補助金ガイド

インボイス対応に合わせた小規模事業者持続化補助金の活用方法を解説

2024/04/10

2023/7/26

この記事の監修

株式会社SoLabo 代表取締役/税理士有資格者田原広一(たはら こういち)

融資支援実績6,000件超、補助金申請支援実績1,300件超、事業再構築補助金採択支援件数は第4回~第8回まで5回連続で日本一を獲得。 『小規模事業者持続化補助金』、『事業再構築補助金』、『IT導入補助金』は自社での申請・採択も経験。「補助金ガイド」LINE公式アカウントでは約4万人の登録者に情報発信を実施。

個人事業主や小規模事業者のなかには、免税事業者から適格請求書(インボイス)発行事業者へ転換する人もいるのではないでしょうか。その際、政府が推奨する支援措置の1つである小規模事業者持続化補助金(=持続化補助金)の申請を検討している人もいるでしょう。

当記事では、インボイス発行事業者へ転換する個人事業主や小規模事業者の人に向けて「インボイス対応に合わせた小規模事業者持続化補助金の活用方法」を解説します。インボイス対応の出費や今後の取り組みに補助金を役立てたいと考えている人は参考にしてみてください。

なお、当記事は小規模事業者持続化補助金の15回公募要領を元に作成しています。

インボイス対応と販路開拓を連携させた計画で持続化補助金に申請できる

インボイス対応と持続化補助金を合わせて活用するためには、販路開拓に繋がる取り組みを連携させた計画を立てましょう。持続化補助金は、小規模事業者の販路開拓や生産性向上を目的とした取り組みにかかった経費の一部が支援される制度であるためです。

たとえば、インボイス対応に関わるソフトウェアの導入やDXで経営の効率化に繋げることは、生産性向上に繋がります。また、チラシの作成や配布、ウェブ広告などを活用して集客に繋げることは販路開拓に繋がります。

個人事業主や小規模事業者がインボイス対応と合わせて持続化補助金に申請する際は、販路開拓や生産性向上に繋がる事業計画が必要です。事業計画の作成には、決められた経費項目を活用する必要があるため、持続化補助金の経費項目を確認しておきましょう。

補助事業に活用できる対象経費は全部で10種類

小規模事業者持続化補助金の補助事業に活用できる補助対象経費は、全部で10種類あります。申請者は、補助金に申請する経費を、用意されている経費項目の中から選び、「補助事業計画」を立てて実施することが条件として求められます。

【小規模事業者持続化補助金の補助対象経費】

補助対象経費科目

経費概要/活用事例

①機械装置等費

補助事業の遂行に必要な製造装置の購入などの経費

例:商品の生産数を増量するための機械や新しい取り組みに向けて

必要になる機材などの導入費用

②広報費

新サービスを紹介するチラシ作成・配布、看板の設置などの経費

例:ポスティング用広告チラシの作成費用、

視認性・デザイン性に優れた看板作製費用

③ウェブサイト関連費

ウェブサイトやECサイトなどの構築、更新、改修、開発、運用に係る経費

例:インボイス対応のためのクラウドサービス導入費用

④展示会等出展費

展示会・商談会の出展料に係る経費 

例:自社製品をイベントに出展する際の費用

⑤旅費

販路開拓(展示会などの会場との往復を含む)を行うための旅費

例:買い付けやセミナーなどに出向いた際の交通費や宿泊費

⑥開発費

新商品の試作品開発に伴う経費

⑦資料購入費

補助事業に関連する資料・図書にかかる経費

⑧借料

機器・設備のリース・レンタル料(所有権移転を伴わないもの)

例:オフィス機器や製造設備のリース料金、レンタルスペースの利用料

⑨設備処分費

新サービスを行うためのスペース確保を目的とした設備処分に係る経費

例:イートインスペースの設置や車いす用の導線確保のための機材処分費用

⑩委託・外注費

店舗改装など自社では実施困難な業務を第3者に依頼する経費(契約必須)

例:事務所や店舗の改装、駐車場設置などの外注費

参考:<一般型>第15回公募要領|小規模事業者持続化補助金

たとえば、インボイス対応のために導入するソフトウェアやDXの費用は、ウェブサイト関連費として申請が可能です。また、通る人の目を引くような視認性やデザイン性に優れた看板や、販促用の広告チラシの作成には広報費を活用できます。

続化補助金の申請者は、決められた経費項目の中から自分の計画に必要な経費を組み合わせた「補助事業計画」を作成します。その際、ウェブサイト関連費のみでの申請ができません。インボイス対応のためにウェブサイト関連費を活用する際は、必ずほかの経費と合わせて申請しましょう。

インボイス特例が適用されると補助金額は最大で250万円

小規模事業者持続化補助金の補助上限金額は、通常枠の場合は50万円、特別枠の場合は200万円です。さらに、第12回公募回からは、「インボイス特例」が追加され、インボイス特例の要件に適用する場合は50万円が上乗せされる内容に改訂されました。

【小規模事業者持続化補助金の補助率と補助上限額】

一般型

通常枠

特別枠

申請枠

通常枠

賃金引上げ枠

卒業枠

後継者支援枠

創業枠

補助率

2/3

2/3

赤字事業者は3/4

2/3

補助上限額

50万円

200万円

 

インボイス特例が適用

された場合

100万円

250万円

参考:<一般型>第15回公募要領|小規模事業者持続化補助金

たとえば、賃金引上げ枠で機材装置費と広報費を合わせて330万円を申請した場合、補助率2/3を掛けると補助金額は220万円と算出されます。しかし、インボイス特例の適用外であれば、定められた補助上限額は200万円のため、受けられる補助金額は200万円です。

一方で、インボイス特例に適用された事業者の場合は、同じように330万円を申請した場合でも、補助上限額が250万円のため、220万円の補助金額を受けることができます。

小規模事業者持続化補助金の補助上限額は、通常枠の場合は50万円、特別枠の場合は200万円です。さらに、「免税事業者」であった人が「適格請求書発行事業者」になることで「インボイス特例」が適用された場合は50万円が上乗せされ、最大で250万円が支給されます。

なお、補助対象経費の中の「ウェブサイト関連費」を活用する場合は、補助金額の計算方法が変わります。ウェブサイト関連費の上限額は、算出された補助金額の全体の1/4までの金額と定められているため、計算の工程が増えることになります。

ウェブサイト関連費を含めた補助金の計算方法が気になる人は、「いくら受け取れる?小規模事業者持続化補助金の補助率と補助金額の関係性を解説」も参考にしてみてください。

インボイス特例の適用要件は適格請求書発行事業者であること

インボイス特例の適用要件の1つは、「免税事業者」であった事業者が「適格請求書(インボイス)発行事業者」への登録を行うことです。そのため、インボイス特例を受けるには、申請前に税務署で適格請求書発行事業者の登録をしてもらう必要があります。

【インボイス特例の適用要件】

2021930日から2023930日の間で一度でも免税事業者であった期間が見込まれる

事業者のうち、適格請求書発行事業者の登録が確認できている事業者であること及び 2023 年 10 月 1日

以降に創業した事業者のうち、適格請求書発行事業者の登録を受けた事業者であること

② 小規模事業者持続化補助金<一般型>の「インボイス枠」で採択を受けて補助事業を実施

していないこと

③ 通常枠や特別枠の既定している要件を満たしていること

参考:<一般型>第15回公募要領|小規模事業者持続化補助金

たとえば、期間内で一度でも「年間売上高が1000万円以下で消費税の納税を免除されていた事業者」は、免税事業者に相当します。免税事業者が適格請求書発行事業者として税務署に登録申請し、登録番号を取得することでインボイス特例の適用要件を満たします。

インボイス特例の適用要件を満たすには、適格請求書発行事業者であることが必須です。また、過去にインボイス枠で採択を受けていないことや、補助金の申請枠ごとの要件を満たすことも必要であるため、留意しておきましょう。

なお、小規模事業者持続化補助金のインボイス枠は第11回公募要領で終了しており、現在はインボイス特例の内容へ改訂されています。

過去のインボイス枠とインボイス特例の違いを知りたい人は、「小規模事業者持続化補助金のインボイス特例を解説」も参考にしてみてください。

申請の際は地域の商工会や商工会議所の支援を受けながら進める

小規模事業者持続化補助金の申請を行う際は、必ず地域の商工会または商工会議所の支援を受けながら手続きを進めましょう。小規模事業者持続化補助金の申請には、商工会や商工会議所を通して提出書類を取り揃える必要があるためです。

【申請の流れの一例】

① 電子申請の際に必要なGビズIDプライムアカウントの申請・取得

② 「経営計画書兼補助事業計画書」と「補助事業計画書」を作成

③ 作成した書類の写しを商工会または商工会議所に提出し、「事業支援計画書」の

作成を依頼する

④ その他の書類(小規模持続化補助金事業にかかる申請書、補助金交付申請書、

宣誓・同意書、その他申請枠や申請条件によって必要な書類)を記入

⑤ 後日作成の終わった事業支援計画書を受け取り、②④の必要書類と共に提出する

たとえば、提出書類の1つである「事業支援計画書」は、商工会または商工会議所に作成を依頼する書類です。申請者はまず、「経営計画書」や「補助事業計画書」を作成し、商工会または商工会議所へ提出した際に「事業支援計画書」の発行を依頼するという流れです。

また、「経営計画書」や「補助事業計画書」は、補助金の採択審査において観点となる書類であり、根拠と説得力のある内容を作成する必要があります。申請者が書類の作成に慣れていない場合は、地域の商工会に相談もできるため、支援を受けてみましょう。

なお、「事業支援計画書」は、依頼してから発行までに約1週間、電子申請に必要なGビズIDプライムアカウントは、申請してから取得までに約3~4週間かかります。申請してから受け取るまでに時間を要するものは、早めに準備しておきましょう。

GビズIDの詳しい情報は、デジタル庁のgBizIDで確認できます。

この記事のまとめ

インボイス対応と合わせて小規模事業者持続化補助金を活用するためには、事業の「販路開拓」や「生産性向上」に繋がる取り組みを連携させて行いましょう。インボイス対応に必要なソフトウェアやシステム導入と合わせて活用できる対象経費は10種類用意されています。

小規模事業者持続化補助金の補助上限額は、「インボイス特例」が適用された場合に50万円が上乗せされます。インボイス特例が適用されると、通常枠では最高で100万円、特別枠では250万円の補助金額が受けられます。

インボイス特例の適用要件は、免税事業者であった事業者が、「適格請求書(インボイス)発行事業者」となることです。合わせて、過去の補助金で「インボイス枠」に申請し、補助金を受給していないことや、各申請枠の要件を満たす必要もあるため、申請する場合は要件を満たしておきましょう。

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