与論島から発信する「何もしない贅沢」

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与論島から発信する「何もしない贅沢」

株式会社メゾンシナハ 代表取締役 吉岡淳子

PROFILE

株式会社メゾンシナハ

代表取締役 吉岡淳子

東京で働いた後、30代で結婚し、移住先のフランスのバケーション文化に触れ、日本にも「何もしない自由な時間」を楽しむ休暇が必要だと感じ、起業を意識。与論島に移住後、幸運にも海辺の土地を入手できたことをビジネスチャンスとして捉え、株式会社メゾンシナハを設立。
現在、与論島にて一棟貸しのヴィラを経営。「何もしない贅沢」という価値感で、日本の休暇文化に豊かさの本質を問い続ける。

公式HP
office:
鹿児島県大島郡与論町茶花2937

tel: 0997-85-1221(9:00-19:00)

お話を伺ったのは、鹿児島県与論島で一棟貸しの宿泊施設を経営する吉岡淳子さん。東京での会社勤務とフランスでの生活を経て、与論島の魅力に導かれました。
既存の観光スタイルとは一線を画す「バケーション」の価値を追求する吉岡さんの、情熱的な挑戦の軌跡を辿ります。

東京とパリを経て、与論島で奇跡の土地との出会う——「日本のバケーションを変えたい」という原点

― まず、現在の活動とこれまでの歩みについてお聞かせください。
吉岡氏: 東京で会社員として働いた後、結婚を機にフランスへ移住しました。現地では子育てをしながら暮らす中で、日本とフランスの「バケーション」への考え方の違いに強い衝撃を受けました。フランスでは休暇が「人生を整える時間」として社会に根づいていて、「何もしないこと」が豊かさと結びついているんです。
その価値を日本にも伝えたいと思い、与論島で一棟貸しの宿を始めました。現在は宿の運営に加え、オフシーズンには施設のメンテナンスやワインショップの展開にも取り組んでいます。
― そもそもの起業のきっかけは何だったのでしょうか?
吉岡氏:やはりフランスでの経験が大きいですね。日本では「休み=観光する時間」という意識が強いですが、フランスではバカンスは「人権と同じくらい大切な時間」として、家族や自分と向き合うための1か月を過ごすんです。私はその「何もしない贅沢」に心を動かされました。そして、そんな時間を日本でも実現できる場所を探し続けた結果、与論島にたどり着いたんです。
偶然にも「最後の奇跡の土地」と呼ばれる海辺の土地に出会えた瞬間、「ここで宿をやる」と直感しました。観光ではなく「人生をリセットできる時間」を提供する場にしようと決意したんです。

 

与論島の海

離島ゆえの壁——金融機関の現実とゼロからの挑戦

― 立地的に、ビジネスを始めるまでに大変な苦労もあったのでは?
吉岡氏:一番の壁は資金調達でしたね。離島では土地の流動性が低く、金融機関からの融資が通りにくいんです。どの銀行に相談しても「島の物件はリスクが高い」と断られました。その時に「新規事業を応援します」と掲げながら、国内での経験や実績を求める日本の金融機関の厳しさを痛感しました。
― その難局をどう乗り越えたのでしょうか?
吉岡氏:事業計画を一緒に考えてくれたソラボの存在が大きかったです。「いいと思いますよ」と冷静に背中を押してくれて、特に印象に残っているのが「とにかく正直に、素直にぶつかりましょう」という言葉。そこから、私は「すべてを自分で抱え込まない」ことの大切さを学びました。
― 与論島のような環境では、いろんな場面で「巻き込み力」が必要そうですね。
吉岡氏:そうなんです。島には専門業者が少ないので、庭の整備も自分たちでやることが多い。だから「できないことはできない」と正直に伝え、得意な人を頼るようにしています。これは会社員時代や子育て時に、抱え込みすぎて失敗した経験から生まれた学びでもありますが、今は、家族にも「助けが必要なときは言葉にして伝えよう」と話しています。

長期的には「与論島のブランディング」に貢献したい

― これからの展望についてもお聞かせください。
吉岡氏:一棟の宿には稼働の限界があるので、今後は二つの方向で事業を広げたいと考えています。ひとつは、宿泊後のお客様に向けた物販やふるさと納税など、関係を深める仕組みづくり。もうひとつは、島外オーナーの別荘を宿泊施設として運用代行する事業です。
さらに、長期的には「与論島全体のブランディング」にも取り組みたいと思っています。海外からの問い合わせは多いのに、交通情報やアクセス方法が分かりづらく、途中で諦めてしまう人が多いんですよ。民間の立場からでも、島の魅力を多言語で発信し、行きやすい島にしていきたいですね。

 

「人生をリセットする時間」を、あなたへ

― 最後に、読者へのメッセージをお願いします。
吉岡氏: 私たちは「観光地を巡る旅」ではなく、「価値観を変える旅」を提供したいと思っています。宿にはテレビも置かず、海を眺めたり、貝を拾ったり、海亀を探したりする——そんな「何もしない贅沢」を楽しんでほしいんです。特にオフシーズンの与論島は人が少なく、暖かくて穴場。冬にはテントサウナと海の冷たさを楽しみ、テラスでビールを飲む。これ以上の贅沢はありません。
バカンスとは、自由な時間を味わうこと。日常の「やらなきゃ」から離れ、自分や家族と向き合う時間が、人生を豊かにします。
ぜひ一度、与論島の海辺で、心をリセットしに来てください。

株式会社メゾンシナハ

人生に刻むバカンスを。何もしない自由が、心と体をリセットする。

「何もしない贅沢」を提供する与論島の宿泊施設運営会社。フランスでのバケーション文化に触発され、心と向き合いリセットできる本質的なバカンスを提供。別荘の運用受託サービスを軸に事業拡大し、島の魅力につながることを目指す。

公式HP
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鹿児島県大島郡与論町茶花2937

tel: 0997-85-1221(9:00-19:00)