補助金ガイド

ものづくり補助金の概要と採択される難易度について解説

2024/05/07

2023/12/8

この記事の監修

株式会社SoLabo 代表取締役/税理士有資格者田原広一(たはら こういち)

融資支援実績6,000件超、補助金申請支援実績1,300件超、事業再構築補助金採択支援件数は第4回~第8回まで5回連続で日本一を獲得。 『小規模事業者持続化補助金』、『事業再構築補助金』、『IT導入補助金』は自社での申請・採択も経験。「補助金ガイド」LINE公式アカウントでは約4万人の登録者に情報発信を実施。

ものづくり補助金は機械設備やシステムなどの設備投資に利用でき、最大8,000万円の補助を受けられます。申請するのには要件を満たしている必要がありますが、個人事業主から従業員300人以下の中堅企業まで幅広く申請できる補助金です。

ただし、直近の公募においては約半数が不採択となっており、申請すれば誰でも補助を受けられる訳ではありません。採択されるには妥当性のある事業計画書の提出が必要になるため、申請前の入念な準備が必要になる補助金でもあります。

ここでは、ものづくり補助金が何に使えてどの程度の補助を受けられるのかについての概要と、採択されるための難易度について解説していきます。

ものづくり補助金とは設備投資等を計画する事業者が使える補助金

ものづくり補助金は、機械設備やシステムなどの設備投資を計画する事業者が使える補助金です。ものづくり補助金で採択される事業者は「革新的なサービスの開発、試作品開発、生産プロセスの改善」を行うための事業計画を立て、実践していく事業者です。

【ものづくり補助金の対象となる事業者の例】
  • 歯科技工物の生産工程を改善する歯科技工物製作事業者
  • ドローンを活用した新たな測量システムを開発する測量業者
  • 新たに冷凍焼成パン事業に挑戦するパンの移動販売業を営む事業者

ものづくり補助金は、設備投資で事業を発展させる計画を立て、実行する事業者を支援する補助金です。そのため、ものづくり補助金に興味のある人は、どのような設備を導入して事業を発展させるのか、検討してみてください。

なお、当サイトを運営する株式会社ソラボ(SoLabo)は、認定支援機関としてものづくり補助金の申請サポートを実施しています。

無料診断フォームでは、自社がものづくり補助金の対象となるかを診断できますので、自社が対象者となるか、導入する設備は対象となるか、どのくらいの金額がもらえるか等を知りたい人はぜひ診断してみてください。

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ものづくり補助金の補助金額と補助率

ものづくり補助金の補助金額と補助率は、申請枠ごとに異なります。

【ものづくり補助金の申請枠ごとの補助金額と補助率】

補助枠名 補助金額と補助率
1.省力化(オーダーメイド)枠

(補助金額)

  •  従業員数 5 人以下:100万円~750万円
  •  6人~20人:100万円~1,500万円
  •  21人~50人:100万円~3,000万円
  • 51~99人 :100万円~5,000万円
  • 100人以上:100万円~8,000万円
(補助率)

補助金額が1,500万円まで:

中小企業 1/2

小規模企業者・小規模事業者、再生事業者 2/3

1,500万円を超える部分:

1/3

2.製品・サービス高付加価値化枠

(補助金額)

通常類型:

 従業員数

  • 5 人以下:100万円~750万円
  •  6人~20人:100万円~1,000万円
  •  21人以上:100万円~1,250万円

成長分野進出類型(DX・GX):

従業員数

  • 5 人以下:100万円~1,000万円
  • 6人~20人:100万円~1,500万円
  • 21人以上:100万円~2,500万円

(補助率)

通常類型:

中小企業 1/2

小規模企業者・小規模事業者 再生事業者 2/3

新型コロナ回復加速化特例  2/3

成長分野進出類型 (DX・GX):

中小企業  2/3

小規模企業者・小規模事業者 再生事業者 2/3

3. グローバル枠 (補助金額)

100万円~3,000万円

(補助率)

中小企業 1/2

小規模企業者・小規模事業者 再生事業者 2/3

参考:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.1版|ものづくり補助金

たとえば、従業員数が21人以上50人以下の企業が省力化(オーダーメイド)枠に申請する場合は最大で3,000万円まで補助されます。省力化(オーダーメイド)枠の補助率は2/3なので、3,000万円の補助を受ける場合は4,500万円の補助事業の実施が必要です。

ものづくり補助金の補助対象経費

ものづくり補助金の補助対象経費は、機械装置およびシステム構築費など、設備投資に関わるものです。また、設備投資に関わる費用としてコンサルティング料金などの専門家経費やクラウドサービス費用も補助されます。

【ものづくり補助金の補助対象経費】

補助対象経費の種類  内容
機械装置・システム構築費 補助事業のためだけに使われる機械や装置、工具などを購入・製作・レンタルする際の費用
技術導入費 補助事業に必要な知的財産権等の導入にかかる費用
専門家経費 補助事業のためにコンサルティングや相談を大学教授などの専門家に支払われる費用
運搬費 補助事業をするために必要となる、運搬、宅配・郵送の費用
クラウドサービス利用費 補助事業のためだけに必要となるクラウドサービス費用
※自社が保有するサーバーの利用料は対象外
原材料費 補助事業の試作品づくりのために必要な原材料および副材料の購入費用
外注費

補助事業で必要なWebデザインなどの作業の一部を外部に委託する際の費用

※事業計画自体の企画を外注するのはNG

知的財産権等関連経費
  • 補助事業で必要となる特許の申請にかかわる弁理士の代行費用
  • 外国特許申請のための翻訳料などの費用
グローバル市場開拓枠で追加される補助対象経費

海外旅費

グローバル枠のうち、② 海外市場開拓(輸出)に関する事業のみ

海外事業の拡大・強化等を目的とした渡航費・宿泊費用

通訳・翻訳費

グローバル枠のうち、② 海外市場開拓(輸出)に関する事業のみ

海外事業の拡大・強化のための広告宣伝・販売促進に必要な通訳・翻訳費

※事業計画書作成のための通訳と翻訳費は対象外

広告宣伝・販売促進費

グローバル枠のうち、② 海外市場開拓(輸出)に関する事業のみ

海外事業で展開する製品・サービスに必要な広告(パンフレット、動画、写真等)の作成や媒体掲載費用など

参考:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.1版|ものづくり補助金

たとえば、農家の人が肥料散布機を挿入する場合、機械装置費はもちろんのこと、関連する運搬費も補助の対象です。また、建設業の人がICTシステム導入をする場合、専門家に関連する相談をするのであれば専門家経費も補助の対象になります。

ものづくり補助金の公募要領には、補助対象経費の他に補助の対象外の経費も記載されています。申請の際に対象外の経費を申請すると不採択になるので、申請する際には公募要領で対象外の経費についても理解しておきましょう。

なお、ものづくり補助金では税抜き単価50万円以上の設備投資が必要です。そのため、少額の外注費や原材料費などを主に申請する場合は補助の対象外となるので留意してください。

ものづくり補助金に申請するための条件

ものづくり補助金に申請するには、「事業規模」と「申請要件」の2つの条件を満たしているかで決まります。事業規模と申請要件をクリアしていれば、個人事業主や事業組合に所属の組合員、特定非営利活動法人(NPO法人)も対象です。

【ものづくり補助金で対象となる条件】

対象者の条件 概要
事業規模が規定の範囲に該当する

資本金:3億円位内
常時雇用する従業員数:300人以内

※ゴム製品製造業の場合は900人以内

※業種により異なる

申請要件を満たしている ①基本要件
以下を満たす3~5年の事業計画の策定及び実行
  • 付加価値額 年平均成長率+3%以上/年
  • 給与支給総額 年平均成長率+1.5%以上/年
  • 事業場内最低賃金≧地域別最低賃金+30円
②申請する枠の要件を満たす
例)グローバル枠に申請する場合は、グローバル枠の要件を満たす

参考:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.1版|ものづくり補助金

申請要件の付加価値額とは、営業利益と人件費と減価償却費を足したものです。採択されるには資本金と従業員数が規定未満である他、ものづくり補助金を利用して付加価値額と給与支給額、事業場内最低賃金の要件を満たせるだけの事業計画書を提出する必要があります。

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ものづくり補助金の申請は半数近くが不採択になる

ものづくり補助金の直近3回の採択率は50%から60%の間を推移しています。つまり、申請の手続きをしたのにもかかわらず、約半数の申請が不採択になっているのです。

13次公募~16次公募までの採択率】

公募回 申請数 採択者数 採択率
13次公募 3,261 1,903 58.3%
14次公募 4,865 2,470 50.7%
15次公募 5,694 2,861 50.2%
16次公募 5,608 2,738 48.8%

参考:採択結果|ものづくり補助金

とくに14公募以降は約半数が不採択という結果になっています。ものづくり補助金に採択されるには妥当性のある事業計画書を作成しなければならないため、事業計画や資金計画が不十分な状態で申請しても不採択になってしまうのです。

ものづくり補助金に採択されたい場合は、申請する実現可能性や金額の妥当性を考慮した事業計画書の作成を意識してください。個人で妥当性のある事業計画書の作成が難しい場合は、専門家によるサポートの利用を検討してみてください。

申請サポートの利用を検討する

ものづくり補助金に申請する時には、認定支援機関による申請サポートの利用を検討してみてください。ものづくり補助金の申請は個人でも可能ですが、認定支援機関を利用することで専門家の視点から事業計画書を作成し、申請までの手続きのアドバイスを得られるためです。

ものづくり補助金のWEBサイトにある「データポータル」によると、直近4回の公募において、採択された企業のうち約2/3が認定支援機関を利用しています。認定支援機関の利用が採択を約束するわけではありませんが、採択されている事業者のうち認定支援機関の利用率は公募の回数を追うごとに増加傾向にあるのは読み取れます。

【採択者の内認定支援機関を利用していた割合】

公募回数 採択者数 採択者の中で認定支援機関を利用した数 利用率
13次公募 1,903 1,242 65,2%
14次公募 2,470 1,665 67.4%
15次公募 2,861 1,980 69.1%
16次公募 2,738 1,937 70.7%
参考:採択結果|ものづくり補助金

当サイトを運営する株式会社ソラボは認定支援機関として、ものづくり補助金の申請サポートを実施しています。

どのような経費にいくらの補助を受けたいのか、事業の状況に合わせた事業計画書作成のサポートができますので、当社のサービスに興味がある人は以下の無料診断よりお問い合わせください。

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この記事のまとめ

ものづくり補助金は個人事業主から中堅企業まで幅広く申請できる補助金であり、最大8,000万円の補助を受けることができます。採択されるには申請要件を満たすほか、補助事業によって付加価値額や給与支給総額を増加できることを立証できる妥当性のある事業計画書の作成が必要になります。ものづくり補助金を利用したいけれど事業計画書の作成に困るという場合は、認定支援機関の利用を検討してみると良いでしょう。

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