補助金ガイド

IT導入補助金で不採択になる理由を特定して改善する方法を解説

2024/04/11

2023/7/27

この記事の監修

株式会社SoLabo 代表取締役/税理士有資格者田原広一(たはら こういち)

融資支援実績6,000件超、補助金申請支援実績1,300件超、事業再構築補助金採択支援件数は第4回~第8回まで5回連続で日本一を獲得。 『小規模事業者持続化補助金』、『事業再構築補助金』、『IT導入補助金』は自社での申請・採択も経験。「補助金ガイド」LINE公式アカウントでは約4万人の登録者に情報発信を実施。

IT導入補助金からの交付決定通知をメールで見た人の中には、残念ながら、不採択になった人もいますよね。その際、申請した内容を思い返してみても、通らなかった理由が分からない人もいるでしょう。

当記事では、IT導入補助金で不採択になる理由を解説します。交付決定通知で不採択だった人はもちろん、これからIT導入補助金に申請する人も当記事を参考にしてみてください。

なお、当記事はIT導入補助金の公式サイトの「資料ダウンロード」にある交付申請の手引きと公募要領をもとに作成しています。

不採択になる理由は公募要領を見返すと判明することがある

不採択になる理由は、公募要領を見返すと判明することがあります。不採択になった理由は、IT導入補助金の事務局に問い合わせても「公表されない」と公募要領に記載されています。そのため、不採択になった理由を知りたい人は、公募要領を見て自己分析してみましょう。

【IT導入補助金で不採択となる理由】

  • 減点項目に該当する
  • 加点項目が少ない
  • 申請要件の一部を満たしていない
  • 申請の対象外の事業者に該当した
  • 対象外の補助対象経費を申請した

参考:「資料ダウンロード」にある公募要領や交付申請の手引き|IT導入補助金2024公式サイト

IT導入補助金では、「加点項目が少ない」といった審査に関連がなさそうなイメージのある内容も、不採択理由に含まれます。IT導入補助金の不採択理由を特定する際は、公募要領の目次を見て、見出しの項目ひとつひとつを確認していきましょう。

なお、IT導入補助金の採択率は枠により異なります。たとえば、通常枠の場合、およそ2人に一人は不採択になる計算です。IT導入補助金の採択率は「IT導入補助金2023の採択率は?過去の公募回の採択結果も解説」を参考にしてみてください。

減点項目に該当する

IT導入補助金で不採択になる理由のひとつは、「減点項目に該当する」場合です。国が実施する他の補助金で採択を受けた人や、IT導入補助金2024で採択を受けた人は減点となり、不採択となる可能性があります。

【IT導入補助金で減点対象となる例】

項目  内容
交付決定を受けたことがある

IT導入補助金2022年および2023にデジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)で交付決定を受けた

1回の申請で複数の枠に申請をしている(複数申請)

通常枠とデジタル化基盤導入枠で併用申請している、または、交付決定を受けた

申請しているITツールに問題がある

2回目の申請の際、1回目に交付決定を受けたときに申請したITツールと同等の機能をもつITツールを申請している

参考:「通常枠の公募要領」>加点項目及び減点項目の審査|IT導入補助金2024

たとえば、過去にIT導入補助金で交付決定を受けたことがある人の場合、減点されるため、不採択になる可能性があります。具体的には、交付決定を受けたのが2022年度のデジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)だと減点対象です。

また、IT導入補助金の申請時に2つ以上の枠へ複数申請した場合も、減点対象になる場合があるので、不採択になる可能性があります。具体的には、申請時に「通常枠」と「インボイス枠」の両方を選択すると、減点対象となります。

IT導入補助金は2回目の申請も可能ですが、はじめて申請するときと比べると、採択率は低くなります。IT導入補助金で採択される可能性をできるだけ上げたい人は、減点項目に該当しないように留意しましょう。

加点項目が少ない

IT導入補助金で不採択になる理由のひとつは、「加点項目が少なかった」場合です。IT導入補助金の加点項目に取り組む事業者は審査で有利になりますが、加点項目がひとつもない事業者は、審査で不利になる可能性があります。

【IT導入補助金の加点項目】※各加点項目より抜粋

全枠共通の加点(複数社連携IT導入枠を除く)
「地域未来投資促進法の地域経済牽引事業計画」の承認を取得している
交付申請時点で「地域未来牽引企業」に選定されており、地域未来牽引企業としての「目標」を経済産業省に提出している
3年の事業計画を立てている
令和5年度に「健康経営優良法人2024」に認定された事業者である
「地域 DX 促進活動支援事業」における支援コミュニティ・コンソーシアムから支援を受けた事業者である
介護保険法に基づくサービスを提供する事業所で、介護職員等特定処遇改善加算を取得しているものを運営している法人
応募申請時点で、以下のいずれかに該当すること
・女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)に基づく認定(えるぼし1段階目~3段階目又はプラチナえるぼしのいずれかの認定)を受けている者
・次世代育成支援対策推進法(次世代法)に基づく認定(くるみん、トライくるみんまたはプラチナくるみんのいずれかの認定)を受けた者
通常枠のみの加点
導入するITツールとして「クラウド製品」または「インボイス制度対応製品」を選定している
補助金申請額150万円未満の申請者であって、以下の事業計画を策定していること
・事業場内最低賃金(事業場内で最も低い賃金)を地域別最低賃金+30円以上の水準にする
・事業計画期間において、給与支給総額を年平均成長率1.5%以上向上させる
セキュリティ対策推進枠のみの加点
事業継続力強化計画または連携事業継続力強化計画の認定を取得している
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する「SECURITY ACTION」の「★★ 二つ星」の宣言を行っている

参考:「資料ダウンロード」にある各枠の公募要領|IT導入補助金2024公式サイト

たとえば、すべての枠で対象の加点の場合、「地域未来投資促進法の地域経済牽引事業計画」の承認や「地域未来牽引企業」への選定などがあります。事業者が地域の特性を生かした付加価値の高い事業を計画し、その計画を国と自治体に認められると加点になります。

また、通常枠の加点の場合は、クラウド製品かインボイス制度対応製品の選定です。通常枠の公募要領には、「働き方改革やインボイスの導入などを支援する」と記載があるため、趣旨に沿ったITツールを選ぶと加点につながります。

IT導入補助金の申請時に加点が少ない場合、不採択になることがあります。加点には「クラウドかインボイス製品の選定」といった時間がかからない加点もあります。加点が1つもない人は、IT導入補助金で取得できる加点がないかを検討してみてください。

当メディアでは、貴社の事業や申請内容に合った加点項目は無料で診断が可能です。この他にも不採択となった要因や再申請のための対策もわかりますので、再申請を検討している人は診断してみてください。

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対象外の事業者に該当する

IT導入補助金で不採択になる理由には、「対象外の事業者に該当した」場合もあります。事業者が申請する際は、「対象事業者」へ該当するかの確認だけでなく、「対象外の事業者」へ該当しないかを確認しなければなりません。

【申請の対象外となる中小企業・小規模事業者等】

①発行済株式または出資価格の1/2以上を同一の大企業が所有する
②発行済株式または出資価格の2/3以上を大企業が所有する
③大企業の役員または職員を兼ねている者が、役員総数の1/2以上を占める
④発行済株式または出資価格の総額を①~③に該当する中小企業・小規模事業者等が所有する
⑤ ①~③に該当する中小企業・小規模事業者等の役員または職員を兼ねる者が役員総数の全てを占める
⑥申告済みの直近過去3年分の各年または各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超える

参考:「資料ダウンロード」にある各枠の公募要領|IT導入補助金2024公式サイト

たとえば、1000株を発行済の中小企業者Aの場合、大企業Bが中小企業者Aの株式を500株以上所有していたら、IT導入補助金の対象外です。

一方、同じ条件の場合でも、「大企業Bが200株」「大企業Cが300株」というように複数の大企業が中小企業Aの株式を1/2以上所有することは問題ありません。その際、中小企業者Aは補助対象の事業者となります。

IT導入補助金で申請する事業者は、自社の事業規模が大企業でなくても、大企業が経営権をもつ場合や課税所得が15億円を超える場合は、補助の対象外です。自社の株式の取得状況が分からない場合は、自社の役員や関係者に確認のうえ申請しましょう。

申請する枠の申請要件の一部を満たせない

申請する枠の申請要件の一部を満たせない場合は、不採択になります。IT導入補助金には「国内の事業者」「事業場の最低賃金」など17~19個の申請要件があります。申請要件は「通常枠」や「インボイス対応類型」など枠によって異なります。

【申請要件を満たしていない例】

共通
項目  内容
最低賃金 交付申請の直近月に事業場内の最低賃金が法令上の地域別最低賃金以上ではなかった
SECURITY ACTION (独)IPAが実施する「SECURITY ACTION」の「★ 一つ星」または「★★ 二つ星」いずれかの宣言を行い、申請情報をIT導入補助金事務所とIPAの共有に同意しなかった
みらデジ デジタル化支援ポータルサイト「みらデジ」の「みらデジ経営チェック」を交付申請前に行っていない
えるぼし えるぼし」関連の認定または女性活躍推進法に基づく「一般事業主行動計画」を公表していない
くるみん くるみん」関連の認定または次世代法に基づく一般事業主行動計画を公表していない
書類不足 交付申請に必要な書類をもれなく添付しなかった
通常枠
項目  内容
労働生産性 労働生産性の1年後の伸び率が3%以上および事業計画期間において年平均成長率3%以上の計画の根拠を提示できなかった
インボイス枠(インボイス対応類型)
項目 内容
事務局への報告 IT導入支援事業者と協力のうえ、ITツールの継続活用状況等に係る情報を事務局に報告しなかった
セキュリティ対策推進枠
項目 内容
労働生産性 労働生産性の伸び率が3年後に3%以上実現する合理的な数値目標を作成しなかった
インボイス枠(電子取引類型)
項目 内容
証拠書類の情報の報告  補助事業者と取引先との間で、インボイス制度に対応した取引の実施やITツールを継続的に活用している証拠書類等の情報を事務局に報告しなかった

参考:「資料ダウンロード」にある各枠の公募要領|IT導入補助金2024公式サイト

たとえば、すべての枠に共通する申請要件は、「最低賃金」「SECURITY ACTION」「みらデジ」「えるぼし」などです。一方、通常枠の申請要件には、ITツールを導入することによる「労働生産性」が3%および、事業計画期間において年平均成長率3%以上伸びる計画の根拠が含まれます。

IT導入補助金の申請要件は、枠ごとの公募要領の目次「申請要件」本文に記載があります。その中で、共通の申請要件もあれば異なる申請要件もあります。申請要件は公募回により更新されることがあるため、申請要件を確認する際は最新の公募要領で確認しましょう。

なお、「えるぼし」「くるみん」「みらデジ」の3つは2023年4月から追加されました。「えるぼし」は職場の女性推進、「くるみん」は企業の子育て協力体制、「みらデジ」は企業課題をデジタル化で解決する政策です。それぞれ、公式サイトで内容を確認しておきましょう。

必要書類の添付に不足や不備がある

必要書類の添付に不足や不備があると、IT導入補助金では不採択になります。なぜなら、IT導入補助金の公募要領に記載されている申請要件のひとつに「必要書類を提出すること」が含まれているためです。

【必要書類の添付が不足している例】

項目 内容
履歴事項全部証明書(法人の場合) 複数枚を圧縮して1枚の画像として提出しない
納税証明書 納税証明書その1、その2を提出していない
身分証明書 有効期限が切れている、または住所が交付申請書と異なる
確定申告書 確定申告書Bで令和5年分ではない書類を提出する(IT導入補助金2024の場合)

たとえば、法人の提出書類「履歴事項全部証明書」の場合、1枚目だけでなく、すべてのページを圧縮して1つの画像としてPDFにまとめて提出します。なぜなら、履歴事項全部証明書を提出する際はすべてのページを提出する必要があるからです。

また、納税証明書の場合は、税務署が発行する直近の納税証明書を提出します。その際、必要なのは「その1納税額等証明用」または「その2所得金額用」です。それ以外の納税証明書を提出すると、IT導入補助金事務局から差し戻しの連絡が来る可能性があります。

必要書類の添付の不足や不備は「交付申請の手引き」を確認すると気づくことがあります。「交付申請の手引き」には、必要書類を添付する際の細かいルールが記載されています。必要書類の不備や不足が気になる人は、交付申請の手引きを確認してみてください。

対象外の補助対象経費を申請する

IT導入補助金で不採択になる理由のひとつに、「対象外の補助対象経費を申請する」が挙げられます。公募要領や交付申請の手引きにある補助対象経費のルールを守らない場合は、交付申請をしても不採択となるからです。

【対象外の経費を申請した例】

補助対象経費のルール 対象外の補助対象経費の例
消費税分は補助対象経費に入れてはいけない 税込み110万円のITツールを110万円で申請した
無料で利用できるITツールやECは対象外 無料で利用できるECサイト作成ツールを申請した
IT導入支援事業者がサポートしてくれる際の手数料等は対象外 IT導入支援事業者に支払う申請・報告代行費を申請した
(通常枠4機能以上の場合)「共 P-01~汎 P-07」の内、4種類以上のプロセスを保有するソフトウェア以外は対象外 インボイス対応会計ソフトを申請したが、4種類以上のプロセスに該当しなかった

たとえば、税込み110万円の決済ソフト導入費を申請する場合、電子申請「j Grants」で入力する際に「110万円」と入力してはなりません。なぜなら、IT導入補助金で補助される経費は税抜きなので、申請時は税抜き価格での入力が必要だからです。

IT導入補助金では、申請時のITツール価格の正確性も審査されます。パソコンの中古品やリースのITツール、交付申請前に契約したITツールは対象外です。対象外の補助対象経費を確認したい人は、公募要領に記載の「補助対象外となる経費」を確認してみましょう。

生産性を高めるとみられない場合は不採択になることがある

生産性を高めるとみられない場合は、不採択になることがあります。IT導入補助金では事業計画を記載するスペースが少ないため、ITツールの選定と事業規模により生産性や費用対効果をアピールすることになります。

【生産性を高めるITツール導入とみられないケース】

  • 高額なITツールの導入に対し、社長ひとりの事業所
  • (通常枠の場合)高額な申請額に対して、労働生産性の伸び率が最低の3%を見積もっている
  • 現状の課題と導入するITツールの関連性が希薄にみられる

たとえば、社長ひとりの事業者が通常枠に150万円以上で申請する場合、300万円分の補助対象経費を申請すると不採択になる可能性があります。なぜなら、IT導入補助金の趣旨は事業者の業務の生産性を上げることなので、300万円のITツールに対して相応の労働生産性の伸び率が社長ひとりの事業所では従業員数が複数いる事業所よりも期待できないからです。

IT導入補助金に複数回申請しても、交付決定時に不採択となる場合は、申請内容の生産性に問題がある可能性もあります。IT導入補助金に申請する際は、事業所の規模や売上に対して選ぶITツールの金額が適当であるかを振り返ってみましょう。

不採択理由を特定するためにチェックリストを活用する

不採択理由を特定するためには、チェックリストを活用してみるのが効率的です。これまで見てきた不採択となる理由を、エクセルに1行ずつ記入してみましょう。問題がある項目に印をつければ、IT導入補助金の申請で改善すべき点を洗い出せます。

【不採択理由の分析の例】

不採択理由のカテゴリ 項目
減点
□IT導入補助金2022および2023にデジタル化基盤導入類型で交付決定を受けた
□通常枠とインボイス対応類型および電子取引類型で複数申請している、または、交付決定を受けた
□2度目の申請で一度交付決定を受けたITツールと同等の機能をもつITツールを申請していた
加点
□「地域未来投資促進法の地域経済牽引事業計画」の承認を取得した
□「地域未来牽引企業」に選定されており、地域未来牽引企業としての「目標」を経済産業省に提出した
□3年の事業計画を立てている
□令和5年度に「健康経営優良法人2024」に認定された事業者である
□「地域 DX 促進活動支援事業」における支援コミュニティ・コンソーシアムから支援を受けた事業者である
□介護保険法に基づくサービスを提供する事業所で、介護職員等特定処遇改善加算を取得しているものを運営している法人
□応募申請時点で、以下のいずれかに該当すること
・女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)に基づく認定(えるぼし1段階目~3段階目またはプラチナえるぼしのいずれかの認定)を受けている者
・次世代育成支援対策推進法(次世代法)に基づく認定(くるみん、トライくるみんまたはプラチナくるみんのいずれかの認定)を受けた者
対象外の事業者
□発行済株式の総数または出資価格の総額の1/2または2/3以上を同一の大企業が所有している
□大企業の役員または職員を兼ねている者が、役員総数の1/2以上または総数を占めている
□確定している(申告済みの)直近過去3年分の各年または各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超える
申請要件を満たしていない
□直近月に事業場内の最低賃金が法令上の地域別最低賃金以上ではない
□(独)IPAが実施する「SECURITY ACTION」の「★ 一つ星」または「★★ 二つ星」いずれかの宣言を行い、申請情報をIT導入補助金事務所とIPAが共有することに同意しなかった
□デジタル化支援ポータルサイト「みらデジ」で「みらデジ経営チェック」を交付申請前に行っていない
□「えるぼし」関連の認定または女性活躍推進法に基づく「一般事業主行動計画」を公表していない
□「くるみん」関連の認定または次世代法に基づく一般事業主行動計画を公表していない
□交付申請に必要な書類をもれなく添付しなかった
必要書類の添付に不足や不備があった
□納税証明書が添付されていなかった
□法人が提出する「履歴事項全部証明書」を、複数枚を圧縮して1枚の画像として全部提出していなかった
□身分証明書の有効期限が切れていた、または、住所が交付申請書と異なる

たとえば、インボイス枠(インボイス対応類型)に申請する個人事業主の場合、減点に該当せず、申請要件もすべて満たしているとします。その際は、必要書類に不備や不足がないか確認し、申請するITツールが今後十分な生産性をもたらすか検討しましょう。

IT導入補助金で不採択にならないためには、どれだけ公募要領に書かれていることを順守しているかが大切です。不採択の理由を特定する際は、当記事や公募要領、交付申請の手引きを参考に、チェックリストをつくって活用してみてください。

なお、IT導入補助金の必要書類は個人事業主と法人で異なります。個人事業主と法人が提出すべき書類を見直したい人は「IT導入補助金の必要書類を解説!書類の準備や注意点も紹介」で確認してみてください。

不採択理由には審査項目も関係する

IT導入補助金の不採択理由には、公募用要領に記載の審査項目も関係します。IT導入補助金には申請要件と加点のほかに、審査項目も設けられています。IT導入補助金の審査は、申請要件や必要書類の確認はもちろんのこと、審査項目に沿っているかも確認されます。

【IT導入補助金の共通の審査項目】

審査項目 審査事項

事業面からの審査項目

(事業面の具体的な審査)

自社の経営課題を改善する具体的な問題意識を持っているか
政策面からの審査項目 生産性の向上および働き方改革を視野に入れ、国の推進する関連事業に取り組んでいるか

参考:「資料ダウンロード」にある各枠の公募要領|IT導入補助金2024公式サイト

たとえば、インボイス対応の会計ソフトを導入する場合、会計ソフトの導入で事業者は的確請求書の発行と保存が可能になります。このため、インボイス対応の会計ソフトを導入することは、審査項目の「事業面」を満たしている可能性があります。

一方、会計ソフトの導入は、政策面からの審査項目を満たしていると言えない可能性もあります。政策面からの審査項目も考慮するなら、経済産業省が推進する加点に取り組んだり、セキュリティ対策推進枠に併用申請したりするなどの対策を検討しましょう。

IT導入補助金で不採択にならないためには、審査項目に沿った申請内容なのか見直すことが大切です。IT導入補助金の公募要領には「賃上げ」や「セキュリティ」などの経済産業省の政策が記載されています。申請時には政策を反映しているかも確認しましょう。

不採択理由がわからない場合は別のIT導入支援事業者に相談してみる

不採択理由がわからない場合は、別のIT導入支援事業者に相談してみましょう。経験豊富なIT導入支援事業者であれば、事業者が不採択になるケースの情報を知っているからです。

IT導入補助金の申請は、かならずIT導入支援事業者と行います。国内にいるIT導入支援事業者は「資料ダウンロード」の「その他」に法人とコンソーシアムがそれぞれ公開されており、2024年4月10日時点で、IT導入支援事業者は約10,000社に上ります。

IT導入支援事業者は民間のITツールの販売事業者なので、IT導入補助金についての申請経験にも差があります。事業者だけでIT導入補助金の不採択理由がわからない場合は、他のIT導入支援事業者に相談してみることも視野に入れましょう。

なお、他のIT導入支援事業者を探す際は、ネット検索のほか、IT導入補助金に公式サイトを活用できます。IT導入支援事業者を探したい人は「IT導入補助金のIT導入支援事業者とは?サポート内容や選び方を解説」を参考にしてみてください。

再申請する場合は申請内容を改善する

IT導入補助金に再申請する場合は、申請内容を改善しましょう。IT導入補助金で不採択だった場合は、すぐに2度目の申請をしても減点となることはありません。不採択後に再申請をする際に、同じ枠から申請するなら、申請前に紐づいたGビズIDの解除をします。

【改善する方法の例】

項目 やるべきこと
減点
  • 交付決定を受けたITツールとは別の機能のITツールを申請する
  • 申請時期をずらす
  • 複数申請をやめる
  • 申請する枠をインボイス枠(インボイス対応類型)にする
申請要件
  • 地域別最低賃金を順守する
  • SECURITY ACTIONを取得する
  • 「みらデジ経営チェック」を行う
  • 「えるぼし」認定と行動計画の公表を完了する
  • 「くるみん」認定と行動計画の公表を完了する
加点
  • すぐに取れそうな加点をとる
  • 申請時に、ITツール「サイバーセキュリティお助け隊サービス」 を選んでいる
  • (通常枠の場合)導入するITツールとして「クラウド製品」または「インボイス制度対応製品」を選定している

参考:「資料ダウンロード」にある各枠の公募要領|IT導入補助金2024公式サイト

たとえば、申請要件の場合、地域別最低賃金を守れているかの確認を再度行い、「SECURITY ACTION」「みらデジ経営チェック」などをすべて行います。

また、加点の場合は、すでに加点を取得しているなら、他に取得できる加点はないか確認します。セキュリティ関連のITツールを導入できないかを確認することも有効です。

IT導入補助金に2回目の申請をする際は、1度目の申請時に不採択となった理由を改善してから申請します。その際、申請する公募回が違うと申請ルールも変わる可能性があるため、最新の情報を公式サイトで確認してみましょう。

なお、IT導入補助金で一度交付決定を受けた人も、条件を満たせば2回目の申請が可能です。詳細は「IT導入補助金の2回目に申請できる条件と懸念点を解説」を参考にしてみてください。

当メディアを運営する株式会社SoLaboもIT導入支援事業者として多くの事業者を支援しており、これまでの申請では平均採択率90%の実績があります。貴社の申請内容や事業内容に合った加点項目や審査のポイントをWEB上で無料診断できますので、ご活用ください。

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この記事のまとめ

IT導入補助金で不採択になる理由は「公募要領」と「交付申請の手引き」に沿っていない申請内容であることが挙げられます。具体的には「申請内容の一部を満たさない」「加点が少ない」などです。

また、不採択理由を特定する際は、公募要領にある「審査項目」にも注目しましょう。IT導入補助金は経済産業省が管轄の補助金なので、補助金額に対する事業者の生産性向上が見合わない場合は、不採択になる可能性があります。

不採択理由を特定するには、エクセルでチェックリストを作成してみましょう。チェックリストを活用することで、自社が不採択になる理由を特定できる可能性があります。また、IT導入支援事業者に相談することで、別の視点で申請内容を確認してもらうことも可能です。

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