補助金の申請条件を解説

補助金には、申請する際に満たすべき条件があります。補助金の申請条件の内容を知っておくことで、支援制度を利用する目的に合った補助金が見つかりやすくなります。

当記事では、補助金の申請条件を解説しているため、補助金の利用を検討している人は参考にしてみてください。

なお、当記事では事業者向けの補助金における申請条件の傾向を解説しています。個人向けの補助金とは申請条件が異なることを留意しておきましょう。

補助金の申請条件

補助金を申請するには、制度ごとに定められた条件を満たさなければなりません。申請条件を満たしていない事業者は、補助金へ申請できない場合や、申請しても不採択となる場合があります。

【補助金の申請条件の例】

  • 申請者の条件
  • 事業の条件
  • 経費の条件

補助金には「申請者」「補助事業」「経費」のそれぞれの項目に、補助対象となるための「申請条件」が定められている傾向にあります。申請条件には対象外となる条件が定められている場合もあり、対象外となる項目に該当した際は申請条件をすべて満たしても補助対象者として認められません。

また、補助金によっては申請枠が分けられ、申請枠ごとの追加条件が設けられている場合があります。申請者全員が満たさなければならない申請条件に加え、適宜申請枠の追加条件を満たす必要があります。

なお、補助金制度はすべての申請条件を満たしていても、必ず補助金を受け取れるとは限りません。補助金には書類審査があり、提出書類の審査によって採択されることで補助事業を実施することができます。

申請者の条件

補助金を申請するには、応募する制度の補助対象者の条件に該当しなければなりません。申請者の条件を満たしていない場合、その補助金には応募することができないからです。

【申請者の条件の例】

  • 定められた事業規模の範囲内であるか
  • 定められた職種に該当しているか
  • 定められた資本金の額の範囲内であるか 等

補助金の対象となる申請者の条件には「事業規模」が定められている場合があります。個人事業主や小規模事業者が対象の補助金に大企業が申請しても、対象外となる可能性があります。

また、申請者となる条件には「日本国内で事業を営む事業者」と定められている場合があります。日本国内に本社を有するまたは日本国内で事業を営む事業者であることが、申請者の条件となっている傾向にあります。

補助金は制度それぞれに申請者の条件が設定されています。補助金の活用を検討している場合は、自社が利用できる制度であるかどうか確認する必要があります。

対象外となる申請者

申請者の条件を確認した事業者は、対象外となる条件も確認しておきましょう。申請者の条件をすべて満たす事業者であっても対象外となる条件に当てはまる場合があり、対象外となった申請者は応募できないからです。

【対象外となる申請者の条件の例】

  • 任意団体
  • 不正行為を行った事業者 等

対象外となる申請者の条件として「任意団体」が挙げられます。補助金によっては、町内会やサークルなどの法人格のない任意団体が補助対象外に該当する場合があります。

また、対象外となる申請者の条件として「申請時に不正行為を行った事業者」が挙げられます。不正行為を行ったことが発覚した場合、不採択になるほか次回以降の補助金の申請ができない可能性があることを留意しておきましょう。

なお、補助金によっては申請時点で開業していない創業予定者が対象外となる傾向にあります。事業者向けの補助金には、創業予定者が利用できる補助金もあるため、自社が利用できる補助金を探してみましょう。

事業の条件

補助金を申請するには、補助対象事業の条件を満たす必要があります。補助事業に取り組む目的や条件が、補助金が定める目的や条件と一致していない場合、申請しても不採択となってしまう可能性があるからです。

【補助対象事業の条件の例】

  • 補助金の目的や趣旨と一致していること
  • 事業計画書を申請者自ら作成し取り組むこと 等

補助金には制度ごとに「販路開拓」や「業務効率化」などの目的が定められています。補助事業が、補助金の目的に合っていないと判断された場合は、不採択となります。

また、事業計画を申請者自ら作成し取り組むことが事業の条件として挙げられます。申請者自らが検討していなかったことが発覚した場合、補助金の目的や趣旨に沿っていないと判断され、ほかの審査項目で高い評価を得ていても不採択となる場合があります。

なお、補助金の目的に沿った取組内容のイメージがわかない事業者は、過去に採択された事例を探してみましょう。補助金によっては、公式サイトなどに具体的な取組事例が掲載されている場合もあるため、事業計画をたてる際の参考にすることができます。

対象外となる事業

補助金の対象外となる事業を行っていた場合、補助金に申請することはできません。補助金に申請する場合、対象外の事業に該当していないか確認する必要があります。

【対象外となる事業の条件の例】

  • 公的な支援を行うことが適切でないと判断される事業
  • 他の支援制度と重複して申請する事業
  • 補助金の目的や趣旨と合っていない事業 等

補助金の対象外となる事業として挙げられるのは「公的な支援を行うことが適切でないと判断される事業であること」です。補助金では、公序良俗に反する事業などを営む事業者は支援を行うことが適切でないと判断され、補助対象外となる傾向にあります。

また、補助金の対象外となる事業として挙げられるのは「他の支援制度と重複して申請すること」です。申請する補助金以外の国などが支援する他の制度と併用することは認められていない場合があります。

なお、補助金ごとに対象外となる事業の条件は異なります。申請条件を満たしても対象外の事業と判断された場合は補助金が支給されない可能性があります。

経費の条件

補助金には、補助対象経費の条件があります。条件を満たさなければ経費として認められないため、補助金の申請時に経費として計上していても、対象外と判断された経費に対する補助金は支給されません。

【経費の条件の例】

  • 指定の経費項目に該当する経費
  • 使用目的が補助事業に必要なものと明確に特定できる経費
  • 交付決定日以降に発注等が発生し対象期間中に支払が完了した経費
  • 証拠資料等によって支払金額が確認できる経費 等

たとえば、「指定の経費項目に該当する経費」であることが経費の条件として挙げられます。補助金の経費項目に該当しないと判断された場合は、補助対象外となるため、申請した経費がすべて補助対象になるとは限りません。

また、「補助対象期間中に支払が完了した経費」であることが経費の条件として挙げられます。交付決定日以降に契約や依頼などを行い、補助対象期間中に事業を実施して支払が完了した経費のみが補助対象として認められます。

なお、経費の使用目的が補助事業の遂行に必要なものであると認められなければ、補助対象から外れてしまう可能性があります。対象経費の条件を満たしていても、補助事業と関連性がない経費に対し補助金は支給されないことを留意しておきましょう。

対象外となる経費

補助金には対象外となる経費があるため、補助対象経費を確認した申請者は対象外となる経費の条件も確認しておきましょう。補助金によっては、計上されている経費の大半が補助対象外である場合、不採択となる傾向にあるからです。

【対象外となる経費の条件の例】

  • 汎用性のある経費
  • 事務用品等の消耗品代
  • 補助金申請の書類作成費 等

補助金の対象外となる経費として挙げられるのは、「汎用性のある経費」です。パソコンや車といった補助事業以外でもさまざまな用途で利用できる経費などは対象外となる場合があります。

また、補助金の対象外となる経費として挙げられるのは、「補助金申請の書類作成費」です。補助金の目的と関連性がない経費は補助対象として認められない可能性があるため対象外となる場合があります。

なお、補助金によっては導入する機器の種類が制限されている場合があります。申請を検討している経費が補助対象外に該当していないか確認する場合は、補助金の公式サイトに記載されている問い合わせ先に相談してみましょう。

申請条件を押さえた事業者は審査内容も確認しておく

補助金の申請条件を抑えた事業者は、審査内容も確認しておきましょう。補助金には審査があり、審査で採択されないと補助金を受け取ることはできないからです。

補助金の書類審査では、申請者が提出した申請書類によって、補助金の対象となる申請者であるかどうかを確認されます。申請条件を満たしていることに加えて「審査項目」「加点項目」を満たしていることを審査によって判断されます。

また、補助金によっては、一定の審査基準を満たした事業者の中から必要に応じて実施される「口頭審査」が行われる場合があります。口頭審査では、オンライン形式の面接にて申請者自身の事業計画に対する理解度が確認されます。

なお、補助金の審査で採択されても、申請した金額を全額受け取れるとは限りません。取組を終了した後に提出する書類により、補助金額を決定する審査が行われ、取組を適切に行ったと判断されると実際に受け取れる金額が決まります。

まとめ

事業者向けの補助金には申請条件があります。補助金を申請するには、制度ごとに定められた条件を満たさなければなりません。

補助金の申請条件の例として申請者や補助事業、経費に条件が設定されている場合があります。対象外となる条件もある場合があるため、申請する公募要項の要件をよく読み込むことが重要です。

また、補助金には書類審査があり、審査で採択されないと補助金を受け取ることはできません。補助金の利用を検討している事業者は、申請条件を満たせられる補助事業の目的に合った補助金を探しましょう。

補助金の申請手続きから受け取りまでの流れを解説 

国や自治体の補助金を使って事業を進めるには、申請から受け取りまでの手続きを理解しておくことが必要です。しかし、補助金の申請プロセスがわからずに、どこから始めれば良いのかと迷う人もいるのではないでしょうか?

当記事では、補助金の申請から受け取りまでの流れを解説します。申請に向けて準備することや、申請後に何をすれば良いかなどを順に解説するので、これから補助金を申請してみたいと考えている人は参考にしてみてください。

なお、補助金申請の流れは制度によって異なります。当記事で紹介する内容はあくまで傾向であるため、申請する補助金が決まった際は、公募要領の内容に沿って手続きを進めてください。

国や自治体の補助金を受けとるまでの流れ

国や自治体の補助金を受け取るためには、申請から受け取りまでの流れを理解しておきましょう。補助金に申請する際は、事前準備から交付までの流れを理解しておくことで、申請準備や申請後の補助事業への取組みがスムーズに進められます。 

【補助金を受け取るまでの流れ】

項目 期間の目安 内容

事前準備

1ヶ月~3ヶ月

・補助金の申請要件を満たしておく
・電子申請のアカウントを取得する

公募申請

1日~1週間 ・電子申請や郵送申請などの申請方法がある
・作成した事業計画書や申請書類を提出する

審査と採択

3ヶ月程度 ・申請内容に基づき審査が行われ、優秀な事業計画が採択される
・公式サイトにて採択者発表後、メールや郵送での採択通知が届く
交付申請と交付決定 1ヶ月程度 ・採択者は見積書や図面などを提出し、交付申請を行う
・事務局による交付申請内容の確認後、交付決定通知が届く

補助事業の開始

6ケ月~1年程度 ・交付決定後、事業計画に基づいた補助事業を開始する
・実績報告で必要となる領収書、発注書、納品書などを保管する

報告書の提出

1ヶ月程度 ・事業終了後に実績報告書を作成し、証ひょう(=証拠書類)とともに提出する
・証ひょう(領収書や発注書、購入商品の写真など)の整理がポイント

補助金交付

1ヶ月程度 ・報告書が承認され、最終的な支給額が決定される
・指定の銀行口座に補助金が交付される

まず事前準備として、申請要件の確認や電子申請に必要なアカウントの取得を行っておくと、申請手続きがスムーズに進みます。また、審査を受けて採択されたあとは「交付申請」の手続きを済ませなければ、補助事業を開始することができない点も留意しておく必要があります。

補助金を確実に受け取るためには、申請から交付までの各項目を理解し、適切に手続きを進めることが求められます。各段階のポイントをおさえ、全体の流れを把握しましょう。

補助金は申請してすぐに振り込まれるわけではありません。申請する補助金の事業実施期間などによっては交付までには1年以上かかることもあるため、留意しておいてください。

事前準備

補助金を申請する際は、事前準備が必要です。申請する補助金の要件を満たしておくことや必要書類を揃えておくことなど、事前準備が整っていなければ申請がスムーズに進まなくなる可能性があるためです。

【事前準備の項目例】

項目 内容
申請要件の確認 ・申請する補助金における「対象者の要件」を満たしているかを確認する
事業計画の作成 ・補助金で実施する事業の目的、内容、経費計画、効果などを明確にした計画を策定する
自己資金の確認 ・補助金ではカバーできない費用を賄うための資金を確認しておく
申請に必要な手続きの実行 ・電子申請用アカウントの取得(対象の補助金のみ)
・申請要件となる認定制度の取得(対象者のみ)

たとえば、申請する補助金の対象者の要件として、従業員数や資本金、年間売上高などの規定があり、規定を満たさない場合は申請することができません。さらに、申請する補助金によっては、政府が掲げる認定制度の取得も要件の1つとして取り入れている場合があります。

また、近年、補助金申請の手続きは「書類を郵送する方法」から「電子申請による手続き」が推奨される傾向になってきています。電子申請する際には、申請者専用のアカウントが必要となるため、事前に取得しておく必要があります。

要件の確認や提出書類の準備を整えることで、申請時の不備やトラブルを防ぎ、手続きをスムーズに進めることができます。事前に必要な材料を揃えてから補助金申請に臨みましょう。

なお、補助金は後払いであるため、まずは事業を実施するための自己資金が必要です。自己資金が不足している場合は、補助金を受け取るまでの補填として「つなぎ融資」を使える可能性があるため、検討してみてください。

つなぎ融資に関する詳細は「補助金におけるつなぎ融資とは?検討するときの確認事項を解説」の記事にて紹介しています。

公募申請

事業計画と必要書類が揃えられたら、公募申請の手続きを行います。補助金の申請書類は、抜け漏れや不備があると採択審査に進むことができないため、不備不足なく揃えることが重要です。

まずは申請する補助金の公募要領を確認し、事業計画を具体的に作成します。事業計画書には、事業の目的やゴール設定、具体的な進行スケジュール、期待される効果などを明確に記載します。

つぎに、申請書類に企業の基本情報や事業計画に基づく予算の概要などを正確に記入し、添付書類である納税証明書や決算書などを漏れなく添付します。また、申請手続きは提出期限に間に合わなければ審査対象外になるため、余裕を持って準備する必要があります。

公募申請のポイントは、具体的で説得力のある事業計画書を作成することと、必要書類を正確に準備することです。特に、申請から取得までに時間がかかる書類や電子申請用のアカウントなどは早めに準備しておきましょう。

審査と採択

提出書類の内容が認められ、補助金審査に通過することを「採択」といいます。採択審査では、必要書類に不備不足がないことに加えて、主に事業計画や経費計画の内容が重視されます。具体的でない計画や実行が難しい計画は、審査で評価されにくく、採択されません。

【審査の観点】

項目 観点
事実の目的・目標 事業の目的が明確で、達成すべき目標が現実的であるか
実行可能性 事業計画が実行可能であり、必要な手段や体制が整っているか
社会的意義・貢献度 事業が社会や地域にどのような貢献をするか、その意義や影響が評価されるか
事業の持続可能性 補助金終了後も事業が継続できるか、長期的に運営できる見通しがあるか
財務状況・資金計画 企業の財務状況が健全であり、事業に必要な資金計画が適切であるか
補助金の効果的な活用 補助金が適切に使用され、事業の成果を最大限に引き出すために効果的に活用されるか
実績・経験 企業のこれまでの事業運営や実績が信頼でき、過去の取り組みが事業に活かされるか
計画の具体性 事業計画が具体的であり、達成までのプロセスやステップが詳細に示されているか

審査では、事業の目標や進め方が現実的かどうかが確認されます。計画に無理があると、採択される可能性は低くなります。また、補助金の使い道が適切かどうかも評価されます。具体性に欠ける計画や実行が難しい計画は、評価が下がり、採択されにくくなります。

さらに、事業が将来的に利益を生み続け、長期的に運営できるかも評価のポイントとなります。短期間で終わる事業や成果が見込めない計画は、審査に通りにくい傾向があります。

補助金審査では、具体的かつ実行可能な事業計画が必要で、長期的な自立が求められます。事業計画や経営計画の作成が難しい場合は、専門家に相談することも検討してみましょう。

補助金に関する相談先を知りたい人は「補助金の相談は誰にする?相談する内容に合った相談先を解説」の記事も参考にしてみてください。

交付申請と交付決定

申請する補助金によっては、採択後に「交付申請」の手続きが必要です。採択が決定すれば交付決定通知が届く補助金もある一方で、交付申請が必要な補助金の場合は、採択されても規定の手続きを行わなければ交付決定とはならず補助事業を実施することができません。

交付申請では、事業の詳細や経費の根拠を示すための見積もりや図面などの必要書類を提出し、内容が認められると補助金事務局から「交付決定通知書」が届きます。

補助金に採択されたら、速やかに交付申請を行いましょう。また、補助金事務局から届く交付決定通知書に記載されている交付決定日以前に契約や購入を行った経費は補助金の対象外となるため、留意しておきましょう。

補助事業開始

交付決定通知書に記載された「交付決定日」から、補助事業を開始できます。申請する補助金によって、補助事業の期間や終了日が設定されているため、事業計画に沿った内容を期間内に実施する必要があります。

たとえば、店舗改装とお店のリニューアルを宣伝するチラシ作成の補助事業を行う場合、改装工事のスケジュールにあわせて進行状況を管理することが求められます。また、期間内に事業を終了させるためには、工事と同時進行でチラシのデザインや発注部数の調整なども行う必要があります。

補助事業開始後は、事業計画に従い、期間内に全ての作業を完了させることが重要です。さらに、納品書や領収書などの証ひょう類は、補助事業終了後の「実績報告」に必要となるため、紛失しないようにまとめて保管しておきましょう。

報告書の提出

補助事業が終了したら「実績報告書」を提出することになります。実績報告の際は、すべての申請経費における証ひょう(=証拠書類)を整理し、提出しなければなりません。証ひょうの不備不足がある経費に対しては、その分の補助金が給付されなくなる可能性があります。

【実績報告に提出する証ひょうの例】

証ひょう項目 概要
発注書 ・経費がどのように計画され、実行されたかを確認する
・発注内容、数量、金額、納品期限などが記載されたものを提出
領収書 ・購入した物品やサービスに対して支払った金額を証明する
・必ず金額や取引先の情報、日付が記載されたものを提出
請求書 ・取引先から発行される支払いを求める書類
・経費に関する支払い内容や金額、期日が記載されたものを提出
納品書 ・物品やサービスが納品されたことを証明する書類
・納品日や納品された物の詳細が記載されたものを提出
契約書 ・業者との間で結んだ契約内容を証明する書類
・特に工事やサービスの提供に関する契約書は、支払いの根拠として重要
見積書 ・事業計画に基づく費用見積もりを示す書類
・契約や実際の支払いが適正であることを示す補完的な証ひょうとして提出
取引明細書・振込明細書 ・支払いが行われたことを示す銀行取引の明細書
・特に振込で支払いを行った場合、取引が確実に行われた証拠として必要
工事写真や製品の写真 ・実際に補助事業が行われたことを視覚的に示すための資料
・特に工事や改装の場合、ビフォーアフターの写真などが効果的
労務費の証拠書類 ・労働者に支払った人件費を証明する書類
・給与明細や雇用契約書など、労働力に対して支払われた経費を確認する
旅費の領収書 ・事業活動に伴う電車代、タクシー代、宿泊費などの証拠として提出
・日付や場所が明確に記載されているものを提出
宿泊費や会議費の領収書 ・出張やイベントなどで発生した宿泊費や会議費に関する経費
・日付や場所が明確に記載されているものを提出

証ひょう類とは、購入した物品やサービスに関連する取引の証拠として提出される書類や資料のことで、発注書や納品書、領収書、画像などが該当します。

たとえば、導入済みシステムの稼働状況を証明するために、操作画面やシステム稼働画面のスクリーンショットを提出することもあります。

実績報告書を提出する際、証ひょう類に不備不足がある場合は、予定通りの補助金額を受け取れなくなる可能性があります。補助事業期間中は、証ひょう類を1か所にまとめて紛失しないように保管し、必要な写真撮影やデータ保存も忘れずに行いましょう。

補助金交付

補助金の交付とは、申請者の銀行口座に補助金が入金されることを示します。補助事業終了後の実績報告から補助金交付までの流れを確認しましょう。

補助金申請者が実績報告書を提出すると、補助金事務局が報告内容の確認を行い、問題がなければ「補助金額決定通知」が発行されます。

申請者はこの通知を受け取り次第「補助金支払い請求書」を提出します。請求手続きが完了すると、通常1ヶ月以内に指定した銀行口座に補助金が振り込まれます。

補助金事務局からの「補助金額決定通知」が届いたら、補助金請求の手続きを行いましょう。万が一、実績報告の内容に不備があり、事務局から再提出をも求められた場合は、その分補助金の交付が遅れてしまうため、速やかに対応しましょう。

採択は補助金申請のゴールではない

採択は補助金申請のゴールではなく、採択後の実施項目を着実に進めることが大切です。申請準備から採択審査までの期間は3ヶ月程度であることに対し、採択後から補助金の交付までの期間は6ヶ月から1年と長く、さまざまな提出書類や申請までの工程があるためです。

【採択後から補助事業完了までの流れ】

フェーズ 項目 注意点・ポイントなど
フェーズ①
採択から交付決定まで
・採択決定
・交付申請
・交付決定
・申請する補助金によって交付申請が必要な場合と不要な場合がある
・交付決定通知を受ける前の補助事業は対象外
フェーズ②
事業開始から実績報告まで
・補助事業実施
・補助事業終了
・実績報告
・補助事業期間を過ぎた経費は補助対象外
・証ひょうに不備不足がある場合は予定通りの補助金額を受け取れない可能性有

フェーズ③
確定検査から補助金入金まで

・確定検査
・補助金額決定
・補助金額請求
・補助金入金
・実績報告に不備があった場合は差戻しや補助金額の減額がある
フェーズ④
効果報告から補助事業完了まで
・効果報告
・補助事業完了
・補助事業終了後の効果を数年間にわたり事務局に報告する
・補助金で購入した50万円以上の資産は処分や転売の際、報告が必要

申請する補助金によっては、採択後に交付申請を行わなければ交付決定を受けられず、補助事業を実施できないことがあります。交付申請では、事業の詳細や経費の根拠を示すための見積もりや図面などを提出する必要があり、提出が遅くなるとその分事業の開始が遅れてしまいます。

交付決定のタイミングに関わらず、補助事業の実施期間は事前に決められているため、交付申請が遅くなると補助事業に取り組める期間が短くなります。たとえば、補助事業実施期間が6ケ月と定められている補助金で交付申請が2か月遅れた場合、補助事業を実施できる期間は4ヶ月となってしまいます。

補助金に申請して採択を受けても、その後の工程を進められないために補助金を辞退する事業者の事例があります。採択後の流れや、フェーズごとの必要事項を整理し、補助事業や諸手続きを効率よく進めていきましょう。

なお、補助金を受け取ったあとは、決められた期間に補助金事務局への定期的な効果報告が求められます。補助金受給者が効果報告に応じない場合は、補助金の返還を求められることもあるため、事業完了までの工程は規定通りに実施しましょう。

まとめ

補助金を申請する際は、申請から交付までの流れを理解しておくことで、申請手続きや実績報告などの工程をスムーズに進められるようになります。補助金申請の前には、申請要件の確認や電子申請のアカウント取得などの事前準備を整えておきましょう。

申請する補助金によっては、採択後に交付申請の手続きが必要な場合があります。交付申請を行い、補助金事務局からの交付決定通知を受けなければ補助事業を実施できないため、速やかに手続きを行いましょう。

補助金は、採択後の補助事業実施から実績報告までに期間を費やすことになります。補助事業を実施できる期間は補助金ごとに定められているため、期間内にすべての補助事業計画を終了させなければなりません。

補助事業実施後の実績報告では、すべての経費における証拠書類の提出が求められるため、あらかじめ経費ごとに整理してまとめておくことがポイントです。また、補助金交付後は、定められた年数の効果報告を行いましょう。

介護事業における補助金の用途と注意点を解説

介護事業を営む事業者の中には、介護事業に補助金を利用できる用途は何があるのか分からない人がいるのではないでしょうか。介護事業における補助金の用途は多岐にわたり、人材の確保や介護事業所の整備などに使えます。

当記事では、補助金を介護事業に利用するときの用途を解説します。また、補助金を介護事業に利用するときの注意点も紹介しているため、補助金を介護事業に利用したい人は参考にしてみてください。

介護事業における補助金の用途

介護事業における補助金の用途は様々あります。補助金を介護事業に活用することで、費用を抑えながら人材の確保や介護業務の効率化、利用者の安全確保などを行うことが可能です。

【介護事業における補助金の用途】

  • 人材の確保
  • ICTの導入
  • 介護ロボットの導入
  • 安全対策の強化
  • 施設のリフォーム

たとえば、補助金をWi-Fi環境の整備に利用できるため、スマホやタブレットを用いたオンライン面会が行えます。コミュニケーションツールにより、介護職員と利用者の家族とのやり取りもスムーズに対応でき、介護職員の負担を抑えられます。

また、補助金を事業所の床材を滑りにくいものに変えるなどに利用でき、施設のリフォームや大規模修繕も行えます。施設をリフォームすることにより、利用者の安全確保や介護職員が介助しやすくなり介護業務の効率化につながります。

なお、介護事業者が利用できる補助金では、介護おむつや使い捨て手袋などの消耗品は補助対象外となる傾向にあります。介護に関する補助金には、介護事業者向けの制度と在宅で介護をしている個人向けの制度があり、それぞれ対象となる用途や経費が異なる点に留意しましょう。

人材の確保

介護事業における補助金の用途には「人材の確保」が挙げられます。補助金を、事業所内の人手不足や介護職員の定着率を向上するために利用できます。

【人材を確保するための活用例】

  • 求人募集のサイトやチラシ等に求人情報を掲載
  • 求人情報に関するホームページ制作
  • 介護職員の資格取得
  • 介護職員の給与増加
  • 求人説明会等のイベントに出展
  • 研修やセミナーの実施 等

たとえば、求人情報を載せたホームページを制作する際に補助金を利用することは可能です。求人説明会のイベントに出展する際にも補助金が活用できるため、費用を抑えて人材の確保につながる取り組みが可能となります。

また、介護職員が資格取得する際に補助金を利用することも可能です。セミナー受講料や研修などの費用負担を抑えながら、介護職員のスキル向上やキャリアアップを図れます。

なお、補助金を利用して介護職員の給与増加や手当の支給を実施することで、職場環境が向上され介護職員の定着率が上がる可能性があります。また、補助金を利用して雇用機会の創出につなげることもできるため、介護事業の人材確保の促進が可能となります。

ICTの導入

介護事業における補助金の用途には「ICTの導入」が挙げられます。ICT(情報通信技術)システムの導入によって、情報などの共有を迅速に行えるため、業務の効率化につながります。

【ICTの導入の活用例】

活用例

概要

記録業務

  • インターネット上で介護業務に関する情報を一元管理・転記作業不要
  • スマホでのお知らせ配信
  • パソコンで請求書を作成しアプリで送信 等

情報共有

  • チャットツールを用いて介護職員同士による情報共有
  • 連絡手段としてインカムを導入 等

シフト管理

  • シフト自動作成 等

オンライン面会

  • スマホやタブレット、パソコンを使いオンラインで面会

たとえば、訪問介護にて補助金を利用しICTシステムを導入する場合、訪問介護のサービス状況をスマホなどにより即座に連絡や確認を行えます。介護職員がリアルタイムで確認できるため、訪問の抜け漏れを防ぐことが可能です。

また、老人ホームにて補助金を利用しICTシステムを導入する場合、インカムを連絡手段にすることが可能です。インカムを連絡手段として導入することで、介助により両手が使えない状態でも通話でき、情報共有がスムーズになります。

なお、補助金を利用してICTシステムを導入することにより、業務効率化以外にも様々なメリットがあります。ペーパーレス化によるコストの削減や、事務作業の手間や時間を省け、転記ミスが少なくなるなどの介護職員の負担を軽減することが可能です。

介護ロボットの導入

介護事業における補助金の用途には「介護ロボットの導入」が挙げられます。補助金を利用して、介護ロボットを導入することにより、介護業務の効率化や介護業務の省人化につながります。

【介護ロボットの例】

介護ロボットの種類

移乗介助

  • パワーアシストスーツ
  • 離床アシストロボット
  • 移乗サポートロボット 等

移動支援

  • ロボットアシストウォーカー
  • オートアシスト機能付き歩行車 等

排泄支援

  • 排泄動作支援機器
  • 自動排泄処理装置
  • 排泄検知システム 等

見守り・コミュニケーション

  • ベッド内蔵型離床センサー搭載電動ベッド
  • 人工知能搭載コミュニケーションロボット
  • 予測型見守りシステム 等

入浴支援

  • バスリフト
  • リフトキャリー 等

介護業務支援

  • 自動体位変換機能付きエアマットレス 等

たとえば、補助金を利用して移乗介助ロボットを導入することで、介護職員の身体的負担の軽減が可能です。非装着型の移乗介助ロボットの活用により、利用者の表皮剥離等の身体的負担の軽減もでき、安全性を向上させることができます。

また、補助金を利用して見守り支援システムを導入することで、利用者の状態をパソコン画面からみることが可能です。離床回数などのデータから健康管理がしやすくなるほか、利用者の行動を即座に確認できることから、転倒を未然に防ぐことにつながります。

なお、補助金を利用して介護ロボットを導入することで、介護職員の身体的負担や心理的負担が減り、介護職員の離職率の低下につながる可能性があります。介護の質が安定することにより、利用者の介護者に対する心理的な負担も軽減されるでしょう。

安全対策の強化

介護事業における補助金の用途には「安全対策の強化」が挙げられます。補助金を利用して、見守りシステムや見守りカメラを導入することで安全性を高め、介護職員の見回りの時間を短縮することが可能です。

【安全対策の強化の例】

  • 見守りシステム、センサーの導入
  • 見守りカメラの導入
  • アルコールチェック管理システムの導入

たとえば、見守りセンサー設置にかかる費用は、介護ロボットやICT導入補助金の対象となるため補助金で賄えます。見守りセンサーなどを導入することで、複数の利用者の健康状態や状況を把握でき、不調に気づきやすくなることや利用者の事故防止につながります。

また、福祉車両などで送迎を行う介護事業所で必須であるドライバーのアルコールチェックにかかる費用も補助金で賄うことが可能です。アルコールチェッカーとアルコールチェック管理システムと連動させることで、データ管理が自動化されるため、作業の工数を減らせます。

このように、補助金を利用して安全対策を強化することで、導入にかかる費用を抑えて利用者や介護職員の安全性の確保ができ、介護業務の質を高められます。補助金によっては導入できる機器が制限されている場合があるため、公募要項の確認を申請前に行いましょう。

施設のリフォーム

介護事業における補助金の用途には「施設のリフォーム」が挙げられます。介護事業所のリフォームを行うことにより、利用者の事故防止や介護職員の負担を減らすことができます。

【施設のリフォーム例】

リフォーム

創設

  • 新たに介護事業所を創設
  • 新たに宿舎を整備 等

改修

  • 浴室、食堂等の改修工事
  • 防災対策のための補強改修工事
  • 避難経路等の整備
  • エレベーター等の設置・改修
  • 床や壁の材料の変更
  • ユニット化改修 等

設備の設置・改造

  • 冷暖房設備の新規設置
  • 改修が必要となった冷暖房設備の改造工事
  • 給排水設備、電気設備、ガス設備、消防用設備等付帯設備の改造工事 等

バリアフリー化

  • スロープの設置
  • トイレや浴室に手すりの設置
  • トイレ改修工事
  • ドアの改善 等

たとえば、介護事業所の部屋や浴室、トイレへの手すりの設置などに補助金を利用することが可能です。さまざまな場所に手すりを設置することで、利用者が楽な姿勢で動くことができ、利用者自らできることが増えることなどにより生活の質を高められます。

また、介護事業所の玄関へのスロープの設置に補助金を利用することも可能です。階段や段差をなくしスロープを設置するなどのバリアフリー化を行うことで、車いすのままでの移動が可能となるほか、利用者の転落や転倒する可能性を減らし、安全性を高められます。

このように、介護事業所のリフォームを行うことによって、利便性を高められ利用者が生活しやすくなります。さらに、利用者のプライバシー保護のためのユニット化改修や介護職員が介助しやすいトイレにリフォームするなどの費用にも補助金を使えます。

補助金を介護事業に利用するときの注意点

補助金の用途を押さえた人は、補助金を介護事業に利用するときの注意点を把握しておきましょう。注意点を確認せずに申請手続きをそのまま進めてしまうと、問題が生じて申請できない場合や審査で不採択となる場合があるからです。

【補助金を介護事業に利用するときの注意点】

  • 補助金の目的に合わない取組は補助対象外となる
  • 介護報酬を伴う事業は補助対象外となる補助金がある
  • 介護事業の種類によって補助対象外となる場合がある

補助金の公募要項には、制度の目的や申請要件、補助対象外となる条件などが記載されています。補助対象外となる事業の項目に介護報酬を伴う事業があった場合、介護報酬を利用している事業所では申請できません。

また、介護事業の種類には訪問介護やデイサービス、養護老人ホームなどがあります。介護事業の種類を制限している補助金があり、補助対象外となる事業を運営していた場合は申請できないことを留意しておきましょう。

なお、補助金によっては申請内容の審査が実施される場合があり、注意点に気を付けていても不採択となる可能性があります。介護事業に補助金を利用する場合は、申請する補助金の公募要項を確認し、補助金に応じた事業計画書を作成しましょう。

補助金の目的に合わない取組は補助対象外となる

補助金を利用する際に、制度の目的と合わない取組の事業計画書を提出した場合、補助対象外と判断され不採択となります。補助金は、制度の目的と一致した取組を実施した場合に支援する制度だからです。

【補助金の目的の例】

  • 人材の確保
  • 業務の効率化
  • 介護職員の負担軽減
  • 環境の整備
  • 安全対策の強化

たとえば、「人材の確保」が目的の補助金の場合、介護施設の開設や事業所のリフォームにかかる費用は対象経費として認められない場合があります。人材確保を目的とする補助金では、ウェブサイトへの求人情報の掲載や、求人説明会等のイベントへの出展などが対象となります。

また、「業務の効率化」が目的の補助金の場合、介護職員のスキル向上のための研修費は対象経費として認められない場合があります。業務の効率化が目的の補助金では、業務の効率化につながるITツールの導入や介護ロボットの導入などが対象となります。

なお、介護事業に利用できる補助金を探す場合「介護 人材確保 補助金」のようなキーワードで調べることで補助金を活用する目的に応じた制度が見つけやすくなります。また、利用目的で絞り込んで希望に合った補助金を探せる検索サイトなども活用しながら、補助金を利用する目的と一致する補助金を見つけましょう。

介護報酬を伴う事業は補助対象外となる補助金がある

介護報酬を伴う事業は補助対象外となる補助金があります。介護報酬を利用している事業所は、補助金によっては申請できないことに留意しておきましょう。

たとえば、介護報酬を使っているデイサービスの場合、申請予定の補助金に応募できない可能性があります。介護報酬を利用している事業所が補助金に応募した場合、申請する補助金以外の国などが支援する他の制度と重複して申請することになるからです。

補助金によっては、国が財源となる他の支援制度と併用することは認められていない場合があります。介護報酬を利用している事業所は、申請する補助金の補助対象外に該当していないかどうか確認してみましょう。

なお、介護報酬以外にも診療報酬やほかの補助金などの支援制度と併用することはできない場合があります。申請したい補助金がほかの支援制度と併用して申請できるかどうか不明の場合は、補助金を管轄している事務局に問い合わせてみましょう。

介護事業の種類によって補助対象外となる場合がある

介護事業の種類によっては、補助金の対象外となる場合があります。自社の介護事業の種類が補助対象となる補助金を利用しましょう。

たとえば、小規模養護老人ホームが対象の補助金の場合、大規模の養護老人ホームは申請することはできません。介護事業を対象とする補助金では、施設利用者の定員数が定められている場合があるためです。

また、「訪問看護や訪問リハビリテーションを除く」のように補助対象外に該当する介護事業の種類が記載されている補助金もあります。事業所の種類が補助対象外に該当してしまった場合、申請要件をすべて満たしていても申請することは認められません。

なお、補助対象事業や補助対象外となる事業を確認する際は、補助金の公式サイトまたは公募要項から確認できます。公募要項を確認しても自社が補助対象事業に該当しているかどうかわからない場合は、補助金を管轄している事務局に問い合わせてみましょう。

介護事業に活用できる補助金の具体例

国や自治体が実施している補助金の中で、介護事業に活用できる制度はさまざまあります。補助金によっては、利用できる用途が決められている場合があることに留意しておきましょう。

【介護事業に活用できる補助金の具体例】

補助金名

特徴

IT導入補助金

(経済産業省中小企業庁)

介護記録管理、診療管理、見守りシステムなどが導入できる制度

滝川市介護職員資格取得支援金

(北海道滝川市)

介護職員初任者研修、介護福祉士実務者研修を修了した場合に資格取得費用の一部を助成する制度

介護職員研修受講促進支援事業費補助金

(神奈川県)

研修を受講するために必要な受講料などの費用を補助する

介護ロボット等導入支援事業補助金

(東京都三鷹市)

介護ロボットやICT機器等の導入に利用できる制度

大阪府介護施設等の整備に関する事業補助金

(大阪府)

施設の一部改修や大規模修繕工事にかかる費用を補助する制度

地域医療介護総合確保基金(施設整備等)による補助

(奈良県)

介護事業所の創設や改築にかかる費用を補助する制度

宗像市介護人材確保・定着事業補助金

(福岡県宗像市)

チラシ等に求人情報を掲載する費用や人材の採用に関するホームページの新規作成費に利用できる補助金

介護職員処遇改善加算

(厚生労働省)

職場環境等の改善などの要件を満たすことで支給される制度

「IT導入補助金」は、自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する際にかかる経費の一部を補助する制度です。申請要件を満たし、採択された場合に、健康状態管理システムの導入や見守りシステムの導入の際にかかる費用の一部が支給されます。

「介護職員処遇改善加算」は、介護事業所で働く介護職員の給与の増加や職場環境の改善などを目的とした制度です。研修の実施することや賃金改善を除く、職場環境等の改善を行うことなどの申請要件を満たすことで助成金が受け取れます。

国や自治体の補助金を介護事業に利用する場合は、公募要項を読み込み、申請要件や目的などが自社が該当できるかどうか確認してから申請を行います。介護事業所の種類は指定されていないかなどを確認する場合は、補助金公式サイトに記載されている問い合わせ先に相談しましょう。

まとめ

介護事業における補助金の用途は多岐にわたり、介護事業所の安全性を高めることや人材確保、業務効率化などに利用することが可能です。介護事業所の整備や安全対策を強化することで利用者の利便性の向上や生活の質を高められます。

また、介護事業所のリフォームにも使えるため、手すりの設置やトイレの改修工事などのバリアフリー化を行えます。職場環境の整備や介護職員の給与の増加にも利用でき、離職率の低下にもつながる可能性があります。

ただし、介護事業に補助金を利用する際には、介護報酬を伴う事業は補助対象外となる場合や、介護事業の種類によって補助対象外となる場合があることに留意しておきましょう。国や自治体によって運営している補助金は異なるため、申請前は申請要件を満たしているかどうか確認してから申請を行うことが重要です。

補助金をホームページ制作に利用するときの注意点を解説

補助金を利用することでさまざまな用途や目的に応じたホームページの制作ができ、かかった費用の負担を軽減することが可能です。ただし、補助金をホームページ制作に利用するときには注意点があります。

当記事では、補助金をホームページ制作に利用するときの注意点を解説します。補助金の具体例も解説しているため、ホームページ制作に補助金の利用を検討している人は参考にしてみてください。

補助金をホームページ制作に利用するときの注意点

補助金をホームページ制作に利用する場合、注意すべき点があります。申請できないまたは補助金が受け取れないことを防ぐには、注意点を把握することが重要です。

【ホームページ制作に利用するときの注意点】

  • 補助金の目的に合わないホームページ制作は対象外となる
  • ホームページの公開が補助対象期間を過ぎる場合は補助されない
  • 補助金は後払いのため自己資金が必要となる
  • ホームページのリニューアルは補助対象外となる場合がある

補助金の公募要項には、補助金の目的や対象経費等が記載されています。どのような内容が補助金の目的に沿っているホームページに該当するのか、申請する補助金の公募要項や過去の採択事例から確認が可能です。

また、補助金には補助対象期間があり、期間内で補助事業すべてを実施しなければなりません。補助対象期間前に契約や支払いを行った経費や、対象期間を過ぎてホームページを公開した際の経費などは、制度によって補助対象として認められない場合があります。

なお、補助金の目的に沿ったホームページを制作しても、補助金の申請要件をすべて満たさなければ申請できません。申請要件は補助金ごとに異なるため、補助金の公式サイトにある公募要項を確認してから申請手続きを行いましょう。

補助金の目的に合わないホームページ制作は対象外となる

ホームページ制作の目的や内容が、申請する補助金の目的に合わない場合は補助対象外となります。補助金は制度ごとに目的が定められており、目的に沿った取り組みを実施する場合に必要な経費の一部を補助する制度であるためです。

【補助金の目的の例】

  • 販路開拓(販路拡大)
  • 生産性向上(業務効率化)
  • 経営力強化
  • インバウンド対応
  • 人材確保 等

たとえば、販路開拓が目的の補助金の場合、求人を目的とするホームページ制作は補助対象外となる場合があります。商品の宣伝やネットショップ機能を追加するなど、販路開拓につながるホームページ制作であれば補助対象であると判断されます。

また、生産性向上や業務効率化が目的の場合、会社紹介が目的のホームページ制作は補助対象外となる場合があります。オンライン予約機能の追加やホームページで収集した顧客情報を顧客管理システムと連携するなどの業務効率化につながるホームページ制作であれば補助対象であると判断されます。

そのため、目的のない単なるホームページ制作や会社の営業活動に活用するホームページ制作は補助対象として認められない可能性があります。補助金を利用する場合、制作したいホームページの内容が申請する補助金の目的に沿っていることや補助対象外の経費に該当していないことを事前に確認しましょう。

ホームページの公開が補助対象期間を過ぎる場合は補助されない

ホームページの公開が補助対象期間を過ぎる場合は補助されません。かならず、申請前に申請する補助金の公募要項に記載されている補助対象期間の確認を行いましょう。

【補助対象期間から外れる例】

  • 交付決定日前の発注・契約
  • 交付決定日前の支払い
  • ホームページの納品が補助対象期間外
  • ホームページをインターネット上で公開していない

たとえば、ホームページ制作の発注が遅くなり、補助対象期間外にホームページ制作会社から納品された場合は補助対象外となります。交付決定日前に支払いを行ったホームページ制作の経費も補助対象外です。

また、交付決定日以降に依頼してホームページを制作していても、補助対象期間中にインターネット上に公開していない場合、補助対象として認められない場合があります。補助対象期間中に取り組みと支払いを行い、補助事業をすべて完了している状態でなければ補助金は支給されません。

補助金を活用してホームページ制作する場合、外部の事業者へ依頼する際には補助対象期間中に公開できるかどうか納期の確認をしておかなければなりません。事業計画を立てる際は、ホームページ制作等の補助事業のスケジュールを具体的に決めましょう。

補助金は後払いのため自己資金が必要となる

補助金を活用し、ホームページを制作する場合は自己資金を用意しておきましょう。制度によっては補助金が適切に使われたことを確認したうえで補助金を交付するために、後払い制としている場合があるためです。

【補助金受給までの基本的な流れ】※制度によって異なる場合がある

  1. 申請書作成
  2. 補助金の申請手続き
  3. 審査
  4. 採択・交付決定通知書の受領
  5. 補助事業実施(ホームページ制作依頼の契約・支払い等)※補助事業の支払いは自己資金
  6. 実施報告書提出・補助金額の確定審査
  7. 補助金の精算払請求書提出
  8. 補助金の受け取り

たとえば、補助金の審査で採択され、ホームページ制作会社に依頼して50万円の委託費を支払う場合、まずは50万円を全額自己資金で先払いしなければなりません。補助金を受け取れるのは、補助事業を遂行し、精算払請求書を提出した後になります。

そのため、補助事業実施期間中のホームページ制作を外部に依頼する時点では補助金を受け取れません。補助金を利用してホームページ制作したい場合、事前に計画を立て自己資金の準備をしておきましょう。

なお、補助金は審査によって支払われる金額が減額する可能性があり、申請した金額の全額を受け取れるとは限りません。補助事業完了後の確定審査により、事業計画に沿った適切な補助金の使い方であると判断されなければ補助金が支払われない場合もあることに留意しておきましょう。

ホームページのリニューアルは補助対象外となる場合がある

補助金によっては、ホームページのリニューアルは補助対象外となる場合があります。補助金を利用する場合は必ず公募要項に記載されている補助対象経費と補助対象外となる経費の確認をしましょう。

たとえば、新たにホームページを開設する際に、外部に制作を委託する費用などが補助対象経費となる補助金があります。すでにホームページを持っている場合は補助対象外となるため、既存ホームページのリニューアル費用には活用できません。

また、ホームページの全面的な更新(リニューアル)が対象であり、単純な機能やページの追加は補助対象外となる補助金があります。補助金によっては、多言語対応などホームページのリニューアル内容が限られることがあるため。補助対象経費を確認する必要があります。

ホームページ制作が対象となる補助金では、ホームページの新規作成のみが対象となる場合や、対象となるリニューアル内容が限定されている場合があります。ホームページのリニューアルに補助金を利用したい人は、実施予定のリニューアルが補助対象となるかどうかを確認しましょう。

ホームページ制作に活用できる補助金の具体例

ホームページ制作に活用できる補助金にはさまざまな種類があり、国や自治体が運営しています。補助金によっては、対象経費や目的などが異なっているため、利用する際は申請する補助金の公募要項を読み込んでおきましょう。

【ホームページ制作に活用できる補助金の具体例】

補助金名

概要

小規模事業者持続化補助金

(経済産業省中小企業庁)

【対象経費】

  • 販路開拓等を行うホームページにかかる開設費、改修費、委託費 等

※他の経費と一緒に申請する必要あり

【対象者】

小規模事業者、個人事業主等

ものづくり補助金

(経済産業省中小企業庁)

【対象経費】

  • クラウドサービス利用費
  • ホームページ制作の外注費 等

※50万円(税抜)以上の設備投資を行う必要あり

【対象者】

中小企業者、小規模事業者、個人事業主等

事業再構築補助金

(経済産業省中小企業庁)

【対象経費】

  • クラウドサービス利用費
  • ホームページ制作の外注費 等

【対象者】

中小企業者、小規模事業者、個人事業主等

ホームページ作成・更新補助金

(東京都足立区)

【対象経費】

  • ホームページの新規作成に係る委託料
  • ホームページの全面的な更新(リニューアル)に係る委託料

※単純な機能、ページの追加は対象外

【対象者】

足立区ウェブ活用アドバイザーの事前相談を受け区内に事業所を保有している事業者

創業・スタートアップ支援事業補助金

(東京都港区)

【対象経費】

  • 新たにホームページを制作する費用

※すでにホームページを持っている場合は対象外

【対象者】

港区産業振興課の商工相談を受け創業計画書を作成する事業者

インバウンド等受入環境整備補助金

(大阪府泉大津市)

【対象経費】

  • ホームページ等を多言語対応に整備する際にかかる費用

【対象者】

利用者が一定時間滞在し有料でサービスを提供する事業を営んでいる事業者

河南町ベンチャーサポート補助制度

(大阪府南河内郡河南町)

【対象経費】

  • ホームページ制作に係る経費(維持管理費用を除く)

【対象者】

事業所を町内に設置し申請時点で創業日から1年を経過していない事業者

食のまち宗像推進補助金

(福岡県宗像市)

【対象経費】

  • ホームページ制作の委託に係る経費

【対象者】

市内で事業を行い食を生かした賑わいづくり事業に取り組む事業者

「事業再構築補助金」の場合、新市場進出や思い切った事業再構築の取り組みの遂行に必要なホームページ制作費が補助されます。ホームページ制作の際にかかるクラウドサービス利用費や外注費などを、補助対象として申請することが可能です。

「創業・スタートアップ支援事業補助金」の場合、既存ホームページのリニューアルはできませんが、新たにホームページを制作する際に補助上限額30万円まで補助される可能性があります。

「河南町ベンチャーサポート補助制度」の場合、起業のためや起業後の経営に必要なホームページ制作に係る経費の一部の負担を軽減できます。

補助金によっては、ホームページ制作を単独で対象経費として申請できず、他の経費とともに申請しなければならない等の条件があります。補助金への申請を検討する際は、自社が利用できる補助金であるかどうか公募要項やよくある質問などを確認しましょう。

まとめ

補助金をホームページ制作に利用するときの注意点は様々あります。国や自治体が運営する補助金によっては、対象となるホームページの内容や補助金の目的等が異なることを留意しておきましょう。

ホームページの公開が補助対象期間を過ぎる場合は対象経費として認められないため、補助金を受け取れない場合があります。また、経費の支払いには自己資金が必要となるため、自己資金が用意できない場合は補助金を利用できません。

補助金ごとに活用できるホームページの内容も異なるため、作成するホームページの内容を明確にしてから補助金を探しましょう。ホームページ制作に補助金を利用できるかどうかは事業者の状況や補助金の募集状況により異なるため、必要に応じて補助金の検索を行いましょう。

保育園における補助金の活用方法を解説

保育園を運営している事業者の中には、補助金を何に使えるのか知りたい人もいるのではないでしょうか。また、保育園が利用できる補助金にはどのような制度があるのかといった疑問もあるでしょう。

当記事では、保育園が利用できる補助金の活用方法を解説します。補助金の具体例も紹介するので、補助金の利用を検討している事業者は参考にしてみてください。

保育園における補助金の活用方法

保育園が利用できる補助金では、経営する中で発生する課題を解決するための取り組みに活用できます。課題によって補助金の活用方法が異なるため、課題を明確にしておきましょう。

【補助金の活用方法の具体例】

活用方法

業務の効率化

  • 保育業務の記録システムの導入
  • お知らせ一斉配信システムの導入 など

安全対策の強化

  • センサー、カメラなどの設置
  • 看護師、栄養士配置 など

保育施設の整備

  • 既存施設の修繕工事
  • 施設の増築 など

労働環境の整備

  • 宿舎借り上げ
  • 事務作業の省力化 など

たとえば、システムを導入して保育業務に付随する事務作業の工数を減らすことにより業務が効率化します。事務作業の工数を減らすことで、保育士の作業時間が減少し負担が軽減されるため、労働環境の整備にもつながります。

また、センサー、カメラなどを設置することで事故の発生が軽減され安全対策を強化できす。補助金によっては、保育施設の整備が目的の制度でも防犯カメラ設置などに活用できる場合があります。

保育園が補助金を活用して保育環境の整備を行うことにより、費用の自己負担を抑えて園児の安全確保や保護者の利便性向上をはかることができます。さらに、事務作業の負担が減ることにより、保育士の離職率が低下することも期待できるでしょう。

業務の効率化

保育園が利用できる補助金の活用方法の1つめは、保育士の業務を効率化することです。ICT(情報通信技術)を用いて保育業務の効率化を図ることで、保育士の負担軽減が可能です。

【業務効率化できるシステムの具体例】

  • 保育に関する計画・記録システム
  • 保育士の勤怠、シフト管理システム
  • 園児の登降園管理システム
  • 保護者との連絡システム
  • キャッシュレス集金システム

たとえば、補助金を活用しICTシステムを導入することで、保育園から保護者へ一斉連絡や欠席、延長申請を受け付けることができます。災害時などの緊急連絡に活用でき情報伝達を迅速にするほか保護者への伝え忘れを防ぎ、出欠の連絡も電話のやり取りによる人為的なミスを防げ保護者支援にもつながります。

また、補助金を活用しICTシステムを導入することで、請求管理や指導計画、日誌の作成、労務管理を効率化することが可能です。情報の一元管理ができ、保育士同士の情報共有がしやすくなり文章作成作業の手間を省き業務時間が短縮され、労力をより重要な業務にあてることができます。

なお、ICTシステムを活用により保護者へのおたよりや連絡帳、日誌などの記録がペーパーレス化され紙や印刷コストの削減にもつながります。コスト削減や保育業務に付随する事務作業の負担が軽減されるため、業務の効率化を行いたい事業者はICTシステムが導入できる補助金を探してみましょう。

安全対策の強化

保育園が利用できる補助金の活用方法の2つめは、安全対策の強化です。保育業務支援システムの導入や看護師の配置などにより園児の安全性を高められます。

【安全対策の強化の具体例】

  • 見守りシステムの導入
  • 園児状態管理システムの導入
  • 園児情報管理システムの導入
  • 看護師、栄養士の配置

たとえば、補助金を活用しセンサーやカメラ、GPSの導入により、園児の睡眠中などの事故防止対策や防犯対策の強化が可能です。園外活動時等の園児の見守りに必要な機器の導入により、園児一人ひとりの睡眠中の姿勢や呼吸を管理でき、保育士の目の届かない場所で怪我をする状況を防げます。

また、補助金を活用して保育業務支援システムを導入することにより、園児情報と連携した給食の献立作成や検温チェックにより安全性、衛生管理に役立ちます。健康記録を即座に確認することができ、アレルギーに対応できるため園児の安全確保になります。

そして、補助金を活用して看護師や栄養士を配置することで、保育中に体調不良となった園児の対応が的確に行え、栄養指導により園児の食育の推進ができます。補助金を使い、保育園の安全対策を強化することで園児の安全な保育環境を整えられます。

保育施設の整備

保育園が利用できる補助金の活用方法の3つめは、保育施設の整備です。補助金によっては、施設整備のできる範囲が異なるため、補助金を申請する前に必ず確認をしておきましょう。

【保育施設の整備の具体例】

  • 事務所の整備
  • 既存施設の修繕工事
  • 施設の増築

たとえば、新たに保育園を開設する際に、事務所を整備する費用に補助金を活用することができます。既存施設の耐震補強のために、必要な補強改修工事やガス設備等の改造工事を行えます。

また、老朽化している民間児童福祉施設の整備や防音壁の整備も補助対象経費に該当する場合があります。近隣住民の生活環境の安全性を高められるほか、園児が怪我をしないように施設を整備することも可能です。

なお、補助金によっては防犯対策の強化のために非常通報装置や防犯カメラ設置、外構等の設置にも活用できる場合があります。保育園の整備が必要な人は、どのような施設整備を行うのか明確にしてから保育施設の整備に使える補助金を調べてみましょう。

労働環境の整備

保育園が利用できる補助金の活用方法の4つめは、保育士の労働環境の整備です。保育業務に付随する事務作業を減らせるほか、不動産業者から賃貸物件を借り入れて従業員に貸し出す「宿舎借り上げ」等にも活用できます。

【労働環境の整備の具体例】

  • 宿舎借り上げ
  • 業務効率化
  • 資格取得支援

たとえば、保育施設を運営する事業者が借り上げている物件に雇用する保育士等を入居させる場合に、宿舎借り上げにかかる費用の一部が補助されます。賃料や共益費(管理費)のほかに駐車(駐輪)場代などにも補助金を活用できる場合があります。

また、補助金を活用し保育業務支援システムの導入によって、シフト管理や請求管理などを省力化することが可能です。情報の一元管理によりシフト調整がしやすくなるほか、請求金額を自動で算出できミスなくスムーズに行えるため事務作業の手間を省けます。

そして、保育士資格取得に必要な受講料や受験料を補助する補助金もあります。補助金を探す場合は、資格取得支援や宿舎借り上げのほかにも保育士の研修費を補助する制度もあるため、整備する労働環境を明確にしてから調べてみましょう。

保育園が利用できる補助金の具体例

保育園が利用できる補助金には、国や地方自治体が運営しているさまざまな制度があります。補助金によって申請できる保育園の種類が決められている場合や補助金の用途が限られている場合があるため、申請したい補助金が自身の状況や希望に合っているかを確認する必要があります。

【補助金例】

補助金名

特徴

IT導入補助金(通常枠)

【活用方法】

  • 保育業務支援システムの導入
  • センサー・カメラ等の導入 など

【補助上限額】

1機能以上 5万円~150万円未満

4機能以上 150 万円~450 万円

私立幼保連携型認定こども園施設整備費補助金(愛知県豊田市)

【活用方法】

  • 保育園の創設、増改築
  • 修繕・設備整備、大規模改造 など

【対象者】

市内に私立認定こども園を設置しているまたは設置予定の社会福祉法人、学校法人

私立保育所運営費補助金

(愛知県豊田市)

【活用方法】

  • 人件費・管理費
  • 嘱託医報酬、警備員設置費 など

【対象者】

市内に私立保育所を設置する社会福祉法人、学校法人

大阪市保育所等におけるICT化推進のための補助金

(大阪府大阪市)

【活用方法】

  • 指定された機能を搭載した保育業務支援システムを導入

【補助額】

基準額と申請額、寄付金その他の収入額を控除した額を比べて一番少ない額に3/4を乗じて得た額

八尾市保育士宿舎借り上げ支援事業

(大阪府八尾市)

【活用方法】

  • 賃借料、共益費(管理費)、礼金および更新料

【補助額】

1戸あたり月額上限59,000円

広島県創エネ・省エネ設備導入促進補助金

(広島県)

【活用方法】

  • 省エネ機器、創エネ機器、エネルギー管理システム及び蓄電池の導入

【補助上限額】

導入する設備により異なる(100万円、600万円、700万円)

たとえば、経済産業省が管轄する「IT導入補助金(通常枠)」では、対象となる要件を満たす保育園であれば申請できる可能性があります。「IT導入補助金(通常枠)」は、自社の課題やニーズに合ったITツールを導入できる補助金のため、保育業務支援システムや見守りシステムなどの導入が可能です。

また、私立の認定こども園が対象の「私立幼保連携型認定こども園施設整備費補助金」では、こども園の創設費や修繕工事費が補助されます。私立保育所が対象の「私立保育所運営費補助金」では、嘱託医報酬にかかる経費や警備員の設置に要する経費に補助金を活用できます。

なお、保育園が利用できる補助金は管轄する機関によって異なり、補助金には申請期限が設けられています。補助金を申請する場合は、かならず各機関の公式サイトにある公募要項の確認を行い、募集状況やスケジュールの確認も行いましょう。

まとめ

保育園における補助金の活用方法は様々あります。業務の効率化や安全対策の強化等に使え、園児の安全が確保されるほか保育士の負担軽減も可能です。

たとえば、保育業務支援システムの導入によりデータが一元管理され情報共有が迅速に行えるほか、キャッシュレス決済にも対応できるシステムを導入することができます。ほかにも安全対策の強化を目的にカメラやセンサーの導入も可能です。

ただし、補助金を実施する機関によっては申請要件が異なり、補助金の募集をしていない場合があります。そのため、実施する機関の公式サイトにある要件や申請期限などを確認してみましょう。

雇用に関する助成金はどのように活用できるのか?

事業者が新たに従業員を雇用したり、従業員の労働環境を改善したりする際には、多額の費用がかかることがあります。そのような場合、事業者は費用負担を軽減するために助成金の支援制度を利用することが可能です。

当記事では、雇用に関する助成金の種類や活用方法を解説します。現在公募が行われている助成金もいくつか紹介するので、従業員の雇入れや雇用環境の改善などに助成金の申請を検討している人は、参考にしてみてください。

なお、事業者が利用できる資金援助制度には「補助金」もありますが、雇用に関する制度は「助成金」と呼ばれる傾向にあります。補助金と助成金の違いについては「補助金と助成金の違いは?相違点と共通点からそれぞれの傾向を解説」の記事で解説しています。

雇用の目的によってさまざまな種類の助成金を活用できる

雇用に関する助成金は、人材の採用や働き方改革の導入など、雇用の目的によってさまざまな制度が用意されています。雇用の目的に応じて効果的に活用できるよう、どのような種類の助成金があり、どのように活用できるのかを確認してみましょう。

【雇用関連の助成金の活用例】

  •  経営悪化時の従業員の雇用維持
  •  就職が困難とされる求職者の雇入れ
  •  働き方改革の導入に向けた環境整備
  •  従業員が仕事と育児や介護を両立できる支援
  •  物理的および労務管理における環境整備
  •  首都圏以外の地域での雇用の創出

たとえば、高齢者や障がい者といった就職が難しいとされる求職者を雇用する際には、その雇用を支援する助成金が用意されています。また、従業員が安心して育児休業や介護休暇を取得できる環境を整備するための費用を支援する助成金もあります。

雇用に関する助成金は、事業者と従業員のニーズに応じて活用できる支援制度です。事業の成長や従業員の働きやすい環境づくりを目指す際など、それぞれの目的に合った助成金を探し、概要や申請要件を確認しましょう。

従業員の雇用維持

事業者の経営状況の悪化により、従業員の雇用調整で休業や出向などを実施した際は「従業員の雇用を維持」するための助成金を活用できます。従業員には働く意思があるにもかかわらずやむを得ず休ませる場合の休業手当や、出向費用などが発生した際の支援が目的です。

たとえば、事業者が休業手当や教育訓練、一時的な配置転換にかかる費用などを補填し、従業員の雇用を維持した場合の費用の一部が支援されます。また、従業員が将来的にスムーズに職場復帰できるよう、スキルアップや再教育を行う訓練の費用にも適用されることがあります。

経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業者は、従業員を解雇せずに休業させることや、教育訓練、出向の機会を用意することができます。その場合は、従業員の雇用維持に関する助成金の申請を検討してみましょう。

特定の求職者の雇入れ

事業者が就職困難者を雇用する場合は「就職が難しいとみなされる労働者の雇入れ」を支援する助成金を活用できます。年齢や国籍、障害の有無などによって就職機会が限られている求職者の対象を確認しましょう。

【就職が困難とみなされる求職者の具体例】

  • 高齢者
  • 障がい者
  • 発達障碍者
  • 難治性疾患患者
  • 母子家庭の母、父子家庭の父
  • 外国人労働者
  • ウクライナや対象地域からの避難民
  • 正規雇用の機会を逃したことによりキャリア形成が不十分な者
  • 生活保護受給者

就職が困難とされる特定の求職者の雇入れを支援する助成金には、高齢者や障がい者のほかにもさまざまな求職者の雇入れを支援するコースが用意されています。たとえば、就職氷河期に正規雇用の機会を逃したことで、十分なキャリア形成がなされず、正規雇用に就くことが困難な人の雇入れが対象のものもあります。

事業者が「特定就職困難者」を雇用する場合、対象者の給与と支払われた金額の一部が支援される助成金を活用できます。厚生労働省や各都道府県の自治体などで異なる助成金が用意されているため、多方面から補助金を探してみてください。

働き方改革の導入

事業者が従業員の長時間労働の是正や柔軟な働き方の実現に向けて環境整備を行う場合は「働き方改革の導入」を支援するための助成金を活用できます。働き方改革につながる環境整備とは具体的にどのような取組みがあげられるのかを確認してみましょう。

【働き方改革につながる環境整備の一例】

  • 労務管理担当者に対する研修
  • 労働者に対する研修、周知・啓発
  • 専門家によるコンサルティング
  • 人材確保に向けた取り組み
  • 就業規則・労使協定等の作成・変更
  • 労務管理用ソフトウェアの導入・更新
  • デジタル式運行記録計(デジタコ)の導入・更新
  • 労働能率の推進に資する設備・機器等の導入・更新

たとえば、労務管理の効率化を図るために労務管理用ソフトウェアを導入することで、従業員の労働時間を適切に管理し、長時間労働の是正に取り組むことができます。また、従業員向けに柔軟な働き方の研修を実施し、リモート勤務やフレックスタイム制の導入を促進することで、働き方の多様化を推進できます。

自社の働き方改革を推進したい場合は、環境整備のためにかかった費用の一部が支援される助成金を検討してみてください。従業員の安全管理と作業効率化を図るためのデジタル式運行記録計(デジタコ)を導入する際にも活用できる場合があります。

従業員の育児や介護支援

従業員が育児や介護で離職しないように、育児休業や介護休業の制度を導入する場合は「従業員の育児や介護を支援」するための助成金を活用できます。優秀な人材の雇用を守るためには、仕事と家庭の両立を目指せる取組みを実施することが必要です。

たとえば、育児や介護のために従業員が有給休暇を取りやすい仕組みを整える場合や、休業する従業員の代替要員を確保する場合などに利用できる助成金があります。また、要介護状態の家族の介護をする労働者に時差出勤や在宅勤務制度を設ける場合に利用できる助成金もあります。

育児や介護支援のための助成金を活用することで、従業員が安心して仕事と家庭を両立できる環境を整え、優秀な人材を維持することができます。仕事と家庭の両立支援を目的とする助成金には、不妊治療や事業所内の保育所開設など、さまざまな助成内容が用意されているため、種類や概要を確認してみてください。

雇用環境の整備

事業所内の「物理的な環境整備」や従業員の「労務管理体制の整備」を行う場合は、雇用関係の整備を支援するための助成金を活用できます。物理的な設備だけでなく、助成対象となる労務管理や人材育成の整備に関する項目も確認してみましょう。

【雇用環境の整備で助成対象となる内容の例】

  • 障がい者の職場定着のための職場支援員や介助者の配置
  • 障がい者の職場適応のための設備導入
  • 高齢者や特定の求職者の雇用促進のための制度整備や評価改善
  • 女性や若年労働者の定着を目指した訓練や環境改善
  • テレワークや外国人労働者の就労環境整備
  • 有期雇用労働者の正社員化や賃金改善

たとえば、雇用環境の整備に活用できる助成金は、車いす利用者や、からだに障害のある人を雇用する際に、スロープや必要な設備の設置などを行う場合に支援されます。、テレワークや外国人労働者向けの環境整備、有期雇用者の正社員化など、多岐にわたる制度が用意されています。

雇用環境の整備に活用できる助成金は、物理的な設備の導入だけでなく、労務管理や人材育成など幅広い取組みに支援が提供されます。助成金を活用して従業員が働きやすい環境を整えることは企業の持続的な成長につながるため、自社のニーズに合った助成金を確認し、申請を検討しましょう。

地方雇用の創出

雇用機会が不足している地域で事業主が事業所の設置や整備を行い、その地域に移住する求職者を雇用する場合、地方雇用の創出を支援するための助成金を活用できます。地域に密着し、地域経済の発展に貢献する業種が対象となります。

【業種別の地域雇用創出例】

業種 雇用創出例
製造業 地域特産品を生産する新工場を設立し、地元の人材を雇用して生産ラインを拡大
観光業 地域の歴史や文化を活かしたツアープログラムを展開し、現地ガイドやスタッフを新規採用
農林水産業 地元で収穫した作物を加工する施設を新設し、地元農家と協力して雇用を創出 ※1
介護・福祉業 地方で高齢者や障がい者向けのサービスを提供し、雇用を生み出す事業 ※2
宿泊業 古民家を改装するなど新たな宿泊施設を設立し、地域住民の雇用を促進する事業

※1 系統出荷のみを行う事業者の場合は対象外となる可能性がある
※2 介護報酬を得る事業者の場合は対象外となる可能性がある

たとえば、観光業では、地域の歴史や文化を活かしたツアーを企画し、現地ガイドやスタッフを新規採用することで、地域の観光資源を活用した雇用創出が可能です。また、高齢者向けの宅食デリバリーを開始し、地域密着型のサービスを提供することで、新たな雇用の創出も期待できます。

地域雇用創出のための助成金は、地域の特性を活かし、雇用機会を増やす事業に活用できます。首都圏から離れた特定の地域で事業を営む事業者は、助成金の概要を確認し、申請を検討してみてください。

雇用に関する助成金の具体例

国や地方自治体が提供する雇用に関する助成金は、雇入れ支援だけでなく、従業員の雇用環境改善にも幅広く利用できるものが揃っています。今回は、雇用に関する助成金の具体例を一覧にしてまとめたので、これから助成金の申請を検討する人は参考にしてみてください。

【雇用に関する助成金や補助金の具体例】

助成金・補助金名 概要

雇用調整助成金(厚生労働省)

  • 企業が経営悪化時に従業員を解雇せず、休業や短時間勤務を実施する場合に支給される
  • 助成対象は休業手当や従業員の出向などにかかる賃金の一部

キャリアアップ助成金(厚生労働省)

  • 非正規雇用者の正社員転換や賃金改善に対する支援金
  • 賃金規定の改定や賞与制度導入も対象

トライアル雇用助成金(厚生労働省)

  • 未経験者や若年層を一定期間試用雇用し、正社員として採用する企業に支給

両立支援等助成金(厚生労働省)

  • 育児や介護の両立を図るための制度の整備を行う企業に対する助成
  • 育児休業や介護休暇制度の導入も支援

奨学金返還支援事業(都道府県や地方自治体)

  • 奨学金を返済する若者を採用した企業が、奨学金の返済を支援することで、若年層の定着を促進

人材確保等支援助成金<外国人労働者就労環境整備コース>(厚生労働省)

  • 外国人労働者の就労環境を改善(多言語対応や規則整備)し、職場定着を図るための支援

高年齢者雇用安定助成金(厚生労働省)

  • 高齢者の定年延長や再雇用制度の導入を行う企業に対する助成
  • 65歳以上の高年齢者の雇用維持が目的
テレワーク導入助成金(東京仕事財団、厚生労働省)
  • テレワーク制度を導入・整備する企業に対して支援
  • システム導入や運用費用の一部を補助

地域雇用開発助成金(厚生労働省)

  • 地域経済の活性化を目的に、新規事業所を設立し、地域での雇用を創出する企業に対して支援する
障害者雇用助成金(厚生労働省)
  • 障がい者の雇用促進や職場環境整備を行う企業に支援する

人材確保等支援補助金<人事評価改善等助成コース(厚生労働省)

  • 人事評価制度を改善し、労働者の処遇向上を図る企業を対象に、賃金改善を支援する

早期再就職支援等助成金<雇入れ支援コース>(厚生労働省)

  • 離職した従業員の再就職を支援する企業に支給される助成金

早期再就職支援等助成金<再就職支援コース>(厚生労働省)

  • 離職を余儀なくされる労働者に対し求職活動のための休暇の付与や再就職支援を実施した事業主に支給される助成金

たとえば、厚生労働省のキャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)では「年収の壁対策」として、労働者1人に対して1人50万円までを助成する制度が開始されました。労働者は年収の壁を意識せずに働くことができ、社会保険に加入することで処遇改善につながるため、事業主の人手不足改善が見込まれます。

また、紹介した助成金以外にも、男性の育休を積極的に支援するものや、スタートアップ企業の人材確保など、多方面での支援制度が用意されていました。

人材雇用に関する助成金は多岐に渡り、就職が困難とみなされる対象者の雇入れ支援に力を入れているほか、従業員の雇用を守るための助成金なども充実しています。そのため、雇用に関する取組みを実施する際は、対象になる助成金があるかどうかを調べてみましょう。

まとめ

雇用に関する助成金は、従業員の雇用や働き方改革、職場環境の改善を支援するため、幅広く活用できる制度です。制度を利用することで、事業者はコストを抑えながら従業員が働きやすい環境を整備し、事業の持続的な成長を促進できます。

また、助成金の申請には一定の要件や期限があるため、最新情報を確認することが重要です。自社に合った助成金を探し、必要な手続きを早めに進めることで、効果的に雇用支援を活用しましょう。

補助金の審査基準と採択されるポイントを解説

補助金は国や地方自治体が事業者の制度の目的に沿った取組をサポートするために、資金の一部を補助する制度です。申請すれば誰でも受け取れるものではなく、各補助金に設けられている所定の審査に通過した事業者のみに補助金が支給されます。

当記事では、補助金の審査基準を解説していきます。補助金の審査で採択されるポイントも解説しているため、補助金の審査について知りたい人は参考にしてみてください。

補助金の審査基準

補助金の書類審査の内容は制度によって異なりますが、共通の審査基準があります。審査基準を満たさなければ、補助金に申請できないまたは申請しても不採択になってしまいます。

【補助金の審査基準】

  • 申請要件を満たしていること
  • 目的に沿った事業計画であること
  • 書類に不備がないこと

補助金の書類審査では、申請者が提出した申請書類によって、審査基準に基づき補助金の対象となる事業者であるか確認されます。約1〜2ヶ月かけて補助金の書類審査が行われ、審査基準を満たし審査項目や加点項目により採点され評価が高い事業者が採択されます。

補助金の審査基準である「申請要件」や「制度の目的」、そして「申請書類」は各補助金の公式サイトにある公募要項に記載されています。補助金に申請する前に、自社は審査基準を満たしているか公募要項を確認してから申請の手続きを行いましょう。

なお、不正行為を行ったと補助金事務局に判断された場合は、不採択または交付決定の取消となる恐れがあります。公募要項をよく読み込み、審査基準を満たしていることに加え、不正行為に該当していないことを確認しましょう。

申請要件を満たしていること

補助金の審査基準の1つとして、申請要件を満たしていることが挙げられます。補助金は申請要件を満たさなければ不採択となるため、公募要項に記載されている申請要件を申請前に確認しましょう。

【申請要件】

  • 補助対象者の要件
  • 補助対象事業の要件
  • 補助対象経費の要件

申請要件の1つ目は、「補助対象者に該当すること」です。補助金の対象者となるには、事業所の所在地や事業規模など、対象者の要件を満たさなければなりません。

申請要件の2つ目は、「補助対象事業に該当すること」です。対象事業となるには、補助金を利用して取り組む事業の内容が、補助金の目的に沿ったものでなければなりません。

申請要件の3つ目は、「補助対象経費に該当すること」です。対象経費となるには、使用目的が補助事業に必要であり、補助事業実施期間内に支払いを完了した経費でなければなりません。

なお、申請要件をすべて満たしていても、補助対象外として定められている要件に該当した場合は審査結果が不採択となる可能性があります。補助対象外の経費がある場合、補助金の支給額が申請した金額より減額される可能性があることに留意しましょう。

目的に沿った事業計画であること

補助金の目的に沿った事業計画を作成することも補助金の審査基準のひとつです。申請する補助金の目的に合った取り組みでなければ、制度の趣旨とは合わないと判断され不採択となる可能性があります。

たとえば、新たに会計ソフトウェアを購入し、決算業務を効率化する事業計画を立てた場合、補助金の目的が「業務効率化」であれば目的に沿った事業計画です。また、ホテルの運営者が、顧客増加と売上向上のために新たにバーを始める場合、補助金の目的が「新分野展開」であれば目的に沿った事業計画です。

補助金の目的は制度ごとに異なり、「販路開拓」や「生産性向上」などさまざまな目的があります。申請前に、申請する補助金の目的に沿っている事業計画なのか公募要項を確認しておきましょう。

なお、申請する補助金が必要な理由や補助事業が必要な理由を明確に示すことで、審査の際に補助事業の妥当性が評価される場合があります。補助金は国や地方自治体が政策目標に合わせて募集されているため、補助金を活用する事業が制度の目的に沿っていることを事業計画書でアピールすることが重要です。

書類に不備がないこと

補助金を申請する際に書類に不備がないことの確認を必ず行いましょう。補助金の申請時に申請書類が不足している場合や記入漏れなどの不備があった場合、審査において不採択となる可能性があります。

【書類不備の例】

書類不備

具体例

書類の不足

  • 必要書類や資料が不足している
  • 添付書類にパスワードがかかっている
  • ファイルの破損
  • 指定されているファイル形式が異なる
  • 書類の順番が指定通りではない
  • 提出した書類と指定されている書類が異なる

記載ミス

  • 事業者情報や補助率、補助対象経費等の記載ミスがある
  • 添付書類に空欄が多い
  • 誤字脱字
  • 労働者名簿と事業計画書の従業員人数が異なる
  • 事業計画書と他の書類の会社名や代表者名が一致していない

たとえば、補助対象経費項目の区分が異なっていることや、添付書類に空欄が多いことは書類の不備となります。提出時に添付書類にパスワードがかかっている場合や、提出したファイルが破損していることも書類不備となります。

補助金の申請には複数の提出書類があり書類作成も複雑であるため、書類の不備によって不採択となる場合もあります。補助金によっては申請枠がそれぞれ設けられ、申請枠ごとに用意する書類が異なる場合があることに留意しておきましょう。

補助金の公募要項には、必要書類一覧や書類についての注意事項が明記されています。書類の不備を防ぐには、補助金の公募要領を熟読することや公募要領と照らしあわせ申請書類の見直しを複数回行うことが大切です。

補助金の採択されるポイント

補助金の審査基準を押さえた人は、審査において採択されるポイントを把握しておきましょう。書類審査にて評価されるポイントを把握し、申請書類を作成することで採択される可能性を高めることが可能です。

【補助金の採択されるポイント】

  • 事業計画書をわかりやすく作成する
  • 実現可能な事業計画を立てる
  • 加点項目を満たす
  • 専門家のサポートを受ける

申請手続きで提出する書類はさまざまありますが、その中でも事業計画書の完成度が審査の結果に影響を与えます。補助金の審査はおもに事業計画書の内容をもとに行われるため、これから事業がどのように成長するのかなど事業計画の内容すべてを伝えなければなりません。

また、書類審査では「審査項目」があり、「補助事業の有効性」や「補助事業の実現可能性」といった事業面などの内容を確認します。地域経済の貢献や経済発展のために国の経済政策として支援する取組であるかという点でも評価されることから、事業計画によって社会にどのような貢献ができるか示すことも重要です。

なお、補助金の審査に不安がある事業者は、専門家にサポートを依頼することも1つの手段です。補助金の採択されるポイントを確認して自社に合ったやり方で補助金の申請を行いましょう。

事業計画書をわかりやすく作成する

補助金の採択されるポイントの1つ目は、「事業計画書をわかりやすく作成すること」です。書類審査の際、申請書類一枚だけでも目を通すには時間がかかるため、審査員が事業内容を理解しやすいように事業計画書を作成しましょう。

【わかりやすく作成する例】

概要

一読で事業内容を理解できるように書く

  • 業界用語や難解な言葉を使用しない
  • 要点をまとめたシンプルな文章にする

視覚的に分かりやすくする

  • 図や表、グラフを用いる

ストーリーを組み立てる

  • 「現状把握」→「課題分析・課題の解決方法」→「補助事業内容・補助事業の効果」

事業計画書をわかりやすく作成するには、一読で事業内容を理解できるように書くことが挙げられます。審査員はすべての業種に詳しいわけではないため、業界の専門用語や難解な言葉の使用を避け、別の言葉に置き換えるまたは専門用語には解説をつけるなど配慮しましょう。

また、事業計画書をわかりやすく作成するには、図やグラフを用いることが挙げられます。視覚的にわかりやすくすることで、より的確に情報を提示することが可能です。

そして、事業計画書をわかりやすく作成するには、ストーリーを組み立てることが挙げられます。ストーリーを組み立てる場合、自社の強みを踏まえてどのように補助事業を行っていくのかを書くことで補助事業の遂行の可能性が高いと評価される場合があります。

補助金の申請数は多く、審査員は膨大な量の事業計画書を目視で確認しなければならず、事業計画書が読みにくいと要点が明確に伝わらない可能性があります。誰が見ても一読でおおよその事業内容が理解できるように簡易で分かりやすい事業計画を作成することが大切です。

実現可能な事業計画を立てる

補助金の採択されるポイントの2つ目は、「実現可能な事業計画を立てること」です。事業計画書では補助事業が確実に実現ができることや実現可能な根拠の説明が必要です。

たとえば、「1年後には年間売上600,000円」や「従業員数を2名増やす」、「売上前年比〇%」というように数字を用いて事業計画を具体的に説明します。数字を扱う時は、「〇〇市場」参照といった市場調査結果などの数値の根拠となるデータを用いて正確な数値を記載します。

審査員は申請者の会社や事業内容等を詳しく知らないため、市場のニーズを確認でき成功する確率が高いと判断できる事業の方が評価が高くなります。補助事業の予想している収益や事業計画のスケジュール、補助事業にかかる経費と金額などを具体的に記載しましょう。

事業を実現できる理由の根拠や対策を根拠とともに具体的に書くことで、信憑性のある計画として評価されます。事業計画が実現可能であると明確に示すことにより、採択される可能性を高められます。

加点項目を満たす

補助金の採択されるポイントの3つ目は、「加点項目を満たすこと」です。各補助金の公募要項には、「審査項目」や「加点項目」が記載されており、事業計画を作成する際は審査項目や加点項目を意識することで採択される可能性を高められます。

たとえば、「指定された目的の事業計画を立てる」や「従業員の賃上げを行う」などが加点項目にあります。ある認定を受けている事業者に対して加点される場合もあるため、申請する補助金の加点項目に該当するかどうか事業計画書を作成する際に確認しておきましょう。

また、「審査項目」や「加点項目」のほかに「減点項目」も記載されている場合があります。該当した際に審査において減点となってしまうため、公募要項の審査について書かれているところはすべてみる必要があります。

なお、加点項目に該当するには、申請時に追加書類が必要になる場合があります。補助金の審査を有利にしたいまたは補助金の審査に不安がある人は、公募要領を見て加点項目を満たすことも考えてみましょう。

専門家のサポートを受ける

補助金の採択されるポイントの4つ目は、「専門家のサポートを受けること」です。補助金の書類作成は専門的な知識が必要となる場合や時間が掛かる場合があり、専門家によるサポートを受けることで申請者の負担を軽減できます。

補助金の審査基準である申請書類の不備の確認や事業計画書作成に関するアドバイスを受けることが可能です。書類の不備を防げ、審査項目や加点項目を意識した事業計画書を作成することができ書類の質を高められます。

ただし、公募要領にて申請者自身が書類作成や申請手続きを行うことと定められている場合には、事業計画書の作成を専門家に依頼することはできません。提出書類を申請者自身が作成していないことが発覚した場合は、審査の評価に関わらず不採択となる可能性があることに留意しておきましょう。

なお、補助金によっては制度によって指定された機関のサポートを受ける必要があります。その場合は、専門家に依頼する前に指定された機関にまずは問い合わせてみましょう。

口頭審査が行われる場合もある

補助金によっては、書類審査だけでなく口頭審査が行われる場合もあります。「口頭審査」とは、申請者自身の事業計画に対する理解度を確認するために行うオンライン形式の面接のことです。

【口頭審査の具体例】

項目

概要

審査方法

オンライン(Zoom等)

審査内容

事業の適格性、革新性、優位性、実現可能性等の観点について審査を行う

※計画書に記載されていない内容も質問される場合あり

審査時間

約15分

必要なもの

  • 顔写真付きの身分証明書

例 運転免許証、パスポート、マイナンバーカード等

  • 安定したインターネットに接続したPC

※接続不良等により接続が切断された場合の再審査は行われない

  • PC内蔵または外付けのwebカメラ、マイク、スピーカー

※イヤフォン、ヘッドセットは使用不可

  • 会社内の会議室等、審査に適した環境

※公共スペースは不可、他の人が映り込まない、他の人の声を入れない

参考:事業再構築補助金およびものづくり補助金の公募要領

口頭審査はすべての申請者が行うものではなく、一定の審査基準を満たした事業者の中から必要に応じて実施される審査です。補助金事務局からの連絡を受けた事業者は、提出した事業計画から事業の適格性、革新性、優位性、実現可能性等を約15分間の面接で審査されます。

また、口頭審査では申請事業者自身1名で対応しなければなりません。申請者以外が代わりに対応することや事業計画書作成のサポートを行った専門家、社外顧問等の同席は一切認められていません。

なお、口頭審査の対象者の基準や審査内容に関する問い合わせは受け付けておらず、具体的な内容は分かりません。スムーズに回答できるよう事業計画書を読み込み、事業計画への理解度を深めましょう。

まとめ

補助金では、制度に合った取組を行う申請者を支援するために審査が行われます。審査は書類審査と一部の補助金で実施されている口頭審査があります。

書類審査では、補助金の審査基準や審査項目、加点項目等によって書類内容を審査され、評価の高かった事業計画が採択となります。補助金の公式サイトや公募要項、よくある質問などをよく読み込み、申請したい補助金の理解を深めてから申請するための準備を行いましょう。

補助金は、書類が多く書類作成の際に専門的な知識が必要です。書類作成に不慣れな人や時間がかけられない人は専門家にサポートを依頼することも採択される可能性を高めるポイントの一つです。

建設業 補助金

建設業における補助金の活用方法を解説

補助金は返済不要の資金援助制度であり、建設業を営む中小企業や一人親方も利用できる可能性があります。補助金を活用することにより、費用負担を抑えて設備投資や販路開拓などの取り組みを実施することが可能です。

当記事では、建設業における補助金の活用方法を解説します。利用できる補助金の具体例も紹介しているので、補助金を活用したいと考えている建設業の事業者は参考にしてみてください。

建設業の課題解決の取り組みに活用できる

補助金は、建設業における経営課題の解決につながるさまざまな取り組みに活用できます。補助金の申請を検討している建設業の事業者は、具体例をもとに補助金がどのような用途に活用できるのかを確認してみましょう。

【補助金の活用方法の具体例】

カテゴリ

課題

用途の具体例

設備投資

  • 新商品を開発・製造したい
  • 業務を効率化したい
  • 作業の安全性を高めたい
  • 建設機械(重機)の導入
  • 原材料加工機の導入
  • 建設用ドローンの導入

販路開拓

  • 自社の取り組みを知ってほしい
  • 新たな顧客層を取り込みたい
  • 市場の縮小に対応したい
  • webサイト制作
  • 広告・パンフレット製作
  • 展示会出展

自動化・DX化

  • 業務を効率化させたい
  • リモートワークに対応したい
  • ペーパーレス化に取り組みたい
  • 顧客管理システムの導入
  • web会議ツールの導入
  • ICT搭載建機の導入

働き方改革

  • 人材不足を補いたい
  • 週休2日制を実現したい
  • 従業員の休憩時間を確保したい
  • 専門知識や技術をもつ従業員を増やしたい
  • 勤怠・労務管理システムの導入
  • 研修費用(教材、受講料等)
  • 研修中の従業員の給与

過去の採択事例によると、建設業では「設備投資」「販路開拓」「DX化」「働き方改革」など、さまざまな取り組みにおいて補助金が利用されています。補助金ごとに制度の目的が定められており、制度の目的に沿った取り組みを実施する場合に補助金を受給できる可能性があります。

なお、補助金は原則として後払いの制度です。申請する経費を用いて事業を実施したあとで、取り組み内容や対象経費が適切であると認められた場合に補助金が支給される傾向にあるため、補助金を活用する場合でも支払いの際には自己資金が必要となる点に留意しましょう。

建設業の設備投資に利用できる

 建設業が利用できる補助金の中には、建設現場やオフィスへの設備導入に利用できる制度があります。ダンプやブルドーザー、クレーンなど建設機械として用いられる重機のほか、空調機器や収納などオフィス環境の整備のために用いられる設備など、さまざまな設備投資に補助金を利用できる可能性があります。

たとえば、補助金を活用して高性能杭打機を導入した建設業の事例があります。従来の機械では最低2人必要だった作業を1人で実施できるようになったほか、生産性と品質の向上につながったことから、これまで対応できなかった新たな市場へ参入することができました。

また、建造物の調査点検業務をより安全で効率的に行うため、高性能ドローンを導入した建設業の事例もあります。作業が困難な場所の点検を地上の安全な場所にいながら行うことができるようになったほか、作業時間や人員の削減につながり、点検から報告までの工数を大幅に削減することができました。

補助金を活用することにより、費用を抑えて設備投資を実施できる可能性があります。新商品の開発や業務効率化など、事業の課題解決につながる取り組みにおいて新しい設備を導入したいと考えている建設業の事業者は、補助金の活用を検討してみましょう。

建設業の設備投資に利用できる補助金の具体例

建設業の設備投資に利用できる補助金のひとつとして、「ものづくり補助金」が挙げられます。ものづくり補助金は革新的な商品開発や生産性向上につながる設備投資を支援する制度であり、中小企業や個人事業主が対象となります。

【ものづくり補助金の概要】

項目 概要
対象者
  • 中小企業者
  • 個人事業主(一人親方)
  • 一部の組合
  • NPO
  • 社会福祉法人
補助金額

最大1億円

※申請枠や事業規模により異なる

補助率

1/3~2/3

※申請枠や事業規模により異なる

対象経費
  • 機械装置・システム構築費
  • 技術導入費
  • 専門家経費
  • 運搬費
  • クラウドサービス利用費
  • 原材料費
  • 外注費
  • 知的財産権等関連経費
  • 海外旅費
  • 通訳・翻訳費

※申請枠により対象経費が異なる

 参考:ものづくり補助金の公式サイト

ものづくり補助金の場合、建設業における設備投資として、新商品開発のための原材料加工機や生産性向上につながるICT搭載の建設機械などを導入できる可能性があります。ものづくり補助金では、複数の項目が対象経費に含まれますが「機械装置・システム構築費」に該当する単価50万円(税抜き)以上の設備投資を行うことが必須です。

なお、ものづくり補助金のほかにも、建設業の設備投資に利用できる補助金にはさまざまな制度があります。国の補助金以外にも地方自治体が独自に実施する制度もあるため、地域のホームページや商工会議所の窓口などを活用して自社が対象となる制度を探してみてください。

建設業の販路開拓に利用できる

建設業が利用できる補助金の中には、事業や商品・サービスのPRなど販路開拓に利用できる制度があります。案件の受注が可能なホームページの制作や展示会への出展費用など、販路開拓につながるさまざまな経費に補助金を利用できる可能性があります。

たとえば、30〜40代の子育て世代をターゲットとして、既存のホームページの改修を行った建設業の事例があります。スマートフォンからの閲覧に対応させたことによりモバイル端末からのアクセスが増加したほか、施主や社員の声を掲載することにより家づくりの魅力を効果的に伝えることにつながりました。

また、展示会への出展により国内外での販路開拓を実施した建設業の事例もあります。展示会の出店費用に加えて、外国語対応の製品パンフレットや展示ブース用のポスターの作成にも補助金を活用し、費用を抑えて展示会への出展を実現しました。

補助金を活用することにより、費用を抑えて販路開拓の取り組みを実施できる可能性があります。webサイトの制作や展示会への出展など、自社のPRにつながる取り組みを実施したいと考えている建設業の事業者は、補助金の活用を検討してみましょう。

建設業の販路開拓に利用できる補助金の具体例

建設業の販路開拓に利用できる補助金のひとつとして、「小規模事業者持続化補助金」が挙げられます。小規模事業者持続化補助金は小規模事業者の販路開拓の取り組みを支援する制度であり、建設業の販路開拓につながるさまざまな経費が補助される可能性があります。

【小規模事業者持続化補助金の概要】

項目  概要
対象者
  • 小規模事業者
  • 個人事業主(一人親方)
補助金額

通常枠:最大50万円(100万円)

特別枠:最大200万円(250万円)

※()はインボイス特例適用時

補助率

  2/3

※要件を満たす事業者は3/4

対象経費
  • 機械装置等費
  • 広報費
  • ウェブサイト関連費
  • 展示会等出展費(オンラインによる展示会・商談会等を含む)
  • 旅費
  • 新商品開発費
  • 資料購入費
  • 借料
  • 設備処分費
  • 委託・外注費

 参考:小規模事業者持続化補助金の公式サイト

小規模事業者持続化補助金の場合、建設業における販路開拓として、受注につながるホームページの制作や展示会への出展にかかる費用が補助される可能性があります。小規模事業者持続化補助金は販路開拓を目的とする制度であるため、販路開拓につながると認められる場合には旅費や外注費など幅広い経費が補助対象となります。

なお、小規模事業者持続化補助金のほかにも、建設業の販路開拓に利用できる補助金にはさまざまな制度があります。国の補助金以外にも地方自治体が独自に実施する制度もあるため、地域のホームページや商工会議所の窓口などを活用して自社が対象となる制度を探してみてください。

建設業のDX化に利用できる

建設業が利用できる補助金の中には、業務のデジタル化(DX化)に利用できる制度があります。情報通信技術(ICT)が搭載された機械装置や、事務作業を自動化できるクラウド型ソフトウェアなど、業務の自動化やDX化につながるさまざまな経費に補助金を利用できる可能性があります。

たとえば、情報通信技術と車両制御技術を搭載したICTブルドーザーを導入した建設業の事例があります。ICTブルドーザーでは入力したプログラムに沿って一定の精度で施工できるため、熟練のオペレーター以外も操縦しやすく、人材不足の解消にもつながっています。

また、建設工事にかかるすべての費用を算出する積算業務を自動化するためのITツールを導入した事例もあります。図面作成に使用するCADソフトとの連携も可能であり、作業工数が減少することによってこれまで1週間を要していた積算業務が1日程度に短縮できる見込みです。

補助金を活用することにより、費用を抑えてDX化の取り組みを実施できる可能性があります。情報通信技術やソフトウェアなどを用いて、業務の自動化やDX化の取り組みを実施したいと考えている建設業の事業者は、補助金の活用を検討してみましょう。

建設業のDX化に利用できる補助金の具体例

建設業のDX化に利用できる補助金のひとつとして、「IT導入補助金」が挙げられます。IT導入補助金は生産性向上につながるITツールの導入を支援する制度であり、建設業のDX化につながるさまざまな経費が補助される可能性があります。

【IT導入補助金の概要】

項目  概要
対象者
  • 中小企業
  • 小規模事業者
  • 個人事業主(一人親方)
補助金額

ソフトウェア導入費:最大450万円

ハードウェア導入費:最大20万円

※申請枠や申請経費によって異なる

 補助率

1/2~4/5

※申請枠、申請経費、事業規模等によって異なる

対象経費
  • ソフウェア導入費
  • ハードウェア導入費(パソコン、タブレット、POSレジ等)
  • オプション(拡張機能、セキュリティ等)
  • 役務(導入研修、コンサルティング等)

参考:IT導入補助金2024公式サイト

IT導入補助金の場合、建設業におけるDX化として、積算業務を自動化するためのソフトウェアやパソコンを用いて図面作成ができる建築CADなどを導入できる可能性があります。また、IT導入補助金では導入するソフトウェアの利用に資するものであれば、パソコンやタブレットなどのハードウェアも補助対象となります。

なお、IT導入補助金のほかにも、建設業の販路開拓に利用できる補助金にはさまざまな制度があります。国の補助金以外にも地方自治体が独自に実施する制度もあるため、地域のホームページや商工会議所の窓口などを活用して自社が対象となる制度を探してみてください。

建設業の働き方改革に利用できる

建設業が利用できる補助金の中には、建設業における働き方改革に利用できる制度があります。労働時間の短縮につながる業務効率化の取り組みや、人手不足の解消による休息時間の確保など、雇用環境の改善や働き方改革につながるさまざまな経費に補助金を利用できる可能性があります。

たとえば、従業員1人当たりの業務負担が大きく充分な休憩が取れていない事業者が、新たな人材を雇用することにより従業員の休憩時間や休暇日数を確保する取り組みに利用できる補助金があります。求人媒体への掲載費用や、専門家への相談にかかった費用などにも補助金を利用できる場合があります。

補助金を活用することにより、費用を抑えて働き方改革の取り組みを実施できる可能性があります。労働時間の短縮や週休2日制の導入につながる取り組みを実施したいと考えている建設業の事業者は、補助金の活用を検討してみましょう。

なお、働き方改革に利用できる支援制度には、厚生労働省が実施する「助成金」もあります。補助金と助成金はどちらも返済不要の資金援助制度ですが、経済産業省が実施するものは「補助金」、厚生労働省が実施するものは「助成金」と呼ばれていることを予備知識として覚えておきましょう。

建設業の働き方改革に利用できる補助金の具体例

建設業の働き方改革に利用できる支援制度のひとつとして、「働き方改革推進支援助成金(業種別課題対応コース・建設業)」が挙げられます。働き方改革推進支援助成金は生産性向上による労働時間の削減など、労働環境の整備に向けた取り組みを支援する制度であり、建設業のDX化につながるさまざまな経費が助成される可能性があります。

【働き方改革推進支援助成金(業種別課題対応コース・建設業)の概要】

項目  概要
対象者
  • 中小企業
  • 個人事業主(一人親方)
助成金額

最大250万円

※選択する成果目標により上限が異なる

 助成率

3/4

※要件を満たす事業者は4/5

対象となる取組
  • 労務管理担当者に対する研修
  • 労働者に対する研修、周知・啓発
  • 外部専門家によるコンサルティング
  • 就業規則・労使協定等の作成・変更
  • 人材確保に向けた取り組み
  • 労務管理用ソフトウェア、労務管理用機器、デジタル式運行記録計の導入・更新
  • 労働能率の増進に資する設備・機器などの導入・更新
対象経費
  • 謝金
  • 旅費
  • 借損料
  • 会議費
  • 雑役務費
  • 広告宣伝費
  • 印刷製本費
  • 備品費
  • 機械装置等購入費
  • 委託費

参考:働き方改革推進支援助成金(業種別課題対応コース・建設業)|厚生労働省

令和6年4月から建設業にも時間外労働の上限規制が適用されたことにより、休暇日数や休憩時間が充分でない建設業の事業者には業務効率化や人材確保の取り組みが求められます。働き方改革推進支援助成金の場合、建設業における働き方改革として、従業員の負担軽減のために新たな人材を雇用する取り組みや業務効率化につながる設備の導入にかかる費用などが助成される可能性があります。

なお、働き方改革推進支援助成金のほかにも、建設業の働き方改革に利用できる補助金にはさまざまな制度があります。国の補助金以外にも地方自治体が独自に実施する制度もあるため、地域のホームページや商工会議所の窓口などを活用して自社が対象となる制度を探してみてください。

建設業が補助金を利用するときのポイント

建設業が補助金を利用するときのポイントは、自社の状況や申請する経費が補助対象かどうかを確認することです。補助対象となるための条件は補助金の制度ごとに異なるため、各補助金において応募時のルールが定められている「公募要領」を確認する必要があります。

【建設業において補助金を利用するときのポイント】

  • 申請したい経費が補助対象に含まれるか
  • 補助対象者の定義にあてはまっているか
  • 補助対象となる取り組みを実施できるか

補助金へ申請するための条件は、主に「対象経費」「対象者」「対象事業」に分かれています。ひとつでも満たすことができない条件がある場合には補助金を利用できない可能性があるため、補助金の申請をする前に各補助金制度の公募要領に定められている補助対象の条件を確認しておきましょう。

申請したい経費が補助対象に含まれるか

建設業において補助金を利用したいと考えている人は、申請したい経費が補助対象かどうかを確認しましょう。事業者が利用できる補助金は用途が決められている傾向にあり、補助対象として定められている項目にあてはまらない経費を申請することはできないためです。

たとえば、「機械装置費」「広告費」「旅費」が対象経費となる補助金の場合、人材育成にかかる研修費や専門家への相談費用などは補助対象外です。申請時に計上した経費の大半が補助対象外の場合、補助事業の円滑な実施が困難であるとして不採択や採択取消となる恐れがあります。

また、対象経費として認められるのは原則として補助事業に使用する場合に限られることから、パソコンや車両などの汎用性の高い経費を補助対象外としている補助金もあります。補助金には制度の目的に沿った経費項目が定められているため、申請したい経費が経費項目に含まれるかどうかの確認が必要です。

なお、補助金には補助率や補助上限額が定められている傾向にあり、申請する経費の金額に補助額を掛けた金額または補助上限額までの支給となります。採択された場合でも、購入する経費の全額が受け取れるわけではないことにも留意しましょう。

補助対象者の定義にあてはまっているか

建設業において補助金を利用したいと考えている人は、自社の業種や事業規模などが補助対象者の定義にあてはまるかどうかを確認しましょう。事業者が利用できる補助金には対象者の条件が定められており、条件にあてはまらない事業者は補助金への申請ができないためです。

たとえば、補助対象者の条件として「小規模事業者であること」と定められている補助金があります。小規模事業者の定義は業種ごとに異なり、建設業の場合は「資本金の額又は出資の総額が3億円以下」または「常時使用する従業員の数が300人以下」の事業者です。

補助金には、対象となる業種や事業規模が定められている場合があります。「建設業を営んでいること」「中小企業であること」など、補助金によって対象となる事業者の条件が異なるほか、業種によって事業規模の定義が異なることにも留意しておきましょう。

補助対象となる取り組みを実施できるか

建設業において補助金を利用したいと考えている人は、補助金を利用して取り組む「補助事業」が補助対象にあてはまるかどうかを確認しましょう。事業者が利用できる補助金には補助事業の要件が定められており、条件にあてはまらない事業には補助金が交付されないためです。

たとえば、補助事業の条件として賃上げ目標が定められている補助金があります。補助事業の実施期間中に従業員の賃上げを実施することが必須となり、補助事業終了後の報告において規定の賃上げ目標を達成しているかどうかを確認されます。

補助金に採択されていても、実際の取り組みにおいて補助事業の要件を満たすことができなかった場合は、補助金を受給できない可能性があります。補助金を受給するには、賃上げや労働生産性の向上など、補助金ごとに定められている補助事業の要件を満たす取り組みを実施しなければなりません。

なお、補助事業は補助金の申請時に提出する「事業計画」に沿って実施する必要があります。補助事業の要件に当てはまる事業計画であっても、達成が見込めないと判断される内容のものは不採択となる可能性があるため、根拠を交えて実現可能な事業計画を策定しましょう。

まとめ

補助金は、建設業における経営課題の解決につながるさまざまな取り組みに活用できます。「設備投資」「販路開拓」「DX化」「働き方改革」など、制度ごとに目的が異なるため、補助金を活用したい建設業の事業者は、取り組みたい内容に合わせて補助金を選ぶ必要があります。

補助金を利用するときのポイントは、補助金の制度ごとに定められている「対象経費」「対象者」「対象事業」それぞれの条件を満たしているかどうか確認することです。ひとつでも満たすことができない条件がある場合は補助対象外となり、補助金を受給できない可能性があります。

補助金の利用を検討している建設業の事業者は、建設業が対象となる補助金を探しましょう。経済産業省や厚生労働省が実施する国の補助金だけでなく、地方自治体が独自に設けている補助金もあるため、地域のホームページや商工会議所の窓口などを活用して自社が対象となる制度を探してみてください。