テレワークの導入に使える補助金を解説

2024/08/15

2024/8/15

この記事の監修

株式会社SoLabo田原広一

株式会社SoLabo 代表取締役/税理士有資格者田原 広一(たはら こういち)

融資支援実績6,000件超、補助金申請支援実績1,300件超、事業再構築補助金採択支援件数は第4回~第8回まで5回連続で日本一を獲得。 『小規模事業者持続化補助金』、『事業再構築補助金』、『IT導入補助金』は自社での申請・採択も経験。「補助金ガイド」LINE公式アカウントでは約4万人の登録者に情報発信を実施。

テレワークの導入を検討している人の中には、できるだけ費用を抑えてテレワークを始めたい人もいますよね。その際、国や自治体の補助金を使いたいという人もいるでしょう。

当記事では、テレワークの導入時に使える補助金の種類と対象を解説します。それぞれの補助金が向いている事業者や向いていない事業者も紹介するので、補助金でテレワークを始めたい人は当記事を参考にしてみてください。

テレワークの導入に使える補助金には事業者向けと個人向けがある

テレワークに使える補助金には、企業向けと個人向けの補助金があります。テレワークの導入に補助金を利用したいと考えている人は、企業向けと個人向けの補助金ではそれぞれ制度の目的が異なることを前提として覚えておきましょう。

【テレワークの導入に利用できる補助金と助成金一覧】

対象者 制度 制度の目的
事業者
  • 企業におけるテレワーク環境の整備
  • 従業員の働き方改革の推進

個人
  • 地域への移住・定住促進
  • 地域経済の活性化

 

テレワークの導入に利用できる事業者向けの補助金のひとつとして、厚生労働省が実施する「人材確保等支援助成金(テレワークコース)」が挙げられます。テレワークを新たに導入する事業者と導入済みのテレワークの実施拡大をはかる事業者を対象に、テレワークに必要な通信機器等の導入や従業員への研修にかかる費用の一部が補助されます。

また、テレワークの導入に利用できる事業者向けの補助金のひとつとして、大阪府河内長野市が実施する「テレワーク移住支援補助制度」が挙げられます。人口減少対策や地域経済の活性化につなげることを目的とし、市内に転入してテレワークを実施する世帯を対象に1世帯当たり10万円が一括支給されます。

テレワークの導入に利用できる補助金や助成金は、事業者向けか個人向けかによって制度の目的に違いがあります。目的の違いから申請の条件や対象となる経費も異なる傾向にあるため、補助金や助成金の申請を検討している人は申請したい制度の募集要項などを確認して、希望に合う内容かどうかを確認しましょう。

なお、補助金と助成金はどちらも返済不要の支援金を受給できる制度ですが、それぞれ異なる特徴もあります。補助金と助成金の違いについて知りたい人は「補助金と助成金の違いは?相違点と共通点からそれぞれの傾向を解説」の記事を参考にしてみてください。

事業者向けの補助金における対象経費

テレワーク導入に利用できる事業者向けの補助金における対象経費は、制度の目的である「テレワーク環境の整備」や「働き方改革の推進」などにつながる取り組みに必要となる経費です。事業者向けの補助金では、事業においてテレワークを実施できる体制を整えるためのさまざまな経費が補助対象となります。

【事業者向けの制度における対象経費】

制度 対象経費
IT導入補助金
  • テレワークに必要なITツール(ソフトウェア・ハードウェア)の導入費用
  • ITツールの導入にかかるコンサル・研修費用
  • 導入するITツールの保守サポート費用
人材確保等支援助成金(テレワークコース)
  • テレワーク用通信機器等の導入・運用費用
  • 労働者への研修費用
  • 外部専門家によるコンサルティング費用
  • 就業規則・労使協定等の作成・変更費用
テレワーク助成金
  • テレワークに必要なモバイル端末等機器整備費用
  • テレワークに必要なシステム機器等の設置・設定費用
  • システム機器等の保守委託等の業務委託料
  • 機器リース・レンタル料
  • テレワーク業務関連ソフト利用料
  • システム導入時運用サポート費用
テレワーク定着強化奨励金

以下の取り組みに対して一律で奨励金を支給

  • フレックスタイム制度の導入
  • 中抜け時間制度の導入
  • 複数の時間帯から選択できる勤務制度の導入
  • テレワークなどと組み合わせた時差出勤制度の導入
  • 有給休暇における時間単位での取得の導入
札幌市働き方改革テレワーク導入補助金
  • 事業所に設置するテレワーク用ネットワーク構築のための機器購入費
  • 事業所に設置する会議用モニターやWeb カメラ等の購入費
  • 就業規則等の改正に係る費用
  • 在宅勤務等の実施者が使用するPCやプリンターの購入費

厚生労働省が実施する「人材確保等支援助成金(テレワークコース)」は、テレワークを実施するために必要となる通信機器の導入費用や、テレワークの導入にともなう従業員への研修費用などが補助されます。新たにテレワークを導入する事業者だけでなく、すでにテレワークを導入し実施を拡大したいと考える事業者も対象です。

また、東京都が実施する「テレワーク定着強化奨励金」は、テレワークの導入とともにフレックスタイム制度の実施や有給休暇の時間単位での取得など、従業員の働き方改革につながる取り組みを支援しています。テレワーク定着強化期間中における1人当たりの週のテレワーク実施回数に応じて、最大40万円の奨励金が支給されます。

テレワークの導入に利用できる事業者向けの補助金にはさまざまな制度があり、導入した設備や利用したサービスの料金の一部が補助されるもののほか、テレワーク導入の取り組みに対して一律の補助金を受け取れるものもあります。制度によって対象となる経費の条件が異なるため、テレワークの導入に補助金の利用を検討している人は自身の用途に合った制度を探しましょう。

個人向けの補助金における対象経費

テレワーク導入に利用できる個人向けの補助金における対象経費は、テレワークを目的とする移住や、ワ―ケーションを目的とした宿泊にかかる費用です。個人向けの補助金では、転居や宿泊をともなうテレワークの実施に対して補助金や助成金が支払われる傾向にあります。

【個人向けの制度における対象経費】

制度 対象経費

ワーケーション実証費用助成金

町内の宿泊施設でワ―ケーションを実施する際の宿泊費
リモートワーク支援金
  • インターネット通信環境整備費
  • 通信費
  • 住宅賃貸契約諸費、家賃
  • レンタルオフィス等利用料
  • 県外の本店等へ赴く際の交通費(所属企業が認める場合に限る)
テレワーク移住支援補助制度

テレワークの実施を目的として市内へ転入した世帯へ一律の補助金を支給

高松市テレワーク移住補助金

県外から移住しテレワークを実施する世帯へ一律の補助金を支給

北海道上川郡新得町が実施する「ワ―ケーション実証費用助成金」は、余暇を楽しみながら仕事を行う「ワ―ケーション」を実施するために町内の宿泊施設を利用する際の宿泊費が補助対象です。町の関係者との交流会への参加やSNSでの情報発信を条件に、1泊当たり最大5,000円が補助されます。

また、秋田県が実施する「リモートワーク支援金」では、県内への移住をともなうテレワークを実施する人を対象に、テレワークを実施するための通信費やレンタルオフィスの利用料などが最大3年間にわたり補助されます。移住後1年度目においては、インターネット通信環境整備費や住宅賃貸契約諸費、家賃なども補助対象です。

テレワークの導入に利用できる個人向けの補助金にはさまざまな制度があり、導入した設備や利用したサービスの料金の一部が補助されるもののほか、転居をともなうテレワーク実施世帯に対して一律の補助金が支給されるものもあります。制度によって対象となる経費の条件が異なるため、テレワークの導入に補助金の利用を検討している人は自身の用途に合った制度を探しましょう。

サテライトオフィスの設置に利用できる補助金もある

テレワークの導入と関連するものとして、本社から離れた場所にある小規模なワークスペースである「サテライトオフィス」の設置に利用できる補助金もあります。物価の高騰による家賃の値上げの回避や従業員の通勤の利便性を考慮する場合は、サテライトオフィスの導入に使える補助金の利用も検討してみましょう。

【サテライトオフィスの導入を支援する補助金】

東京都が実施する「サテライトオフィス設置等補助金(サテライトオフィス設置コース)」の場合、23区外に建てるサテライトオフィスの家賃や運営費が補助対象です。サテライトオフィスの設置における整備・改修費が最大2,000万円、運営費が最大800万円が補助されます。

また、鳥取県が実施する「とっとり先駆型ラボ誘致・育成補助金」の場合、サテライトオフィスの設置や運営のための費用が補助対象です。「事業所改修・賃借費」「機器設備取得・賃借費」「通信費」などの対象経費が、最大200万円まで補助されます。

補助金の中には従業員に在宅ワークをさせるときだけでなく、他県へ企業のサテライトオフィスを設置するときに利用できる制度もあります。オフィスの維持費を軽減したい場合や従業員の働きやすい環境づくりに取り組みたい場合は、公的な補助金を使ってサテライトオフィスを設置することも検討してみましょう。

まとめ

テレワークの導入に利用できる補助金や助成金には、事業者向けの制度と個人向けの制度があります。それぞれ制度の目的や対象となる経費が異なるため、テレワークの導入に補助金を利用したいと考えている人は、自身の目的に合った制度を選ぶ必要があります。

事業者向けの補助金には、経済産業省が実施する「IT導入補助金」や厚生労働省が実施する「人材確保等支援助成金(テレワークコース)」などがあります。テレワークの実施において必要となる設備導入や研修費用が対象となる傾向にあります。

個人向けの補助金には、地方自治体が実施するさまざまな補助金があります。自治体の管轄する地域への転居や宿泊をともなうテレワークを実施する際に、転居費用や宿泊費が対象となる傾向にあります。

なお、本社とは別の場所に設置する小規模なワークスペースである「サテライトオフィス」の設置に導入できる補助金もあります。テレワークや働き方改革につながる取り組みのひとつとして、サテライトオフィスの設置も選択肢のひとつとして検討してみてください。

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