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事業再構築補助金における売上高減少要件と売上高10%要件を解説

2022/4/7

2022/04/12

この記事の監修

株式会社SoLabo 代表取締役/税理士有資格者田原広一(たはら こういち)

お客様の資金調達支援実績4,500件以上 自社でも、
小規模事業者持続化補助金や事業再構築補助金の採択をされている。

第6回事業再構築補助金の公募内容をふまえ、2つの売上高の要件「売上高減少要件」と「売上高10%要件」について解説します。

売上高減少要件と売上高要件は、事業再構築補助金がコロナ禍で売上が減少した事業主が新しい事業で全売上高の10%を目指してほしいという意図があり、設定されています。

事業再構築補助金の第6回公募要領をふまえて、2つの売上高要件について詳しく見ていきます。

売上高減少要件と売上高10%要件とは何か

事業再構築補助金はすべての事業者が補助金を受け取れるわけではなく、対象事業者となるための申請要件を満たさなければいけません。

事業再構築補助金の申請要件には「事業再構築要件」「認定支援機関要件」「付加価値額要件」に続き、今回ご説明する「売上高減少要件」があります。

要件については関連記事で詳しくご説明しています。

また同時に、事業再構築補助金で提出する必要書類「事業計画書」の中で、ある条件に該当する事業者は「申請する補助事業の売上を全体売上の10%以上にできる」と示して「売上高10%要件」も満たさなければいけません。

事業再構築補助金の申請要件として「売上高減少要件」があり、事業計画書で示すべき「売上高10%要件」があるのです。

なお、例外として、第6回公募から創設された補助枠「グリーン成長枠」には、売上減少要件は設定されていません。

グリーン成長枠については詳しくは関連記事をご覧ください。

 

 

事業再構築補助金の売上高減少要件とは

まずは「売上高減少要件」についてご説明します。

売上高減少要件とは、コロナ前と後の売上高を比較し、10%以上減少しているか、という内容です。「売上高(等)減少要件」とも表現されます。

なお、売上高とは「1年間の総売上から値引きや割り戻し(売上代金の減額・返金)を行ったあとの金額」を指します。

また、売上高は事業や店舗ごとではなく、企業単位で事業や店舗の売上高を合計した数値で比較する必要があります。

第六回公募要領の売上高減少要件

現在、事業再構築補助金は第六回公募が実施中ですが、第一回~現在まで、全六回の実施ですべて【売上高減少要件】が設定されています(第六回公募から創設された「グリーン成長枠」は除く)。

第六回の公募要領では、売上高要件は以下のように①2020年4月以降の任意3か月と、②20191月~2020年3月の間の同月3か月を比較して判定します。

2020 4 月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019 年又は 2020 年1月~3月)の同3か月の合計売上高と比較して 10%以上減少している。【売上高等減少要件】

)売上高に代えて付加価値額を用いることも可能です。

参照:令和二年度第三次補正・令和三年度補正 事業再構築補助金 公募要領(第6回)|事業再構築補助金事務局

売上減少の要件を確認するポイントとして、2020年4月以降および2020年10月以降といった「以降」であれば「事業者が任意で比較対象とする年と月を選べる」という点に注意してください。

売上 要件 減少 考え方
画像素材:補助金ガイド

売上減少要件にある「2020年4月以降」は必ず4月を起点とする必要があるとは書いていません。2020年の8月を起点とした6ヶ月間を設定できます(任意の3ヶ月は8月・11月・1月。青矢印青字部分)。

売上高減少要件の確認例

具体的に、売上高減少要件の確認例をあげます。

売上高減少要件10%を満たす例

例)Aさんが経営している居酒屋では2020年4月・7月・8月の合計売上高が450万円でした。コロナ以前のの合計売上高は600万円でした。

(計算式)450÷600=0.75

     1-0.75=0.25・・・売上高25%の減少

【結論】Aさんは売上高減少要件(10%)を満たします。

メイン事業以外に副業も行っている場合、副業の売上高も合算して計算しなければいけません。合算して計算した結果、売上高減少要件を満たせないケースもあります。

本業は売上減少したが、副業が好調で売上減少要件を満たせない例

例)Cさんはメイン事業の貸し会議室の売上が減少したので事業再構築補助金に応募しようとした。Cさんは副業としてweb広告の作成も行っているが、副業の方は順調で前年対比120%を記録した。

(貸し会議室の売上高減少率)20%

(web広告作成の売上高減少率)マイナス20% ※売上は減少せずに前年比+20%だった

⇒(20%)+(-20%)=0%

【結論】Cさんは売上高減少要件(10%)を満たさない。

この例は、「メイン事業以外に副業も行っている場合、副業の売上高も合算して計算しなければいけません。合算して計算した結果、売上高減少要件を満たせないケースもあります。」を説明する例です。キャプションがあってないので修正しました。

グリーン成長枠には売上高減少要件がない

売上高減少要件は補助枠により内容が異なるケースがあるので、注意します。

例えば、直近の公募回である第六回公募(令和463018:00〆)では、全部で5つの補助枠があります。

第六回公募の補助枠の種類と売上高減少の割合(%)

補助枠名

売上高減少要件の%

通常枠

10%

大規模賃金引上枠

10%

グリーン成長枠

売上減少要件なし

回復・再生応援枠

10%

最低賃金枠

10%

代わりに付加価値額減少要件を満たしても申請可

業種や事業者によっては、コロナ禍で売上高はさほど変わらなかったが、付加価値額が減少したというケースもあります。

売上高減少要件を満たさない場合、代わりに付加価値額減少要件を満たして申請できます。

公募要領では売上額の代わりに以下の期間において付加価値額が15%以上減少していることを確認できる場合」には、2つの期間の売上減少の根拠(帳簿など)ではなく、付加価値額の減少をもって証拠書類とすることが認められています。

付加価値額の減少の基準

  • 2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計付加価値額が、コロナ以前(2019年又は2020年1月~3月)の同3か月の合計付加価値額と比較して15%以上減少している。
付加価値額=収入総額 – 費用総額 + 人件費(費用総額に含まれているものに限る。)
付加価値額の場合は適用される%の数値が売上高と異なるので、注意しましょう。

事業再構築補助金の要件で示される割合(%)の比較

売上高の場合

10%減少

付加価値額の場合

15%減少

事業再構築補助金 公募要領 (第6回)|事業再構築補助金事務局 P.15【売上高等減少要件】について を参照

要件の正確な把握は難しいため「自分は要件を満たすのか?」と要件の仔細を確認したい場合、事業再構築補助金事務局のコールセンターへ連絡するか、事業再構築補助金に詳しい専門家(コンサルタントや認定支援機関)に相談してください。 

付加価値額減少要件の確認例

具体的に、付加価値額減少要件の確認例をあげます。

例1:商品の原材料が値上げとなったが、値段を上げると買い控えが発生するため、値段は据え置きにした。その結果、売上高はコロナ前と比較し10%減少しなかったが、付加価値額が20%減少してしまった。

例2:緊急事態宣言の影響で、バイトに休みを言い渡したが長期となったためアルバイト代の一部を補助費として支給とした。正社員のみで稼働した結果、売上高はコロナ前と同じ~5%減少にとどまったが、アルバイトへの補助費がかさみ、人件費が高騰。付加価値額はコロナ前と比べ30%増となった。

売上高要件の特例が適用されるケース

コロナ以前から創業を計画等し、2020年4月1日から2020年12月31日までに創業した場合、売上高減少要件の2つの期間について証拠書類を提出できないかもしれません。

しかし、2020年3月31日以前より起業・開業の準備をしていた証拠として、創業計画書や銀行などから創業のために資金調達をした際の書類などを提出できれば、特例的に事業再構築補助金の対象となります。

特例が適用される場合、既存の売上要件と違い、実際の3か月の売上ではなく1日当たりの売上平均を基準に比較できます(何日以上で計算という縛りなし)。

売上高減少要件(2020年4月以降の連続する6か月間のうち任意の3か月の合計売上高)と2020年の創業時から同年12月末までの1日当たり平均売上高の3か月分の売上高と比較して算出します。

通常のケース

2020年4月~9月のうち任意の3か月と2020年10月~3月のうち任意の3か月の合計売上高を比較し10%以上減少

特例が適用されるケース

2020年4月以降の連続する6か月間のうち任意の3か月の合計売上高)と2020年の創業時から同年12月末までの1日当たり平均売上高の3か月分の売上高と比較して10%以上減少

売上高10%要件とは

売上高10%要件は、事業再構築補助金の採択後に行う補助事業の達成目標です。

事業再構築補助金の採択されるためには、3~5年間の事業終了後の時点で、補助事業の売上が全体売上の10%以上を占めるように事業計画を立てなければなりません。

第六回公募要領の売上高10%要件の概要

事業再構築補助金は、既存の事業を「事業再構築」する事業者が対象の補助金です。

事業再構築補助金に採択された場合、3~5年間の事業終了後、新たな製品・サービスの売上高が総売上高の10%以上であることが求められます。または、売上高ではなく付加価値額での申請も可能です。付加価値額の場合の%は、10%ではなく15%です。

売上高10%要件は事業再構築の「類型」に付与された要件です。

事業再構築の類型とは、例えばいまの事業をやめずに新しい事業を始める「新分野展開」、今の事業の業種を変える「業種転換」などの全5種類があります。

※事業再構築の類型については、中小企業庁が公開している「事業再構築補助金の指針の手引き」に詳しく載っています。

事業再構築指針の手引き (2.0版)|経済産業省 中小企業庁

事業再構築の5つの類型

事業再構築の類型の種類

求められる要件

新分野展開

(適用例:レストラン⇒ミールキット販売を追加)

製品等の新規性要件、市場の新規性要件、新事業売上高10%等要件

事業転換

(適用例:バー⇒ラーメン屋)

製品等の新規性要件、市場の新規性要件、売上高構成比要件

業種転換

(適用例:カフェ経営⇒個人向けレンタルスペース経営)

製品等の新規性要件、市場の新規性要件、売上高構成比要件

業態転換

(適用例:居酒屋経営⇒デリバリー販売を追加)

  • 製造方法の変更の場合:製造方法等の新規性要件、製品の新規性要件、新事業売上高10%等要件
  • 提供方法の変更の場合 :製造方法等の新規性要件、商品等の新規性要件又は設備撤去等要件、新事業売上高10%等要件

事業再編

(適用例:イタリアンと和食の別企業が合併しイタリアン和食店)

組織再編要件、その他の事業再構築要件

売上高10%要件は正確に言うと、「新事業売上高10%要件」と「売上高構成比要件」の2つがあります。

この2つの違いは、新事業売上高10%要件の場合は新たな製品等の売上高が10%以上あればよいのに対し、売上高構成比要件はその事業者が行う全事業の売上の中で新たに行う事業(事業再構築)で得られる売上が最も高くなくてはいけない、という点にあります。

そのため、売上高構成比要件の方が満たすためのハードルは高いと言えます。

新事業売上高10%要件と売上高構成比要件の違い

新事業売上高10%要件

新たな製品等の(又は製造方法等の)売上高が総売上高の10%(又は総付加価値額の15%)以上となること

売上高構成比要件

新たな製品等の属する事業(又は業種)が売上高構成比の最も高い事業(又は業種)となること

その他の類型でも補助金を受けて行う補助事業の売上が最も高い売上(既存事業と比べ)でなければいけません。

売上高10%要件の具体例

売上高10%要件の具体例をあげます。

例)【前提】Aさんが元々行っている事業は居酒屋で、新しく始める事業はお弁当事業なので合計2つの事業です。Aさんはめでたく事業再構築補助金に採択されました。

補助事業のあと、Aさんは35年間でお弁当事業の売上を総売上(元の居酒屋+お弁当事業)の10%以上にしなければいけません。
ケース1 居酒屋の売上高1,000万円の場合の売上高10%要件の計算
画像素材:補助金ガイド

 

この記事のまとめ

・事業再構築補助金の売上要件には、【売上高減少要件】と【売上高10%要件】の2つがあります。前者は申請の前提条件、後者は事業計画書の中で盛り込むべき要素です。

・売上高減少要件の代わりに付加価値額を用いることも認められています。

・売上高10%要件は、事業者がどのような事業再構築をするのかにより、新事業売上高10%要件」と「売上高構成比要件」の2つに分かれています。

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