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2024/07/29
2024/5/21
この記事の監修
株式会社SoLabo 代表取締役/税理士有資格者田原 広一(たはら こういち)
融資支援実績6,000件超、補助金申請支援実績1,300件超、事業再構築補助金採択支援件数は第4回~第8回まで5回連続で日本一を獲得。 『小規模事業者持続化補助金』、『事業再構築補助金』、『IT導入補助金』は自社での申請・採択も経験。「補助金ガイド」LINE公式アカウントでは約4万人の登録者に情報発信を実施。
補助金を受給した場合、原則として補助金に直接税金が課されることはありませんが、所得が増えて納税額に影響することがあります。補助金により税金の負担が増える可能性があるため、補助金の申請を検討している人は納税額への影響も押さえておきましょう。
当記事では、課税の仕組みを交えながら補助金に税金がかかるのかを解説します。補助金の受給を検討している人や、受け取った補助金に掛かる税金に不安がある人は参考にしてみてください。
目 次
補助金として受け取ったお金は一部の税金の課税対象となります。補助金は事業所得として扱われることにより、税金によっては課税対象となる場合があるため、補助金を受給予定の人はその前提を踏まえておきましょう。
【補助金の所得が課税対象となる税金】
税金 |
詳細 |
法人税 |
法人の所得に対して課される国税 |
所得税 |
個人の所得に対して課される国税 |
住民税 |
地域に住む個人や事業所を置く法人に課される地方税 |
事業税 |
事業所得に対して課される地方税 |
課税対象となる税金として挙げられるのは「法人税」「所得税」「住民税」「事業税」です。いずれも事業所得をもとに納税額が算出される税金であり、補助金として受け取った金額も課税対象として所得の一部に含まれます。
ただし、事業が赤字の場合は原則として法人税や所得税の納付が不要です。課税対象がないものとみなされ、補助金を受給した場合でも会計処理における所得として加算されることはないため、補助金を受給予定の人は予備知識として覚えておきましょう。
補助金を受給した場合、消費税は不課税となります。消費税の区分には「課税」「非課税」「免税」「不課税」の4種類がありますが、補助金の場合は消費税の対象外である不課税取引に該当するため、補助金を受給予定の人はその前提を踏まえておきましょう。
消費税は商品やサービスの取引に対して課される税金であり、商品やサービスの対価ではない補助金の場合は消費税の課税対象外として「不課税取引」に該当します。そのため、補助金として受け取ったお金は経費の消費税に充てることができません。
なお、消費税を含む金額の経費を申請した場合は、受給した補助金に返還の義務が発生することがあります。補助金における返還の義務を知りたい人は「補助金における消費税の税区分と返還の義務をわかりやすく解説」を参考にしてみてください。
法人税や所得税は補助金を受給することにより、納税額が変動する場合があります。補助金は事業の収益として扱われ、所得額に応じて納税額が変動する法人税や所得税では、補助金を受給して所得が増加することにともない納税額も増加するためです。
法人の場合、補助金として受け取ったお金は法人税の課税対象です。法人税は企業の年間の所得額と法人税率を用いて納税額が算出されるため、補助金を受給して企業の所得が増加することにより法人税の納税額も増加します。
個人事業主の場合、補助金として受け取ったお金は所得税の課税対象です。所得税は個人の年間の所得額と所得税率を用いて納税額が算出されるため、補助金を受給して個人の所得が増加することにより所得税の納税額も増加します。
補助金を受け取ることにより経費の負担を抑えることができますが、企業の所得が増えるため、法人税や所得税の納税額が増える場合があります。補助金を受給予定の人は、翌年以降の税負担が増える可能性がある点に留意しておきましょう。
納付が必要となる法人税のおおよその金額を知ることにより、予算計画や事業計画を立てるときの目安にすることができます。補助金の受給した場合にどれくらいの法人税がかかるのかを知りたい人は、法人税の計算方法を押さえておきましょう。
【法人税の計算方法】
法人税=課税所得(年間の所得-経費・各種控除)×法人税率 |
課税所得は法人税の課税対象となる所得であり、「企業の年間の所得」から「事業にかかった経費や各種控除の金額」を差し引いて求めることができます。補助金を受給した場合、受け取った補助金を企業の年間の所得として加算することになります。
法人税率は企業の資本金や所得金額によって異なります。「資本金が1億円以上の企業は一律23.2%の法人税率」が課されますが、「資本金が1億円以下の企業は年間所得のうち800万円以下の部分に15% / 800万円を超える部分に23.2%の法人税率」が課されます。
法人税は企業の所得から各種控除を差し引いた「課税所得」に法人税率を乗じて計算します。補助金を受給した場合、課税所得には補助金として受け取った金額も含まれるため、補助金を受給しなかった場合と比較して法人税の納税額が高くなる点に留意しましょう。
法人の場合、圧縮記帳を利用して法人税の納税を翌年度以降に繰り延べできる可能性があります。補助金を受給した際の税金に不安がある人は、税金の負担を軽減できる制度があることを予備知識として覚えておきましょう。
圧縮記帳は固定資産の取得に対して補助金を受給した場合に適用可能な制度であり、高額な税負担を一時的に軽減させる仕組みです。補助金を受給した事業年度の税負担が重くなり、資金不足になることを防ぐ目的があります。
圧縮記帳が認められると、本来は受給した年度の所得として扱われる補助金を一時的に所得から除外し、翌年度以降に繰り延べることが可能です。初年度における会計上の課税所得が減額されるため、一度に多額の法人税を納付する必要がなくなります。
ただし、圧縮記帳は全ての補助金や経費に適用できるものではありません。対象となる経費は固定資産に限られるほか、法人の事業状況や提出書類などの様々な要件を満たす必要がある点に留意しておきましょう。
納付が必要となる所得税のおおよその金額を知ることにより、予算計画や事業計画を立てるときの目安にすることができます。補助金の受給した場合にどれくらいの所得税がかかるのかを知りたい人は、所得税の計算方法を押さえておきましょう。
【法人税の計算方法】
所得税=課税所得(年間の所得-経費・各種控除)×所得税率 |
課税所得は法人税の課税対象となる所得であり「企業の年間の所得」から「事業にかかった経費や各種控除の金額」を差し引いて求めることができます。補助金を受給した場合、受け取った補助金を企業の年間の所得として加算することになります。
所得税率は7段階に区分されており、事業者の課税所得の金額に応じて5%~45%の税率が適用されます。補助金を受給して課税所得が増えることにより税率の区分が変わる場合があり、納税額にも影響を及ぼす可能性があります。
所得税は企業の所得から各種控除を差し引いた「課税所得」に所得税率を乗じて計算します。課税所得には補助金として受け取った金額も含まれるため、補助金を受給しなかった場合と比較して所得税の納税額が高くなる点に留意しましょう。
個人事業主の場合、総収入金額不算入の特例を利用して所得税の納税を翌年度以降に繰り延べできる可能性があります。補助金を受給した際の税金に不安がある人は、税金の負担を軽減できる制度があることも予備知識として覚えておきましょう。
総収入金額不算入の特例は固定資産の取得に対して補助金を受給した場合に適用可能な制度であり、高額な税負担を一時的に軽減させる仕組みです。補助金を受給した事業年度の税負担が重くなり、資金不足になることを防ぐ目的があります。
総収入金額不算入の特例が認められると、本来は受給した年度の所得として扱われる補助金を一時的に所得から除外し、翌年度以降に繰り延べることが可能です。初年度における会計上の課税所得が減額されるため、一度に多額の法人税を納付する必要がなくなります。
ただし、総収入金額不算入の特例は全ての補助金や経費に適用できるものではありません。対象となる経費は固定資産に限られるほか、法人の事業状況や提出書類などの様々な要件を満たす必要がある点に留意しておきましょう
補助金の申請を検討する際、税金に関する不安がある人は専門家に相談してみましょう。専門家に相談することにより、補助金を受給した場合にかかる税金の種類や計算の方法など、税金の扱いをわかりやすく教えてもらえる可能性があります 。
【相談先の具体例】
相談先 |
概要 |
金融機関 |
資金を貸す人と借りる人の仲介をする銀行や信用金庫などの機関。税金以外にも資金調達や融資に関する相談が可能 |
士業 |
行政書士・公認会計士・税理士などの資格が必要な専門家。税務や経営など、それぞれの得意分野に関連した相談が可能 |
商工会・商工会議所 |
企業のサポートを目的とした公共経済団体。補助金に限らず中小企業向けのさまざまな支援サービスを提供している |
民間コンサルタント |
企業の課題解決に向けた提案を行う民間の会社。会社によってサポートの範囲が異なり、幅広い相談に対応している場合がある |
税金に関する相談先の具体例として挙げられるのは「金融機関」「士業」「商工会・商工会議所」「民間のコンサルタント」です。相談先の機関によってサポート内容や得意とする分野が異なりますが、補助金の中には相談先の機関が指定されている場合もあります。
補助金を受給した場合と受給しなかった場合を比較すると、受給した場合に納税額が高くなることがあります。制度によって税金の扱いが異なる可能性もあるため、補助金を受け取ったあとの税負担に不安がある人は専門家へ相談することも検討しましょう。
補助金を受給した場合、受け取った金額は一部の税金の課税対象です。補助金は企業の所得として扱われるため、所得によって納税額が変動する所得税や法人税は補助金を受け取ることにより納税額が高額となる可能性があります。
補助金を受給した年度の税負担が重くなることを防ぐため、圧縮記帳の制度や総収入金額不算入の特例が設けられています。対象者や対象経費は限られますが、これらの制度が適用されることにより納税を翌年度以降に繰り延べできます。
税金の扱いに不安がある人は、士業や民間のコンサルタントなどの専門家に相談することも可能です。補助金を受給することにより納税額が増えることが考えられるため、税金の負担に不安がある人は専門家に相談を依頼することを検討してみてください。
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