係る報告書(様式第8別紙4)

該当者のみ

補助金により直接収益が生じる取組みを行った場合は準備する

3. 取得財産管理台帳(様式第11-1)

取得財産等管理明細表(様式第11-2)

該当者のみ

単価が税抜き50万円以上の機械装置などを購入した場合は準備する

(「明細表」が提出用で「管理台帳」は自社控え)

4. 賃金引上げ枠・卒業枠・インボイス特例に申請した人の提出書類

該当者のみ

賃金引上げ枠、卒業枠、インボイス特例の枠や特例ごとに様式(フォーマット)をダウンロードし、必要事項の記載と添付書類を準備する

経費支出管理表・支出内訳書(様式第8別紙3)



全員必須

・ホームページから様式(フォーマット)をダウンロードする

・フォーマットはExcelシートになっており「経費支出管理表」と「支出内訳書」がシート内のタブで切り替えられる仕様になっている

6. 実績報告書(様式第8)

全員必須

事業者の基本情報、補助事業の具体的な取組み内容、事業成果、経費状況、事業がもたらす効果などを記載する

7. 提出書類の整理

全員必須

・証ひょうを決められた並び順に揃える

・報告書類を決められた順に整理し揃える

・郵送による提出、電子申請(Jグランツ)による提出ごとに決められた方法で書類を整理する

参考:小規模事業者持続化補助金<一般型>公式サイト|小規模事業者持続化補助金事務局

実績報告書の作成は、証ひょうの準備から始めましょう。報告書類を作成する際は、証ひょうの情報を見ながら記載することになるためです。証ひょうは、申請する経費(機械装置等費や広報費など)ごとに提出するため、「1経費につき1証ひょう」になるようにまとめます。

また、「収益納付」や「取得財産」「申請枠」などの項目に関して該当する人は、項目ごとに必要な証ひょうを用意しましょう。

証ひょうを準備できたら「経費支出管理表」「支出内訳書」「実績報告書」を作成しましょう。フォーマットは公式サイトからダウンロードできます。証ひょう、報告書などをすべて揃えたら、最後に提出書類が所定の並び順に揃っているかを確認し、補助金申請した際と同じ提出方法で提出するという流れです。

実績報告書を作成する際は、提出書類を効率よく準備するための流れを考えましょう。その際、報告書の様式や公式サイトの記入例を先に確認しておくと、準備する証ひょうの内容が報告書のどの箇所で必要となるかを想定しやすくなります。

なお、各様式の記入例や提出書類の詳細は、小規模事業者持続化補助金の公式サイト「実績報告手続き」にて確認できます。

証拠書類(証ひょう)の準備と作成

証ひょうは、経費を使って購入したものや導入したサービスに関する見積書や発注書、領収書などの「補助事業を実施した証拠書類をまとめたもの」です。証ひょうは、利用した経費ごとに「補助事業として取引を行った順」に整理して作成します。

【証ひょうのまとめ方・並び順の一例】

証ひょう番号1 機械装置費

①見積書②発注書③契約書④納品書⑤請求書⑥領収書⑦成果物の写真

証ひょう番号2 広報費

①見積書②発注書③契約書④完了報告書⑤請求書⑥支払いの証明書⑦作成、配布したチラシ

参考:公式サイト補助事業の進め方コーナー「提出が必要な書類」|小規模事業者持続化補助金事務局

書類は所定の並び順になるように揃え、紛失しないようクリップ等でとめておきましょう。また、経費ごとの証ひょうにはそれぞれ証ひょう番号をつけておきます。番号順にまとめ、証ひょうの準備は完了です。

証ひょうの準備を終わらせ、つぎは収益納付が発生するかどうかを確認します。補助事業の中で一定の利益が生じ「収益納付」が必要となった対象者は「収益納付に係る報告書」を準備します。「支出内訳書」の中で収益納付額を記載する箇所があるためです。

また、税抜き50万円以上の機械装置の購入などがあった対象者には「取得財産等管理明細表」を提出します。そのほかに「賃金引上げ枠」「卒業枠」「インボイス特例」に申請した人には、枠や特例ごとに報告書の作成や提出書類があるため、確認しましょう。

支払いを証明する書類に関する注意事項

  • 支払いを証明する書類は必ずコピーを提出する
  • クレジットカード払いの場合は領収書とクレジットカード利用代金明細書、引き落としの通帳コピーをすべて貼る

領収書やカードの利用明細書などの支払いを証明する書類は、必ずコピーを提出し、原本は申請者が保管します。また、クレジットカードでの支払いをした場合には領収書だけでなく計3点の書類が必要になるので忘れずに提出しましょう。

報告書の作成

報告書を作成する際は、先に準備しておいた証ひょうや必要書類、交付決定通知書を準備しましょう。証ひょうや交付決定通知書の記載内容が経費支出管理表や支出内訳書、実績報告書の作成時に必要になるためです。

【作成する報告書類と概要】

作成する書類

書類の概要

経費支出管理表

・採択された補助事業の対象経費をまとめる表

・小規模事業者持続化補助金の採択者向けのページからExcelシートになっている

フォーマット(様式第8・別紙3)をダウンロードする

・課税事業者の場合は税抜き、免税事業者の場合は税込みの金額を記載する

・Excelシート(A列)の証ひょう番号が準備した証ひょう番号と一致していること

支出内訳書

・経費支出管理表と同じExcelシート内のタブで切り替えられるようになっている

・先に入力した経費支出管理表の内容が関数で反映される仕様になっている

・「事業者名」「交付通知書記載の補助金額」「収益納付の有無」の3点を記載する

・収益納付がある場合は納付額を記載する

実績報告書

・小規模事業者持続化補助金の公式サイトからフォーマット(様式第8)をダウンロードする

・申請者の基本情報や「補助事業の概要」「取組んだ内容の詳細」「事業の予想効果」

などを記載する

参考:実績報告手続き|小規模事業者持続化補助金

費支出管理表、支出内訳書の作成は、証ひょうが不備なく揃えられていれば順調に進められます。また、Excelシートの経費支出管理表に経費内容を入力すると、同じシート内の支出内訳書にも自動的に経費情報が反映されます。収益納付がある人は納付額を記載しましょう。

実績報告書には「事業者の基本情報」「実施した事業の具体的な取組内容」「補助事業がもたらす効果」などを記載します。実施した取組内容には、単純に「〜を実施した」という内容ではなく、行った「販路開拓の取組内容」を詳しく説明しましょう。

つぎに、今回の補助事業を実施した結果をもとに「補助事業の成果」や「今後の自社にもたらす予想効果」を記載します。成果や予想効果を記載する際は、売上げや来店者数などをなるべく具体的な数字を交えて説明しましょう。

「収益納付に係る報告書」を含めた実績報告書作成時に必要な「各様式の記入例」は、公式サイトの「実績報告手続き」にて確認できます。

提出物の整理

経費ごとの証ひょうと報告書類をすべて作成できたら、提出する報告書類を整理しましょう。報告書類は決められた順に揃えて提出するためです。必要書類をすべて準備できたら、補助金事務局へ提出となります。

また、実績報告書の提出方法は、補助金を申請した際の方法に合わせて郵送で申請した場合は郵送で、Jグランツ(電子申請)で申請した場合はJグランツで行います。

①補助事業実績報告書

様式第8

全員必須

②支出内訳書

様式第8別紙3

全員必須

③経費支出管理表

様式第8別紙3

全員必須

④収益納付に係る報告書

様式第8別紙4

該当者のみ必須

※ 売上・収益がある場合は算定に必要な資料も添付

⑤取得財産等管理明細表

様式第11-2

該当者のみ必須

⑥特別枠の提出書類

該当者のみ必須

⑦証拠書類証ひょう1~

全員必須

特別枠の提出書類

賃金引上げ枠

・賃金引上げ枠に係る実施報告書

様式第8別紙5

・労働基準法に基づく賃金台帳の写し

・雇用条件が確認できる書類

卒業枠

労働基準法に基づく労働者名簿の写し

インボイス特例

適格請求書発行事業者の登録通知の写し

※申請時にインボイス登録の書類を提出して交付決定を受けた場合は不要

参考:実績報告手続き|小規模事業者持続化補助金

郵送で申請する場合は証ひょうのコピーをすべてA4で揃えてクリップで止めましょう。(ホチキスは不可)

Jグランツで申請する場合は証ひょうをデータ化し、証ひょうごとにPDFファイルにしてまとめるか、複数のファイルをZIPファイルにしてまとめます。見積もりや領収書などの証ひょう作成も写真をアップロードする形になるため、書類を集めてスマートフォンのカメラでアップロード出来る状態にしておくと良いでしょう。

また、Jグランツで提出する場合、書類はフォーマットに沿って記入していきますが、一定時間の入力をしないと入力データが消えてしまいます。そのため、下書きとして公式サイトにある各種フォーマットをダウンロードして作成しておき、バックアップ代わりにするのがおすすめです。

なお、公式サイトの「各種様式ダウンロード」のページには、チェックリストのフォーマットも用意されているので、リストを活用しながら提出書類に不備がないかを最後に確認しましょう。

この記事のまとめ

小規模事業者持続化補助金の実績報告書とは、実施した補助事業の成果や経費の支出状況を報告する書類です。事業者は、補助事業実施後30日以内または最終提出期限のどちらか早い日付までに実績報告書を提出する必要があります。また、最終提出期限は回次や案件によって異なるため、事業者が受け取った交付決定通知に記載された日付を確認しましょう。

小規模事業者持続化補助金の実績報告では提出する書類が多いため、作成から提出までの流れに沿って準備を整えておくことで効率よく進められます。補助事業を実施した際に利用した経費の証拠書類(証ひょう)は経費ごとに不備なく揃え、決められた順に並べてまとめましょう。収益納付や取得財産に関する書類が必要な場合は書類を用意します。

証ひょうと必要書類が揃ったら、経費支出管理表、支出内訳書、実績報告書を作成しましょう。作成した証ひょうや報告書類を補助金務局に提出する際は、補助金申請の時と同じ方法で郵送またはJグランツで行います。なお、書類の記入例は公式サイト内で紹介されているので参考にしてください。

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