補助金ガイド

事業再構築補助金の採択事例と取り組みが成果につながった事例を解説

2024/05/10

2022/2/3

この記事の監修

株式会社SoLabo 代表取締役/税理士有資格者田原広一(たはら こういち)

融資支援実績6,000件超、補助金申請支援実績1,300件超、事業再構築補助金採択支援件数は第4回~第8回まで5回連続で日本一を獲得。 『小規模事業者持続化補助金』、『事業再構築補助金』、『IT導入補助金』は自社での申請・採択も経験。「補助金ガイド」LINE公式アカウントでは約4万人の登録者に情報発信を実施。

事業再構築補助金へ申請を検討している人の中には、どのような事業計画が採択されているのか知りたい人もますよね。また、事業再構築補助金を活用して、どのような成果がでるのか知りたい人もいるでしょう。

当記事では、事業再構築補助金の採択事例と取り組みが成果につながった事例を解説します。事業再構築補助金で採択されている事業計画が知りたい人は参考にしてみてください。

なお、2024年5月現在、事業再構築補助金の第12回公募が行われています。第11回公募までとは申請枠や要件の一部に変更点があるため、採択事例はあくまで事業の取り組みの参考として活用し、要件などの詳細は最新の公募要領を確認してください。

事業再構築補助金における業種別の採択事例を紹介

事業再構築補助金はおもに、コロナ後の社会変化や物価高騰などに対応するための新分野への参入や、異なる事業および業種への転換に活用できます。最新の「採択結果」においても、製造業や卸売業・小売業を始めとする多様な業種の事業者が採択されています。

【紹介する採択事例の業種一覧】
  • 製造業
  • 卸売業、小売業
  • 建設業
  • 宿泊業、飲食サービス業
  • 学術研究・専門・技術サービス業
  • 情報通信業
  • 生活関連サービス業・娯楽業
  • サービス業(他に分類されないもの)
  • 不動産業・物品賃貸業
  • 医療・福祉

「不動産業から宿泊業へ業種転換したい」「美容室からネイルサロンに事業転換したい」など思い切った取り組みをしたいと考えている人は、事業再構築補助金の活用を検討しましょう。

なお、業種転換や事業転換の定義がわからない人は「事業再構築補助金の事業再構築要件とは?類型ごとの要件も解説」を参考にしてみてください。

製造業の採択事例一覧

製造業は、事業再構築補助金において一番多く採択されている業種です。製造業の採択されている事業計画には、おもに設備投資を行い新たな分野へ参入する事例や、製造技術を活かして異なる事業に挑戦する事例があります。

【製造業の採択事例一覧】
現在の業種 詳細
製造業
<採択事例①>
【既存事業】
・エンジン、ミッション部品等の内燃機関部品の製造
【取り組みの背景】
・コロナの影響と内燃機関市場の縮小
【事業内容】
・低コストのミクロン精度品質を提供できる、オリジナル工法の強みを活用
・電気自動車、電機自動車用充電設備部品分野に挑戦し、グリーン成長戦略の
課題解決に貢献
<採択事例②>
【既存事業】
・酪農と乳製品製造
【取り組みの背景】
・コロナによる不況と飼料高騰
【事業内容】
・希少なジャー黒牛を用いた食肉加工業に参入
・新たに精肉、弁当、冷凍食品を製造および販売する
<採択事例③>
【既存事業】
・仏具、神具の製造と販売
【取り組みの背景】
・宗教儀礼の減少が加速し、神仏具の売上も減少
【事業内容】
・仏壇製造に欠かせない金箔を使用した、和小物の金箔貼り体験を実施
・日本遺産に選定された地域の特色を活かし、遺産ツアー観光客を呼び込む

参考:事業再構築補助金公式サイト「採択結果>第10回公募(全体版)事業計画の概要」をもとに株式会社SoLaboが作成

設備投資を行う場合、新たに取り組む事業で使われる工場や、施設の建設および改修費用などが補助の対象となります。

ただし、事業再構築補助金では、不動産や構築物の購入費は補助の対象外です。建物の単なる購入や土地の購入は補助されないことに留意して、経費を申請しましょう。

卸売業・小売業の採択事例一覧

卸売業および小売業では、これまで培ったノウハウや自社の強みを活かし、異なる事業や異業種へ挑戦する事例があります。

【卸売業・小売業の採択事例一覧】
現在の業種 詳細
卸売業・小売業
<採択事例①>
【既存事業】
・アウトドアアパレル商品を企画、製造、販売
【取り組みの背景】
・コロナや物価高騰の影響
【事業内容】
・様々な気候を想定した衣料等の機能評価サービスの実施
・EC通販に向けたアパレル等の撮影スタジオ事業へ参入
<採択事例②>
【既存事業】
・米麦容器製造および米穀販売
【取り組みの背景】
・新会社設立を機会に事業再編
【事業内容】
・これまでの米に関する知見を活用し、非常食用の米から
プラスチックを製造
・米由来のバイオマスプラスチックの販売事業も実施
<採択事例③>
【既存事業】
・飲食店、百貨店への農産物の卸販売
【取り組みの背景】
・コロナによる高級系飲食店の閉業や物価高騰による
仕入価格の高騰
【事業内容】
・代表の料理経験値を使った体験型ワークショップを
開催する「貸し間業」を実施
・書院造りの社屋や観光地の強みを活かし、日本文化を
広める講座を招致する

参考:事業再構築補助金公式サイト「採択結果>第10回公募(全体版)事業計画の概要」をもとに株式会社SoLaboが作成

事業再構築補助金を活用することで、EC販売事業を始める際のサイトの構築費用や新たな商品開発に必要な機器を経費として申請可能です。また、新事業のパンフレットや動画など、広告の作成にかかる費用も経費として申請できます。

ただし、企業全体のPRや事業再構築で取り組む事業以外の製品やサービスにかかわる広告費用は補助されません。事業再構築補助金で補助の対象となるのは、新たに取り組む事業のみに使われる経費であることに留意して申請を検討しましょう。

また、フランチャイズ加盟料も補助の対象外です。フランチャイズ加盟による飲食店の開業を考えている人は、店舗の改修や設備にかかる経費を申請しましょう。

建設業の採択事例一覧

建設業の採択事例では、既存の技術を活かし、ビジネスモデルの変革や環境に配慮した取り組みに挑戦している取り組みがあります。

【建設業の採択事例一覧】
現在の業種 詳細
建設業
<採択事例①>
【既存事業】
・木造住宅設計施工
【取り組みの背景】
・新たな売上の柱を確立する
【事業内容】
・グリーン成長戦略に資する事業として、ZEH住宅での民泊を提供
・ZEH住宅の認知に貢献して既存事業との高いシナジー効果を実現
※ZEH(ゼッチ)…Net Zero Energy Houseの略。
省エネルギー効率、断熱性能、太陽光発電などの活用で、生活で消費する
エネルギーをゼロにする住宅のこと。
<採択事例②>
【既存事業】
・新築、リフォーム工事や修繕など
・土地、中古住宅、アパートの売買仲介など
【取り組みの背景】
・コロナや物価高騰による経営環境の悪化
【事業内容】
・地元事業者とのつながりや自然豊かな広大な土地を活用
・プライベートサウナ付きキャンプ場の経営を実施

<採択事例③>
【既存事業】
・電気通信工事業
【取り組みの背景】
・元請け業者に依存したビジネスモデルからの脱却
【事業内容】
・不動産仲介とリノベーションを併せて提供する「リノベ不動産事業」へ
事業転換
・自社が元請けとなり、既存の電気通信工事業との相乗効果が期待される

参考:事業再構築補助金公式サイト「採択結果>第10回公募(全体版)事業計画の概要」をもとに株式会社SoLaboが作成

建設業が新たに宿泊施設を開業する場合は、建物の改修費が経費として申請できます。ただし、宿泊施設を開業するために購入する土地や建物などの不動産の購入費は、補助の対象外です。

申請の際は、不動産の購入費が補助されないことに留意して、他の設備や外注にかかわる費用を経費として申請しましょう。

宿泊業・飲食サービス業の採択事例一覧

宿泊業・飲食サービス業の採択事例には、現在の事業と相乗効果が図れる市場へ参入して、事業再構築している取り組みがあります。

【宿泊業・飲食サービス業の採択事例一覧】
現在の業種 詳細
宿泊業・飲食サービス業
<採択事例①>
【既存事業】
・喫茶店営業
【取り組みの背景】
・個人経営の喫茶店が全国的に減少していることを懸念
【事業内容】
・夜にファミリー層をターゲットにした焼肉店を営業
・地域のニーズを捉え、二毛作営業で売上拡大に挑戦
<採択事例②>
【既存事業】
・ラーメン店経営事業
【取り組みの背景】
・経営回復のための活路を見出す
【事業内容】
・コロナ禍でも経営に影響のでにくい「冷凍食品市場」へ進出
・地元食材を活用した冷凍餃子のオンライン販売を計画
<採択事例③>
【既存事業】
・温泉旅館経営事業
【取り組みの背景】
・コロナと原油高、物価高騰の影響で利益が減少
【事業内容】
・「カフェ&地酒バー」「外食産業×RVパーク事業」へ参入
・既存事業との相乗効果と地域活性を目指し、複合的な
高付加価値観光拠点サービスを展開する

参考:事業再構築補助金公式サイト「採択結果>第10回公募(全体版)事業計画の概要」をもとに株式会社SoLaboが作成

たとえば、喫茶店が新たに焼き肉店経営事業に取り組む場合、焼き肉用のコンロや焼き網など、焼き肉店の事業で使われる設備を経費として申請できます。ただし、焼き肉店で使っている設備を他の事業でも使う場合は、補助対象になりません。

事業再構築補助金では、新たな事業だけで使用する経費が補助されます。そのため、家具やPCおよびプリンタなどの汎用性のある経費は、新たな事業だけで使用することが明らかでない場合、補助の対象外となります。

学術研究・専門・技術サービス業の採択事例一覧

学術研究・専門・技術サービス業の事業計画には、既存のノウハウとデジタル技術を駆使して新たな事業へ挑戦している事例があります。

【学術研究・専門・技術サービス業の採択事例一覧】
現在の業種 詳細
学術研究・専門
・技術サービス業
<採択事例①>
【既存事業】
・建築設計業
【取り組みの背景】
・空間に合わせたて設計した家具に顧客ニーズがある
・国内外の建築設計業務の中断や受注の減少
【事業内容】
・3Dモデルを駆使した製作や販売に挑戦する
・オーダーメイド家具の製作、販売事業で利益回復を図る
<採択事例②>
【既存事業】
・店舗や住宅の設計デザイン、施工、コーディネート事業など
【取り組みの背景】
・物価高騰により外注費が高騰し原価率に影響
【事業内容】
・代表のデザイン力を活かしたルームコーデ事業
・自社プラットフォームを作成し、フリーランスのデザイナー、
職人の雇用創出に取り組む
<採択事例③>
【既存事業】
・携帯の販売代理店向けコンサルティング事業および研修事業
【取り組みの背景】
・コロナや物価高騰の影響で売上が大幅に減少
【事業内容】
・「スマホの楽しい使い方」と「おトクな買い方」を教える、
アイドルグループが店員を勤めるアイドルカフェを新設
・既存事業のノウハウを活かし、スマホ教室や写真撮影会を
開催する

参考:事業再構築補助金公式サイト「採択結果>第10回公募(全体版)事業計画の概要」をもとに株式会社SoLaboが作成

新たな事業で、クラウドサービスやWebプラットフォームを利用する場合は、クラウドサービス利用費として経費を申請ができます。また、新たな事業で必要な専用のソフトウェアを購入する場合は、機械装置・システム構築費として経費を申請できます。

ただし、クラウドサービスやWebプラットフォームを他の事業と共有する場合は、補助対象になりません。申請する経費は、新たな事業で使う経費のみ申請しましょう。

情報通信業の採択事例一覧

情報通信業では、現在の経営課題の解決や顧客の要望に応えるため、新たなシステムの開発や設備投資に取り組んだ事例があります。

    【情報通信業の採択事例一覧】
    現在の業種 詳細
    情報通信業
    <採択事例①>
    【既存事業】
    ・webコンサルティング業
    ・ECによるドレス子供服通販
    【取り組みの背景】
    ・コロナやEC業界の競合激化で売上が伸び悩む
    ・コロナ後はインバウンドや撮影に顧客ニーズが多くなる
    【事業内容】
    ・既存事業を活かした写真動画スタジオ事業の構築
    ・新たにドレスレンタルやスタジオ撮影等サービスを子供、および女性向けに
    展開するための設備投資を行う
    <採択事例②>
    【既存事業】
    ・システム開発事業
    【取り組みの背景】
    ・外国人技能実習生管理団体からデジタル証明書発行の
    強い要望があったこと
    【事業内容】
    ・証明書の発行に必要な要素に省エネで実現可能な技術を活用
    ・優良なサービスを提供するため研究開発を行う
    <採択事例③>
    【既存事業】
    ・システム開発、WEB開発や制作、映像制作事業など
    【取り組みの背景】
    ・作用工数を効率化
    【事業内容】
    ・ECサイト運営事業者に特化したAI Chat botの開発と販売

    参考:事業再構築補助金公式サイト「採択結果>第10回公募(全体版)事業計画の概要」をもとに株式会社SoLaboが作成

    情報通信業が、新たな事業でクラウドサービスの利用やシステム開発をする場合、クラウドサービスの利用費や専用ソフトウェアの購入費は補助対象になります。ただし、事業にかかる人件費は補助の対象外です。自社開発の事業において人件費を補助金で賄いたい場合は、外注費や専門家費の利用を検討しましょう。

    また、サーバーを借りる場合、サーバー内の領域を借りる費用やサーバー上のサービスの利用費は補助対象ですが、サーバー自体の購入費やレンタル費用は補助の対象外です。

    さらに、サーバー内の領域を借りる場合でも、費用が補助されるのは、補助金を使って事業の再構築を行う補助事業期間のみのため、契約期間が補助事業期間を超えた分の費用は補助の対象外となります。

    生活関連サービス業・娯楽業の採択事例一覧

    生活関連サービス業・娯楽業では、自社の知見を活用して新たなサービスを実施する事例があります。

    【生活関連サービス業・娯楽業の採択事例一覧】
    現在の業種 詳細
    生活関連サービス業
    ・娯楽業
    <採択事例①>
    【既存事業】
    ・美容室経営
    【取り組みの背景】
    ・市場拡大傾向の髪質改善への進出を思案
    ・現状のノウハウ不足、材料費高騰美容室の競争激化が脅威
    【事業内容】
    ・髪質改善サロンの経営者と提携し、髪質改善サービスに進出
    ・既存のヘアカラー技術と提携先のノウハウで「美意識が高い
    若者向け美容サービス」がコンセプトの専門店を出店する
    <採択事例②>
    【既存事業】
    ・美容エステ事業
    【取り組みの背景】
    ・コロナの不要不急の外出制限で売上減少
    【事業内容】
    ・医療機関と連携し、コロナ禍でも事業継続を目指す
    ・メディカルエステサロンを新設
    <採択事例③>
    【既存事業】
    ・フィットネスクラブの運営事業
    【取り組みの背景】
    ・収益の柱となる事業の確立
    【事業内容】
    ・ゴルフ用品小売業(EC販売)に進出
    ・新規事業の基幹となるクラウドシステムを構築する

    参考:事業再構築補助金公式サイト「採択結果>第10回公募(全体版)事業計画の概要」をもとに株式会社SoLaboが作成

    新たな事業でエステサロンや美容室を開業する場合、購入した中古物件の内装工事は補助の対象になります。また、新たな事業で使用する機器や設備の購入にかかる費用も補助対象です。

    ただし、既存の事業と共有して使う設備や機器の購入費は、補助の対象外となります。また、新たな事業で使う物件の家賃や保証金なども補助の対象外です。

    サービス業(他に分類されないもの)の採択事例一覧

    サービス業の事業計画では、コロナによる売上減少や環境の変化への対応のため、新たな事業の展開や業種転換に取り組んだ事例があります。

    【サービス業(他に分類されないもの)の採択事例一覧】
    現在の業種 詳細
    サービス業
    (他に分類されないもの)
    <採択事例①>
    【既存事業】
    ・清掃業
    【取り組みの背景】
    ・コロナにより清掃依頼が減少し、売上高も減少
    【事業内容】
    ・広告宣伝費の抑制と、費用対効果を高めたいニーズに応え、
    デジタルサイネージを使った広告事業に挑戦
    ・既存のニーズ把握力や提案力、顧客に寄り添った
    アフターフォローで優位性を構築し大胆な業種転換を図る
    <採択事例②>
    【既存事業】
    ・自動車販売や車検
    ・板金塗装、レンタカーサービス事業など
    【取り組みの背景】
    ・コロナによる売上の大幅な減少
    【事業内容】
    ・先進技術搭載車を取り扱う電子制御装置整備の事業に挑戦
    <採択事例③>
    【既存事業】
    ・廃棄物回収、買取、再生(製造販売)、輸送事業
    【取り組みの背景】
    ・事業環境の変化や環境関連産業の需要変化への対応
    ・低利益率体制から脱却
    【事業内容】
    ・混合プラスチック再資源化加工業への新分野展開
    ・SDGsの促進を図る

    参考:事業再構築補助金公式サイト「採択結果>第10回公募(全体版)事業計画の概要」をもとに株式会社SoLaboが作成

    新たな事業で新製品開発に取り組む場合は、新製品の製造のための機械の購入費や、新たに必要となる施設や工場の建設費用を経費として申請できます。ただし、不動産や構築物の購入費や現場管理費などは補助の対象外となります。

    なお、建物を新築する場合は、申請の際に「新築の必要性に関する説明書」の提出が必要です。建物の新築が、新たな事業で必要不可欠かつ代替手段がないことを事務局に示すことが求められます。

    不動産業・物品賃貸業の採択事例一覧

    不動産業・物品賃貸業の事例には、社会変化の流れや顧客ニーズに合わせて事業再構築をする取り組みがあります。

    【不動産業・物品賃貸業の採択事例一覧】
    現在の業種 詳細
    不動産業・物品賃貸業
    <採択事例①>
    【既存事業】
    ・事業用不動産仲介会社
    【取り組みの背景】
    ・地域の空き家問題の解消に取り組む
    【事業内容】
    ・個人向け中古住宅のリノベーション事業に挑戦
    ・低コストで住まえる住宅提供を行う
    <採択事例②>
    【既存事業】
    ・不動産管理事業と管理物件のリフォーム、サポート事業
    【取り組みの背景】
    ・問合せから見積までに時間がかかる、顧客からの不満、
    本業の生産性が低下している現状を改善
    【事業内容】
    ・リフォーム顧客マッチングプラットフォームの構築
    ・顧客満足度と生産性を改善し、地域経済の発展に貢献する
    <採択事例③>
    【既存事業】
    ・オフィスの敷金保証サービス、仲介事業
    【取り組みの背景】
    ・オフィス空室が増えている現状の打破
    【事業内容】
    ・シミュレーション機能付きWebマッチングサービスを展開
    ・自社の強みの、敷金半額サービスを活用しているオフィスに
    特化したサービスを実施する

    参考:事業再構築補助金公式サイト「採択結果>第10回公募(全体版)事業計画の概要」をもとに株式会社SoLaboが作成

    これまでの不動産の知見を活用して新たなサービスを実施する場合、システム開発を外注する費用や、サイト運営のためのコンサルティング費用は補助の対象になります。

    ただし、事業再構築補助金では人件費が補助の対象外です。新たな事業で人件費を減らしたいと考えている人は、外注費や専門家費として申請できるように事業計画を考えましょう。

    また、フランチャイズ加盟料も補助の対象外になります。事業再構築補助金を活用する際にフランチャイズへの登録を考えている人は、設備や広告にかかる費用などを経費として申請することを検討してみてください。

    医療・福祉の採択事例一覧

    医療・福祉の事業計画には、コロナによる大幅な売上の減少や市場の縮小にともない、既存事業の強みを活用できる新たな分野へ参入した事例があります。

    【医療・福祉の採択事例一覧】
    現在の業種 詳細
    医療・福祉
    <採択事例①>
    【既存事業】
    ・鍼灸整骨院経営
    【取り組みの背景】
    ・コロナや原油、物価高の影響で大幅に売上が減少
    【事業内容】
    ・ノウハウを活用しつつ、市場が伸長している新分野へ参入
    ・リハビリ型フィットネスクラブで事業再構築を図る
    <採択事例②>
    【既存事業】
    ・スポーツ接骨事業
    【取り組みの背景】
    ・市場の縮小
    【事業内容】
    ・パーソナルトレーニングサービスに挑戦
    ・カウンセリングやリハビリプログラム作成スキルを活用する
    <採択事例③>
    【既存事業】
    ・介護サービス事業
    【取り組みの背景】
    ・コロナの影響による大幅な売上減少
    【事業内容】
    ・「スマートストア」、「セルフエステ」事業による再構築
    ・既存事業との相乗効果を図る

    参考:事業再構築補助金公式サイト「採択結果>第10回公募(全体版)事業計画の概要」をもとに株式会社SoLaboが作成

    新たな事業に参入する場合、トレーニングやエステに必要な設備や機器を「機械装置・システム構築費」として経費を申請できます。また、新たなサービスを始める際、従業員の教育訓練や講座受講が必要な場合は、研修費用を「研修費」として経費を申請できます。

    ただし、研修費は上限金額が決まっており、経費として申請できるのは、税抜きで補助対象の経費総額の3分の1となります。また、研修費を申請する場合は、事業計画書に「①研修名②研修実施主体③研修内容④研修受講費⑤研修受講者」を示すことが必要です。

    株式会社SoLaboの支援事例をもとに審査の観点を解説

    当サイトを運営する株式会社SoLaboは、事業再構築補助金の申請サポートを行う認定支援機関です。株式会社SoLaboの支援事例をもとに、事業再構築補助金の審査で見られるポイントを解説します。

    【株式会社SoLaboの支援事例】
    • 建築リフォーム工事業から不動産代理業・仲介業へ業種転換
    • 整体事業からパーソナルトレーニングジム事業へ業種転換

    事業計画書を作成する際、審査の観点をもとに事業計画をたてることで、採択につながる可能性があります。どのような取り組みや、事業内容が採択される可能性があるのかを知りたい人は参考にしてみてください。

    建築リフォーム工事業から不動産代理業・仲介業へ業種転換

    事業再構築補助金に採択された事業計画には、建築リフォーム工事業から不動産代理業・仲介業へ業種転換した事例もあります。法人向けマンションの大規模修繕や外壁改修工事を行っていた事業者は、元受け会社に依存している現状から脱却するため事業再構築に挑戦しました。

    新事業では個人向けに資金計画から不動産購入、空間設計からアフターサービスまでワンストップでサービスを展開します。他社より圧倒的に価格を抑え、既存事業である内装改修工事技術を活用して内装と外装どちらも工事を可能にすることで、競合他社との差別化を図ります。

    また、フランチャイズ登録やアプリとクラウドサービスの導入で業務効率化を図り、SNSで集客を目指しています。「中古物件+リノベーション」という成長分野への転換により、事業再構築の5年後の売上は直近期末の売上の3倍を目指す計画です。

    成長が見込まれる分野への転換を行った今回の事例では、既存事業との相乗効果が図れ、新たなビジネスモデルを確立したことで、他社との差別化と自社の優位性が示せた可能性があります。

    事業再構築補助金においては、自社の強みや弱みだけでなく、挑戦する分野の競合他社を把握して自社の優位性が確保できることは、採択されるために必要な観点のひとつです。事業計画を作成する際は、自社のSWOT分析や参入するマーケットの分析を行いましょう。

    整体事業からパーソナルトレーニングジム事業へ業種転換

    事業再構築補助金に採択された事業計画には、整体事業からパーソナルトレーニングジム事業へ業種転換した事例もあります。整体を行っている事業者が、コロナの影響からの売上減少や物価高騰による経営コスト増加で、利益が低下していることから事業再構築に挑戦しました。

    新事業では、パーソナルトレーニングジムを開業します。事業実施にあたり、パーソナルトレーニングジムのノウハウの乏しさや新規顧客の獲得が課題となりますが、フランチャイズとして開業しInstagramを活用することで、2つの課題を解決します。

    また、完全個室の予約制ジムとして、感染対策も行いコロナ禍でも営業できる体制を整えています。予約や入会手続きなどはパーソナルジム顧客管理システムを活用し、効率的な運営やサービス展開をすることで、事業化後5年間の通算利益は約4千万円となる見込みです。

    既存の整体の技術を活かせる分野への転換を行った今回の事例では、パーソナルトレーニングジム開業あたっての課題と解決方法が明記されています。また、完全個室の予約制にすることで、コロナの感染が拡大したとしても経営危機に陥りにくい事業となっています。

    取り組む事業の課題と解決方法が明確に示せていることは、事業が中長期で実現可能であることの根拠のひとつとなります。また、新事業での取り組みは、コロナや物価高騰などの対策ができていることが必要であるため、事業計画を作る際は、現状の問題を解決でているか確認が必要です。

    事業再構築補助金の活用により企業の成果につながった事例

    実際に事業再構築補助金を活用し、どのような成果が挙げられたのかを紹介している事例もあります。

    【企業の成果につながった事例】
    既存の事業 取り組みの詳細
    電子部品、医療機器などの
    受託製造業
    【取り組みの背景】
    ・東日本大震災で大手の取引先を失い業績が悪化
    ・取引先の事業計画に業績が左右されやすい構造からの脱却
    【新事業】
    ・米粉を使用した麺の自社開発
    【補助金を活用した取り組み】
    ・米粉麺を製造する自社工場を設立
    ・自社ECサイトの立上げ
    【成果】
    ・開発した麺がコンテストで受賞し、会社の認知度が向上
    ・既存事業の受注にもつながる
    ・業績は回復基調にあり、コロナ禍においても経常利益で
    黒字を確保
    試験片加工・材料試験
    ・化学分析サービス事業
    【取り組みの背景】
    ・コロナにより注力していた航空宇宙業界の成長が減速し、
    売上高減少
    【新事業】
    ・水素分野(水素ガスタービン関連部品等の耐久性の測定・
    評価などを行う事業)への参入
    【補助金を活用した取り組み】
    ・研究施設の新設
    【成果】
    ・2023年のみで水素分野の売上高は数千万円
    ・数年後には売上高全体の約1~2割になる見込み
    住宅・不動産会社向けの
    広告制作事業
    【取り組みの背景】
    ・近年、紙媒体によるチラシの売上が減少傾向
    ・コロナにより、非対面・非接触の告知方法が急増
    【新事業】
    ・ドローンの空撮写真やVR撮影を活用したサービス事業
    【補助金を活用した取り組み】
    ・最新のドローンを導入
    ・自社単独での分譲地の空撮サービスを開始
    【成果】
    ・3Dスキャンカメラの購入で、住宅展示場やモデルハウスの
    外観から内観までのVR撮影・画像作成をトータルで実施可能
    ・今まで取引のなかった業種の顧客からの依頼がくる
    ・ドローン空撮写真を商材として分譲地の販促提案を行い、
    売上への相乗効果を目指す
    ・2024年度には売上高全体の15%超、4,620万円を目指す

    参考:経済産業省・中小企業庁ミラサポplus「事例を探す」をもとに株式会社SoLaboが作成

    たとえば、事業再構築補助金も活用して、ドローンの空撮写真やVR撮影を行うサービス事業を実施した事例があります。もともと住宅・不動産会社向けに紙媒体の広告を制作していましたが、近年、紙媒体のチラシの売上は減少していることから事業再構築を行いました。

    新事業では、ドローンの空撮写真やVR撮影を活用したサービス事業を始めています。補助金活用後も、新たに3Dスキャンカメラを購入することで、住宅展示場やモデルハウスの外観から内観までのVR撮影と画像作成をトータルで実施できるようになりました。

    紙媒体事業からの脱却をした今回の事例では、事業再構築補助金の活用により、もともと外注していたドローンの空撮を自社のサービスとして提供できるようになりました。補助金の活用後も事業の幅を広げて既存事業との相乗効果を図り、2024年度に売上高全体の15%超を狙えるほどの事業に成長しています。

    事業再構築補助金を活用することで、業績の回復や新たに収益の柱となる事業の構築に取り組めます。事業は中長期で継続して取り組む必要があるため、事業計画をたてる際は、1年後~5年後までの売上高や利益の見込みを、事業にかかるコストとともに記載することが望ましいです。

    なお、事業計画書の書き方や記載例を見たい人は「事業再構築補助金の事業計画書の書き方と記入例を解説」を参考にしてみてください。

    令和5年度の事業再構築補助金は3回実施予定

    令和5年度の事業再構築補助金は第12回公募で最後の公募となる可能性があります。事業再構築補助金の公式サイトにある「事業再構築補助金の概要」のスケジュールに「令和5年度末までに3回程度の公募を実施予定」である旨の記載があるためです。

    第11回公募は、令和5年10月6日で申請を締め切っています。第12回公募のスケジュールは令和5年11月2日現在未定ですが、第10回公募の申請締切日から第11回公募の申請開始日までが約3か月であることから、第12回公募は12月または1月に開始されると想定できます。

    これから事業再構築補助金に申請を検討している人は、第12回公募以降の公募回で申請しましょう。第12回公募の最新情報は、事業再構築補助金の公式サイト「新着情報」で確認してみてください。

    この記事のまとめ

    事業再構築補助金はおもに、コロナ後の社会変化や物価高騰などに対応するための新分野への参入や、異なる事業および業種への転換に活用できます。事業計画は、現在の課題に対する解決策や新しく取り組む事業の優位性、高い費用対効果などが審査で確認されます。

    過去の採択事例を確認することで、取り組む事業の計画をたてる際の参考とすることができます。ただし、公募回によって申請枠や要件が異なる可能性があるため、募集内容の詳細は最新の公募要領を確認しましょう。

    なお、事業再構築補助金における審査の観点は公募要領でも確認できます。事業計画をたてる際は、審査の観点に沿った計画となるよう意識してみてください。

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