補助金ガイド

小規模事業者持続化補助金における広報費とは?

2024/04/01

2022/2/28

この記事の監修

株式会社SoLabo 代表取締役/税理士有資格者田原広一(たはら こういち)

融資支援実績6,000件超、補助金申請支援実績1,300件超、事業再構築補助金採択支援件数は第4回~第8回まで5回連続で日本一を獲得。 『小規模事業者持続化補助金』、『事業再構築補助金』、『IT導入補助金』は自社での申請・採択も経験。「補助金ガイド」LINE公式アカウントでは約4万人の登録者に情報発信を実施。

小規模事業者持続化補助金の申請を検討している人のなかには、広報費の対象になる経費が気になる人もいますよね。また、広報費の申請例が知りたい人もいるでしょう。

 当記事では、小規模事業者持続化補助金の補助対象経費の広報費について解説します。広報費がどのような補助事業に使えるのかも解説しているので、参考にしてみてください。

 なお、当記事は小規模事業者持続化補助金の「第15回公募要領」を元に作成しています。

広報費として認められるものは「商品やサービスの宣伝を目的としている」もの

小規模事業者持続化補助金の補助対象経費に認められる広報費は「商品やサービスの宣伝を目的としている」ものにかかる経費です。申請する広報媒体には、販路開拓に繋がる商品やサービスなどの名称や宣伝をいれる必要があります。

【対象となる広報費例】

  • ホームページ制作、リニューアルに係る費用
  • チラシ、パンフレット等の制作・発送費用
  • WEB広告、紙面広告、予約サイトへの広告費用
  • 動画制作、広告掲載の撮影費用

たとえば、雑誌に商品の広告を掲載する場合は、広報費の補助対象経費として認められます。また、商品やサービスの宣伝をするDM(ダイレクトメッセージ)を郵送で行う場合も、補助対象経費として認められます。

小規模事業者持続化補助金の広報費は、商品やサービスの広告を作成、広報媒体に掲載するための費用です。そのため、広報費の申請を検討している人は、申請前に使用する広報費の内容が商品やサービスの宣伝を目的にしたものになっているかを確認しましょう。

店舗の看板の制作も広報費として申請できる

小規模事業者持続化補助金では、看板の制作や施工にかかる費用を広報費として申請できます。実際の採択事例を確認したところ、看板にかかる費用は、店舗を構えて営業している飲食業や美容業、小売業などの業態で活用している傾向がありました。

【広報費として認められる看板の申請例】

  • 夜でも目立つようにデジタルサイネージ付きの看板を制作・設置
  • デリバリーやテイクアウトを始めるための看板を制作・設置
  • 認知拡大のために目立つような大きな看板を制作・設置

たとえば、新たな販路の開拓を目的として、店舗の位置を記載した野立て看板を設置する費用が広報費として申請されています。また、照明付きの看板設置にかかる費用が、夜間営業時の集客力向上を目的として申請されています。

小規模事業者持続化補助金で看板を申請した事例は、野立て看板や駅構内の看板、壁面看板など店舗の立地や営業形態に併せて様々なものがあります。商品やサービスの宣伝に看板を検討している人は、中小企業庁「ミラサポplus」の事例ナビから看板の活用事例を検索してみましょう。

商品やサービスを宣伝するチラシは広報費として申請できる

小規模事業者持続化補助金では、商品やサービスを宣伝するためのチラシの印刷や配達にかかる費用を広報費として申請できます。配達にかかる費用には、ポスティングや新聞折込を活用する方法があります。

たとえば、取り扱うサービスの宣伝を入れたチラシを広報費として申請する場合、チラシの印刷費用とポスティングを依頼する費用が広報費として申請できます。

なお、小規模事業者持続化補助金では、チラシのほかにもパンフレットやポスターを広報費として申請している採択事例もあります。商品やサービスの宣伝方法に悩んでいる人は、中小企業庁「ミラサポplus」の事例ナビからチラシやパンフレットなどの活用事例を参考にしてみましょう。

広報費として認められないものは「商品やサービスの宣伝を目的としない」もの

小規模事業者持続化補助金の広報費として認められないのは「商品やサービスの宣伝を目的としない」ものです。そのため、申請する広報媒体には、販路開拓に繋がる商品やサービスなどの名称や宣伝をいれる必要があります。

【対象とならない広報費例】

  • 補助事業と関係のない製品・サービスの広告
  • 会社の営業活動に活用されるだけのもの(会社概要ページや求人広告、名刺等)
  • 金券、商品券
  • 文房具
  • 発送先と広報が紐づかない発送用の切手等購入費用
  • フランチャイズ本部が作成した販促物の購入費用

たとえば、会社概要のパンフレットを作成する費用は、商品やサービスの宣伝を目的としないため、小規模事業者持続化補助金の広報費として認められません。一方で、商品の宣伝を入れたパンフレットを作成する費用は、商品の宣伝を目的としているため、広報費として申請できます。

広報のために導入するパンフレットや看板でも事業計画書の記載内容によっては、単なる会社の営業活動に活用されるものとして対象外になることもあります
広報費として申請しようとしていた経費に対して小規模事業者持続化補助金が利用できるか気になる人は、無料診断を試してみてください。

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ホームページ制作やウェブ広告はウェブサイト関連費として申請する

小規模事業者持続化補助金の第8回受付分からは、ホームページ制作やSNS広告、リスティング広告といったウェブを活用する広告は広報費の補助対象外です。第8回受付分からは、ウェブに関連する経費は、ウェブサイト関連費の対象になるからです。

たとえば、商品の宣伝のためにSNSで広告を出稿する場合、SNS広告の費用はウェブサイト関連費として申請します。また、販路拡大のためにホームページを作成する場合も、ホームページ制作にかかる費用はウェブサイト関連費として申請します。

なお、小規模事業者持続化補助金は、ウェブサイト関連費のみで申請することができません。インターネットを介する広告で申請を検討している人は、広報費や機械装置等費などほかの対象経費と組み合わせて申請するようにしましょう。

配れなかったチラシは広報費として申請できない

小規模事業者持続化補助金の広報費で申請したチラシが、補助事業期間内に配り終わらなかった場合、余ったチラシ分の経費は補助対象外です。小規模事業者持続化補助金の公募要領の補助対象外項目に、「チラシ等配布物のうち未配布・未使用分」と記載されているためです。

たとえば、3000枚のチラシを作成し、補助事業実施期間中に2,000枚配布した場合、配布できなかった1,000枚分の広報費に含むことができません。3000枚を3万円で印刷していた場合、補助事業終了後に補助金が交付される金額は2万円です。

なお、チラシやパンフレットなどの配布物を申請した場合、補助事業終了後の実績報告時に配布枚数がわかる資料を提出します。資料のフォーマットは、小規模事業者持続化補助金の公式サイト「実績報告書のまとめ方コーナー」の「チラシ作成」からダウンロードできるので活用しましょう。

広報費は証拠書類の提出が必要になる

小規模事業者持続化補助金の実績報告書を提出する際には、広報費として申請した経費の証拠書類を提出します。証拠書類を提出できない場合は、補助金の交付を受けられなくなるからです。

【広報費を申請している場合の実績報告時の主な提出書類】
書類名 備考
見積書 見積書、料金表、カタログなど
相見積 中古品または100万円以上の場合必要
発注書または契約書

インターネット取引時は、受注完了メール
注文履歴画面等でも代替可

請求書 物品やサービスなどの代金を請求されたことが確認できる書類
支払いの証明 振込金受取書、ATMご利用明細票など
成果物 実際に作成したものが、確認できる写真やPDFなど
配布先リスト チラシ等の配布を実施した場合

たとえば、小規模事業者持続化補助金でチラシを作成する場合は、「見積書」「発注書」「請求書」「支払いの証明」「成果物」「配布先リスト」を実績報告時に提出します。

実績報告時に提出が必要になる書類は、申請した経費区分の内容によって異なります。広報費で申請した際に提出が必要な書類を知りたい人は、小規模事業者持続化補助金の公式サイト「実績報告書のまとめ方コーナー」を参考にしましょう。

なお、小規模事業者持続化補助金の第15回受付分以降の実績報告に関する情報は、執筆時点(2024年4月1日)では公開されていません。そのため、第15回受付分以降の実績報告を行う場合は、小規模事業者持続化補助金の公式サイトを確認するようにしましょう。

写真やPDFなどで成果物の提出が必須

小規模事業者持続化補助金の広報費を申請した場合は、実績報告時に写真やPDFなどで成果物を提出する必要があります。申請した広報費が、商品やサービスの販路開拓につながる宣伝に活用されているかを補助金事務局が確認するためです。

たとえば、小規模事業者持続化補助金の広報費を活用して商品の宣伝をチラシで行った場合、成果物としてチラシのコピーを提出します。また、看板を設置した場合は、制作した看板の写真を提出します。

成果物の提出を忘れた場合、申請した経費の補助金を受け取ることができません。広報費を申請する場合は成果物の提出が必要なので、広報費を申請する人は成果物の提出をかならず行いましょう。

100万円を超える場合は見積りや相見積などの提出が異なる

小規模事業者持続化補助金へ申請する経費の金額が、1件で税込み金額100万円を超える場合には、2社以上からの見積り書が必要です。

たとえば、看板の制作に100万円かかる場合は、2社以上の看板製作業者からの見積り書を提出する必要があります。一方で、税込み金額が100万円を超えない場合は、申請する金額は概算で経費を申請できます。

経費を概算する場合は、カタログや料金が掲載されているサイト情報、口頭紹介による見積り合わせの記録などの情報を参考にできます。

なお、事業内容の性質上、2社以上から見積りを取れない場合は、依頼先の業者と契約する理由を記載した「理由書」の提出が必要です。100万円を超える広報費を活用する人で、見積り先が2社以上見つからない人は、理由書の提出を検討してみましょう。

この記事のまとめ

小規模事業者持続化補助金の補助対象経費に認められる広報費は「商品やサービスの宣伝を目的としている」経費です。チラシや看板、雑誌への広告掲載にかかる費用などが広報費の補助対象になります。

一方で、「商品やサービスの宣伝を目的としない」ものは広報費として認められません。具体的には、求人広告や会社概要を紹介するパンフレットなどです。

なお、商品やサービスを宣伝する内容でもウェブサイトに関連するものは、ウェブサイト関連費の補助対象になります。SNS広告やインターネット広告などは、広報費に該当しないので留意しておきましょう。

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