補助金ガイド

ものづくり補助金の見積依頼書とは?記入例を解説

2024/08/29

2022/8/18

この記事の監修

株式会社SoLabo 代表取締役/税理士有資格者田原広一(たはら こういち)

融資支援実績6,000件超、補助金申請支援実績1,300件超、事業再構築補助金採択支援件数は第4回~第8回まで5回連続で日本一を獲得。 『小規模事業者持続化補助金』、『事業再構築補助金』、『IT導入補助金』は自社での申請・採択も経験。「補助金ガイド」LINE公式アカウントでは約4万人の登録者に情報発信を実施。

ものづくり補助金に申請した人や採択された人のなかには、見積依頼書を作成する人もいるでしょう。その際、見積依頼書の記入例を見て参考にしたい人もいるかもしれません。

ものづくり補助金の見積依頼書は通常のビジネスで使用される見積依頼書と違い、補助金ならではのルールが適用されます。

当記事では、ものづくり補助金における見積依頼書の記入例を項目に沿って解説します。ものづくり補助金の見積書のルールも解説するので、見積依頼書を作成する人は参考にしてみてください。

なお、当記事は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.1版」および「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 【補助事業の手引き】 (18次締切)」を元に作成しています。

見積依頼書は採択前から用意しておくべき書類のひとつ

見積書を取得するために必要な見積依頼書は、ものづくり補助金の申請後に事業者が用意しておくべき書類のひとつです。見積書はものづくり補助金で採択された後に交付申請で必要な書類ですが、取得に時間がかかる可能性もあるからです。

また、見積依頼書は採択後の中間報告や実績報告の際に経理証拠書類としても使用します。そのため、事業者はいつでも見積依頼書提出できるように準備しておく必要があります。

なお、ものづくり補助金で業者に送るための見積依頼書を作成する際は様式に沿った見積依頼書を作成する必要があります。見積依頼書の様式「参考様式3 見積依頼書」というWordファイルは、ものづくり補助金の公式サイトからダウンロードできるので、それを見積依頼書のひな形として使用してみてください。

見積依頼書を業者に送付するタイミングは申請後

見積依頼書を業者に送付するタイミングは、ものづくり補助金の申請後です。見積書は、採択結果発表後の交付申請の手続きで使います。採択発表日までに見積書を取得すると、採択結果発表後すぐに交付申請の手続きに移れます。

通常、ものづくり補助金では、申請の締切日から約2ヶ月後に採択結果が発表されます。採択結果の発表後に交付手続きができるようになるため採択結果の発表時期までに見積書を取得できるようスケジュールを立てましょう。

たとえば、8月末がものづくり補助金の申請の締切日だった場合、10月末頃に採択結果が発表されます。その際、申請者は8月末頃から見積依頼書を作成し、設備を購入する予定の業者に見積依頼書を送付することになります。

業者に見積依頼書を送付後、早ければ1週間程度で見積書が返送される場合もあります。一方で、見積依頼書の作成に手間取ったり業者と打ち合わせが入ったりと、見積書の入手に時間がかかる場合もあるため、見積依頼書の準備は時間に余裕をもって行いましょう。

見積の共通ルールを送付前に確認する

ものづくり補助金の見積には普通の見積と違ったルールがあるので、送付前に確認が必要です。ルールを守っていない見積を取得しても、不受理や不採択になる可能性があります。

【ものづくり補助金における見積の共通ルール】
  1. 見積は購入予定の補助対象経費ごとに用意する
  2.  交付申請時に有効期限内の見積書を用意する
  3. 見積金額に複数の項目が含まれる場合は内訳を示す
  4. 見積依頼書は経理証拠書類として整備・保管する

参考ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 【補助事業の手引き】 (18次締切)|ものづくり補助金

たとえば、設備機器と技術導入を経費として使う場合、設備機器の見積のみを取得して技術導入費の見積を取らないと、提出する見積が不足となり、不受理となります。その際、見積は50万円以下の補助対象経費についても必要です。

また、見積は交付申請の際に有効期限内のものを用意しなければなりません。補助対象経費の支払いは原則、交付申請が承認されたあとに事業者が行います。交付申請時に見積書の有効期限が切れていると、無効な見積書とみなされ差し戻しとなるため注意しましょう。

50万円以上の設備や中古の機械は相見積が必要

ものづくり補助金では、一定の条件下で補助対象経費を支払う場合において相見積が必要です。高額な設備や市場価格があいまいな中古品などの場合は、見積価格の妥当性を証明する必要があるからです。

【ものづくり補助金における相見積のルール】
  1.  税抜き単価50万円以上の設備や物件などは、原則として2社以上から同一条件・仕様による見積をとること
  2.  中古品の機械装置・システム構築費は、3者以上の中古品流通事業者から、型式や年式が記載された相見積を取得すること
  3.  合理的な理由により相見積書が取れない場合は、「業者選定理由書」<参考様式4>を提出すること

参考:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 【補助事業の手引き】 (18次締切)|ものづくり補助金

たとえば、税抜き50万円以上の測量用ドローンを購入する場合は、2社以上から見積を取る必要があります。ものづくり補助金は税抜き50万円以上の設備投資が必要な補助金なので、すべての事業者が相見積を取ることになります。

また、相見積を取る場合は、対象となる製品やサービスの条件が同一でなければなりません。なぜなら、公募要領では相見積について、「同一条件による見積をとることが必要です。」と記載があるからです。相見積を取るときは、見積依頼をする各業者に同じ条件と仕様で見積依頼をしましょう。 

合理的な理由から見積が取れない場合は業者選定理由書を用意する

合理的な理由からどうしても見積が取れない場合は、「業者選定理由書」を用意します。業者選定理由書を出すと事務局による審査があり、見積がない状況を認められる可能性があります。

【業者選定理由書の合理的理由の例】

当該企業(H商会株式会社)の○○の分野に非常に優れており、○○装置の加工技術において特許権を有しており、当該企業の独占技術である。

そのため、当該企業(H商会株式会社)以外の事業者から調達する方法がないため決定した。

引用元:「参考様式4 業者選定理由書」|ものづくり補助金

見積が取れない場合や、相見積りが必要にも関わらず1社分の見積しか用意できない場合には、申請時に業者選定理由書を出しましょう。

なお、業者選定理由書の様式は、ものづくり補助金公式サイトからダウンロードできます。公式サイトの上部で「補助事業の手引き」をクリックし、「補助事業の手引参考様式・交付規定に定める参考様式(Zip)」をダウンロードしてから「参考様式4 業者選定理由書(Word)」を利用してください。

見積依頼書の記入例を各項目で確認する

見積依頼書を作成する際は、見積依頼書の各項目の記入例を確認しながら記入していきます。項目に沿って記載すると見積依頼書の記載漏れを防げるため、ルールに則った見積書を取得できるようになります。

【見積依頼書の記入例】

見積依頼書の記入例
画像素材:補助金ガイド
【見積依頼書の記入例】
項目 記入例
①日付 2022年○月○日
②宛名 株式会社○○(業者名)
③見積依頼書(タイトル) 見積書提出のお願い
④差出人 株式会社〇〇(自社名)
④書き出し 令和元年度補正ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金に係る発注について、下記の仕様に基づく見積書を提出してください。
⑥件名  ○○事業における商品Aの発注(第11次ものづくり補助金の補助対象経費として)
⑦仕様 別紙のとおり
⑧要件 (1)○○(2)○○(3)○○
⑨部数 1
⑩提出締切日 2022年○月○日(○)
⑪提出先 株式会社○○東京都○○区◯◯―◯◯―◯◯◯

参考:参考様式4 業者選定理由書|ものづくり補助金

見積依頼書に必要な項目が抜けていると、業者からまた見積を取り直さなくてはならない可能性もあります。これから見積依頼書を作成する人は、見積依頼書の記入例を参考にしてすべての項目に記載してみましょう。

見積依頼書では要件を詳しく記入する

見積依頼書には購入する予定の製品、またはサービスの要件と希望の納入時期を詳しく記入しましょう。見積依頼書の参考書式には、要件の項目について「できるだけ条件を詳細に記載してください」との旨が書かれています。

たとえば、塗装業を営む事業者が金属塗装機の導入で見積を取得する場合、「既存の金属塗装機よりも維持費が安い」「規定の幅の金属シートに塗装できる」「金属塗装に加え、封孔材の処理もできること」などが要件の候補となります。

見積依頼書を作成する際は、見積依頼書を見ることになる業者がスムーズに理解できるよう、要件にできるだけ具体的な製品名や品番、技術名などを記載しましょう。

機械設備やシステム構築の仕様は別紙で説明する

ものづくり補助金の見積依頼書では、機械設備やシステム構築の仕様については別紙説明します。なぜなら、機械設備やシステム構築の仕様は作成方法や原材料、寸法など詳細を記載する必要があるため文量が多くなるからです。

仕様書とは、カタログや商品の説明書など、仕様について詳しく何ページにもわたって書かれた資料です。仕様書を準備することで、導入したい商品の詳細を業者に伝えられます。

これからものづくり補助金の見積依頼書を作成する人は、購入する設備機器やシステム構築等の仕様として使える資料を準備しましょう。

提出締切日を明記する

ものづくり補助金で見積依頼書を作成する際は、かならず見積の提出締切日を明記しましょう。なぜなら、業者からの見積の返送が遅れると、事業者が交付申請をする時期も遅くなってしまうからです。

たとえば、見積依頼書に見積提出期限が書かれていない場合は、業者によっては見積の返送を1か月以内にすればよい、と考えることもあるかもしれません。

これから見積依頼書を作成する人は、見積の提出期限日を明記するよう心がけましょう。

見積書依頼書の送付時に見積書のルールを業者に伝える

見積書依頼書の送付時には、見積依頼書に記載できない見積書のルールを別途業者に伝えましょう。用意されたフォーマットには備考欄がないため、見積依頼書に見積書の全てのルールを記載できない場合もあるからです。

【見積依頼書の送付時に伝える内容の例】

  • 今回、見積を依頼するのは、ものづくり補助金に申請する予定があるためです。
  • 見積金額には一式という言葉を使わず、項目ごとの内訳を示し、単価を含めた金額を記載してください。
  • 見積有効期限は、◯年◯月◯日まで有効なものでお願いします。
  • 見積の品目名・条件・仕様は別紙の仕様書と同じ文言で記載をお願いします。

    たとえば、「見積金額には一式という言葉を使わず、項目ごとの内訳を示し、単価を含めた金額を記載してください」と見積依頼書の送付時に業者へ伝えると、業者は一式という言葉を使わずに見積を作成してくれます。ものづくり補助金の公募要領には「一式という内訳が確認できない表記は受理できない」と記載があるため、適切な見積を取得できることになります。

    見積依頼書を業者に送付する際は、状況にあわせてメールや電話、口頭で補足事項を伝えることも検討してみましょう。

    この記事のまとめ

    ものづくり補助金における見積依頼書は、補助対象経費に関わる見積書を業者から送ってもらうための書類です。見積依頼書には日付や仕様などの項目があるため、見積依頼書を用意する際は、見積書のルールや見積依頼書の記入例を確認してから作成していきましょう。

    見積書は、ものづくり補助金に採択された際の交付申請で必要です。事前に見積書を取得できると、採択結果の発表日から交付申請までの時間をあけずに手続きができます。見積依頼書の書式は、ものづくり補助金の公式サイトにある「補助事業の手引」のページからダウンロードできるため準備してみてください。

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