保育園における補助金の活用方法を解説

2024/09/18

2024/9/18

この記事の監修

株式会社SoLabo田原広一

株式会社SoLabo 代表取締役/税理士有資格者田原 広一(たはら こういち)

融資支援実績6,000件超、補助金申請支援実績1,300件超、事業再構築補助金採択支援件数は第4回~第8回まで5回連続で日本一を獲得。 『小規模事業者持続化補助金』、『事業再構築補助金』、『IT導入補助金』は自社での申請・採択も経験。「補助金ガイド」LINE公式アカウントでは約4万人の登録者に情報発信を実施。

保育園を運営している事業者の中には、補助金を何に使えるのか知りたい人もいるのではないでしょうか。また、保育園が利用できる補助金にはどのような制度があるのかといった疑問もあるでしょう。

当記事では、保育園が利用できる補助金の活用方法を解説します。補助金の具体例も紹介するので、補助金の利用を検討している事業者は参考にしてみてください。

保育園における補助金の活用方法

保育園が利用できる補助金では、経営する中で発生する課題を解決するための取り組みに活用できます。課題によって補助金の活用方法が異なるため、課題を明確にしておきましょう。

【補助金の活用方法の具体例】

活用方法

業務の効率化

  • 保育業務の記録システムの導入
  • お知らせ一斉配信システムの導入 など

安全対策の強化

  • センサー、カメラなどの設置
  • 看護師、栄養士配置 など

保育施設の整備

  • 既存施設の修繕工事
  • 施設の増築 など

労働環境の整備

  • 宿舎借り上げ
  • 事務作業の省力化 など

たとえば、システムを導入して保育業務に付随する事務作業の工数を減らすことにより業務が効率化します。事務作業の工数を減らすことで、保育士の作業時間が減少し負担が軽減されるため、労働環境の整備にもつながります。

また、センサー、カメラなどを設置することで事故の発生が軽減され安全対策を強化できす。補助金によっては、保育施設の整備が目的の制度でも防犯カメラ設置などに活用できる場合があります。

保育園が補助金を活用して保育環境の整備を行うことにより、費用の自己負担を抑えて園児の安全確保や保護者の利便性向上をはかることができます。さらに、事務作業の負担が減ることにより、保育士の離職率が低下することも期待できるでしょう。

業務の効率化

保育園が利用できる補助金の活用方法の1つめは、保育士の業務を効率化することです。ICT(情報通信技術)を用いて保育業務の効率化を図ることで、保育士の負担軽減が可能です。

【業務効率化できるシステムの具体例】

  • 保育に関する計画・記録システム
  • 保育士の勤怠、シフト管理システム
  • 園児の登降園管理システム
  • 保護者との連絡システム
  • キャッシュレス集金システム

たとえば、補助金を活用しICTシステムを導入することで、保育園から保護者へ一斉連絡や欠席、延長申請を受け付けることができます。災害時などの緊急連絡に活用でき情報伝達を迅速にするほか保護者への伝え忘れを防ぎ、出欠の連絡も電話のやり取りによる人為的なミスを防げ保護者支援にもつながります。

また、補助金を活用しICTシステムを導入することで、請求管理や指導計画、日誌の作成、労務管理を効率化することが可能です。情報の一元管理ができ、保育士同士の情報共有がしやすくなり文章作成作業の手間を省き業務時間が短縮され、労力をより重要な業務にあてることができます。

なお、ICTシステムを活用により保護者へのおたよりや連絡帳、日誌などの記録がペーパーレス化され紙や印刷コストの削減にもつながります。コスト削減や保育業務に付随する事務作業の負担が軽減されるため、業務の効率化を行いたい事業者はICTシステムが導入できる補助金を探してみましょう。

安全対策の強化

保育園が利用できる補助金の活用方法の2つめは、安全対策の強化です。保育業務支援システムの導入や看護師の配置などにより園児の安全性を高められます。

【安全対策の強化の具体例】

  • 見守りシステムの導入
  • 園児状態管理システムの導入
  • 園児情報管理システムの導入
  • 看護師、栄養士の配置

たとえば、補助金を活用しセンサーやカメラ、GPSの導入により、園児の睡眠中などの事故防止対策や防犯対策の強化が可能です。園外活動時等の園児の見守りに必要な機器の導入により、園児一人ひとりの睡眠中の姿勢や呼吸を管理でき、保育士の目の届かない場所で怪我をする状況を防げます。

また、補助金を活用して保育業務支援システムを導入することにより、園児情報と連携した給食の献立作成や検温チェックにより安全性、衛生管理に役立ちます。健康記録を即座に確認することができ、アレルギーに対応できるため園児の安全確保になります。

そして、補助金を活用して看護師や栄養士を配置することで、保育中に体調不良となった園児の対応が的確に行え、栄養指導により園児の食育の推進ができます。補助金を使い、保育園の安全対策を強化することで園児の安全な保育環境を整えられます。

保育施設の整備

保育園が利用できる補助金の活用方法の3つめは、保育施設の整備です。補助金によっては、施設整備のできる範囲が異なるため、補助金を申請する前に必ず確認をしておきましょう。

【保育施設の整備の具体例】

  • 事務所の整備
  • 既存施設の修繕工事
  • 施設の増築

たとえば、新たに保育園を開設する際に、事務所を整備する費用に補助金を活用することができます。既存施設の耐震補強のために、必要な補強改修工事やガス設備等の改造工事を行えます。

また、老朽化している民間児童福祉施設の整備や防音壁の整備も補助対象経費に該当する場合があります。近隣住民の生活環境の安全性を高められるほか、園児が怪我をしないように施設を整備することも可能です。

なお、補助金によっては防犯対策の強化のために非常通報装置や防犯カメラ設置、外構等の設置にも活用できる場合があります。保育園の整備が必要な人は、どのような施設整備を行うのか明確にしてから保育施設の整備に使える補助金を調べてみましょう。

労働環境の整備

保育園が利用できる補助金の活用方法の4つめは、保育士の労働環境の整備です。保育業務に付随する事務作業を減らせるほか、不動産業者から賃貸物件を借り入れて従業員に貸し出す「宿舎借り上げ」等にも活用できます。

【労働環境の整備の具体例】

  • 宿舎借り上げ
  • 業務効率化
  • 資格取得支援

たとえば、保育施設を運営する事業者が借り上げている物件に雇用する保育士等を入居させる場合に、宿舎借り上げにかかる費用の一部が補助されます。賃料や共益費(管理費)のほかに駐車(駐輪)場代などにも補助金を活用できる場合があります。

また、補助金を活用し保育業務支援システムの導入によって、シフト管理や請求管理などを省力化することが可能です。情報の一元管理によりシフト調整がしやすくなるほか、請求金額を自動で算出できミスなくスムーズに行えるため事務作業の手間を省けます。

そして、保育士資格取得に必要な受講料や受験料を補助する補助金もあります。補助金を探す場合は、資格取得支援や宿舎借り上げのほかにも保育士の研修費を補助する制度もあるため、整備する労働環境を明確にしてから調べてみましょう。

保育園が利用できる補助金の具体例

保育園が利用できる補助金には、国や地方自治体が運営しているさまざまな制度があります。補助金によって申請できる保育園の種類が決められている場合や補助金の用途が限られている場合があるため、申請したい補助金が自身の状況や希望に合っているかを確認する必要があります。

【補助金例】

補助金名

特徴

IT導入補助金(通常枠)

【活用方法】

  • 保育業務支援システムの導入
  • センサー・カメラ等の導入 など

【補助上限額】

1機能以上 5万円~150万円未満

4機能以上 150 万円~450 万円

私立幼保連携型認定こども園施設整備費補助金(愛知県豊田市)

【活用方法】

  • 保育園の創設、増改築
  • 修繕・設備整備、大規模改造 など

【対象者】

市内に私立認定こども園を設置しているまたは設置予定の社会福祉法人、学校法人

私立保育所運営費補助金

(愛知県豊田市)

【活用方法】

  • 人件費・管理費
  • 嘱託医報酬、警備員設置費 など

【対象者】

市内に私立保育所を設置する社会福祉法人、学校法人

大阪市保育所等におけるICT化推進のための補助金

(大阪府大阪市)

【活用方法】

  • 指定された機能を搭載した保育業務支援システムを導入

【補助額】

基準額と申請額、寄付金その他の収入額を控除した額を比べて一番少ない額に3/4を乗じて得た額

八尾市保育士宿舎借り上げ支援事業

(大阪府八尾市)

【活用方法】

  • 賃借料、共益費(管理費)、礼金および更新料

【補助額】

1戸あたり月額上限59,000円

広島県創エネ・省エネ設備導入促進補助金

(広島県)

【活用方法】

  • 省エネ機器、創エネ機器、エネルギー管理システム及び蓄電池の導入

【補助上限額】

導入する設備により異なる(100万円、600万円、700万円)

たとえば、経済産業省が管轄する「IT導入補助金(通常枠)」では、対象となる要件を満たす保育園であれば申請できる可能性があります。「IT導入補助金(通常枠)」は、自社の課題やニーズに合ったITツールを導入できる補助金のため、保育業務支援システムや見守りシステムなどの導入が可能です。

また、私立の認定こども園が対象の「私立幼保連携型認定こども園施設整備費補助金」では、こども園の創設費や修繕工事費が補助されます。私立保育所が対象の「私立保育所運営費補助金」では、嘱託医報酬にかかる経費や警備員の設置に要する経費に補助金を活用できます。

なお、保育園が利用できる補助金は管轄する機関によって異なり、補助金には申請期限が設けられています。補助金を申請する場合は、かならず各機関の公式サイトにある公募要項の確認を行い、募集状況やスケジュールの確認も行いましょう。

まとめ

保育園における補助金の活用方法は様々あります。業務の効率化や安全対策の強化等に使え、園児の安全が確保されるほか保育士の負担軽減も可能です。

たとえば、保育業務支援システムの導入によりデータが一元管理され情報共有が迅速に行えるほか、キャッシュレス決済にも対応できるシステムを導入することができます。ほかにも安全対策の強化を目的にカメラやセンサーの導入も可能です。

ただし、補助金を実施する機関によっては申請要件が異なり、補助金の募集をしていない場合があります。そのため、実施する機関の公式サイトにある要件や申請期限などを確認してみましょう。

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