ものづくり補助金の遂行状況報告書の作成方法と記入例を解説
2024/08/29
2022/8/16
ものづくり補助金に採択されて補助事業を開始した人の中には、事務局から遂行状況報告書の提出依頼をされた人もいるでしょう。その際、遂行状況報告書の作成に戸惑う人もいるかもしれません。
当記事では、ものづくり補助金の遂行状況報告書の作成方法と記入例を解説します。遂行状況報告書をこれから作成する予定の人は、当記事を参考にしてみてください。
なお、当記事はものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 一般型・グローバル展開型 【補助事業の手引き】(18 次締切)を元に作成しています。
Contents
遂行状況報告書は補助事業開始約3ヶ月後に事務局から依頼される中間報告
ものづくり補助金の遂行状況報告書は、補助事業の開始から約3ヶ月後に事務局から依頼される中間報告です。遂行状況報告書は補助事業を行う事業者全員が提出する書類で、事務局に補助事業の進捗と補助対象経費の支払い状況を伝えるために作成します。
たとえば、8月に交付決定された場合、12月頃に事務局から遂行状況報告書の作成を依頼されます。ものづくり補助金の事業実施期間は概ね6か月〜10か月なので、2か月程度で補助事業を終えない限りは、ほとんどの事業者が遂行状況報告書を提出することになります。
なお、補助事業が3ヶ月位内にすべて完了し、実績報告書もすでに提出している事業者の場合は、遂行状況報告書を提出しないケースもあります。補助事業の実施中に事務局からメールが来たら、期限内に遂行状況報告書を提出しましょう。
遂行状況報告書の提出期限を確認する
遂行状況報告書の提出依頼を受けとったら、事業者は遂行状況報告書の提出期限を確認しましょう。遂行状況報告書の提出期限は事業主によって異なるため、個別の確認が必要だからです。
進行状況報告書の提出期限は、事業者の交付決定日から基準日を計算することで求められます。基準日は、交付決定日が属する月の翌月から3か月後の末日です。進行状況報告書の提出期限は基準日の翌月の15日となっています。
【交付決定日が8月10日の場合】
参考:遂行状況報告の作成方法|ものづくり補助金
たとえば、交付決定日が8月10日であれば、交付決定日の属する月は8月です。8月の翌月の9月から3か月後、11月末日が基準日となります。遂行状況報告書の提出期限は基準日の翌月15日のため、12月15日が遂行状況報告書の提出締め切り日になります。
遂行状況報告書の提出期限は、事務局から送られるメールまたは書面にも記載されています。事前に遂行状況報告書の提出期限を知りたい場合は、交付決定日から基準日を求めて計算してみてください。
遂行状況報告書はJグランツで添付して提出する
遂行状況報告書はJグランツから添付で提出します。そのため、遂行状況報告書を提出する際は、事業者はIDとパスワードを使ってJグランツにログインすることになります。
Jグランツのログイン後は、マイページの中にある「状況報告」から必要事項を入力し、遂行状況報告書のファイルデータを貼付して送信します。
操作内容 | 備考 |
1 .Jグランツ (https://www.jgrants-portal.go.jp/) にログインする |
右上のログインボタンをクリックし、メールアドレスとパスワードでログインします。 |
2.マイページ内にある 事業計画名をクリックする |
事業者が応募申請した事業計画名です。 例)ドローン利用の農作物管理IoT化事業 |
3.事業計画画面の左下にある プルダウンから、「状況報告」を 選択し、「作成」をクリックする |
プルダウンの他の選択肢には、概算払請求や実績報告があります。 |
4.必要な項目を入力する |
必要な項目は以下のとおりです。
※「別紙の通り」または「添付の通り」と入力してください |
参考:令和元年度補正 ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 〔一般型〕 Jグランツ入力ガイド -遂行状況報告編-|ものづくり補助金
Jグランツで上記1.~4.までの操作を進めると、画面は遂行状況報告書の添付画面になります。ものづくり補助金の公式サイトからダウンロードできる書式で遂行状況報告書を作成し、この画面で添付して送信すると、遂行状況報告書の申請は終了です。
なお、Jグランツで遂行状況報告遺書を送付する方法は、ものづくり補助金の公式サイトの「Jグランツ入力ガイド-遂行状況報告編-」で詳しく記載されています。実際に送付する際は、参考にしてみましょう。
作成した遂行状況報告書は整理して保管する
作成した遂行状況報告書は、忘れずに控えを保存し、資料を整理して保管しておく必要があります。なぜなら、ものづくり補助金の「補助事業の手引」には、事業者は遂行状況報告書を整理・保管しなければならないと記載されているからです。
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参考:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 【補助事業の手引き】 (18次締切) |ものづくり補助金
遂行状況報告書以外にも、ものづくり補助金の補助事業者が整理・保管しなければいけない書類があります。事業者は事務所から要求された際、いつでも見せられるように事業計画書や概算払請求書などの書類を整理し保管しておきましょう。
ものづくり補助金の遂行状況報告書は様式第5と経費明細表を作成する
ものづくり補助金の遂行状況報告書では、「様式第5」と「経費明細票表」という2種類の書類を作成します。遂行状況報告書の書式は、ものづくり補助金の公式サイトからダウンロードできます。
【遂行状況報告書の書式ダウンロード方法】
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Zipファイルをダウンロードしたら、「様式第5」と「経費明細表」、そして「【ものづくり補助金】遂行状況報告書の作成方法」の3つのファイルがあるかを確認しましょう。ものづくり補助金の遂行状況報告書を作成する人は、このダウンロードしたファイルを使い、数値や文章を入力して完成させることになります。
様式第5は8つの項目に沿って記入する
遂行状況報告書の様式第5には、宛名や受付番号などの8つの項目があります。遂行状況報告書は、8つの項目に沿って記入すると完成します。
【遂行状況報告書の8つの項目】
項目名 | 記載例 |
①受付番号 |
例)123456789 ※受付番号は交付決定通知書の右上または採択通知左上の宛名の箇所に記載されています |
②日付 |
例)令和◯年◯月◯日 ※提出期限内の日付を記載します |
③宛名 |
例)◯◯◯中小企業団体中央会 会長 ◯◯ △△ ※遂行状況報告書の提出依頼があったメールに記載の地域中小企業団体中央会です ※福島県中小企業団体中央会や島根県中小企業団体中央会など、申請者の所属する地域により提出する中小企業団体会は異なります |
④差出人 |
例)◯◯◯中小企業団体中央会 会長 ◯◯ △△ ※遂行状況報告書の提出依頼があったメールに記載の地域中小企業団体中央会です ※福島県中小企業団体中央会や島根県中小企業団体中央会など、申請者の所属する地域により提出する中小企業団体会は異なります |
⑤交付決定通知書にある日付 |
例)令和△年△月△日 ※交付決定通知書の右上にある日付と番号を記載します |
⑥事業計画名 |
例)ドローン利用の農作物管理IoT化事業 ※交付申請書に記載した事業計画名と同じ事業計画名を記載します |
⑦補助事業の実施状況 |
例)〈補助事業の進捗状況〉 概ね補助事業計画通りに進んでいる。 〈現在までに取り組んだ内容〉
〈今後取り組む内容〉
※補助事業の進捗状況、現在までに取り組んだ内容、今後取り組む内容の3つに分けて説明します |
⑧経費の支出状況 |
例)別紙の通り ※「別紙のとおり」または「添付の通り」と記載しましょう。内容は様式5の別紙「経費明細表」に記載します |
参考1:遂行状況報告書|福島県中小企業団体中央会
参考2:Jグランツ入力ガイド-遂行状況報告編|ものづくり補助金
遂行状況報告書の①~⑥に関しては、手元に交付決定通知書と事業計画書、そして地域事務局からのメールがあれば記入できます。遂行状況報告書の「⑦補助事業の実施状況」と「⑧経費の支出状況」に関しては、これまでの補助事業の内容と成果について文章を作成する欄となります。
これから遂行状況報告書の準備をする人は、手元に交付決定通知書、事業計画書、地域事務局からのメール、経費の支出について分かる資料等を用意の上、遂行状況報告書の作成に着手しましょう。
最も詳しく記入する欄は補助事業の実施状況
ものづくり補助金の遂行状況報告書で最も詳しく記入する欄は、補助事業の実施状況です。事業者が交付申請時に交付申請書「5.事業の具体的な内容 その1」に記載した内容のうち、現在までに取り組んだ内容や当初の計画の達成度を文章で記載します。
実施状況は第三者にとって見やすいように、①進捗状況・②現在までに取り組んだ内容・③今後取り組む内容の3つに分けて記載しましょう。
実施状況 | 記載例 |
進捗状況 |
|
現在までに取り組んだ内容 |
①商品Bの導入
②レンタルサーバーの契約 〇〇サーバープレミアムプランの契約:○月○日 ③自社内チームの発足・運営
■全体の目標達成度:95% ■懸念点:商品Bの充電時間が事業計画で想定していた5時間より長く7時間かかる。この点についてはコンサル企業吉井様へ相談中。 |
今後取り組む内容 |
①取得データから生産性アップへ活かす草案をまとめる
②取得データによる生産性アップ案の実行と評価
③コンサル会社と当社との商品B導入評価会の実施 令和△年△月△日を予定 ④補助事業のまとめ・実績報告書の提出(○月中旬) |
参考1:遂行状況報告書|福島県中小企業団体中央会
参考2:Jグランツ入力ガイド-遂行状況報告編|ものづくり補助金
たとえば、1週間後に予定している内容を「既に実施した」と虚偽の報告をした場合、差し戻しとなる可能性があります。遂行状況報告書を作成している時点の状況を記載するようにしましょう。
経費明細表は補助対象経費ごとに記入する
経費明細表は補助対象経費ごとに記入する必要があります。事業者は経費明細票の作成日における支払い状況を、経費明細表のA~Cにそれぞれ記載しましょう。また、Dの補助率については、補助率1/2または2/3をプルダウンで選んでください。
【経費明細票表記入欄の例】※税金は消費税10%で計算
参考:経費明細表(様式 第5 別紙)|ものづくり補助金
経費明細表の右側には「積算基礎」の記入欄があります。積算基礎には、「A.補助事業に要する経費(税込み)」について導入設備の単価や数量など経費の内訳を明確に記載しましょう。
経費明細表を作成する際は、作成日時点での支出額を「税抜き」「税込み」と間違えないように入力しましょう。
この記事のまとめ
ものづくり補助金の遂行上報告書は、採択された事業者が提出する中間報告書です。基本的には事業者全員が提出する書類で、提出の目安は補助事業開始の約3か月後となります。
遂行状況報告書の提出期限は、事業者によって異なります。事務局より提出の依頼が来たら、いつまでに提出すればいいか基準日をもとに算出しましょう。
遂行状況報告書の書式はものづくり補助金の公式サイトから、「様式第5」と「経費明細表」のファイルをダウンロードできます。提出は応募申請時と同じで、Jグランツから行いましょう。