補助金ガイド

ものづくり補助金の対象事業者や対象経費を解説

2024/04/09

2024/2/21

この記事の監修

株式会社SoLabo 代表取締役/税理士有資格者田原広一(たはら こういち)

融資支援実績6,000件超、補助金申請支援実績1,300件超、事業再構築補助金採択支援件数は第4回~第8回まで5回連続で日本一を獲得。 『小規模事業者持続化補助金』、『事業再構築補助金』、『IT導入補助金』は自社での申請・採択も経験。「補助金ガイド」LINE公式アカウントでは約4万人の登録者に情報発信を実施。

ものづくり補助金に関心がある人の中には、対象となる人はどんな人なのか、どのような経費が補助されるのか知りたい人もいますよね。また、「ものづくり補助金」という名称から製造業のようにモノを作る業種なのでは?と、対象の業種を確認したい人もいるでしょう。

当記事では、ものづくり補助金の対象事業者と補助対象経費を解説します。対象の業種や事業についても紹介するので、ものづくり補助金の対象を確認したい人は当記事を参考にしてみてください。

ものづくり補助金の対象事業者は中小企業者等

ものづくり補助金の対象事業者は、日本に事業所がある中小企業者等です。従業員数が5人以下の小規模な個人事業主や商工組合、NPO法人なども含まれます。

対象事業者の基準は、資本金や常時使用する従業員数です。常時使用する従業員とは、2か月以内といった期限を決めずに雇用する従業員のことであり、正社員やアルバイトなど雇用形態による区別はありません。

【ものづくり補助金の対象事業者】
種類 補足
中小企業者

資本金や常時使用する従業員が一定以下の企業
※金額や人数の規定は業種により異なる

例:製造業の場合
資本金3億円以下かつ従業員数300人以下

組合・法人 企業組合、協業組合、事業協同組合、商工組合、商店街振興組合など
※一部の組合では出資金と組合員に条件あり
小規模企業者・
小規模事業者
常時使用する従業員人数が0人~20人以下の会社または個人事業主
※人数の規定は業種により異なる
特定事業者の一部 資本金が10億円未満かつ常時使用する従業員数が300人~500人以下
特定非営利活動法人 常時使用する従業員人数が300人以下のNPO法人
社会福祉法人 従業員数が 300 人以下

中小企業者は、資本金と従業員数で定義されています。たとえば、資本金1,000万円で常時使用する従業員が50人の会社の場合は中小企業者にあてはまるため、ものづくり補助金の対象事業者です。

また、小規模企業者や小規模事業者の場合は、資本金にかかわらず常時使用する従業員数のみで判断します。たとえば、従業員数3人の個人事業主は小規模事業者となるため、ものづくり補助金の対象です。

ものづくり補助金の対象事業者か確認する際は、業種ごとの資本金および常時使用する従業員数を確認することが大切です。申請を検討している人は、公募要領の「補助対象者」のページにある表で業種ごとの資本金と常時使用する従業員数を確認してみてください。

なお、申請時にまだ開業していない事業者は、ものづくり補助金の対象外です。ものづくり補助金では対象外の事業者についてもルールを設けています。対象外の事業者を詳しく知りたい人は「ものづくり補助金で対象外となる事業者と設備導入を解説」を参考にしてみてください。

業種は製造業以外も幅広く対象となる

ものづくり補助金の業種は製造業以外も幅広く対象となります。「ものづくり」という名称の補助金ですが、手に取れる製品だけでなくシステム構築やサービス開発をする業種も対象です。

【ものづくり補助金の対象業種】
  • 製造業
  • 建設業
  • 運輸業
  • 旅行業
  • 旅館業
  • 卸売業
  • サービス業

(飲食業、美容業、印刷業、歯科医師、薬局含む)

  • 小売業
  • ゴム製品製造業
  • ソフトウェア業又は情報処理サービス業
  • 農業
  • その他の業種(上記以外)

たとえば、総合工事業の場合「内外一体型断熱型枠<DAN工法>の開発」で採択されています。DAN工法とは、熟練した専門家の技術を必要としない施工作業向けの工法なので、手に取れる製品開発ではありません。

また、飲食業の場合「手打ち蕎麦の経験を活かしたスイーツの開発」が採択されています。スイーツの開発の場合、ものづくり補助金の対象という印象を持たない人もいる可能性がありますが、自社の技術を活かした製品開発として採択されています。

ものづくり補助金では、ものを製造して販売する業種以外も幅広く対象としています。現状の工程を改善する案や新メニューやプラン開発を行う業種も対象となります。ものづくり補助金に関心がある人は公式サイトの「成果事例のご紹介」で過去の採択事例を確認してみてください。

日本に本社および事業実施場所があることが必須

ものづくり補助金の対象事業者は、日本に本社および事業実施場所があることが必須です。そのため、海外法人の日本支社や現在建設中の建物を実施場所にする場合は対象外になります。事業所が1つの場合はそこが本社、個人事業主の場合は開業場所を本社として申請できます。

【ものづくり補助金の対象事業者の本社と事業実施場所】
本社 事業実施場所
国内
国内(建設中) × ×
国内(申請者に所有権なし) × ×
国外 × ×

ものづくり補助金の対象事業者は、補助事業の実施場所を国内にもち、本社が国内である必要があります。採択されても、事業実施場所が確定していない場合は補助金を受け取れません。申請する前に「事業所の登記が国内にあること」「事業実施場所を保有すること」を確認しておきましょう。

対象の事業は生産性と省力化につながる取り組み

対象の事業は、生産性と省力化につながる取り組みです。ものづくり補助金における省力化とは、人手不足を機械設備やシステムの導入で解決することです。

たとえば、以前採択されたワンタッチ通報システムの場合、導入によって施設担当者の手間が大幅に削減されました。従来、高齢者が緊急時に介護施設に連絡すると、施設から消防署や家族への連絡が必要でしたが、このシステムは1回のボタン押下で一斉送信が可能だからです。

また、非接触3次元測定システムの場合は、自由局面を多く含む立体物の測定にかかる時間の短縮につながりました。従来、自由局面を多く含む立体物は測定しづらく時間がかかりましたが、非接触3次元測定システムは接触せずに立体物をデータ化するため、測定担当者の測定時間が大幅に短縮されました。

ものづくり補助金で対象となる事業は、革新的な製品・サービスを開発する取り組みや、生産プロセスを改善する取り組みです。採択事例には事業者のさまざまなアイデアが詰まった事業があるので、ものづくり補助金に関心のある人は公式サイトの「成果事例のご紹介」も参考にしてみましょう。

なお、ものづくり補助金の対象となるかを知りたい人は無料診断をお試しください。貴社の事業内容や業種・業態からものづくり補助金の対象事業者に当てはまるか、申請する事業が対象となるかなどがわかります。

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17次公募ではICTやロボット等を活用した事業のみが対象

17次公募ではICTやロボット等を活用した事業のみが対象です。17次ものづくり補助金では「省力化(オーダーメイド)枠」のみが公募され、省力化(オーダーメイド)枠とは「生産する工程を自動化するため、システム構築をする人がICTやロボット等を用いた専用設備を構築する事業」と記載されています。

たとえば、インボイスの導入で事務作業が煩雑になった事業者が、インボイス対応システムを採用するとします。その際、自社の社員またはシステムインテグレータに依頼してインボイス対応システムを採用するなら、補助の対象です。

17次公募は今まで以上にICTやloT、AI、ロボット、センサー等の活用を重視した公募です。デジタル技術等を活用せず、単に機械装置等を導入する事業についてはものづくり補助金の対象とならないため、17次公募に申請する人は公募要領をよく確認してみましょう。

ものづくり補助金の対象経費は機械設備とシステム構築費等

ものづくり補助金の対象経費は、機械設備とシステム構築費等です。ものづくり補助金を利用すると、大型の機械設備や最新のシステムの導入時の経費を補助してもらえます。

機械設備とシステム構築費は、税込み単価50万円以上が対象です。そのため、ものづくり補助金では
少額の机や棚といった設備投資ではなく、規模の大きな設備投資が対象になります。

また、機械装置・システム構築費に関連する運搬費や技術導入費なども補助されます。

【ものづくり補助金の補助対象経費】
経費の種類
機械装置・システム構築費
  • 0.1ミリ単位の誤差をなくすため、3Dレーザー

スキャナーを導入する(建設業)

  • 人が入りづらい場所でを測るため、測量用ドローン

を導入する(測量業)

  • 従業員の負担を軽減するため、配膳ロボットを

導入する(飲食業)

  • チェーン店の仕入れを効率化するため、POSレジを

導入する(小売業)

  • 需要の高い新メニューを提供するため、痩身用

キャビテーションを導入する(エステ業)

  • 整骨院での顧客単価を上げるため、販売促進システムを

導入する(サービス業)

  • 緊急時の体制を強化するため、みまもりセンサー付き

システムを導入する(介護業)

  • 高齢化してきた生産者の負担を軽減するため、防除作業用

農業ロボットを導入する(農業)

運搬費
  • 機械装置を設置するために、既存の荷物を移動する(製造業)
  • システム構築を行う際に業者と紙の契約書の郵送をする

(情報通信業)

技術導入費
  • 海外で流行中の印刷技術を導入するため、実用新案権を

取得する(印刷業)

  • 既存のキャラクターを使用した学習塾の学習システムを開発する

ため、商標権と著作権を取得する(教育・学習支援業)

知的財産権等関連経費
  • 開発するシステムが新しい技術を備えている
    ため、特許権を取得する(製造業)
  • パティシエが新しいティラミスを開発した
    ので、実用新案権を取得する(飲食業)
外注費
  • 座るだけで運動効果のある椅子のデザインを外注する

(家具製造業)

  • 新たな冷凍食品を開発し、そのパッケージデザインを

外注する(食品製造業)

専門家経費
  • 地方都市に創る新たな設備の意見を聞くため、第一人者の

大学教授にアドバイスを求める(建設業)

  • 介護を必要とする高齢者が使うアプリ開発のため、介護用

システムのコンサルを依頼する(介護業)

クラウドサービス利用費
  • 自動販売機による新たな広告媒体「フリーポン」のクラウド

連携を開発する(無店舗小売業)

  • クラウド接続型の離床及び介護見守り機器を開発する

(情報サービス業)

原材料費
  • 地産原料を活用した自動菓子製造装置の導入(食品製造業)
  • ヤマブドウを活用した新商品の開発と搾汁設備等の導入

(飲料・たばこ・飼料製造業)

ものづくり補助金は設備投資をテーマとする補助金なので、主な補助対象経費は機械設備に関する経費です。機械設備・システム導入は税抜き単価50万円以上が補助の対象で、機械設備・システム以外の経費のみでの申請は不可となるため留意しておきましょう。

なお、各補助対象経費には申請できる補助上限額が設定されている場合があります。たとえば、機械装置・システム構築費以外の補助対象経費の総額は、税抜き500万円までです。ものづくり補助金に申請する際は、補助対象経費ごとの補助上限額も公募要領で確認しておきましょう。

補助事業以外にも使える経費は対象外となる

補助対象外の経費は、補助事業以外に使える経費です。補助対象外の経費には「車両」「パソコン」「事務机」などがあります。ものづくり補助金の公募要領では、補助対象経費と共に「補助対象外経費」についての記載があります。

【ものづくり補助金の補助対象外経費】
  • パソコン・タブレット
  • 車両
  • 事務机
  • 金券
  • ビニールハウス、コンテナ等の取得費用
  • 不動産の購入費
  • ソーラーパネル
  • 事務所の家賃、保証金、敷金 など

ものづくり補助金では「補助事業以外にも使える」経費は補助対象外です。パソコンや車両など、生活や他の用途にも使える購入費用の場合は補助の対象外となるので、覚えておきましょう。

申請を検討している人は基本要件も確認しておく

申請を検討している人は、基本要件も確認しておく必要があります。ものづくり補助金の対象者や対象事業に該当する場合でも、基本要件を満たさないと不採択になります。ものづくり補助金に申請したい人は、3つの基本要件の内容を押さえておきましょう。

【ものづくり補助金の基本要件】
①給与支給総額が年率平均1.5%以上増加
                ・・・賃上げ要件(通称)
②事業場内最低賃金を毎年、地域別最低賃金+30円以上
                ・・・賃上げ要件(通称)
③事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加

基本要件のうち、最初の2つは賃上げに関する内容です。給与支給総額とは、事業者が従業員に支払う給与や賞与のことです。また、事業場内最低賃金とは、従業員の給与を時給に換算した際に最も低い金額を指します。いずれも、従業員の給与を一定以上増加すれば、要件は満たせます。

3つ目の付加価値額は「営業利益」「人件費」「減価償却費」の合計を意味します。機械やシステム等の固定資産を導入すると、数年にわたり減価償却費を計上することになるため、残る営業利益と人件費が増加する計画を立てられれば、付加価値額の要件も満たせます。

ものづくり補助金の対象事業者に該当する場合は、基本要件を満たした事業計画を作成すれば、ものづくり補助金に申請できます。ものづくり補助金の基本要件の概要を知りたい人は「ものづくり補助金の要件とは?基本要件の詳細も解説」を参考にしてみてください。

この記事のまとめ

ものづくり補助金の対象事業者は、日本に事業所がある中小企業者等です。従業員数が5人以下の小規模な個人事業主や商工組合、NPO法人などもこの中に含まれます。対象事業者は「資本金と常時使用する従業員数が規定以内であるか」を基準とします。

ものづくり補助金の業種は製造業以外も幅広く対象となります。「ものづくり」という名称の補助金ですが、手に取れる製品だけでなくシステム構築やサービス開発をする業種も対象です。

ものづくり補助金を利用すると、大型の機械設備や最新のシステムの導入時の経費を補助してもらえます。機械設備とシステム構築費は、税込み単価50万円以上が対象です。そのため、ものづくり補助金では少額の机や棚といった設備投資ではなく、規模の大きな設備投資が対象になります。

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