事業承継引継ぎ補助金のスケジュールを申請から補助金交付まで解説

2024/07/04

2024/7/4

この記事の監修

株式会社SoLabo田原広一

株式会社SoLabo 代表取締役/税理士有資格者田原 広一(たはら こういち)

融資支援実績6,000件超、補助金申請支援実績1,300件超、事業再構築補助金採択支援件数は第4回~第8回まで5回連続で日本一を獲得。 『小規模事業者持続化補助金』、『事業再構築補助金』、『IT導入補助金』は自社での申請・採択も経験。「補助金ガイド」LINE公式アカウントでは約4万人の登録者に情報発信を実施。

事業承継やM&Aをしたい人の中には、事業承継・引継ぎ補助金のスケジュールを知りたい人もいますよね。その際、事業承継・引継ぎ補助金の公式ページを見ても、どこを見れば最新の情報が記載されているのか、分からない人もいるでしょう。

当記事では、事業承継・引継ぎ補助金の申請スケジュールを解説します。補助事業の締め切りや申請準備をいつまでにすればよいかも解説するので、事業承継・引継ぎ補助金に申請する可能性がある人は、当記事を参考にしてみてください。

なお、当記事は事業承継・引継ぎ補助金の公式サイトをもとに作成しています。

10次公募の申請締切は2024年7月31日

事業承継・引継ぎ補助金の10次公募の申請締め切りは2024年7月31日17:00です。事業承継・引継ぎ補助金のスケジュールは年間計画として公開されないため、公式サイトから新着情報を随時確認する必要があります。

【10次公募のスケジュール】

募集枠

専門家活用

申請受付期間

2024年7月1日~2024年7月31日(水)17:00

交付決定日

8月末~9月初頭(予定)

事業実施期間

交付決定日~2024年11月22日(金)

実績報告期間

2024年8月29日(木)~2024年11月25日(月)

補助金交付手続き

2024年12月中旬以降(予定)

参考:専門家活用「事業スケジュール」|事業承継・引継ぎ補助金

事業承継・引継ぎ補助金には「経営革新」「専門家活用」「廃業・再チャレンジ」の3つの枠がありますが、10次公募では「専門家活用」枠のみの募集です。7月1日〜7月31日までの1カ月間の募集となり、採択された場合に補助金を受け取ることができる時期は年末ごろとなる見込みです。

なお、交付決定日や交付申請手続きの時期は暫定であり、状況により変更となる可能性があります。日程が確定次第、事業承継・引継ぎ補助金の公式サイトにて発表されるため、最新の情報を知りたい人は公式サイトの「事業スケジュール」もあわせて確認してみてください。

事業承継・引継ぎ補助金の申請から補助金交付までのスケジュールを把握する

事業承継・引継ぎ補助金のスケジュールを把握する際は、申請のスケジュールだけでなく、補助金交付までスケジュールまで把握しておきましょう。事業承継・引継ぎ補助金の全体のスケジュールを把握すると、申請時のミスや交付決定後のトラブルの防止につながります。

【把握すべきスケジュールの種類】

項目

備考

公募要領は公開されているか

事業承継・引継ぎ補助金の公式サイトの「公募要領等ダウンロード」からダウンロードが可能

申請期間はいつか

2024年7月1日~2024年7月31日(水)17:00

電子申請で必要なGビズIDプライムアカウントはいつ申請すればいいか

申請の2~3週間前

(アカウント発行に2週間程度要するため)

交付決定された場合、補助事業(専門家との契約等)はいつ行えばいいか

交付決定日~2024年11月22日(金)までに完了させる

事務局への報告はいつ行えばいいか

〈実績報告〉

補助事業の完了時に、実績報告書を提出する

〈事業化状況報告〉

補助事業期間終了後、3年間にわたり実施

参考:公募要領(10次公募)|事業承継・引継ぎ補助金

事業承継・引継ぎ補助金の電子申請で必要となるGビズIDプライムアカウントは、申請から取得までに2週間程度かかる可能性があります。事業承継・引継ぎ補助金に申請したい日から起算して、遅くとも2週間前にはGビズIDプライムアカウントを申請しましょう。

また、事業承継・引継ぎ補助金の10次公募の場合、交付決定を受けたら2024年11月22日までに補助事業を終える必要があります。専門家との契約や補助対象経費の支払いは、2024年11月22日までに済ませなければなりません。

事業承継・引継ぎ補助金の申請をする人は、締切だけでなく申請に関連するGビズIDプライムアカウントの申請や認定支援機関への相談時期などもあわせて計画をたてる必要があります。不備なく申請を行えるよう、スケジュールが確定するまでは公式サイトを随時確認しましょう。

申請前に交付希望の申請枠の公募要領をダウンロードして読む

事業承継・引継ぎ補助金に申請を予定している人は、申請の前に交付希望の申請枠でダウンロードして読みましょう。事業承継・引継ぎ補助金の公募要領とは申請ルールをまとめたもので、公募回ごとに更新され、3つの申請枠ごとに別の公募要領が用意されています。

【事業承継・引継ぎ補助金の対象事業と類型の概要】※10次公募では「専門家活用枠」のみ募集

申請枠

類型

概要

経営革新枠

創業支援型

中小企業者等が、事業承継やM&Aで設備や従業員を引継ぎ事業開始する際、かかる事業費の一部を支援する

経営者交代型

中小企業者等が、親族内承継や従業員承継で新たに事業を始める際、かかる事業費の一部を支援する

M&A型

中小企業者等が、事業再編・事業統合等で新たに事業を始める際、かかる事業費の一部を支援する

専門家活用枠

買い手支援型

中小企業者等が株式や経営資源を譲り受ける事業再編・事業統合をする際、かかる専門家契約費を支援する

売り手支援型

中小企業者等が株式や経営資源を譲り渡す事業再編・事業統合をする際、かかる専門家契約費を支援する

廃業・再チャレンジ枠

〈併用申請〉

経営革新枠または専門家活用枠を利用する際、併用申請することで、廃業にかかる経費を支援する

〈単独申請〉

廃業して新たな事業に取り組む際、廃業にかかる経費を支援する

参考:公式サイト(7次公募~)|事業承継・引継ぎ補助金

たとえば、経営革新枠の公募要領を読むと、「創業支援型」「経営者交代型」「M&A型」の3つの申請型があることや、補助対象経費や補助金額の説明が記載されています。

また、専門家活用枠の公募要領の場合、「買い手支援型(Ⅰ型)」と「売り手支援型(Ⅱ型)」があることや、補助対象経費や補助金額の説明が記載されています。

事業承継・引継ぎ補助金では、補助対象事業や補助対象経費の支払い時期も決まっています。公募スケジュールを確認する際は、事業承継・引継ぎ補助金の公式サイトから最新の公募要領をダウンロードして、各申請枠の理解を深めるようにしましょう。

申請受付期間に間に合うよう電子申請j Grantsから申請する

事業承継・引継ぎ補助金の申請方法は電子申請「j Grants」での申請です。事業承継・引継ぎ補助金に申請したい人は、申請受付期間中にj Grantsから申請してください。J Grantsにログインするには、無料で作成できる「GビズIDプライムアカウント」が必要です。

【j GrantsとGビズID】

Webサイト名

概要

j Grants

国や自治体の補助金にネットで申請できる、日本政府公式のWebサイト

GビズID

補助金や年金などの行政サービスにログインするためのID。GビズIDにはエントリーやプライムなどの種類がある

たとえば、経営革新枠の場合、事業承継・引継ぎ補助金の公式サイトから申請しようとすると、「交付申請手続き」ページの一番下には「j Grantsホームページ」としてj Grantsへのリンクが貼られています。

また、「交付申請手続き」ページから「j Grantsホームページ」をクリックする場合は、「j Grantsホームページ」のトップページが表示され、ログインボタンをクリックすると、GビズIDを求められます。

事業承継・引継ぎ補助金は、電子申請「j Grants」のシステムを利用する補助金です。最近ではj Grantsのシステムを使った電子申請が増えているため、事業承継・引継ぎ補助金以外の補助金にも関心がある人は、GビズIDの作成を検討してみましょう。

なお、GビズIは「エントリー」「メンバー」「プライム」の3種類があります。事業承継・引継ぎ補助金で使うGビズIDは「GビズIDプライムアカウント」なので、GビズIDを取得する際は間違えないように注意してください。

GビズIDプライムのアカウント登録に必要なものを揃える

GビズIDプライムの申請を行う際は、パソコンや印鑑証明書などが必要です。GビズIDプライムは郵送またはオンラインによる申請が可能であり、それぞれ申請に必要なものが異なるため、スムーズにGビズIDプライムアカウントを取得するためにアカウント申請に必要なものを確認しましょう。

【GビズIDプライムのアカウント登録に必要なもの】

申請方法

項目

備考

共通

メールアドレス

  • ログインする際のアカウントIDとなる
  • ワンタイムパスワードを取得するためにも使用する

パソコン

〈対応OS〉

Windows10、11

MacOS 14以上

〈対応ブラウザ〉

Microsoft Edge

Google Chrome

Safari

※いずれも最新版

【スマートフォンの場合】

iPhone:iOS 17以上

Android:AndroidOS 14以上

スマートフォン/携帯電話

SMS(ショートメッセージサービス)を受信できる端末を用意

郵送

プリンター

  • 作成した申請書を印刷するために必要
  • 印刷した申請書に押印する

印鑑証明書/印鑑登録申請書

  • 個人事業主の場合は印鑑登録証明書となる
  • 発行日より3ヶ月以内の原本が必要

オンライン

マイナンバーカード

  • 署名用電子証明書暗証番号(英数字6-16桁)
  • 券面事項入力補助用暗証番号(数字4桁)

GビズIDアプリ

マイナンバーカード読み取りのために必須

参考:ご利用ガイド(GビズIDクイックマニュアルgBizIDプライム編)|GビズID

たとえば、メールアドレスの場合、GビズIDプライムアカウントの申請で「jigyou@~」のメールアドレスを登録したとすると、j Grantsにログインする際のIDは「jigyou@~」となります。

また、パソコンのWindowsの場合、OSはWindows10または11で、ブラウザはMicrosoft EdgeまたはGoogle Chromeの最新版が推奨されています。推奨環境以外からGビズIDを申請した場合、申請手続きが最後まで完了しない可能性があります。

事業承継・引継ぎ補助金の手続きは電子申請なので、申請する予定の人は、早めにGビズIDの申請準備を始めましょう。GビズIDの申請については、GビズIDサイトのご利用ガイド「GビズID クイックマニュアル gBizIDプライム編」を参考にしてみてください。

経営革新と廃業・再チャレンジでは認定支援機関に申請前に相談する

事業承継・引継ぎ補助金の「経営革新」枠と「廃業・再チャレンジ」枠では、申請の前に認定支援機関に相談しましょう。経営革新枠と産業・再チャレンジ枠では、申請時に必要な書類の中に認定支援機関が発行する「確認書」が含まれているためです。

【事業承継・引継ぎ補助金の経営革新枠の必要書類の例】

すべての申請者

事業譲渡を受ける個人事業主の場合

  • 交付申請書
  •  認定支援機関による確認書
  • 住民票(発行から3ヶ月以内のもの)
  • 税務署の受付印のある直近 3 期分の確定申告書 B(第一表・第二表)
  • 所得税青色申告決算書

参考:経営革新枠 公募要領(9次公募)|事業承継・引継ぎ補助金

たとえば、経営革新枠に申請する事業者の場合、「交付申請書」「認定支援機関による確認書」が必要で、事業譲渡を受ける個人事業主なら、さらに「住民票」「確定申告書B」「所得税青色申告決算書」も必要です。

認定支援機関に相談することにより、専門的な立場から「対象事業者の要件を満たすか」といった視点で申請内容を確認してくれます。認定支援機関は全国各地にあるので、認定支援機関を探す際は「認定経営革新等支援機関検索システム」で条件を指定して調べてみましょう。

交付決定は締め切りのあと約1ヶ月で発表される

事業承継・引継ぎ補助金では、申請締切から1ヶ月〜1ヶ月半程度で採択結果が公開されます。交付決定は事業承継・引継ぎ補助金の「公式サイト」および「jGransts」で発表され、発表された日が「交付決定日」となります。

補助事業を実際に行うことができる期間は、交付決定日から公募回ごとに指定されている期日までとなります。10次公募の場合、補助事業実施期間は交付決定日〜2024年11月22日(金)と指定されているため、この期間内であれば事業者は補助事業を実施する期間を自由に設定できます。

事業承継・引継ぎ補助金では、申請締切日からおおよそ1ヶ月〜1ヶ月半後に交付決定の発表があります。交付決定を受けるとすぐに補助事業を始められるので、事業承継・引継ぎ補助金に申請する事業者は、交付決定後すみやかに補助事業に取り組めるよう準備をしておきましょう。

補助事業完了日から起算して30日以内を目処に実績報告を提出する

事業承継・引継ぎ補助金で交付決定を受けた人は、補助事業完了日から起算して30日以内を目処に「実績報告」を提出しなければなりません。実績報告での必要書類は、事業者がどのような事業承継・引継ぎをするのかによって異なります。

【経営革新枠で個人事業主が実績報告をする際の必要書類】

事業承継形態

被承継者

必要書類

事業譲渡

法人

  • 事業譲渡契約書
  • 移動した資産・負債の一覧
  • 事業譲渡が行われたことの証明書(徴収書、検収書、開廃業届など)
  • 開業届

(申請時に開業前の承継者の場合)

個人事業主

株式譲渡

株式を保有された法人

  • 株式譲渡契約書
  • 被承継者の株式譲渡前と株式譲渡後の株主名簿
  • 議事録および履歴事項全部証明書

(譲渡後に取締役の交代等が行われている場合)

参考:経営革新枠 公募要領(9次公募)|事業承継・引継ぎ補助金

たとえば、事業譲渡で法人から事業を譲り受ける場合、実績報告の際には「事業譲渡契約書」「移動した資産・負債の一覧」などの書類が必要となります。

事業承継・引継ぎ補助金では、交付決定後に補助事業を行い、補助事業の完了時に実績報告を行います。実績報告時には必要な提出書類があるので、これから事業承継・引継ぎ補助金に申請する人は、事業承継の際の契約書や開業届を忘れずに保管しておきましょう。

補助金交付は実績報告後の確定検査後に振り込まれる

事業承継・引継ぎ補助金の補助金交付は、実績報告後の確定検査の後に振り込まれます。確定検査では、事業者が申請する経費が補助対象かどうかを確認するため、事業承継・引継ぎ補助金事務局が実績報告で提出された内容の確認と精査をします。

【事業承継・引継ぎ補助金の補助対象経費】

経営革新枠

専門家活用枠

廃業・再チャレンジ枠

  • 人件費
  • 店舗等借入費
  • 設備費
  • 原材料費 など
  • 専門家への謝礼
  • 委託費
  • システム利用料
  • 在庫廃棄費 など
  • 廃業支援費
  • 原状回復費
  • リースの解約費
  • 移転・移設費用

参考:各申請枠の公募要領|事業承継・引継ぎ補助金

たとえば、専門家活用枠の場合、専門家への謝礼やM&Aマッチングサイトの利用料などが補助対象となります。確定検査では契約書や領収書の金額が妥当なのか、補助対象期間中に契約と支払いがされたかなどが検査されます。

事業承継・引継ぎ補助金でもらえる補助金は、確定検査のあとに振り込まれます。経費の支払い時には一度申請者が全額を立て替える必要があるので、資金の用意をしてから事業承継・引継ぎ補助金に申請しなければならないことに留意しておきましょう。

まとめ

事業承継・引継ぎ補助金の10次公募は、2024年7月31日17:00まで公募されます。事業承継・引継ぎ補助金のスケジュールは年間計画として公開されないため、事業承継・引継ぎ補助金のスケジュールを知りたい人は随時公式サイトで最新の情報を確認してください。

事業承継・引継ぎ補助金の補助事業は、交付決定日から補助事業完了日までの「対象期間」中に行います。補助事業完了日は申請する経営革新や専門家活用などの申請枠ごとに定められていますが、10次公募の場合は専門家活用枠のみの募集であり、2024年11月22日までとなっています。

事業承継・引継ぎ補助金のスケジュールを把握する際は、申請のスケジュールだけでなく、補助金交付までスケジュールまで把握しましょう。事業承継・引継ぎ補助金の全体のスケジュールを把握することにより、申請時のミスや交付決定後のトラブルの防止につながります。

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