補助金ガイド

IT導入補助金2024の採択率を解説

2024/07/12

2024/7/11

この記事の監修

株式会社SoLabo 代表取締役/税理士有資格者田原広一(たはら こういち)

融資支援実績6,000件超、補助金申請支援実績1,300件超、事業再構築補助金採択支援件数は第4回~第8回まで5回連続で日本一を獲得。 『小規模事業者持続化補助金』、『事業再構築補助金』、『IT導入補助金』は自社での申請・採択も経験。「補助金ガイド」LINE公式アカウントでは約4万人の登録者に情報発信を実施。

IT導入補助金の申請を検討している人の中には、過去の採択率が気になる人もいますよね。採択率は「採択数÷申請数×100」の計算式によって求められる採択の割合であり、審査の難易度を知るための目安のひとつとなります。

当記事では、IT導入補助金2024の採択率を解説します。また、審査において不採択となったときの対応もあわせて解説するので参考にしてみてください。

なお、当記事はIT導入補助金2024の公式サイトをもとに作成しています。

IT導入補助金2024の採択率

IT導入補助金2024では、申請者からの応募があった締切回においてはすべて50%以上の採択率となっています。しかし、IT導入補助金2024においては申請枠ごとに申請者の数が大幅に異なるため、申請数も考慮した上で難易度を判断する目安としましょう。

【IT導入補助金2024における各公募回の採択率】

締切

申請枠

採択率

申請数

1次締切分

通常枠

75.4%

1,576

インボイス枠(インボイス対応類型)

95.2%

1,607

インボイス枠(電子取引類型)

0%

0

セキュリティ対策推進枠

77.7%

18

複数社連携IT導入枠

50%

2

2次締切分

通常枠

75.3%

2,335

インボイス枠(インボイス対応類型)

94.1%

1,548

インボイス枠(電子取引類型)

100%

1

セキュリティ対策推進枠

95.8%

24

3次締切分

通常枠

75.7%

2,912

インボイス枠(インボイス対応類型)

94.3%

2,061

インボイス枠(電子取引類型)

0%

0

セキュリティ対策推進枠

90.9%

33

4次締切分

インボイス枠(インボイス対応類型)

94.9%

2,061

5次締切分

インボイス枠(インボイス対応類型)

94.2%

2,830

6次締切分

インボイス枠(インボイス対応類型)

94.5%

2,196

※小数点第2以下切り捨て

参考:交付決定事業者一覧|IT導入補助金2024

複数社連携IT導入枠の1次締切分における採択率は50%でした。ほかの申請枠と比較して採択率が低いですが、通常枠の申請者数は1,576件だったのに対し複数社連携IT導入枠の申請者数は2件だったことから、必ずしも複数社連携IT導入枠の方が採択されにくいと判断することはできません。

また、インボイス枠(電子取引類型)の2次締切分における採択率は100%でした。数値だけ見ると難易度が低く審査に通りやすいように思えますが、申請者数は1件のみだったことから、必ずしもインボイス枠(電子取引類型)の難易度が低いと判断することはできません。

なお、IT導入補助金2024の採択結果は、公式サイトにある「交付決定事業者一覧」からも確認できます。審査の難易度は一概に言えませんが、採択率を1つの目安とすることができるため、難易度を知りたい人は過去の公募回における採択率を参考にしてみましょう。

通常枠の平均採択率は75.4%

IT導入補助金2024の通常枠における平均採択率は、3次締切までの時点で75.4%です。通常枠は企業の経営課題に合ったITツールの導入を支援する枠であり、さまざまな種類のソフトウェアを導入できる申請枠です。

【通常枠の採択率】

公募回

採択率

申請数

1次締切

75.4%

1,576

2次締切

75.3%

2,335

3次締切

75.7%

2,912

通常枠の採択率は、1次締切から3次締切まですべて75%台となっています。幅広い業種や事業で利用できるITツールが対象となることから申請数が比較的多い申請枠であり、1次締切から3次締切までの公募においては2件に1件以上の割合で採択されています。

なお、IT導入補助金2023では通常枠がA類型とB類型に分かれていましたが、IT導入補助金2024では1つに統合されています。IT導入補助金2024の通常枠について詳しく知りたい人は「IT導入補助金2024の通常枠とは?対象となる要件も解説」の記事を参考にしてみてください。

インボイス枠(インボイス対応類型)の平均採択率は94.5%

IT導入補助金2024のインボイス対応類型における平均採択率は、6次締切までの時点で94.5%です。インボイス対応類型は事業者のインボイス対応を支援する枠であり、ソフトウェアのほかPCやタブレット等のハードウェアも補助対象となります。

【インボイス対応類型の平均採択率】

公募回

採択率

申請数

1次締切

95.2%

1,607

2次締切

94.1%

1,548

3次締切

94.3%

2,061

4次締切

94.9%

2,061

5次締切

94.2%

2,830

6次締切

94.5%

2,196

インボイス対応類型の採択率は、6次締切まですべての公募回において90%以上となっています。インボイス対応類型はIT導入補助金の申請枠の中で唯一、PCやタブレット、レジなどハードウェアが補助対象となる枠であり、申請者数も通常枠に次いで多くなっています。

また、公募要領には「インボイス制度に対応するための企業間取引のデジタル化を強力に推進するため、「通常枠」よりも補助率を引き上げて優先的に支援する」との記載があります。インボイスに対応したITツールの導入を強く支援していることから、ほかの枠と比較して採択率が高い傾向にあると考えられます。

なお、インボイス対応類型はIT導入補助金2023におけるデジタル化基盤導入枠の「デジタル化基盤導入類型」が廃止されたことにより、IT導入補助金2024から新たに設けられた類型です。インボイス対応類型について詳しく知りたい人は「IT導入補助金2024のインボイス枠とは?PCやレジなどの対象経費も解説」の記事を参考にしてみてください。

インボイス枠(電子取引類型)の平均採択率は33.3%

IT導入補助金2024のインボイス対応類型における平均採択率は、3次締切までの時点で33.3%です。電子取引類型はインボイスに対応した受発注システムを商流単位で導入するための申請枠であり、申請者の取引先となる事業者のアカウント利用料も補助対象となります。

【電子取引類型の平均採択率】

公募回

採択率

申請数

1次締切

0%

0

2次締切

100%

1

3次締切

0%

0

電子取引類型は1次締切と3次締切においては応募者がいなかったことから、採択率は0%でした。電子取引類型は業種や対象のITツールが限られることから、申請数はほかの申請枠と比較して少ない傾向にあります。

しかし、応募があった2次締切においては、1件の応募に対して1件が採択される結果となりました。平均採択率は応募がなかった締切回を含む数値であり、唯一応募があった2次締切においては100%の採択率です。

なお、電子取引類型はIT導入補助金2023におけるデジタル化基盤導入枠の「商流一括インボイス対応類型」が廃止されたことにより、IT導入補助金2024から新たに設けられた類型です。電子取引類型について詳しく知りたい人は「IT導入補助金2024のインボイス枠とは?PCやレジなどの対象経費も解説」の記事を参考にしてみてください。

セキュリティ対策推進枠の平均採択率は88.1%

IT導入補助金2024のセキュリティ対策推進枠における平均採択率は、3次締切までの時点で88.1%です。セキュリティ対策推進枠はサイバー攻撃のリスクに対応するため「サイバーセキュリティお助け隊サービス」の導入を支援する申請枠です。

【セキュリティ対策推進枠の平均採択率】

公募回

採択率

申請数

1次締切

77.7%

18

2次締切

95.8%

24

3次締切

90.9%

33

IT導入補助金2024のセキュリティ対策推進枠における平均採択率は、3次締切までの時点で88.1%です。導入できるITツールが限られることから、申請者数は通常枠やインボイス枠(インボイス対応類型)よりも少ない傾向にありますが、2次締切と3次締切ではいずれも90%以上の採択率となっています。

セキュリティ対策推進枠はセキュリティ対策の強化を検討する事業者向けの枠であり、IT導入補助金2023から引き続き募集されています。セキュリティ対策推進枠について詳しく知りたい人は「IT導入補助金2024のセキュリティ対策推進枠とは?対象となる要件も解説」の記事を参考にしてみてください。

不採択になったら審査項目や申請要件を見直す

IT導入補助金に申請して不採択になった場合は、申請した内容が審査項目や申請要件を満たせていたかを見直しましょう。IT導入補助金では申請内容に基づき審査が行われるため、審査項目に沿わない内容だった場合や申請要件をひとつでも満たせていなかった場合は審査において不採択となります。

  • 審査項目に沿った事業計画になっているか
  • 加点項目を取り入れているか
  • 減点項目にあてはまらないこと
  • 申請要件が満たせているか
  • 提出書類の不備はなかったか など

IT導入補助金における審査項目は、申請枠ごとに内容が異なり、加点や減点項目も定められています。不採択になった人は、審査項目だけでなく「加点項目の内容を取り入れているか」「減点項目にあてはまる内容がないか」などを確認してみましょう。

また、申請要件を満たせていない場合も不採択になります。不採択になった人は、申請要件や経費項目を確認してから次回の申請に臨みましょう。

IT導入補助金では、事務局側から不採択の理由が開示されないため、再申請をする場合、不採択の理由を推測して改善する必要があります。不採択の理由や改善方法を知りたい人は「IT導入補助金で不採択になる理由を特定して改善する方法を解説」を参考にしてみてください。

なお、当サイトを運営する株式会社SoLaboも、IT導入補助金の申請サポートをしているIT導入支援事業者です。不採択になった理由ごとの改善案の提案もできるため、IT導入補助金に申請したい人は、一度ご相談ください。

無料診断電話で相談0120-188-117

この記事のまとめ

2024年7月時点で公表されている採択結果によると、IT導入補助金2024の採択率は申請者がいなかった公募回を除きすべての申請枠・公募回において50%を上回っています。IT導入補助金は申請枠ごとに申請数が大幅に異なるため、難易度を知るための参考にする場合は採択率とあわせて申請数も考慮しましょう。

各申請枠の平均採択率は「通常枠が75.4%」「インボイス枠(インボイス対応類型)が94.5%」「インボイス枠(電子対応類型)が33.3%」「セキュリティ対策推進枠が88.1%」となりました。電子対応類型においては、申請者がいなかった公募回のデータを除くと採択率は100%(1件中1件)です。

なお、IT導入補助金では事務局側から不採択の理由が開示されないため、再申請をする人は不採択の理由を推測して改善する必要があります。IT導入補助金で不採択になった場合は、審査項目や申請要件などを見直しましょう。

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