補助金ガイド

いくらもらえる?ものづくり補助金の補助率と補助額を解説

2024/07/25

2024/7/24

この記事の監修

株式会社SoLabo 代表取締役/税理士有資格者田原広一(たはら こういち)

融資支援実績6,000件超、補助金申請支援実績1,300件超、事業再構築補助金採択支援件数は第4回~第8回まで5回連続で日本一を獲得。 『小規模事業者持続化補助金』、『事業再構築補助金』、『IT導入補助金』は自社での申請・採択も経験。「補助金ガイド」LINE公式アカウントでは約4万人の登録者に情報発信を実施。

ものづくり補助金を検討している人の中には、ものづくり補助金がいくらもらえるか気になる人もいるでしょう。ものづくり補助金の補助額は、「補助率」「補助上限額」などの要素により決められるため、補助額を決める要素を理解しておかなければなりません。

当記事では、ものづくり補助金の補助率と補助額を解説します。申請者の状況によって補助率や補助額は異なるため、ものづくり補助金の申請を検討している人は自身がもらえる補助額を算出するための参考にしてみてください。

なお、当記事はものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業公募要領(18次締切分)を参考に作成しています。

いくらもらえるかは補助率と補助上限額を考慮して決められる

ものづくり補助金がいくらもらえるかは、補助率と補助上限額を考慮して決められます。正確な補助金の受給金額は、ものづくり補助金の事業実施後に決定しますが、おおよその目安は公募要領に記載されている補助率と補助上限額を考慮して算出できます。

【ものづくり補助金における補助率と補助上限額の概要】

項目

概要

補助率

  • 補助対象経費に対し、補助できる割合
  • 補助できる割合を超える部分の金額は、自己負担となる

補助上限額

  • 補助できる上限の金額
  • 補助上限額を超える部分の金額は、自己負担となる

ものづくり補助金の補助率は、補助対象経費に対して補助できる割合を指します。「補助対象経費3,000万円」「補助率1/2」の場合、3,000万円×1/2=1,500万円が補助額の算出式となるため、差額の1,500万円は自己負担となります。

ものづくり補助金の補助上限額は、補助できる上限の金額を指します。「補助対象経費3,000万円」「補助率1/2」の場合、3,000万円×1/2=1,500万円が補助額の算出式となりますが、補助上限額が1,000万円と設定されていると、補助額は1,000万円までとなります。

補助率と補助上限額は申請者の状況によって異なります。「従業員数」「申請枠」など、複数の要素から補助率と補助上限額は決定されるため、ものづくり補助金の補助額がいくらもらえるか知りたい人は、自身に適用される補助率と補助上限額を確認するところから始めてみましょう。

適用される補助率を確認する

ものづくり補助金がいくらもらえるか知りたい人は、申請者自身に適用される補助率を確認してみましょう。補助率は原則として「申請枠」と「申請者の属性」ごとに設定されているため、自身に適用される補助率を確認してみましょう。

【ものづくり補助金の補助率】

申請枠/属性

小規模事業者・再生事業者以外の事業者

小規模事業者

再生事業者

省力化枠(オーダーメイド枠)

1/2

2/3

2/3

製品・サービス高付加価値化枠

(通常類型)

1/2

※新型コロナ回復加速化特例を適用した場合は2/3 

2/3

2/3

製品・サービス高付加価値化枠

(成長分野進出類型)

2/3

2/3

2/3

グローバル枠

1/2

2/3

1/2

参考:公募要領 18次締切分(p.16、17、19)|ものづくり補助金

たとえば、省力化枠の補助率は「原則1/2」です。ただし、小規模事業者か再生事業者の場合は補助率が「2/3」になるため、省力化枠を検討している人は、自身が小規模事業者か再生事業者に該当するかどうかを確認することになります。

一方、製品・サービス高付加価値化枠(成長分野進出類型)の補助率は「一律2/3」です。申請者の属性にかかわらず、申請者はすべて2/3の補助率が適用されるため、製品・サービス高付加価値化枠(成長分野進出類型)を検討している人は、補助率においては自身の事業者属性の確認が不要となります。

なお、再生事業者の定義は「公式サイトの参考情報の別紙4」から確認できます。ものづくり補助金における再生事業者の定義が記載されているため、該当の可能性がある事業者は再生事業者の定義を確認しておきましょう。

小規模事業者に該当するかどうかは従業員数により決められる

小規模事業者に該当するかどうかは、従業員数により決められます。業種ごとに従業員数の定義が定められているため、小規模事業者に該当する可能性がある場合はものづくり補助金における小規模事業者の定義を確認しておきましょう。

【ものづくり補助金における小規模事業者の定義】

業種

常勤従業員数

製造業その他

20人以下の会社及び個人事業主

商業・サービス業

5人以下の会社及び個人事業主

サービス業のうち宿泊業・娯楽業

20人以下の会社及び個人事業主

参考:公募要領 18次締切分(p.9)|ものづくり補助金

小規模事業者かどうかは「業種」と「常勤従業員数」によって判断できます。常勤従業員数が業種ごとに定められた基準以下の人数の場合は、小規模事業者と判断し、小規模事業者の補助率を適用して応募申請できます。

常勤従業員数は「中小企業基本法上の常時使用する従業員」を指します。「アルバイト」「契約社員」も含まれる可能性があるため、従業員を雇用している場合は、常勤従業員の定義も確認しておくことになります。

なお、小規模事業者かどうかは応募申請時の常勤従業員数から判断されます。応募申請以降、従業員の増加により小規模事業者の定義から外れた場合は、補助率が変更される可能性もあるため、小規模事業者に該当する人は留意しておきましょう。

省力化枠(オーダーメイド枠)のみ補助額に応じて補助率が異なる

ものづくり補助金の省力化枠(オーダーメイド枠)のみ、補助額に応じて補助率が異なります。省力化枠は補助額1,500万円を境目として補助率が変わるため、省力化枠を検討している人は補助率の考え方を確認しておきましょう。

【省力化枠(オーダーメイド枠)の補助率の考え方】

補助額

補助率

1,500万円までの部分

<小規模・再生事業者以外>

1/

<小規模・再生事業者>

2/3

1,500万円を超える部分

1/3

参考:公募要領概要版 18次締切分(p.14)|ものづくり補助金

省力化枠の補助率は、補助額が1,500万円までの部分は1/2もしくは2/3の補助率が適用されます。小規模事業者と再生事業者以外の事業者は1/2の補助率が適用され、小規模事業者と再生事業者は2/3の補助率が適用されます。

省力化枠の補助率は、補助額が1,500万円を超える部分は1/3の補助率が適用されます。補助額が1,500万円を超える部分は、小規模事業者や再生事業者も含め、すべての事業者に対して1/3の補助率が適用されます。

なお、補助額が1,500万円までの投資金額は、事業者の属性によって異なります。補助率によって補助額が1,500万円までの投資金額は変わってくるため、補助額が1,500万円までの投資金額を知りたい場合は、自身が適用される補助率を確認した上で算出するようにしましょう。

適用される補助上限額を確認する

ものづくり補助金がいくらもらえるか知りたい人は、申請者自身に適用される補助上限額を確認してみましょう。補助上限額は原則として「申請枠」と「従業員数」により確認できるため、自身に適用される補助上限額を確認してみましょう。

【ものづくり補助金の補助上限額】

申請枠 / 従業員数

5人以下

6人~20

21人~50

51人~99

100人以上

省力化枠(オーダーメイド枠)

750万円

1,500万円

3,000万円

5,000万円

8,000万円

製品・サービス高付加価値化枠
(通常類型)

750万円

1,000万円

1,250万円

1,250万円

1,250万円

製品・サービス高付加価値化枠

(成長分野進出類型)

1,000万円

1,500万円

2,500万円

2,500万円

2,500万円

グローバル枠

3,000万円

3,000万円

3,000万円

3,000万円

3,000万円

参考:公募要領概要版 18次締切分(p.11、15、17、19)|ものづくり補助金

ものづくり補助金の省力化枠(オーダーメイド枠)は、従業員数によって補助上限額が設定されています。従業員数によって補助上限額が750万円から8,000万円まで幅があるため、省力化枠を検討している場合は正確な従業員数を把握し、補助上限額を確認することになります。

一方、ものづくり補助金のグローバル枠は従業員数によって補助上限額が変わりません。従業員数にかかわらず、一律3,000万円の補助上限額が設定されているため、グローバル枠を検討している場合は従業員数の多寡は考慮しないことになります。

なお、製品・サービス高付加価値化枠は類型ごとに補助上限額が異なります。「通常類型」「成長分野進出類型」のうち、いずれかの類型を選択することになるため、製品・サービス高付加価値化枠を検討している場合は類型ごとの補助上限額も確認するようにしましょう。

補助上限額を引き上げたい場合は大幅賃上げ特例を検討する

補助上限額を引き上げたい場合は、大幅賃上げ特例の適用を検討できます。大幅賃上げ特例を適用することにより、補助上限額を引き上げることができるため、基準の補助上限額を超える設備投資を検討している人は、特例適用後の補助上限額を確認してみましょう。

【大幅賃上げ特例を適用した場合の補助上限額】※カッコ内は特例を適用しない場合の補助上限額

申請枠 / 従業員数

5人以下

6人~20

21人~50

51人~99

100人以上

省力化枠(オーダーメイド枠)

1,000万円(750万円)

2,000万円(1,500万円)

4,000万円(3,000万円)

6,500万円(5,000万円)

1億円(8,000万円)

製品・サービス高付加価値化枠
(通常類型)

850万円(750万円)

1,250万円(1,000万円)

2,250万円(1,250万円)

2,250万円(1,250万円)

2,250万円(1,250万円)

製品・サービス高付加価値化枠(成長分野進出類型)

1,100万円(1,000万円)

1,750万円(1,500万円)

3,500万円(2,500万円)

3,500万円(2,500万円)

3,500万円(2,500万円)

グローバル枠

3,100万円(3,000万円)

3,250万円(3,000万円)

4,000万円(3,000万円)

4,000万円(3,000万円

4,000万円(3,000万円

参考:公募要領概要版 18次締切分(p.11、15、17、19)|ものづくり補助金

たとえば、省力化枠かつ従業員数100人以上の事業者が大幅賃上げ特例を適用する場合、補助上限額が1億円まで引き上げられます。特例を適用しなければ8,000万円までが補助上限額となりますが、特例を適用すると補助上限額が2,000万円引き上げられます。

また、グローバル枠かつ従業員数100人以上の事業者が大幅賃上げ特例を適用する場合、補助上限額が4,000万円まで引き上げられます。グローバル枠は従業員数にかかわらず一律3,000万円が補助上限額でしたが、特例を適用すると従業員数に応じて補助上限額が引き上げられます。

なお、大幅賃上げ特例を適用させるためには、賃上げに関する基本要件に加え、追加要件を満たさなければなりません。「給与支給総額」「事業場内最低賃金」など、基本要件よりもさらに高い水準に引き上げることが求められるため、特例の適用を希望する人は要件を満たせるかどうかも考慮するようにしましょう。

補助上限額が設定されている補助対象経費がある

補助対象経費によっては、補助上限額が設定されている経費もあります。「技術導入費」「専門家経費」など、経費項目によっては補助上限額が設定されているため、ものづくり補助金の申請を検討している人は補助対象経費ごとの補助上限額を押さえておくようにしましょう。

【補助対象経費ごとの補助上限額】

補助対象経費の項目

補助上限額

技術導入費

補助対象経費総額(税抜き)の1/3まで

専門家経費

補助対象経費総額(税抜き)の1/2まで

外注費

補助対象経費総額(税抜き)の1/2まで

知的財産権等関連経費

補助対象経費総額(税抜き)の1/3まで

海外旅費

※グローバル枠のうち、海外市場開拓(輸出)に 関する事業のみ

補助対象経費総額(税抜き)の1/5まで

通訳・翻訳費

※グローバル枠のうち、海外市場開拓(輸出)に 関する事業のみ

補助対象経費総額(税抜き)の1/5まで

広告宣伝・販売促進費

※グローバル枠のうち、海外市場開拓(輸出)に 関する事業のみ

補助対象経費総額(税 抜き)の1/2まで

参考:公募要領 18次締切分(p.22)|ものづくり補助金

たとえば、専門家経費の補助上限額は「補助対象経費総額(税抜き)の1/2まで」です。「コンサルティング費用」「国内旅費」など、専門家への依頼にかかる経費は補助対象経費の総額のうち、1/2までが補助上限額となります。

また、グローバル枠の海外市場開拓事業のみ活用できる海外旅費の補助上限額は「補助対象経費総額(税抜き)の1/5まで」です。「海外での宿泊費」「海外への渡航費」など、海外旅費は補助対象経費の総額のうち、1/5までが補助上限となります。

なお、最低50万円以上使わなければいけない対象経費もあります。ものづくり補助金は設備投資を支援する性質がある関係上、「機械装置・システム構築費」として最低50万円以上の設備投資を行うことが必須条件となっているため、ものづくり補助金を検討している人は留意しておきましょう。

ものづくり補助金の入金スケジュールも押さえておく

ものづくり補助金を検討している人は、補助金の入金スケジュールも押さえてみてください。補助金は補助事業完了後の入金となるため、ものづくり補助金に採択された事業者は、補助事業分の経費を一時的に立て替えることになります。

【ものづくり補助金の流れ】

補助金交付までの流れ
画像素材:補助金ガイド

ものづくり補助金は「④補助事業開始」の工程時に補助対象である設備等の購入を行います。補助事業開始段階では、まだ補助金が振り込まれていないため、設備等の購入費用は事業者自身での立て替え払いとなります。

ものづくり補助金は「⑥補助金振込」の工程時に補助対象経費が振り込まれます。補助事業が完了し、実施報告や確定検査を通過したのち、確定した補助金額が事業者の口座に振り込まれます。

補助金の申請から入金までは1年以上かかる場合があります。一時的な立て替え払いが発生するため、ものづくり補助金を検討している人は、補助金が入金されるまでの資金繰りを確保した上での申請を行いましょう。

補助額は採択後に変更となる場合もある

ものづくり補助金の補助額は、採択後に変更となる場合もあります。採択された段階では、申請内容のすべてが承認された訳ではないため、ものづくり補助金を検討している人は、採択後に変更となる例を確認しておきましょう。

【採択後に申請した補助額が変更される例】

項目

具体例

申請内容の一部が認められない状態での採択となった場合

「小規模事業者」「再生事業者」「大幅賃上げ特例」などが認められない場合は、補助率や補助上限額が変更される

補助対象外経費が含まれていた場合

補助対象経費の一部が補助対象外経費だった場合は、補助額が変更される

補助額が変更される例として「申請内容の一部が認められない状態での採択となった場合」が挙げられます。「小規模事業者」「大幅賃上げ特例」など、優遇措置の適用が認められなかった場合は、補助率や補助上限額が通常の適用に変更される場合があります。

補助額が変更されるもうひとつの例として「補助対象外経費が含まれていた場合」が挙げられます。補助対象経費の内訳に補助対象外経費が含まれていることが判明した場合、申請した補助額から補助対象外経費分の金額を減額することになる場合があります。

なお、今回紹介した例は一例です。他にも採択後に補助額が変更される可能性もあるため、申請内容に不安な点や疑問点がある人は、ものづくり補助金の事務局に直接問い合わせすることも検討してみましょう。

この記事のまとめ

ものづくり補助金がいくらもらえるかは、補助率と補助上限額を考慮して決められます。正確な補助金の受給金額は、ものづくり補助金の事業実施後に決定しますが、おおよその目安は公募要領に記載されている補助率と補助上限額を考慮して算出できます。

ものづくり補助金がいくらもらえるか知りたい人は、申請者自身に適用される補助率を確認してみましょう。補助率は原則として「申請枠」と「申請者の属性」ごとに設定されているため、自身に適用される補助率を確認してみましょう。

ものづくり補助金がいくらもらえるか知りたい人は、申請者自身に適用される補助上限額を確認してみましょう。補助上限額は原則として「申請枠」と「従業員数」により確認できるため、自身に適用される補助上限額を確認してみましょう。

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