小規模事業者持続化補助金の必要書類を申請者の条件別に解説
2024/04/04
2022/3/25
小規模事業者持続化補助金の概要を一通り理解し申請を検討する際、次は「必要書類」を調べ始める人もいますよね。その中にはまず「必要書類は何を揃えれば良いのか」「提出する書類が多そうだ」と考える人もいるのではないでしょうか。
当記事では、小規模事業者持続化補助金の申請で提出が求められる必要書類を「申請者の条件ごと」にリストを用いて解説します。採択審査では、申請書類に不足がある場合は不採択となるため、自分の条件によって必要な書類をリストで確認しながら用意しましょう。
当記事は2023年度小規模事業者持続化補助金<一般型>第15回公募要領を元に作成しています。
なお、第14回以前の公募回で行われていた「共同申請」は終了しています。
すべての申請者が用意する必要書類
小規模事業者持続化補助金に申請する場合、すべての申請者が提出する必要書類は7つあります。しかし、申請方法を「郵送」ではなく「電子申請」にする場合、実際に用意する提出書類は4つになります。
書類名 |
概要 |
① 経営計画書兼補助事業計画書① (様式2) |
・採択審査の観点となり採否に直接つながる重要書類 ・応募者の概要、経営計画、補助事業計画を項目に沿って記入 ・経営計画及び補助事業計画はword8枚以内で作成 |
② 補助事業計画書② (様式3) |
・申請する経費の明細、資金調達方法を示す書類 |
③ 事業支援計画書 (様式4) |
・商工会や商工会議所が発行する書類 ・申請者が先に作成した①②を管轄の 商工会または商工会議所に提出し、作成を 依頼する |
④ 宣誓・同意書 (様式⑥) |
・小規模事業者持続化補助金を受けるにあたっての宣誓・ 同意書 |
電子申請の場合は提出が不要になる書類 | |
書類名 |
概要 |
① 小規模事業者持続化補助金事業に 係る申請書(様式1) ※郵送申請の場合は必要 |
・小規模事業者持続化補助金の審査に応募するための 申請書 ・申請書に事業者の情報を記入 |
② 補助金交付申請書 (様式5) ※郵送申請の場合は必要 |
・小規模事業者持続化補助金の採択審査に通った人が 補助金の交付(支払い)を申請するための書類 ・採択審査後に採択者の交付申請書のみが式受領される |
③ 電子媒体 ※郵送申請の場合は必要 |
・郵送の申請を行う人は③以外の書類のデータを CD-RやUSBで用意する |
※小規模事業者持続化補助金<一般型>応募時提出資料・様式集を参考に株式会社SoLaboが作成
※申請書類のフォーマットは小規模事業者持続化補助金の公式サイトから「応募時提出資料様式集」をダウンロードする
小規模事業者持続化補助金の採択審査では「経営計画書兼補助事業計画書①(様式2)」の内容で審査が行われます。経営計画書兼補助事業計画書①には「自社の強みや市場の特性」などを踏まえ「根拠と説得力のある計画書」を作成する必要があります。
また「事業支援計画書(様式4)」は、地域の商工会や商工会議所に作成を依頼する書類です。申請から発行までには約1週間かかるので、申請締切の前に慌てることのないよう早めに依頼しましょう。
小規模事業者持続化補助金の申請方法は、電子申請が推奨されています。郵送の申請は、第12回公募回以降は減点対象となったため、申請はできる限り電子申請で行いましょう。
なお、電子申請は「Jグランツ」という電子申請システムを使用して行います。その際は専用のIDを取得しておく必要があります。電子申請に関する詳細は「jGrantsネットで簡単!補助金申請」をご確認ください。
小規模事業者持続化補助金で審査の中心となる経営計画書兼補助事業計画書の作成方法を知りたい人は無料診断をお試しください。事業や申請する枠といった内容から採択の可能性を上げるための書類の作成ポイントや加点項目がわかります。
無料診断個人事業主に必要な書類
個人事業主が小規模事業者持続化補助金に申請する場合は、自身の確定申告方法に該当する書類を用意します。申請を検討している人の確定申告の方法によって、用意できる書類が異なるためです。
青色申告者の場合 |
「第一表」「第二表」「所得税青色申告決算書(1~4面)」控え |
白色申告者の場合 |
「第一表」「第二表」「収支内訳書(1、2面両方)」控え |
開業初年度の場合 |
開業届の控え |
※小規模事業者持続化補助金<一般型>応募時提出資料・様式集を参考に株式会社SoLaboが作成
たとえば、2022年9月に小規模事業者持続化補助金を申請する場合、税務署の受付印が入った前年度分の確定申告書類の控え(2022年1~3月に確定申告した控え)を用意します。
一方で、開業初年度で確定申告を行っていない事業者の場合は、申請段階で開業していることがわかる開業届の控えが必要です。
また、小規模事業者持続化補助金に申請する際は確定申告方法にかかわらず、確定申告書と開業届は「税務署受付印」の入った「直近の書類」を準備しましょう。
法人に必要な書類
法人が小規模事業者持続化補助金を申請する場合、必要書類は貸借対照表と損益計算書です。貸借対照表と損益計算書は、直近1期分の書類の写しを用意します。
損益計算書がある場合 |
・貸借対照表 ・損益計算書 |
損益計算書がない場合 |
・貸借対照表 ・確定申告書類(受付印のある表紙) ・確定申告書類 別表4(所得の簡易計算) |
決算期を一度も迎えていない場合 |
賃借対照表および損益計算書は不要 |
経営計画書兼補助事業計画書①の「出資者の名称と 出費比率、出資者の資本金」の項目に記載がない法人 |
・株主名簿の写し |
※小規模事業者持続化補助金<一般型>応募時提出資料・様式集を参考に株式会社SoLaboが作成
たとえば、損益計算書がある法人は「貸借対照表」と「損益計算書」を提出します。一方で、損益計算書がない法人は「貸借対照表」と「確定申書類の表紙」「確定申告書類別表4」が必要です。また、決算期を一度も迎えていない場合は、賃借対照表と損益計算書の提出が不要となります。
なお、特定非営利活動法人(NPO)の場合は「活動計算書」や「現在事項全部証明書」などの書類を提出する必要があります。特定非営利活動法人の提出書類を確認したい人は、小規模事業者持続化補助金の「応募時提出資料・様式集」p.2をご確認ください。
申請する枠によって必要になる書類
小規模事業者持続化補助金に申請する際は、希望する申請枠によって追加の提出書類が必要になります。各申請枠にはそれぞれの枠に申請する場合の「要件」が設定されており、申請者が要件を満たしていることを証明できる書類や証明書などが必要であるためです。
申請枠 |
必要書類 |
備考 |
賃金引上げ枠 |
賃金引上げ枠申請に係る 誓約書(様式7) |
・自署または記名捺印が必要 |
賃金台帳 |
・直近1カ月間における労働基準法に基づくもの |
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<赤字事業者(法人)のみ> 法人税申告書の別表1、別表4 |
・直近1期に税務署へ提出した税務署受付印の あるもの |
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卒業枠 |
卒業枠申請に係る誓約書 (様式8) |
・自署または記名捺印が必要 |
労働者名簿 ※常時使用する従業員分 |
・直近1か月間における労働基準法に基づくもの |
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創業枠 |
「特定創業支援等事業」の支援を 受けた証明書 |
・「認定市区町村」または認定市区町村と連携した 「認定連携創業支援等事業者」が実施したもの |
現在事項全部証明書または 履歴事項全部証明書 |
・申請書の提出日から3ヶ月以内の日付のもの ※原本 |
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開業届 |
税務署受付印のあるもの |
※小規模事業者持続化補助金<一般型>応募時提出資料・様式集を参考に株式会社SoLaboが作成
たとえば、補助率が優遇される「賃金引上げ枠の赤字事業者」として申請する場合、事業状況の確認できる「法人税申告書」を提出する必要があります。
また、創業枠に申請する場合は、国から認定を受けた市区町村の「特定創業支援等事業」にて創業セミナーや講習などを受講した「証明書」が必要です。
小規模事業者持続化補助金の「賃金引上げ枠」「卒業枠」「創業枠」に申請する事業者は、申請枠によって追加で提出する書類があります。その際の書類は「決められた期間内の日付のものであるか」や「税務署の受付印は漏れていないか」まで確認しておきましょう。
特定創業支援事業に関する情報は中小企業庁の「市区町村別の認定創業支援等事業計画の概要」をご確認ください。
インボイス特例の申請で提出する書類
免税事業者から適格請求書発行事業者へ転換し、インボイス特例の要件を満たす事業者には、申請する枠の補助上限額に一律50万円が上乗せされます。インボイス特例を受ける場合、申請時に追加で必要になる書類があります。
書類名 |
インボイス特例申請に係る宣誓・同意書(様式9) ※様式は法人用・個人事業主用のいずれかを使用 |
<登録済の事業者> 適格請求書発行事業者の登録通知書の写し |
<電子申告(e-Tax)で登録申請手続き中の事業者> 登録申請データの「受信通知」を印刷したもの |
※小規模事業者持続化補助金<一般型>応募時提出資料・様式集を参考に株式会社SoLaboが作成
インボイス特例に申請する場合「適格請求書発行事業者に登録済み」の事業者は「登録通知書」の写しを提出します。また、申請時点で「登録申請の手続き中」の事業者は、電子申請(e-Tax)の受信通知を印刷したものを提出しましょう。
登録申請データの「受信通知」は、国税庁の「e-Tax国税電子申告・納税システム]で確認できます。
申請する加点項目によって必要になる書類
小規模事業者持続化補助金の採択審査は、加点方式で審査が行われます。その際、経営計画書や補助事業計画書の評価のほかに、政策加点の項目が設けられています。自社の事業環境や事業内容が加点項目にあてはまり申請できる人は、その分だけ採択の可能性が高まります。
政策加点項目に申請する場合は、希望する加点によって必要な書類を用意しましょう。
希望する加点 |
書類名 |
事業承継加点 |
・事業承継診断票(様式10) ・代表者の生年月日が確認できる公的書類 ・「後継者候補」の実在確認書類の写し |
経営力向上計画加点 |
・「経営力向上計画」の認定書 ※必ず基準日までに認定を受けていること |
東日本大震災加点 |
食品衛生法に基づく営業許可証もしくは届出書 ※受領印押印済のもの |
くるみん・えるぼし加点 |
基準適合一般事業主認定通知 |
※小規模事業者持続化補助金<一般型>応募時提出資料・様式集を参考に株式会社SoLaboが作成
事業承継加点の追加書類の1つである「事業承継診断表」は、管轄の商工会や商工会議所に作成を依頼する書類です。また、すべての申請者が提出する書類の1つである「事業支援計画書」も商工会に依頼する書類のため、事業承継加点に申請する場合は、2つの書類を一緒に依頼しておきましょう。
東日本大震災加点の申請に必要な営業許可証や届け出書は、原則「魚介類販売業」「水産製品製造業」などの許可を得た事業者が対象です。また、許可については、食品衛生法の改善前に許可を受けた人で現法においても有効な許可を得ている事業者も対象です。
加点の申請で必要になる書類の詳しい説明は、小規模事業者持続化補助金の「応募時提出資料・様式集」p.27をご確認ください。
事務所賃料を申請する場合に必要な書類
小規模事業者持続化補助金では、事務所に係る家賃は補助の対象となりません。ただし、既存の事務所賃料ではなく、新たな販路開拓の取組みの一環として新たに事務所を賃借する場合は対象となる場合があります。
補助対象となる事務所賃料の「金額」と 事務所の「床面積」が確認できる書類 |
【物件情報が確認できる書類】 住所・金額、構造など物件情報が記載されている書類など 【床面積が確認書類】 建物の登記簿謄本(写し)など |
(補助対象とならない部分が総床面積に 含まれている場合) 補助対象となる部分を説明した文書 |
補助対象になる部分と補助対象外となる部分が総床面積に 混在している場合は、補助対象となる旨を 説明した文書を 提出(任意様式) |
※小規模事業者持続化補助金<一般型>応募時提出資料・様式集を参考に株式会社SoLaboが作成
事務所の賃借費用を申請する際は、賃料の「金額」と事務所の「床面積」を確認できる書類が必要です。その際の提出書類として、物件の情報が記載された「契約書類」や床面積が確認できる建物の「登記簿謄本の写し」を用意します。
また、補助対象になる部分と補助対象外になる部分が混在している事務所の場合、任意で「補助事業の対象となる説明の文書」を提出しましょう。
書類作成の際におさえておきたい審査のポイント
経営計画書兼補助事業計画書①を作成する際は「審査のポイント」を踏まえて経営計画や補助事業計画を作成しましょう。小規模事業者持続化補助金の採択審査では、申請者の提出した経営計画書補助事業計画書①の内容が主な審査の観点になるためです。
審査のポイントは、小規模事業者持続化補助金<一般型>ガイドブックに明記されています。書類作成の前に審査のポイントを確認し、自社の経営計画や補助事業計画に取り入れましょう。
○自社の経営状況を適切に把握し、自社の製品・サービスや自社の強みも適切に把握しているか。 ○経営方針・目標と今後のプランは、自社の強みを踏まえているか。 ○経営方針・目標と今後のプランは、対象とする市場(商圏)の特性を踏まえているか。 ○補助事業計画は具体的で、当該小規模事業者にとって実現可能性が高いものとなっているか。 ○補助事業計画は、経営計画の今後の方針・目標を達成するために必要かつ有効なものか。 ○補助事業計画に小規模事業者ならではの創意工夫の特徴があるか。 ○補助事業計画には、ITを有効に活用する取り組みが見られるか。 ○補助事業計画に合致した事業実施に必要なものとなっているか。 ○事業費の計上・積算が正確・明確で、真に必要な金額が計上されているか。 |
※引用:小規模事業者持続化補助金<一般型>ガイドブック
たとえば、ECの構築で販路を広げることや予約・会計システムの導入による業務効率化などは、補助事業にITを活用する取組みであると言えます。
また、自社の強みや市場の特性を踏まえた今後のプランを説明する際は、グラフや写真、お客様アンケートなどを添付することで、より明確で説得力のある内容を作成できます。
なお、小規模事業者持続化補助金の採択審査は外部有識者によって行われます。申請者の事業や業種に対し深い知識を持った人が書類を読むのではありません。そのため、業界や業種の専門用語は避け、専門知識のない人が読んでも理解しやすい内容を作成しましょう。
経営計画書や補助事業計画書は小規模事業者持続化補助金の採択が決まる重要な書類の1つです。
当メディアを運営する株式会社SoLaboはこれまで1,300件以上の補助金支援から、審査のポイントや加点項目を盛り込んだ事業計画書の作成ノウハウがあります。採択の可能性を上げる事業計画書の書き方を知りたい人は無料診断フォームよりお問い合わせください。
無料診断この記事のまとめ
小規模事業者持続化補助金の必要書類は「すべての申請者が提出する書類」に加え「希望する申請枠」や「希望する加点項目」によって必要な書類があります。必要書類がすべて提出されていない場合は採択審査で不採択になってしまうため、不備の無いように準備しましょう。
申請者が個人事業主の場合、前年度分の確定申告書類の控えを用意するか、確定申告を行ったことのない事業者の場合は開業届の控えを提出します。申請者が法人の場合、貸借対照表や損益決算書を用意し、損益決算書がない場合は確定申告書類を提出します。
小規模事業者持続化補助金に申請する際は、自身の申請に必要な書類をリスト化し、取得に時間のかかるものは早めに準備しましょう。その際、準備した書類は「決められた期間内の日付のものであるか」や「税務署の受付印は漏れていないか」まで確認しましょう。