ものづくり補助金における申請代行の業者を選ぶポイントを解説
2024/07/01
2024/5/16
ものづくり補助金を申請する場合、業者による申請サポートを受ける方法があります。「要件の確認」「事業計画書の作成」など、申請にはあらゆる作業が必要となるため、業者の支援を受けることにより、申請の準備を効率的に進められる可能性があります。
当記事では、ものづくり補助金の申請代行を利用したいときの業者を選ぶポイントを解説します。選ぶポイントを押さえることにより、自身に合う業者にサポートを依頼できる可能性があるため、申請代行を検討している人は参考にしてみてください。
Contents
業者を選ぶポイントは項目ごとに比較すること
ものづくり補助金の申請代行を利用したい場合、業者を選ぶポイントは項目ごとに比較することです。「コンサルティング会社」「行政書士事務所」「金融機関」など、業者はあらゆる選択肢があるため、まずは比較する項目を確認してみましょう。
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比較する項目例として、「費用」「サポート内容」「採択率」が挙げられます。申請を支援する業者は他業種にわたるため、ものづくり補助金の申請代行の業者を選ぶときはそれぞれの業者を項目ごとに比較することを検討してみましょう。
なお、ものづくり補助金の公募要領(18次締切分)では、申請の代行を他者に依頼することは認められていません。あくまで申請は本人が行うため、申請代行業者のサービス内容は、実際は「申請サポート」であることに留意しておきましょう。
当記事では実態に合わせ、以降の表記を「申請代行」ではなく「申請サポート」と表記します。
費用
ものづくり補助金の申請サポートを利用したい場合、比較する項目のひとつは「費用」です。ものづくり補助金の申請サポート費用は「着手金」と「成功報酬」に大別されますが、料金体系は業者次第となるため、申請サポートを利用したい人は必要となる費用を確認してみましょう。
項目 |
着手金 |
成功報酬 |
サポート内容 |
A社 |
15万円 |
採択額の12% |
入金までのサポート |
B社 |
10万円 |
採択額の10% |
採択までのサポート 入金までのサポートを希望する場合は別途費用が発生する |
C社 |
0円 |
採択額の20% |
採択までのサポート 入金までサポートするサービスは無い |
たとえば、1,000万円のものづくり補助金の申請サポートをA社に依頼したと仮定します。A社のサポートを受けて採択された場合、「着手金15万円+成功報酬120万円=135万円」を支払うことより、補助金の入金までのサポートを受けられることになります。
一方、1,000万円のものづくり補助金の申請サポートをB社に依頼したと仮定します。B社のサポートを受けて採択された場合、「着手金10万円+成功報酬100万円=110万円」の支払いになりますが、採択後から入金までのサポートは受けられないことになります。
料金体系は業者によって異なります。「成功報酬の最低額を定めている業者」「完全成功報酬型の業者」など、業者によってサポート範囲と費用が異なるため、ものづくり補助金の申請サポートを利用したい人は各業者に必要な費用の総額を問い合わせることも検討してみましょう。
業者への報酬は採択額の10%以内の割合が最多
ものづくり補助金の公式サイトによると、業者へ支払った報酬の比率は「採択額の10%まで」が最多です。補助金の採択額に対する報酬の比率は、ものづくり補助金の公式サイトに掲載されているため、業者への依頼を検討している人は参考にしてみましょう。
報酬額 |
申請者の占める割合 |
採択率 |
支援なし |
25.5% |
34.1% |
支援あり/報酬なし |
18.5% |
47.2% |
支援あり/補助金の5%まで |
11% |
49.2% |
支援あり/補助金の10%まで |
24.1% |
55.9% |
支援あり/補助金の15%まで |
15.9% |
57.7% |
支援あり/それ以上 |
5% |
55.1% |
参考:データポータル|ものづくり補助金
13次から16次の公募におけるデータによると、申請者の74.5%が業者からの支援を受けています。支援を受けた案件の中では、業者への報酬が「補助金の10%まで」の比率が一番高く、全体に占める割合は「24.1%」です。
また、支援を受けた案件と支援を受けていない案件の採択率を比較した場合、支援を受けた案件の採択率が高くなっています。しかし、「補助金の15%まで」と「それ以上」の採択率を比較した場合は「それ以上」の採択率が低くなるため、報酬の比率と採択率が完全に比例するとは言えません。
なお、報酬を支払う時期は依頼する業者次第です。補助金を受け取る前に支払いが必要となることも考えられるため、ものづくり補助金の申請サポートを利用したい人は資金繰りの観点からも業者を選ぶことを検討してみましょう。
サポート内容
ものづくり補助金の申請サポートを利用したい場合、比較する項目のひとつは「サポート内容」です。ものづくり補助金の申請は、あらゆる作業が必要となる関係上、サポート内容も多岐にわたるため、申請サポートを利用したい人はサポート内容を確認してみましょう。
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たとえば、サポート内容のひとつは「要件への適否の確認」です。ものづくり補助金の補助対象者には、いくつかの要件があるため、申請の準備に入る前に申請者が補助対象者の要件に適合しているかどうかを相談することができます。
また、サポート内容のひとつは「事業計画書の作成支援」です。事業計画書の作成自体は申請者が行うことになりますが、「事業計画書の見本の提示」「事業計画書の添削」などの支援を受けることができます。
サポートを受けられる期間は契約内容次第です。「採択まで」「実績報告まで」「入金まで」など、サポートを受けられる期間は契約内容によっても異なるため、申請サポートを利用したい人はサポートの希望条件を整理したうえで業者を選ぶことも検討してみましょう。
事業計画書の作成時間は30時間以内の割合が最多
ものづくり補助金の公式サイトによると、事業計画書の作成時間は「30時間以内」の割合が最多です。過去の公募における事業計画書の作成時間に関する情報は、ものづくり補助金の公式サイトに掲載されているため、ものづくり補助金の申請を検討している人は参考にしてみましょう。
項目 |
申請者の占める割合 |
採択率 |
10時間以内 |
7.5% |
42.5% |
20時間以内 |
12.8% |
44.3% |
30時間以内 |
15.2% |
47.4% |
40時間以内 |
12.1% |
50.4% |
50時間以内 |
13.3% |
51.4% |
70時間以内 |
9.7% |
50.1% |
90時間以内 |
7.3% |
51.4% |
120時間以内 |
13.1% |
54.1% |
それ以上 |
9.1% |
45.6% |
参考:データポータル|ものづくり補助金
13次から16次の公募におけるデータによると、事業計画書の作成時間を比較した場合、事業計画書の作成時間は「30時間以内」の項目が最多です。申請者の1日の業務時間が8時間と仮定した場合は、事業計画書の作成業務に4日程度かかる計算です。
一方、13次から16次の公募におけるデータによると、事業計画書の採択率を比較した場合、事業計画書の作成時間は「120時間以内」の項目が最多です。申請者の1日の業務時間が8時間と仮定した場合は、事業計画書の作成業務に15日程度かかる計算です。
なお、申請時は事業計画書以外にも必要な書類の準備をすることになります。準備には相応の時間が必要となるため、ものづくり補助金の申請サポートを検討している人は自身が補助金の申請準備に充てられる時間数を考慮したうえでサポート内容を検討してみましょう。
採択率
ものづくり補助金の申請サポートを利用したい場合、比較する項目のひとつは「採択率」です。ものづくり補助金の採択率は50%前後となるため、業者を比較するときは50%を基準として業者が公表している採択率の高低を確認してみましょう。
項目 |
採択率 |
採択件数 |
A社 |
93% |
134件 |
B社 |
9割 |
記載なし |
C社 |
79% |
151件 |
たとえば、A社とB社を比較した場合、採択率はいずれも50%より高いことが分かりますが、B社は採択件数を公表していないため、件数の比較ができません。業者が採択件数を公表していない場合は、具体的な採択件数を問い合わせることを検討する余地があります。
また、A社とB社を比較した場合、採択率は「93%」のA社が高いですが、採択件数は「151件」のC社の方が多くなっています。公表されている数値の比較が難しい場合は、ものづくり補助金の申請サポートを行ってきた年数や支援の総数の比較を検討する余地があります。
なお、各業者のホームページに公表されている情報は信ぴょう性が低い可能性もあります。情報が古いことも考えられるため、業者を選ぶときは「支援総数と採択数」「採択された年月」「支援した申請者の業種」など、具体的な情報を確認することも検討してみましょう。
採択された案件の認定支援機関も参考にする
ものづくり補助金に採択された案件の認定支援機関を参考にすることも考えてみてください。ものづくり補助金の公式サイトでは、採択案件の一覧に加え、案件を支援した認定支援機関名を公表しているため、業者に依頼したい人は認定支援機関を確認してみましょう。
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認定支援機関の正式名称は「認定経営革新等支援機関」といい、中小企業のサポートに関する専門的知識や実務経験が一定レベル以上あるとして、国の認定を受けた機関です。中には、ものづくり補助金の申請に関する支援を実施している認定支援機関もあります。
また、採択案件一覧では、「都道府県名」「商号または名称」「事業計画名」「認定支援機関名」などの項目が明記されています。採択された事業者の所在地や事業内容と、申請者の希望条件を照らし合わせることにより、認定支援機関を見つけられる可能性があります。
なお、認定支援機関は中小企業庁の「認定経営革新等支援機関検索システム」で検索することもできます。ものづくり補助金の支援実績がある認定支援機関のみを表示することもできるため、気になる人は認定経営革新等支援機関検索システムを確認してみましょう。
ポイントを押さえた人は相談が可能な公的機関も確認しておく
ものづくり補助金における申請サポートの業者を選ぶポイントを押さえた人は、相談できる公的機関も確認しておきましょう。公的機関の中には、ものづくり補助金の申請に関して相談できる窓口を設けている場合があります。
相談先 |
支援例 |
商工会議所 |
専門家による「事業計画書の作成支援」「書類のブラッシュアップ」「利用できる補助金の案内」などの支援を受けられる。 |
よろず支援拠点 |
専門家による「申請書の作成方法に関するアドバイス」「採択率をあげる事業計画書の作成ポイントの解説セミナー」などの支援を受けられる。 |
たとえば、ものづくり補助金の相談ができる公的機関のひとつは「商工会議所」です。商工会議所は市の区域ごとにあり、中小企業の支援を行っているため、ものづくり補助金の申請方法や書類の作成支援などの助言を受けられる場合があります。
また、ものづくり補助金の相談ができる公的機関のひとつは「よろず支援拠点」です。よろず支援拠点は各都道府県にあり、中小企業や小規模事業者の経営相談を行っているため、専門家による相談対応やセミナーの受講などの支援を受けられる場合があります。
なお、相談先は事業所の所在地を管轄する商工会議所やよろず支援拠点となります。支援内容は各施設によって異なる可能性があるため、公的機関に相談したい人は事業所の所在地を管轄する施設に問い合わせることも検討してみましょう。
ものづくり補助金の相談先に関する情報を知りたい人は「ものづくり補助金における相談先を解説」を参考にしてみてください。
この記事のまとめ
ものづくり補助金の申請サポートを利用したい場合、業者を選ぶポイントは項目ごとに比較することです。比較する項目は「費用」「サポート内容」「採択率」が挙げられるため、申請サポートを利用したい人は項目ごとに業者の情報を比較してみましょう。
業者を選ぶポイントを押さえた人は、相談できる公的機関も確認してみてください。「商工会議所」「よろず支援拠点」といった公的機関では、ものづくり補助金の申請に必要となる書類の助言や補助金に関するセミナーなどの支援を受けられる可能性があります。
なお、ものづくり補助金の公募要領では、申請の代行を他者に依頼することは認められていません。当記事の一部では「申請代行」と表記しましたが、実際は「申請サポート」であることを留意しておきましょう。