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2024/06/27
2023/11/30
この記事の監修
株式会社SoLabo 代表取締役/税理士有資格者田原 広一(たはら こういち)
融資支援実績6,000件超、補助金申請支援実績1,300件超、事業再構築補助金採択支援件数は第4回~第8回まで5回連続で日本一を獲得。 『小規模事業者持続化補助金』、『事業再構築補助金』、『IT導入補助金』は自社での申請・採択も経験。「補助金ガイド」LINE公式アカウントでは約4万人の登録者に情報発信を実施。
補助金が併用できる場合、返済不要の資金を同時に調達できるようになるため、複数の補助金に申請したいと考える人もいますよね。その際、補助金の併用が公式に許可されているのか、無駄な手続きをしないためにも事前に確認したい人もいるでしょう。
当記事では、補助金の併用ができるのかについて、根拠を交えて解説します。具体的に併用できる補助金とできない補助金の種類も紹介するので、補助金の併用が気になる事業者や個人の人は当記事を参考にしてみてください。
なお、当記事では補助金と同じ意味で使われることがあるため、助成金、給付金等に関しても内容に含まれます。
目 次
補助金は併用申請ができます。なぜなら事業者向けの補助金と個人向けの補助金の多くは、補助金の交付規定に「複数の補助金に申請してはいけない」という規定が書かれていないからです。
事業者向け | ||
1つ目の補助金 | 2つ目の補助金 | 申請可否 |
事業再構築補助金 | 小規模事業者持続化補助金 | 可 |
小規模事業者持続化補助金 | IT導入補助金 | 可 |
ものづくり補助金 | 事業再構築補助金 | 可 |
IT導入補助金 | ものづくり補助金 | 可 |
個人向け | ||
1つ目の補助金 | 2つ目の補助金 | 申請可否 |
子育てエコホーム支援事業 |
住まいの復興給付金(復興省の補助事業) | 可 |
子育てエコホーム支援事業 |
外構部の木質化対策支援事業 (林野庁の事業) |
可 |
たとえば、事業者向けの補助金である「事業再構築補助金」と「小規模事業者持続化補助金」へ同時期に申請することは可能です。
また、個人向けの補助金である「子育てエコホーム支援事業」と復興庁が実施する「住まいの復興給付金」へ同時期に申請することも可能です。
複数の気になる補助金がある場合、申請や書類作成の時間が取れるならば併用申請を検討してもよいでしょう。ただし、補助金によって締め切りが異なるので、同時期に2つ以上の補助金に申請する際は時間管理に留意して申請準備に取り組みましょう。
なお、補助金は使った経費に対して国が経費分のお金の一部を振り込む後払いの制度です。複数の補助金を併用すると最初に申請者が用意すべき資金も増えるので、補助金を併用する場合は、資金繰りに留意しましょう。
申請する補助金の要項に併用できないと記載がある場合、補助金を重複して受け取ることはできません。そのため、仮に併用不可の補助金に2つ以上採択された場合は、受給するひとつの補助金以外すべてを辞退することになります。
併用できない補助金の判断基準は、補助金の公募要領や公式サイトに「併用できない」と記載があるかどうかです。併用不可の文面にはさまざまな形式があるので、注意深く文章を読み解く必要があります。
【補助金が併用できない根拠】
対象 | 補助金名 | 併用不可の記載 |
事業者向け |
ものづくり補助金 |
「補助対象経費の重複に限らず、テーマや事業内容から判断し、本事業を含む補助金若しくは委託費と同一若しくは類似内容の事業(※中略※)の重複がある事業を申請する事業者は補助対象とならない」 |
事業再構築補助金 |
「補助対象経費が重複していない場合でも、テーマや事業内容が国が支出する他の制度と同一又は類似内容の事業である場合は対象外となります」 |
|
IT導入補助金 |
「国及び中小機構その他の独立行政法人の他の補助金等と重複する事業については、補助事業の対象として含んでいないこと」 |
|
個人向け |
(P.11) |
原則として、本事業と補助対象が重複する国の他の補助制度との併用はできません。 |
「ガーデニング等整備助成との併用不可」 |
||
「同一の傷病等による厚生年金保険の障害厚生年金または障害手当金を受けている場合、傷病手当金は支給されません」 「資格喪失後に傷病手当金の継続給付を受けている方が、老齢退職年金を受けている場合、傷病手当金は支給されません」 |
併用受給ができない主な補助金は、同じ事業を支援する補助金同士、または、同じ経費を支援する補助金同士です。補助金の要項や公式サイトで併用可否を判断しづらい場合は、補助金の事務局に問合せすることも検討してみましょう。
なお、補助金の併用について記載されている箇所は、補助金の種類によって異なります。補助金の併用を検討している場合は、申請する補助金の公募要領や公式サイトなどから併用に関する記載を確認しましょう。
国を財源とする事業者向けの補助金の場合、同じ事業や経費において2つ以上の補助金を受給することはできません。とはいえ、事業者向けの補助金の中には一度交付を受けても「別の申請枠なら2度目の交付が可能」という補助金もあります。
事業者の場合、補助金の併用ができない場合がほとんどですが、別の事業や別の時期であれば併用できる可能性があります。補助金のルールは各補助金により異なるため、補助金の併用を検討している人は併用したい補助金のそれぞれのルールを調べてみましょう。
併用できる事業者向けの補助金の具体例を紹介します。「別の事業で申請する補助金」「ライフラインの意味で支給される補助金」などの場合、2つ以上の補助金を併用して受給できる可能性があります。
【併用できる事業者向けの補助金の例】
1つ目の補助金の申請内容 | 2つ目の補助金の申請内容 | 併用可否 |
【補助金名】 事業再構築補助金 【申請内容】 |
【補助金名】 小規模事業者持続化補助金 【申請内容】 コワーキングスペースに出張で税務相談ができるサービスを創業する |
可 |
【補助金名】 IT導入補助金 【申請内容】 薬局での業務効率化のため、レセコン一体型の電子薬歴を導入する |
【助成金名】 人材開発支援助成金 【申請内容】 中堅の薬剤師にリーダーとしての研究を受けさせるため、研修を受けさせる |
可 |
たとえば、事業再構築補助金で「飲食店のテイクアウト」事業が採択された事業者がいたとします。この事業者が別の「WEBマーケティング事業」で申請するなら、「小規模事業者持続化補助金」で新たに補助金を受給できる可能性があります。
また、IT導入補助金で薬局が「電子薬歴の導入」で採択された場合は、同時期に人材開発助成金も受け取れる可能性があります。なぜなら、IT導入補助金で支援されるのは薬局の受付の効率化で、人材開発助成金で支援されるのは社員のリーダー育成なので、補助されるジャンルが異なるためです。
事業者向けの補助金を併用して受け取りたい場合は、別の事業を申請するか、または、厚生労働省が管轄の人材育成系の助成金を検討しましょう。補助金採択者向けの追加措置としての補助金を実施している自治体もあるので、より多くの補助を受けたいと考えている人は採択者向けの補助金も調べてみましょう。
併用して交付されない事業者向けの補助金の例を紹介します。同じ事業者が同じ事業で申請する場合、同じ目的で支援される国と自治体が実施する補助金同士は、重複して受け取れません。
【併用できない事業者向けの補助金の例】
1つ目の補助金と申請内容 | 2つ目の補助金の申請内容 | 併用可否 |
【補助金名】 ものづくり補助金 【申請内容】 飲食店が自然派のピザ開発でピザ窯を申請する |
【補助金名】 小規模事業者持続化補助金 【申請内容】 飲食店が自然派のピザ開発で広告費を申請する |
不可 |
【補助金名】 事業再構築補助金 【申請内容】 ビジネスホテルをワーケーション施設に改装するため改装費を申請する |
【補助金名】 ものづくり補助金 【申請内容】 ビジネスホテルをワーケーション施設に改装するため予約システム費を申請する |
不可 |
【補助金名】 IT導入補助金 【申請内容】 レジ業務を効率化するため、POSレジシステム一式を申請する |
【補助金名】 小規模事業者持続化補助金 【申請内容】 レジ業務を効率化するため、新たなポイントシステムを宣伝する広報費を申請する |
不可 |
【補助金名】 サイバーセキュリティ対策促進助成金 (東京都) 【申請内容】 WEB関連企業がコンテンツセキュリティ対策製品を申請する |
【補助金名】 IT導入補助金 【申請内容】 WEB関連企業がサイバーセキュリティお助け隊サービス利用費を申請する |
不可 |
たとえば、ものづくり補助金と小規模事業者持続化補助金で「自然派のピザ開発」事業を提出するなら、補助金の重複受給はできません。仮に、もうひとつの補助金を受給することを隠したまま両方の補助金を受給した場合、不正受給として罰則を受けます。
ものづくり補助金や事業再構築補助金など国を財源とする事業者向けの補助金は、同じ事業で同時期に2つ以上の制度を利用することはできません。他の事業もしている場合は他の事業で、他の会社も運営している場合は他の会社として申請してみましょう。
申請したい補助金の併用が可能かは無料で診断できます。小規模事業者持続化補助金とIT導入補助金などの複数の補助金の併用は事業や申請の内容やなどによって可否が異なるため、下記診断をお試しください。
児童手当や住宅の給付金など個人向けの補助金は、財源が国の税金であっても、併用可能なケースが多く存在します。なぜなら、個人向けの補助金は国民の生活を支える側面があるため、事業者向けの補助金と比べ支援される経費のジャンルが幅広いためです。
たとえば、新築住宅購入費用や失業時の住居確保支援金のほか、子供の医療費や給食費の無償化など、個人向けの補助金や給付金は生活全般に幅広く存在します。そのため、個人の場合は複数の補助金を併用できる傾向にあります。
ただし、似たような目的をもつ補助金は併用できない場合があります。補助金のルールは各補助金により異なることがあるため、補助金の併用を検討している人は、併用したい補助金のそれぞれのルールを調べてみましょう。
併用できる個人向けの補助金の具体例を紹介します。同じ目的の補助金でも、財源が国と自治体で異なる場合や、補助する経費が異なる場合は、併用できることがあります。
【併用できる個人向けの補助金の例】
1つ目の補助金と申請内容 | 2つ目の補助金の申請内容 | 併用可否 |
【補助金名】 【申請内容】 子育て世帯がZEH水準を満たす新築分譲住宅の購入費を申請する |
【補助金名】 【申請内容】 東京都で省エネ性能に優れる住宅を注文するため、購入費を申請する |
可 |
【補助金名】 【支給内容】 CEV(クリーンエネルギー自動車)の購入費用を申請する |
【補助金名】 戸建住宅におけるV2H普及促進事業(東京都) 【支給内容】 CEVの購入に際し、V2H(家での自動車充電システム)の導入費用を申請する |
可 |
【補助金名】 【申請内容】 元の給湯器が壊れたため、高効率給湯器を申請する |
【助成金名】 【申請内容】 家をリフォームするので、冷暖房のエネルギー消費を抑える工事を申請する |
可 |
たとえば、経済産業省が管轄の「給湯省エネ事業」の場合、国土交通省の実施する「サステナブル建築物等先導事業」と一部併用が可能です。そのため、給湯器を買い替える補助金を受け取りつつ、家の冷暖房のリフォーム工事費の補助金を受け取れる場合があります。
個人の住宅補助金の場合、住宅、給湯器、窓など補助金の種類はさまざまあり、対象の経費が異なれば併用できます。ただし、個人向けの補助金は予算が埋まると1回の実施で受付が終了になることもあるので、申請前に各補助金の公式情報を確認してみてください。
併用して交付されない個人向けの補助金の具体例を紹介します。1つの自治体の中で実施される補助金と、2つ目の補助金の申請内容に類似性がある場合は、補助金は併用できません。
1つ目の補助金と申請内容 | 2つ目の補助金の申請内容 | 併用可否 |
【補助金名】 (埼玉県) 【申請内容】 既存の住宅にエネファーム(家庭用燃料電池)を導入 |
【補助金名】 (埼玉県新座市) 既存の住宅に蓄電池を導入 |
不可 |
【補助金名】 【申請内容】 再生エネルギーを考慮した新築分譲住宅の購入費を申請する |
【補助金名】 (環境省/経済産業省) |
不可 |
【補助金名】 (環境省/経済産業省) 【申請内容】 再生エネルギーを考慮し、定置型蓄電システム費を申請する |
【補助金名】 地域型住宅グリーン化事業 (国土交通省) 【申請内容】 新築住宅における木造の認定長期優良住宅費を申請する |
不可 |
【補助金名】 (兵庫県) 【申請内容】 兵庫県の土地購入価格の割引を申請する |
【助成金名】 (兵庫県) 【申請内容】 再生エネルギーを考慮し、ハイブリッド給湯システムを備えた住宅の費用 |
不可 |
個人向けの併用できない補助金は、同じ自治体の中で実施されている場合や、国の省庁で別の管轄が実施する場合があります。公式サイトや交付規定を読んでも併用可否がわからない場合は、補助金の公式サイトに記載の連絡先へ問い合わせをしてみましょう。
補助金と税制優遇やクラウドファンディングなら、併用が可能です。なぜなら、補助金と税制優遇やクラウドファンディングは別の制度で財源も異なるため、補助金の重複には当たらないからです。
制度名 | 概要 |
税制優遇 |
<事業者向け>
一定の設備投資を行った中小企業は、7%の税額控除か、30%の特別償却が認められる <個人向け>
住民税の支払い先を選べる制度。 任意の自治体に寄付をすると、2千円を除いた全額が控除される |
経営力向上計画 |
<事業者向け>
中小企業者等が、認定を受けた経営力向上計画に基づき一定の設備を新規取得した場合、即時償却または法人税(所得税)の取得価額の10%(資本金3000万円超1億円以下の法人は7%)の税額控除を選択適用できる |
クラウドファンディング |
国内最大のクラウドファンディング。 プロジェクトを立ち上げ寄付が集まれば、資金をプロジェクトに利用できる。
社会派のクラウドファンディング。 社会問題が多く扱われる。
物販と体験に特化したクラウドファンディング。 |
融資 |
<事業者向け>
<個人向け>
|
補助金の併用が難しい場合は、税制優遇やクラウドファンディングなどで資金調達することもひとつの方法として検討してみましょう。
2つ以上の補助金に申請する場合は、いくつかの注意点があります。
【2つ以上の補助金に申請する場合の注意点】
|
事業内容や対象経費が同じものである場合や、既に申請した補助金名の記載が必要であるにもかかわらず記載せずに申請をおこなった場合は、申請しても補助金を受給することはできません。補助金の申請の時間を無駄にしないためにも、申請する補助金の事業内容と経費は同じでないか、申請した補助金名を記載する義務はないか、確認してみてください。
補助金の併用は、申請は可能ですが、受給はできる場合とできない場合があります。事業者向けの補助金の場合、申請内容が同じ事業または同じ経費なら、事業再構築補助金や小規模事業者補助金などは併用して同時期に受け取ることはできません。
一方、個人向けの補助金の場合は、生活のための給付金であれば併用して受け取れることがあります。併用して受け取れない補助金であれば、交付規定や公式サイトに「併用できない」と記載があるので、申請前に確認することが大切です。
補助金のルールは各補助金により制度が異なり、同一の補助金であっても別の枠であれば併用申請ができる場合や、前回の交付から12か月が経過していれば申請できる場合もあります。併用したい補助金がある人は、該当の補助金におけるルールを確認しましょう。
なお、補助金の併用が難しい場合は税制優遇やクラウドファンディングで資金調達をするのもひとつの方法です。
使いたい補助金が決まっているので、
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