事業再構築補助金はキッチンカーに利用できるのか?
2024/05/10
2022/11/30
飲食店や食品メーカーなどを営む人の中には、移動販売の方法として新たにキッチンカー事業の展開を検討している人もいるでしょう。その際、事業再構築補助金を利用できるか知りたい人もいますよね。
当記事では、キッチンカー事業をはじめる際に事業再構築補助金で補助対象となる経費や補助される金額を紹介します。事業再構築補助金を利用するための条件も解説するので、事業再構築補助金を利用してキッチンカーをはじめたい人は参考にしてみてください。
なお、当記事は事業再構築補助金の第12回公募要領をもとに作成しています。
事業再構築補助金はキッチンカー事業に利用できる
事業再構築補助金はキッチンカー事業に利用できます。そのため、新たにキッチンカー事業を始めたい人は、事業再構築補助金がどんなことに使えるのかを確認してみましょう。
対象経費 | 利用例 |
建物費 |
トレーラーハウスや軽バンなどの車両をキッチンカーに改装する改装費
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機械装置・システム構築費(リース料を含む) |
コーヒーマシンや厨房機器などの機材購入費
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外注費 |
キッチンカーの外装デザイン費
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広告宣伝・販売促進費 |
看板、チラシ、WEB広告、
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研修費 |
販売員の販売研修費
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クラウドサービス利用費 |
決済サービスなどのサービス利用費
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知的財産権等関連経費 |
新商品の商標登録費
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たとえば、トレーラーハウスや軽バンなどの車両をキッチンカーに改装する場合、調理場を車内に作ったり、掃除のしやすい床に張り替えたりする改装ができます。また、キッチンカーの宣伝や看板の設置などにも利用できます。
事業再構築補助金では、キッチンカーで販売する商品の製造から販売促進に係わる経費まで幅広い項目が補助されます。
なお、キッチンカー事業に必要なものでも事業再構築補助金では補助されない経費もあります。あらかじめ対象外になる経費も確認しておきましょう。
キッチンカーの車両は購入できない
事業再構築補助金でキッチンカーの車両は購入できません。なぜなら、対象外の経費として事業再構築補助金の公募要領で定義されているからです。
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たとえば、新たにキッチンカーの車両として軽バンを買う場合、購入費は全額自己負担になります。そのため、車両を自己負担で用意できなければキッチンカーをはじめることができません。
事業再構築補助金では補助できない経費もあります。新たにキッチンカー事業を始めたい人は、あらかじめ補助対象外になる経費を確認して、事業計画が滞らないように準備していきましょう。
補助される金額は申請する枠による
事業再構築補助金で補助される金額は、申請する枠によって異なります。事業再構築補助金では、申請する枠ごとに補助率や補助金額が設定されているからです。
申請枠(事業類型) | 補助金額 | 補助率 |
成長分野進出枠 (通常類型) |
【従業員数 20 人以下】 100 万円~1,500 万円(2,000 万円) 100 万円~3,000 万円(4,000 万円) 100 万円~4,000 万円(5,000 万円) 100 万円~6,000 万円(7,000 万円) ※()は大規模な賃上げを行う場合 ※廃業を伴う場合は廃業費を最大2,000万円上乗せ |
中小企業者等1/2 (2/3) ※()は大規模な賃上げを行う場合 |
成長分野進出枠 (GX 進出類型) |
≪中小企業者等≫ 100 万円~3,000 万円(4,000 万円) 100 万円~5,000 万円(6,000 万円) 100 万円~7,000 万円(8,000 万円) 100 万円~8,000 万円(1億円) ※()は大規模な賃上げを行う場合 100万円~1億円 |
中小企業者等1/2 (2/3)
中堅企業等1/3 (1/2) ※()は大規模な賃上げを行う場合
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コロナ回復加速化枠 (通常類型) |
【従業員数 5 人以下】100 万円~1,000 万円 【従業員数6~20 人】100 万円~1,500 万円 【従業員数 21~50 人】100 万円~2,000 万円 【従業員 51 人以上】100 万円~3,000 万円 |
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中小企業者等2/3(※1) 中堅企業等1/2(※2) |
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コロナ回復加速化枠 (最低賃金類型) |
【従業員数 5 人以下】100 万円~500 万円 【従業員数6~20 人】100 万円~1,000 万円 【従業員数 21 人以上】100 万円~1,500 万円 |
中小企業者等 3/4(2/3) ※「コロナ借換要件」を満たさない場合は()内の補助率に引き下げ |
サプライチェーン強靱化枠 |
1,000 万円 ~ 5億円以内 ※建物費がない場合は3億円以内 |
中小企業者等 1/2 中堅企業等 1/3 |
卒業促進上乗せ措置 | 各事業類型補助金額上限に準じて上乗せ | 中小企業者等1/2 中堅企業等1/3 |
中長期大規模賃金引上促進上乗せ措置 | 100 万円~3,000 万円 | 中小企業者等1/2 中堅企業等1/3 |
(※1)従業員数5人以下の場合400万円、従業員数6~20人の場合600万円、従業員数21~50人の場合800万円、従業員数51人以上の場合は1,200万円までは3/4 (※2)従業員数5人以下の場合400万円、従業員数6~20人の場合600万円、従業員数21~50人の場合800万円、従業員数51人以上の場合は1,200万円までは2/3 |
参考:第12回事業再構築補助金「公募要領(サプライチェーン強靭化枠は別「公募要領」)」|事業再構築補助金
たとえば、従業員が5人の中小企業者が成長分野進出枠(通常類型)へ申請する場合、「補助率3/4」「補助金額100万円~1,500万円」のため、2,000万円の経費を申請すると1,000万円が補助されます。
しかし、同一の事業者がコロナ回復加速化枠(最低賃金類型)へする場合、「補助率3/4」「補助金額100万円~500万円」となります。2,000万円の経費に補助率3/4をかけると1,500万円ですが、コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)の補助上限額が500万円のため受け取れる金額は500万円です。
事業再構築補助金でいくら補助されるのかを知りたい人は、申請したい経費の合計金額と申請する予定の枠の補助率から計算してみましょう。
補助される金額の計算例
事業再構築補助金で補助される金額は「経費の合計金額」「補助率」から計算できます。そのため、補助される金額を知りたい人は、利用する経費の合計金額を確認してから計算してみましょう。
①利用する経費の合計金額を確認する ②申請する枠の補助率を確認する ③経費の合計金額×補助率=補助される金額 |
たとえば、従業員2人の中小企業者が成長分野進出枠(通常類型)においてキッチンカーの費用を申請する場合、経費を1,200万円使うと600万円補助される計算です。経費に補助率を掛けた金額である600万円は成長分野進出枠(通常類型)の補助金額の範囲内のため、そのまま600万円が補助される金額になります。
一方で、計算をした金額が申請する枠の補助金額を超える場合は、補助金額の範囲内までしか補助されません。事業再構築補助金に申請する際は、申請した経費が補助金額の範囲に収まるかを確認しておきましょう。
事業再構築補助金の対象者が利用条件を満たすと申請できる
事業再構築補助金をキッチンカーで利用するためには、対象者が申請する枠の要件を満たす必要があります。事業再構築補助金では、申請要件を満たさずに申請しても不採択になるからです。
事業再構築補助金の対象者は、「資本金10億円未満」「従業員数2,000人以下」の中小企業者および中堅企業です。
たとえば、個人事業主の場合、資本金はないため、従業員が2,000人以下であれば対象になります。また、法人の場合でも資本金が10億円未満であれば補助対象に含まれます。
事業再構築補助金をキッチンカーで利用するためには、対象者が申請する枠の要件を満たす必要があります。そのため、事業再構築補助金の対象者になることを確認できた人は、申請する枠の要件を満たせるかどうかも確認していきましょう。
申請する枠の要件
事業再構築補助金の申請枠は6つあり、それぞれの枠で要件が設定されています。そのため、事業状況にあわせて申請する枠を選びましょう。
申請枠(事業類型) | 共通の要件 | 申請枠ごとの要件 |
(A) 成長分野進出枠 (通常類型) |
①事業再構築要件
②金融機関要件 ③付加価値額要件 |
④給与総額増加要件および市場拡大要件 ⑤市場縮小要件 ⑥補助率等引上要(補助率引上げを受ける場合) ※④⑤はいずれかを満たすこと |
(B) 成長分野進出枠 (GX 進出類型) |
④給与総額増加要件 ⑤GX 進出要件 ⑥補助率等引上要(補助率引上げを受ける場合) ⑦別事業要件(過去公募回で採択または交付決定を受けている場合) ⑧能力評価要件(過去公募回で採択または交付決定を受けている場合) |
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(C) コロナ回復加速化枠 (通常類型) |
④コロナ借換要件または再生要件 |
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(D) コロナ回復加速化枠 (最低賃金類型) |
④コロナ借換要件(任意)※ ⑤最低賃金要件 ※満たさない場合は補助率引き下げ |
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(E) サプライチェーン強靱化枠 |
④国内増産要請要件 ⑤市場拡大要件 ⑥デジタル要件 ⑦事業場内最低賃金要件 ⑧給与総額増加要件 ⑨パートナーシップ構築宣言要件 ⑩別事業要件(過去公募回で採択または交付決定を受けている場合) ⑧能力評価要件(過去公募回で採択または交付決定を受けている場合) |
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(F) 卒業促進上乗せ措置 |
事業類型(A)~(D)のいずれかに申請すること
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②卒業要件 |
(G) 中長期大規模賃金引上促進上乗せ措置 |
②賃金引上要件 ③従業員増員要件 |
参考:第12回事業再構築補助金「公募要領(サプライチェーン強靭化枠は別「公募要領」)」|事業再構築補助金
事業再構築補助金に申請するためには、申請する枠の要件をすべて満たす必要があります。事業再構築補助金における要件を詳しく知りたい人は「事業再構築補助金における申請要件を解説」の記事も参考にしてみてください。
なお、どの申請枠が自身の事業状況にあうかを知りたい人は、当サイトを運営する株式会社SoLabo(ソラボ)の無料診断を利用してみてください。認定支援機関として事業者の補助金申請をサポートしてきたをノウハウを活かし、事業状況にあった申請枠をご提案します。
無料診断キッチンカーの採択事例
第6回事業再構築補助金のキッチンカーの採択事例をみてみましょう。採択事例を確認することで、事業再構築補助金の活用イメージをつけることができます。
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第6回事業再構築補助金では、飲食店での店舗販売からキッチンカーへの移動販売に切り替えた事例や、小売業のノウハウを活かしたキッチンカーへ展開した事例がありました。
飲食業や小売業、製造業など様々な業種でキッチンカー事業をはじめる人がいることが分かります。
事業再構築補助金の採択事例は、事業再構築補助金公式サイトの「採択結果」から確認できるので、新たにキッチンカー事業をはじめたい人は、採択事例も参考にしてみましょう。
この記事のまとめ
事業再構築補助金では、キッチンカーで販売する商品の製造から販売促進に係わる経費まで幅広い項目が補助されます。そのため、新たにキッチンカー事業への展開を検討している人は、事業再構築補助金への申請を検討してみましょう。
事業再構築補助金に申請するには、申請要件を満たす必要があります。申請要件によって補助される金額も異なるため、どの枠に申請していいか迷ったら認定支援機関に相談してみてください。