小規模事業者持続化補助金の機械装置等費で補助対象経費になるもの
2024/04/04
2022/1/24
机や椅子などの備品や、冷凍庫やオーブンなどの設備の購入を検討している人の中には、小規模事業者持続化補助金を使えたらと思う人もいるでしょう。
小規模事業者持続化補助金における機械装置等費では、販路拡大や生産性の向上に貢献する機器や備品の申請が可能です。
当記事では、小規模事業者持続化補助金の機械装置等費について、補助対象経費になるものや、導入時の注意点を解説します。
なお、当記事は小規模事業者持続化補助金の第15回公募要領をもとに作成しています。
機械装置等費とは
機械装置等費とは、補助事業の遂行に必要な機械装置等の購入に使う経費のことです。そのため、生産性向上や販路拡大につながる設備の購入費が補助されます。
補助対象経費の中でも、機械装置等費は事業を遂行するために必要な機械や備品、ソフトウェアに利用可能なため、活用できる幅の広い経費です。
①機械装置等費 ②広報費 ③ウェブサイト関連費 ④展示会等出展費(オンラインによる展示会・商談会等を含む) ⑤旅費 ⑥開発費 ⑦資料購入費 ⑧借料 ⑨設備処分費 ⑩委託・外注費 |
単なる購入費としてではなく施策として申請する
機械装置等設置費で備品や機器を経費として申請して採択されるには、単純な購入費用としてではなく、施策として申請する必要があります。小規模事業者持続化補助金は事業に対して支払われるものであり、購入費用に対して支払われるものではないからです。
小規模事業者持続化補助金は、販路拡大や効率改善による事業の拡大を目的とした施策に対して交付されます。機器を購入したことで事業が改善する見込みを事業計画書で明記し、施策効果がありそうと判断されれば、採択される可能性があります。
一方、単純な購入費として申請をしてしまうと、不採択となって給付を受けられません。そのため、機械装置等費で機器や備品の購入をする時は、成長施策の一環として申請してください。
機械装置等費で補助対象経費となるもの
以下のような設備や機器が機械装置等費の補助対象経費として申請可能です。
【機械装置等費として申請可能な経費の具体例】
- 子ども連れ家族の集客を上げるためのベビーチェア
- 生産性拡大のための冷凍庫
- 商品陳列のための棚
- 新サービス開発のための3Dプリンター
- 作業効率化のためのソフトウェア
事業に使う製品であれば、機械設置等費でほとんどの備品や機器の購入費用を申請できます。また、事業拡大の施策に関連さえしていれば、1回の申請で複数製品の申請も可能です。
サブスクリプションのツールは補助事業期間分のみ経費として申請できる
サブスクリプションのツールの使用料金も機械設置費等の補助対象経費となりますが、補助を受けられるのは補助事業期間分のみになります。小規模事業者持続化補助金の補助事業期間はおおよそ7か月分なので、その期間の定額料金の補助は受けられます。
たとえば、月額1万円のCADソフトウェアを機械装置等費で申請する場合、補助事業期間のおよそ7万円分までなら補助金の利用が可能です。
なお、経費は利用日数で按分計算されるので、補助対象期間が月中で終わる月の経費は日割りで計算されます。
サブスクリプションのツールを補助事業期間外でも利用したい場合は、補助事業期間を超えたら自己資金で支払いする必要があります。補助事業期間に使用感を確認し、契約の継続をするか解約するか決めると良いでしょう。
業者に設置を依頼する場合には委託・外注費として申請する
機器の購入から設置まで専門業者に依頼する場合は、機械装置等費としてではなく、委託・外注費として申請します。
たとえば、店舗改装として厨房機器や空調設備の設置など、購入から設置まで一つの業者に依頼する場合には、委託・外注費として申請してください。
もし機器の購入は事業者が行い、設置のみ業者に頼む場合は、購入は機械装置等費で、取り付け費用を委託・外注費として申請すれば問題ありません。
中古品購入には条件がある
機械装置等費では、中古品の購入での申請も可能です。しかし、中古品を購入する場合は、以下のような条件があります。
【中古品を購入する条件】
- 購入価格が税抜きで50万円以下である
- 個人やオークションからの購入は不可
- 2社以上から見積もりをする
とくに、中古品は値段の妥当性を示すため、2社以上から見積もりを取らなければなりません。申請する際は実績報告書に見積書を添付する必要があるので、取った見積もりは保管しておいてください。
中古品が故障してしまった場合は補助金の対象にならない
中古品が故障してしまい、補助事業計画の取り組みができなかった場合は、補助金の対象になりません。
小規模事業者持続化補助金は、採択後に施策を実行し、経過報告を完了させてからの給付になります。そのため、中古品を利用して申請が採択されても、故障が原因で補助事業が実行できなかった時には、補助金を受け取ることができません。
機器の故障で補助金が受けられないと資金繰りが悪くなる可能性があるので、中古品を購入する前に、新品での導入ができないか検討してみてください。
購入したい機械装置が小規模事業者持続化補助金の対象となるかを無料で診断できます。どのような機械が対象となるか、対象となる場合いくらくらい補助金を受け取れるかがわかりますので、ご興味のある人はお試しください。
無料診断機械装置等費で補助対象経費にならないもの
機械装置等費では、以下のような場合には補助対象経費となりません。
【機械装置等費の補助対象にならない経費の事例】
- 既存設備の単純な取り換え
- 汎用性があり目的外使用が可能なもの
機械装置等費で申請できないものは、事業拡大につながらないものか、事業以外にも利用できる機器全般です。機械装置等費で対象経費にならない製品を購入したいときには、自己資金で購入する必要があります。
既存設備の単純な取り換えは補助対象経費にならない
既存設備の単純な取り換えでは、機械装置等費の対象経費になりません。設備を新しくするだけでは販路拡大につながらないので、小規模事業者持続化補助金の趣旨に合わないためです。
既存設備の取り換えだとしても、販路拡大につながることをアピールできれば採択される可能性はあります。
既存設備の取り換えを機械装置等費で申請したい時は、取り換えることで事業が成長することを計画書で説明するようにしてください。
汎用性があり目的外使用が可能なもの
汎用性がある物とは、事業以外にも利用できる製品を指します。具体的には、以下のようなものが汎用性の高い物と判定されます。
【汎用性が高いと判定されやすい経費の具体例】
- パソコンやタブレットPC、その周辺機器(ハードディスク・LAN・Wi-Fi・サーバー等)
- テレビや電話機など業務用以外の家電機器
- 文房具等の事務用品等の消耗品代
- 自転車
なお、パソコン本体は小規模事業者持続化補助金で申請ができませんが、業務用のソフトウェアやツールの申請は可能です。パソコンとソフトウェアの一括導入を検討しているなら、パソコン本体は自己資金で購入し、ソフトウェアの導入費は小規模事業者持続化補助金で申請すると良いでしょう。
機械装置等費で申請して採択された事例
機械装置等費で実際に採択される事例として、業務効率改善のための機器やソフトウェアを購入する傾向があります。
ここからは、飲食店、建設業、美容室でそれぞれどのような経費が機械装置等費で申請されたのか事例を紹介します。
飲食業の事例
飲食業で機械装置等費として小規模事業者持続化補助金に申請し、実際に採択されたものは以下の様なケースです。
【飲食業における機械装置等費で採択されたケース】
- 注文の電子パネル導入
- 自動食券機の導入
- ドリンクバーの設置
- キッチンカーの購入
業務を効率化させる施策に関して申請すると採択される傾向にあると言えます。
建設業の事例
建設業で機械装置等費として小規模事業者持続化補助金に申請し、実際に採択されたものは以下の様なケースです。
【建設業における機械装置等費で採択されたケース】
- 撮影用ドローンの購入
- 3Dプリンター購入
- 労働管理システム、経理会計送付との導入
建設業は対人サービスではないので、主に業務の効率化や経費削減のための機器やソフトウェアの導入で申請すると採択される傾向にあります。
美容室の事例
美容室で機械装置等費として小規模事業者持続化補助金に申請し、実際に採択されたものは以下の様なケースです。
【美容室における機械装置等費で採択されたケース】
- 高性能ドライヤーの購入
- POSレジの導入
- 陳列棚(ショーケース)の購入
- 自動先発機械の導入
美容室は施術が必要なので、業務効率を上げる施策が採択される傾向にあります。
この記事のまとめ
機械装置等費は販路拡大や生産性向上の施策として申請しないと不採択になる可能性があります。販路拡大施策として認められれば、業務用の機材や備品が対象経費になる可能性があります。
なお、パソコンや複合機などの汎用性の高い設備や、既存設備の入れ替えは対象経費にならないので注意しましょう。