補助金は会計ソフトに使える?対象になるソフトウェアと補助金額を解説

2024/08/08

2023/6/13

この記事の監修

株式会社SoLabo田原広一

株式会社SoLabo 代表取締役/税理士有資格者田原 広一(たはら こういち)

融資支援実績6,000件超、補助金申請支援実績1,300件超、事業再構築補助金採択支援件数は第4回~第8回まで5回連続で日本一を獲得。 『小規模事業者持続化補助金』、『事業再構築補助金』、『IT導入補助金』は自社での申請・採択も経験。「補助金ガイド」LINE公式アカウントでは約4万人の登録者に情報発信を実施。

会計ソフトの導入や買い替えをする人の中には、会計ソフトの購入費用が補助される「補助金」を探している人もいますよね。その際、対象となる会計ソフトの商品名や補助金額などの、具体的な情報を知りたい人もいるでしょう。

当記事では、会計ソフトを対象とする補助金の種類と補助金額を解説します。補助金が使える会計ソフトの商品名も紹介するので、会計ソフトを導入したい人は、当記事を参考にしてみてください。

なお、当記事はIT導入補助金2024の公式サイトおよび小規模事業者持続化補助金の公式サイト(第14回~16回受付締切回)を元に作成しています。

国や自治体が運営する補助金には会計ソフトを対象にしたものがある

国や自治体が運営する補助金には、会計ソフトを対象にしたものがあります。や自治体の補助金を使うと、補助金を使わずに会計ソフトを導入する時より、金銭的負担を抑えて導入することが可能です。

【会計ソフトに使える国や自治体の補助金の種類と概要】

-国が運営する補助金-
名称 補助金額 補助率
IT導入補助金

通常枠:150万円未満

(4機能以上のソフトウェアを導入する場合は450万円以下)

インボイス枠:350万円以内

通常枠:1/2

デジタル枠:2/3

小規模事業者持続化補助金

通常枠:50万円以内

特別枠:200万円以内

通常枠:2/3

特別枠:2/3

※賃金引上げ枠の赤字事業者は3/4

-地方自治体が運営する補助金(抜粋)-
名称 補助金額 補助率

中小企業デジタルツール導入促進支援事業

(東京都)

5万円~100万円以内

1/2

※小規模事業者は2/3

港区中小企業デジタル技術導入促進補助金

(東京都港区)

100万円以内

※国の「ものづくり補助金」または「IT導入補助金に交付決定を受けた金額への上乗せ措置

1/2

デジタル技術活用導入支援事業補助金

(佐賀県佐賀市)

50万円以内 1/2

たとえば、補助率が2/3の「IT導入補助金 デジタル型基盤導入枠」で30万円の会計ソフトを申請する場合、「経費30万円×補助率2/3=補助金額20万円」と計算できます。このように、経費の金額に補助率を掛けると、補助金額を計算できます。

また、補助率が1/2の「中小企業デジタルツール導入促進支援事業」で同じ会計ソフトを申請する場合は、「経費30万円×補助率1/2=補助金額15万円」となります。補助金額15万円は、事業者が実績報告をした後に、事業者が指定する口座に入金されることになります。

会計ソフトが対象の補助金には、「IT導入補助金」や東京都の「中小企業デジタルツール導入促進支援事業」など複数あります。各補助金により補助される金額、補助率などが異なるので、会計ソフトを導入したい人は、補助率を使って補助金額を計算してみてください。

国の補助金にはIT導入補助金や小規模事業者持続化補助金がある

会計ソフトが対象経費になっている国の補助金には、IT導入補助金や小規模事業者持続化補助金があります。IT導入補助金や小規模事業者持続化補助金で対象となる経費は異なるので、それぞれの対象経費を確認してみましょう。

【会計ソフトを申請できる国の補助金の概要】

-IT導入補助金-
申請枠  補助対象経費 補助上限額 補助率
①通常枠

ソフトウェア

オプション

役務

<1プロセス以上>
5万円~150万円未満 
1/2以内
<4プロセス以上>
150万円~450万円以下

②インボイス枠

(インボイス対応類型)

ソフトウェア(会計・受発注・決済)

オプション

役務

ハードウェア(別途補助額と補助率の指定あり)

下限なし~350万円 2/3~4/5以内
※補助額の範囲や企業規模により異なる
-小規模事業者持続化補助金-
申請枠 補助対象経費 補助上限額 補助率
通常枠

機械装置等費

広報費

ウェブサイト関連費

展示会等出展費

旅費

新商品開発費

資料購入費

借料

設備処分費

委託・外注費

50万円  2/3以内

特別枠

  • 賃金引上げ枠
  • 卒業枠
  • 後継者支援枠
  • 創業枠
200万円

2/3以内

※賃金引上げ枠のうち赤字事業者は3/4

たとえば、IT導入補助金の場合、「freee会計」「弥生会計」「やよいの青色申告」などの会計ソフトが対象です。インボイス制度に対応する会計ソフトもあるので、これからインボイス対応をしたい個人事業主や中小企業等はIT導入補助金を使って対策ができます。

一方、小規模事業者持続化補助金の場合、生産性向上のための機械装置費として、ソフトウェアを申請できます。対象のソフトウェアは公式サイトで発表されていないものの「生産性向上」または「持続的発展」を目的とする会計ソフトの導入であれば対象となる可能性があります。

事業者が国の補助金を使うと、会計ソフトの導入にかかる自己負担を抑えられます。ただし、補助金を利用するためには申請や実績報告などの手続きが発生する点にも留意しておきましょう。

IT導入補助金ではインボイス対応の会計ソフトも補助される

インボイス対応の会計ソフトも補助の対象です。補助金で対象の会計ソフトの中には、インボイス対応の会計ソフトも複数あります。ここでは、対象の会計ソフト名が公式サイトに記載されている、IT導入補助金で対象となる会計ソフトを紹介します。

【IT導入補助金で導入できる会計ソフト】

会計ソフト名称 概要
freee会計 請求書の作成、帳簿・レポート作成などが自動化できる
弥生会計 会計に必要な機能を網羅。インボイス制度の仕訳に対応する
やよいの青色申告 はじめて確定申告する人でも、税務署に行かずにオンラインで青色申告ができる
マネーフォワードクラウド会計 銀行口座、クレジットカードなどを登録するだけで、取引を自動取得し仕訳を提案する
勘定奉行クラウドiJシステム 個別業務の自動化だけでなく、経理業務全体を制度化する
OZO3経費 勘定奉行クラウドと自動連係が可能。精算・支払い業務の入力をペーパーレスで実現する
ジョブカン経費精算  ICカード読み取りや承認経路分岐など、独自の機能で交通費精算や仕訳時間を効率化する
バクラク申請 稟議関連の作業を効率化する、経理向けの会計ソフト。領収書AI自動読取機能や申請と支払う漏れをチェックする
PCAクラウド会計 日常の取引入力をすることで、試算表から決算書までを自動作成する
農業簿記11 農業の事例を選ぶだけで伝票入力が可能。質問に答えるだけで、農業に特化した仕訳ができる
建設大臣NX Super スタンドアロン版 仕訳データの入力時に現場や業者を選択すると、適切な工事台帳や原価管理資料を出力する

参考:「ITツール・IT導入支援事業者検索」|IT導入補助金2024

たとえば、インボイス制度対応の会計ソフトには、弥生会計があります。弥生会計はIT導入補助金の対象ソフトで、インボイス制度に対応する仕訳ができる機能がついています。弥生会計には法人向けと個人向けの製品があるので、事業規模に合った機能が使えます。

また、クラウドの会計ソフトには、freee会計があります。無料版はIT導入補助金の補助対象外ですが、有償版の場合は最大2年分のプラン利用料が補助されます。freee会計には、適格請求書の発行や保存、電子帳保存法に対応した会計システムが備わっています。

インボイス制度の開始にともない、個人事業主を含む事業者は正確な適用税率と消費税額が記載された「適格請求書」の発行が必要となりました。補助金を使ってインボイス対応をしたい人は、IT導入補助金や自治体の補助金を使うことを検討してみましょう。

なお、IT導入補助金で対象の会計ソフトは、紹介した以外にもさまざまな種類があります。より多くの選択肢から会計ソフトを探したい人は、IT導入補助金の公式サイト「ITツール・IT導入支援事業者検索」から条件を入力して希望に合った会計ソフトを探してみましょう。

IT導入補助金のインボイス対応類型ではパソコンも対象となる

IT導入補助金の「インボイス枠(インボイス対応類型)」では、パソコンやタブレットなどのハードウェアも対象となります。会計ソフトや他のソフトウェアを利用するために用いる場合は、パソコンやPOSレジも補助対象経費として申請ができます。

【インボイス枠(インボイス対応類型)の対象となるハードウェア】

補助対象経費 補助上限額 補助率
  • パソコン
  • タブレット
  • POSレジ
  • 券売機
<パソコンとタブレット>
~10万円 
<POSレジと券売機>
~20万円
1/2以内

 参考:インボイス枠(インボイス対応類型)|IT導入補助金2024

たとえば、IT導入補助金でクラウド会計の1万円の年額プランを申請する場合、インボイス対応類型ならパソコンやタブレットの導入費用が最大10万円まで補助されます。ハードウェアの中でも、POSレジや券売機は補助上限額が異なり、最大で20万円までが補助されます。

また、通常枠とは異なり、インボイス対応類型では補助額の下限が設定されていません。ハードウェアを導入したい人だけでなく、5万円未満の会計ソフトを導入したい人は、インボイス枠(インボイス対応類型)の利用を検討してみましょう。

なお、IT導入補助金ではどのようなツールが補助対象となるのか詳しく知りたい人、「IT導入補助金で利用できるITツールとは?主なツールの一覧も紹介」の記事を参考にしてみてください。

地方自治体の補助金にはデジタル技術活用導入支援事業補助金がある

地方自治体の補助金には、デジタル技術活用導入支援事業補助金を始めとする、複数の補助金があります。「東京都」や「佐賀県」などのデジタル技術に関する補助金を使うと、会計ソフトの導入で最大100万円ほどの補助が受けられます。

【会計ソフトを申請できる地方自治体の補助金の概要】

-中小企業デジタルツール導入促進支援事業(東京都)-
補助対象経費 補助上限額 補助率
新たに導入するデジタルツールに係る購入費等  5万円~100万円 2/1以内
※小規模企業者は2/3以内
-港区中小企業デジタル技術導入促進補助金(港区)-
補助対象経費 補助上限額  補助率

「ものづくり補助金」および「IT導入補助金」の補助対象経費の一部

※「ものづくり補助金」および「IT導入補助金」で交付決定を受けた場合、その補助対象経費の一部を別途港区から支給する

 100万円  2/1以内
-デジタル技術活用導入支援事業補助金(佐賀県)-
補助対象経費  補助上限額  補助率
  • 導入に係る備品購入
  • 使用料及び賃借料
  • 委託料
 50万円  2/1以内

たとえば、補助率が1/2の東京都の「中小企業デジタルツール導入促進支援事業」の場合、中小企業者は会計ソフトを200万円まで申請できます。この補助金は補助上限額が100万円なので、補助上限額が満額になる経費の金額は200万円だからです。

地方自治体の補助金では、最大100万円程度の補助金額が補助率1/2以内で補助されます。自治体の補助金で会計ソフトを購入したい人や、IT導入補助金で2回目に申請できない人は、地方自治体の補助金を使って会計ソフトを購入することも検討してみましょう。

なお、IT導入補助金の交付決定者が地方自治体の補助金に申請する場合、同じ経費は申請できないことがあります。過去にIT導入補助金に採択された人は、各補助金の公募要領や「IT導入補助金の2回目に申請できる条件と懸念点を解説」を参考にしてみてください。

この記事のまとめ

国や自治体が運営する補助金には、会計ソフトを対象にしたものがあります。IT導入補助金はソフトウェアやハードウェアなどのITツールの導入を支援する補助金であり、会計ソフトも対象です。小規模事業者持続化補助金は、機械装置費として会計ソフトが補助されます。

また、IT導入補助金の「インボイス枠(インボイス対応類型)」では、パソコンやタブレットなどのハードウェアも補助対象となります。会計ソフトや他のソフトウェアと一緒に導入する場合は、ハードウェアも補助対象経費として申請できます。

会計ソフトの中には、インボイス対応の会計ソフトも複数あります。インボイス制度対応の会計ソフトの場合、弥生会計やfreee会計があります。インボイスの対応を補助金で行いたい人は、国や自治体の補助金などを検討してみましょう。

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