補助金ガイド

事業再構築補助金における採択率の推移と不採択時の対応を解説

2023/12/08

2022/3/4

この記事の監修

株式会社SoLabo 代表取締役/税理士有資格者田原広一(たはら こういち)

融資支援実績6,000件超、補助金申請支援実績1,300件超、事業再構築補助金採択支援件数は第4回~第8回まで5回連続で日本一を獲得。 『小規模事業者持続化補助金』、『事業再構築補助金』、『IT導入補助金』は自社での申請・採択も経験。「補助金ガイド」LINE公式アカウントでは約4万人の登録者に情報発信を実施。

2023年9月22日(金)の18時、事業再構築補助金事務局の公式サイトにおいて、事業再構築補助金の第10回公募の採択結果が公表されました。それにともない、第10回事業再構築補助金の採択率がどうだったのか気になる人もいるでしょう。

当記事では、第10回事業再構築補助金における全体の採択率や申請枠および業種別の採択率を解説していきます。あわせて不採択時の対応も解説するので、再申請を検討中の人も参考にしてみてください。

第1~10回公募までの採択率は50%前後を推移している

事業再構築補助金において、第1~10回公募までの採択率は50%前後を推移しています。第10回の採択率は、事業再構築補助金公式サイトの「第10回採択結果」をもとに計算した結果、48.1%(小数点第二位以下切り捨て)となりました。

【事業再構築補助金における各公募回の採択率】
公募回 採択率
第1回 36.0%
第2回 44.8%
第3回 44.40%
第4回 44.7%
第5回 46.1%
第6回 49.9%
第7回 51.1%
第8回 51.2%
第9回 45.4%
第10回 48.1%
※小数点第二位以下切り捨て

参考:事業再構築補助金公式サイト「採択結果」をもとに株式会社SoLaboが作成

第10回は、第9回の45.4%と比べると、わずかに増加した結果となりました。過去の公募回によっては50%を上回っているものもありますが、事業再構築補助金の採択率は全体的に50%を下回っていることが多く、申請者の約半分が不採択になっていることがわかります。

事業再構築補助金の難易度を知りたい人は、審査の全体の応募件数を考慮したうえで、採択率を参考にしてみてください。

第10回の申請枠で一番高い採択率は最低賃金枠の53.4%

第10回公募の採択率を申請枠別に計算したところ、もっとも採択率が高かった枠は「最低賃金枠の53.4%」でした。最低賃金枠は、賃金引上げによる原資の確保が特に厳しい企業の事業再構築に活用できる申請枠です。

【申請枠別の採択率】
第10回の申請枠(事業類型) 応募件数 採択件数 採択率
成長枠 2,734 1,242 45.4%
グリーン成長枠 631 262 41.5%
産業構造転換枠 275 102 37.0%
最低賃金枠 249 133 53.4%
物価高騰対策・回復再生応援枠 6,775 3,387 49.9%
サプライチェーン強靭化枠 157 79 50.3%
卒業促進枠 2 0 0%
大規模賃金引上促進枠 202 55 27.2%
※小数点第二位以下切り捨て

参考:事業再構築補助金公式サイト「採択結果>第10回公募の結果の概要について」をもとに株式会社SoLaboが作成

応募件数の多い「成長枠」や「物価高騰対策・回復再生応援枠」の採択率は、それぞれ50%未満となっています。また、50%を上回っているのは「最低賃金枠」と「サプライチェーン強靭化枠の採択率」のみで、全体としては50%を下回る申請枠が多い傾向にあります。

応募を検討している申請枠がある人は、申請枠別の採択率も参考にしてみてください。

第10回の業種で一番高い採択率は製造業の58.1%

第10回の業種別において一番高い採択率は、製造業の58.1%です。業種別の採択率は「事業再構築補助金第10回公募の結果について」の「応募と採択の割合」を参考に算出しているため、業種の名前がないものはすべてその他の項目に含まれています。

【業種別の採択率】(応募数は応募の割合から算出)
業種 採択件数 採択率
製造業 1,278 58.1%
運輸業,郵便業 87 53.5%
情報通信業 312 53.3%
学術研究,専門・技術サービス業 358 49.3%
建設業 696 49.0%
卸売業,小売業 781 45.3%
医療,福祉 165 44.8%
教育,学習支援業 70 43.1%
サービス業(他に分類されないもの) 297 42.8%
不動産業,物品賃貸業 184 42.5%
宿泊業,飲食サービス業 572 42.2%
その他 99 41.5%
生活関連サービス業,娯楽業 307 39.9%
※小数点第二位以下切り捨て

参考:事業再構築補助金公式サイト「採択結果>第10回公募の結果の概要について」をもとに株式会社SoLaboが作成

採択率は高い順に「①製造業②運輸業、郵便業③情報通信業」となっています。応募件数の多い順では「①製造業②卸売業、小売業③建設業」となっており、製造業は採択数と応募件数ともに、もっとも高い数値となりました。

業種別の応募や採択の割合が詳しく知りたい人は「第10回公募の結果の概要について」を確認してみてください。

不採択になったときは審査の観点をもとに事業計画書を見直す

一度不採択になった人は、審査の観点をもとに事業計画書を見直しましょう。事業再構築補助金では、一度不採択になった人も次回の公募で再度、申請が可能です。

【審査の観点の一例】※公募要領から一部抜粋
事業化点
  • 補助事業のターゲットとなるユーザーやマーケットや市場規模が明確であるか
  • 補助事業のマーケットの競合他社の状況を把握し、自社の優位性が確保されているか
  • 事業実施の体制や最近の財務状況等から、補助事業を適切に遂行できると期待できるか
再構築点
  • SWOT分析した上で、事業再構築の必要性が認識されているか
  • 補助事業の費用対効果が高いか
  • 既存事業とのシナジー効果が期待される等により構築的な取り組みになっているか
政策点
  • コロナの影響を乗り越えてV字回復するために有効な投資内容であるか
  • 雇用の創出や地域の経済成長を牽引する事業となることが期待できるか
  • 先端的なデジタル技術や低炭素技術の活用等を通じて日本の経済成長を牽引し得るか

参考:第11回事業再構築補助金「公募要領」をもとに株式会社SoLaboが作成

審査の観点には、事業や再構築などの各観点から、補助事業(補助金を活用する事業)が適切なものであるかを判断する基準が記載されています。

事業化点では、作成した事業計画が補助事業の実施後も継続でき、自社の課題を解決するために適切な事業内容であることを確認できます。たとえば「市場規模が明確であるか」「自社の優位性が確保された事業内容であるか」などが挙げられます。

また、審査の観点には申請枠ごとの観点もあるため、応募予定の申請枠にかかわる観点も確認が必要です。次回公募へ申請を検討している人は、事業計画の作成後、審査の観点を満たしているかを確認しておきましょう。

なお、不採択の原因には、事業再構築補助金における申請の条件を満たせていない可能性も考えられます。そのため、審査の観点とあわせて「提出書類の書き方」「補助対象経費」「事業内容」「要件」などの申請時の条件を満たしているか、公募要領で確認しておきましょう。

 

この記事のまとめ

事業再構築補助金において、第1~10回公募までの採択率は50%前後を推移しており、第10回の採択率は48.1%となりました。申請枠では最低賃金枠、業種では製造業の採択率が一番高く、50%を上回る結果となりました。

審査の難易度を一概に言うことはできませんが、過去の採択率を参考に申請枠や業種ごとの採択の傾向を知ることは可能です。

一度不採択になった人は、審査の観点をもとに事業計画書を見直しましょう。また、審査の観点だけでなく「提出書類の書き方」「補助対象経費」「事業内容」「要件」などの申請時の条件を満たしているかも、一緒に公募要領で確認しておきましょう。

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