ものづくり補助金で対象外となる事業者と設備導入を解説
2024/04/19
2022/10/24
設備投資で使える補助金を探している人の中には、ものづくり補助金を検討している人もいますよね。その際、ものづくり補助金の対象者や対象外になる条件も気になることでしょう。
当記事では、ものづくり補助金の対象外になる事業者と設備について解説します。ものづくり補助金に申請する人は、申請要件だけでなく対象外になる条件も当記事で確認してみてください。
なお、当記事は「令和元年度補正・令和3年度補正 ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領(18次締切分)1.1版」を元に作成しています。
Contents
対象外の事業者にならないかを3つの項目で確認する
ものづくり補助金では事業規模、法人の種類、事業の3つの項目のうち、どれか1つでも対象外になると補助金を利用できません。そのため、対象外の条件に該当しないか、3つの項目すべてを確認しておくことが大切です。
たとえば、建設業の従業員数が1,000人の場合、ものづくり補助金の対象は資本金3億円、ゴム製品製造業を除く従業員数は50人~300人までの制限があるため、事業規模で対象外になります。
また、コインパーキングを営む個人事業者の場合、対象外となる「実質的な労働を伴わない事業」のため、ものづくり補助金は使えません。
ものづくり補助金の対象外となる事業者がは大企業や医療法人などがあり、公募要領に一覧が記載されています。ものづくり補助金に申請する際は、対象事業者の要件を満たすだけでなく、対象外の事業者に該当しないかを確認してから申請しましょう。
1 対象外になる事業規模
ものづくり補助金では、事業規模が大企業にあたると対象外となります。ものづくり補助金は「働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げなどの制度変更の影響」を受け、事業を対応させる必要がある「小規模事業者~中小企業者等」を対象とした補助金だからです。
ものづくり補助金で対象外となる大企業は、中小企業者に規定される資本金と従業員数を超える企業です。そのため、事業規模を確認するときは、申請する業種の資本金と従業員数を確認しましょう。
【ものづくり補助金の対象者(組合関連以外の中小企業者の場合)】
業種 | 資本金 | 常勤従業員数 |
製造業、建設業、運輸業、旅行業 | 3億円 | 300人 |
卸売業 | 1億円 | 100人 |
サービス業 |
5,000万円 | 100人 |
小売業 | 5,000万円 | 50人 |
ゴム製品製造業 |
3億円 | 900人 |
旅館業 | 5,000万円 | 200人 |
その他の業種 (上記以外) |
3億円 | 300人 |
引用元:令和元年度補正・令和三年度補正 ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領 (18次締切分)|ものづくり補助金
たとえば、サービス業の場合、資本金5,000万円、常勤従業員100人を超えると大企業になり、ものづくり補助の対象外になります。また、建設業の場合、資本金3億円、従業員数300人を超えると大企業になり、ものづくり補助金の対象外です。
ものづくり補助金の対象外となる事業者は、資本金と従業員数が規定の範囲を超える事業者です。また、親会社が大企業の場合や他企業が半数以上の株式を取得している会社などは、みなし大企業と判定され対象外となるため気をつけましょう。
みなし大企業と判断されると対象外になる
ものづくり補助金では、みなし大企業と判断されると中小企業者でも対象外になります。そのため、ものづくり補助金に申請する予定の中小企業者は、自社が中小企業者の場合でも、親会社との関係や株式について確認しなくてはなりません。
【みなし大企業の定義】
1. 発行済株式の総数又は出資価格の総額の2分の1以上をの大企業が所有している中小企業者
2. 発行済株式の総数又は出資価格の総額の3分の2以上を大企業が所有している中小企業者
3. 大企業の役員又は職員を兼ねている者が役員総数の2分の1以上を占めている中小企業者
4. 発行済株式の総数又は出資価格の総額を1~3に該当する中小企業者が所有している中小企業者
5. 1~3に該当する中小企業者の役員又は職員を兼ねている者が役員総数の全てを占めている中小企業者
引用:令和元年度補正・令和3年度補正 ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領(18次締切分)1.1版|ものづくり補助金
たとえば、中小企業規模の飲食店の場合、親会社が飲食店の発行済株式のうち50%以上を取得していると、みなし大企業と判断されます。また、役員が5人いる中小企業規模の製造業の場合、大企業の役員を兼ねている役員が3人以上いると、みなし大企業となります。
自社が中小企業でも関連する会社が大企業だとみなし大企業と判断されることがあります。みなし企業に該当するとものづくり補助金では不採択となるので、申請前に確認しておきましょう。
下記無料診断フォームで、事業形態・規模・業種からものづくり補助金の対象となるかを診断できます。自社が対象となるか知りたい、対象外だった際に受けられる他の補助金があるか知りたい人は、下記無料診断をお試しください。
2 対象外になる法人
ものづくり補助金では、法人の種類が医療法人や社会福祉法人などの対象外に規定された法人の場合、ものづくり補助金は利用できません。そのため、ものづくり補助金を利用したい人は、法人の種類が対象外でないかを確認しておきましょう。
【ものづくり補助金で対象外の法人】
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たとえば、歯医者を営む法人の場合、医療法人に属しているとものづくり補助金の対象外となります。一方で、組合や財団法人に属していても、組合や財団法人としてではなく別の法人や個人事業主として申請すれば、補助の対象となる可能性があります。
なお、個人事業主として採択された歯医者が補助事業期間中に医療法人となった場合は、補助金の一部返還となる可能性もあります。採択後に法人格を得る場合は、必ず事前にものづくり補助金の事務局に相談しましょう。
一部の組合やNPO法人は対象
ものづくり補助金では、一部の組合やNPO法人も対象です。そのため、要件を満たせば企業組合や協業組合もものづくり補助金に申請できます。
【ものづくり補助金の対象者(組合関連の場合)】
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引用元:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.1版|ものづくり補助金
たとえば、街にある商店街振興組合の場合、資本金または出資額が3億円以下で職員の数が300人以下なら、ものづくり補助金の組合関連の規定を満たすため、ものづくり補助金の対象です。
また、NPO法人の場合も同様に、資本金または出資額が3億円以下で職員の数が300人以下なら、ものづくり補助金の対象になります。
ものづくり補助金では、一部の組合とNPO法人も対象です。自組織がものづくり補助金の対象にあたるのか判断に迷う場合は、ものづくり補助金の公式サイトに記載の事務局へ問い合わせてみましょう。
3 対象外になる事業
ものづくり補助金では、公序良俗に反する事業や、専ら資産性の高い事業などは対象外になります。そのため、自社の事業がものづくり補助金の公募要領に合ったものであるか、申請の前に一度確認してみましょう。
【ものづくり補助金の公募要領にそぐわない事業】
募要領にそぐわない事業の種類 | 例 |
公序良俗に反する事業 | 麻雀屋、キャバクラ |
実質的に労働を伴わない事業 | コインパーキング、無人販売 |
専ら資産性の高い事業 | 不動産投資、土地の転売 |
主な事業の課題解決をすべて他社へ外注する事業 | 他社パッケージをそのまま販売しているだけのオンライン学習塾 |
補助対象経費の上限ルールを超えて経費を計上する事業 | 全体の補助対象経費で外注費を2/3以上申請するWebコンサル企業 |
参考:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.1版|ものづくり補助金
たとえば、車のシェアリングビジネスをネット予約で運営している株式会社の場合、車を貸すことも予約も実際的な労働を伴わないため、ものづくり補助金の対象外となる可能性があります。
また、これまでインストール型の学習ソフトを販売していた事業者の場合、クラウド型に切り替えるためのコンセプトと仕様書の作成から実行までを全て他社へ外注すると、ものづくり補助金の対象外となる可能性があります。
ものづくり補助金の趣旨に合わない事業は、仮に採択されたとしても、採択や交付決定を取り消されることがあります。ものづくり補助金に申請する際は、資本金と従業員の数や法人格に加え、事業の内容が適しているかも確認しましょう。
対象外の補助対象経費を申請すると不採択になる
ものづくり補助金では、対象外となる補助対象経費があるので注意が必要です。なぜなら、補助対象外の経費を申請しても、ものづくり補助金で不採択となる可能性があるからです。
【補助の対象外になる経費】
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参考:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.1版|ものづくり補助金
たとえば、製造業の事業者の場合、現在使用しているブルドーザーの後継機種の購入をする場合は、補助の対象外です。また、農業を営む生産者の場合、採択される前に購入した農業用ドローンは補助されません。
ものづくり補助金の公募要領では、補助の対象外となる経費も公募要領の補助対象経費のところに記載されています。ものづくり補助金に申請する場合は、申請する補助対象経費が対象外のものでないか、申請する公募回の公募要領を見ながら確認してみてください。
導入する設備が対象外となってしまうと補助金を受給することができませんが、補助事業に必要な設備であることを証明できれば、対象経費と判断されることもあります。
以下の無料診断フォームでは、購入予定の設備がものづくり補助金の対象となるかを診断できます。貴社の業種や事業から「導入設備が対象となるか」「どんな設備であれば対象となるか」等を知りたい人は下記フォームより診断してみてください。
補助対象経費に含まれない経費
ものづくり補助金で補助の対象となる経費は、補助対象経費と呼ばれています。ものづくり補助金の補助対象経費に含まれない経費は補助されないため、補助対象経費に何があるのかを確認しておきましょう。
【補助対象経費の例】
補助対象経費 | 例 |
機械装置 | プレス・レーザー複合マシンの費用 |
システム構築費 | 義肢製作におけるDXのための費用 |
技術導入費 ※上限額=補助対象経費 総額(税抜き)の3分の1 |
電解水装置導入による製造ライン構築の費用 |
専門家経費 ※上限額=補助対象経費総額(税抜き)の2分の1 |
遠赤外線とマイナスイオンの効果を検証するための大学教授への相談費用 |
運搬費 | 自動車部品の省コスト化で、他社の見本を取り寄せた際の宅配費用 |
クラウドサービス利用費 | 印刷業での画像保管場所を自社サーバからクラウドサービスへ移行する際のクラウドサービス利用費用 |
原材料費 | 航空機ジェットエンジン部品の試作開発の費用 |
外注費 ※上限額=補助対象経費総額(税抜き)の2分の1 |
木材の販売・生産管理の可視化でプラットフォーム作成する際の一部外注費用 |
知的財産権等関連経費 ※上限額=補助対象経費総額(税抜き)の3分の1 |
独自の製法による食品製造における特許取得関連費用 |
参考:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.1版|ものづくり補助金
たとえば、金属業を営む事業者の場合、プレス・レーザー複合マシンが必要な事業計画を立て、プレス・レーザー複合マシンの費用を申請すれば、補助の対象です。また、プレス・レーザー複合マシンの導入で技術導入費が必要な場合は、技術導入費も補助の対象になります。
ものづくり補助金では補助対象経費に当てはまらないものは申請できません。ものづくり補助金に申請する際は、申請する経費が補助対象経費に含まれているかを確認しておきましょう。
なお、補助対象経費を申請する際は、税抜き単価50万円以上の機械設備が含まれる必要があります。税抜き単価49万円以下の機械設備を申請する場合は不採択となるので、気をつけましょう。
汎用性のある設備の経費
ものづくり補助金では、汎用性のある設備の経費は補助の対象外です。なぜなら、ものづくり補助金で補助されるのは、ものづくり補助金の補助事業のみで使うための設備や設備に関連する経費だからです。
【汎用性のある設備の例】
対象外の例 |
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参考:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.1版|ものづくり補助金
たとえば、パンの製造業の会社がキッチンカーを購入して市場開拓をする場合、キッチンカーは車両となるため、補助の対象外の可能性があります。
また、農業でトマトとナスを生産している生産者の場合、単に新しい収穫機を購入する場合は、他の農産物にも使用できる汎用性があるため、補助の対象外です。
ものづくり補助金で対象となる設備は、現在の事業を革新的に変化させるための補助事業に関わる経費のみです。現状の事業にも使える製品や資産の購入費は、補助の対象外になると覚えておきましょう。
この記事のまとめ
ものづくり補助金の対象外の事業者は、3つの条件に該当する事業者です。具体的には大企業、一部の法人、一部の事業をする法人です。
また、ものづくり補助金で補助の対象外の経費は、補助対象経費に含まれない経費、汎用性のある設備の経費、経費の必要性や金額の妥当性を証拠書類で確認できない経費、補助事業実施期間外に発注や支払いをした経費です。
ものづくり補助金では、対象外の事業者が申請する場合や、補助対象外の経費を申請する場合は不採択になります。ものづくり補助金に申請する予定の人は、対象外の事業者や経費に該当しないかあらかじめ確認しておきましょう。