個人事業主はIT導入補助金を利用できる?申請方法や必要書類も解説
2024/04/08
2022/7/27
個人事業主の方の中には、ITツールの導入にIT導入補助金を利用できるのか気になる人もいますよね。また、個人事業主がIT導入補助金を利用する際の条件や申請方法が気になる人もいるでしょう。
当記事では、個人事業主がIT導入補助金に申請する方法を解説します。導入できるITツールや補助額など、IT導入補助金の概要も紹介しているため、IT導入補助金を利用したい個人事業主の人は参考にしてみてください。
なお、この記事はIT導入補助金2024「資料ダウンロード」の公募要領や交付申請の手引きをもとに作成しています。
目次
個人事業主もIT導入補助金に申請できる
IT導入補助金は、個人事業主も申請できる補助金です。IT導入補助金では、中小企業や小規模事業者に該当する「法人」や「個人事業主」が対象となるためです。申請の条件や補助内容は、法人と個人事業主での違いはありません。
【IT導入補助金の概要】
項目 | 内容 |
対象者
|
中小企業または小規模事業者に該当する「法人」や「個人事業主」がおもな対象 |
<中小企業> 製造業・建設業・運輸業(資本金3億円以下・従業員300人以下) 卸売業(資本金1億円以下・従業員100人以下) サービス業(資本金5千万円以下・従業員100人以下) 小売業(資本金5千万円以下・従業員50人以下) ゴム製品製造業(資本金3億円以下・従業員900人以下) ソフトウェア業又は情報処理サービス業(資本金3億円以下・従業員300人以下) 旅館業(資本金5千万円以下・従業員200人以下) その他の業種(資本金3億円以下・従業員300人以下) |
|
<小規模事業者> 商業・サービス業(従業員5人以下) サービス業のうち宿泊業・娯楽業(従業員20人以下) 製造業その他(従業員20人以下) |
|
補助対象経費 | ITツール(ソフトウェア、ハードウェア、セキュリティサービス、導入関連費) |
補助額 | 最大450万円 |
枠 | ● 通常枠 ● インボイス枠(インボイス対応類型、電子取引類型) ● セキュリティ対策推進枠 |
たとえば、従業員3人でサービス業を営む個人事業主は小規模事業者に該当するため、IT導入補助金に申請できます。従業員がいない個人事業主や事業規模が中小企業の個人事業主も、IT導入補助金の対象者として交付申請が可能です。
また、対象者に当てはまる個人事業主は、ソフトウェアやハードウェアなどの導入費用に対して、最大で450万円の補助金を受け取ることができます。補助対象経費や補助額は、枠ごとに異なるため、導入したいITツールに合わせて申請する枠を選びます。
ソフトウェアやハードウェアなどのITツールを導入する際に、IT導入補助金を利用できます。IT導入補助金は、事業規模が「中小企業」や「小規模事業者」の個人事業主も申請でき、採択された場合に補助金を受け取れます。
フリーランスの場合は、開業届を出して個人事業主になっているか、法人格を取得し法人化している場合にのみ、IT導入補助金に申請できます。ただし、個人事業主や法人を設立して間もない人など、1期分の決済や確定申告をしていない場合には交付申請ができない点は留意しましょう。
IT導入補助金を申請する際には、導入したいITツールを取り扱うIT導入支援事業者に支援を依頼する必要があります。当メディアを運営する株式会社SoLaboもIT導入支援事業者であり、個人事業主の皆さまのITツール導入支援を行っています。
無料診断では、導入を検討しているITツールが対象となるか、補助金でいくら受け取れそうかがわかりますので、申請を検討している人はお試しください。
無料診断IT導入補助金はソフトウェアやハードウェアなどのITツールを導入できる
IT導入補助金は、ソフトウェアやハードウェアなどのITツールの導入に利用できます。IT導入補助金の目的が、ITツールを導入することで生産性を向上させることや、インボイス制度に対応することだからです。
【IT導入補助金で導入できるITツール】
枠 | 補助対象経費 | |
通常枠 | ソフトウェア |
|
セキュリティ対策推進枠 | サービス |
|
インボイス対応類型
|
ソフトウェア |
|
ハードウェア |
|
|
電子取引類型 | ソフトウェア |
|
参考:各枠の「公募要領」|IT導入補助金2024公式サイト
通常枠は、顧客対応ソフトや在庫管理ソフトなど、他の枠よりも導入できるソフトウェアの種類が豊富です。セキュリティ対策推進枠は、取り扱う事業のデータのセキュリティ強化ができるサービスを導入できます。
また、インボイス制度に対応した会計ソフトや決済ソフトを導入したい人は、インボイス対応類型に交付申請できます。インボイス対応類型は、ソフトウェアだけでなく、パソコンやPOSレジなどのハードウェアの導入費用も補助対象です。
IT導入補助金を利用する場合は、枠ごとにソフトウェアやハードウェアの導入費用に対して補助金を受け取れます。導入できるITツールの製品名の具体例を知りたい人は「IT導入補助金で利用できるITツールとは?主なツールの一覧も紹介」を参考にしてみましょう。
なお、ソフトウェアを導入する際にかかる、データ連携のオプション費用や導入コンサルティングの役務費用などの、導入関連費も補助対象です。IT導入補助金でソフトウェアを導入する際は、ソフトウェアを取り扱うIT導入支援事業者がどのようなオプションや役務を取り扱っているかを確認してみてください。
パソコンのみの購入はできない
IT導入補助金を利用する場合は、パソコンのみの購入はできません。唯一パソコンの購入費用が補助対象になっているインボイス対応類型では、ソフトウェアの導入が必須だからです。
【IT導入補助金を利用してパソコンを導入できる条件】
|
たとえば、インボイス対応類型で会計ソフトを導入する場合は、導入する会計ソフトを利用するためのパソコンを購入できます。ソフトウェアを導入する場合でも、導入するソフトウェアに利用しないパソコンは対象外です。
また、インボイス対応類型では、パソコン以外にもタブレットやプリンター、レジ、券売機などのハードウェアも補助対象です。個人経営のお店でインボイス制度に対応するためにPOSレジを導入したい人は「IT導入補助金でレジの購入はできる?対象レジや補助額を解説」を参考にしてみてください。
IT導入補助金を利用してパソコン購入したい人は「会計」「受発注」「決済」いずれかの機能を持つソフトウェアを導入が必要です。パソコンが補助対象に含まれるのはインボイス対応類型のみなので、ソフトウェア以外にもパソコンを導入したい人は「IT導入補助金2023のデジタル化基盤導入枠とは?PCやレジなどの対象経費も解説」を参考にしてみましょう。
なお、IT導入補助金で導入できるパソコンやソフトウェアなどのITツールは、IT導入支援事業者が取り扱うものだけです。IT導入支援事業者として登録されていない家電量販店やネットショップなどで購入したパソコンは補助対象外のため、IT導入支援事業者から購入する必要があります。
ITツールの導入費用に対して1/2から4/5の補助金を受け取れる
IT導入補助金では、ITツールの導入費用に対して「1/2〜4/5」の補助金を受け取れます。IT導入補助金の受け取れる金額を求める際は、補助額の範囲内で「ITツール導入費用×補助率」で計算が可能です。
【IT導入補助金の補助金と補助率】
通常枠 | |||
項目 | 補助額 | 補助率 | |
ソフトウェア | 5万円〜450万円 | 1/2以内 | |
セキュリティ対策推進枠 | |||
項目 | 補助額 | 補助率 | |
セキュリティサービス | 5万円〜100万円 | 1/2以内 | |
インボイス対応類型 | |||
項目 | 補助額 | 補助率 | |
ソフトウェア
|
〜50万円 | 3/4以内 ※小規模事業者は4/5以内 |
|
50万円超〜350万円 | 2/3以内 | ||
ハードウェア
|
パソコン、タブレット等 | 〜10万円 |
1/2以内
|
レジ、券売機等 | 〜20万円 | ||
電子取引類型 | |||
項目 | 補助額 | 補助率 | |
ソフトウェア | 〜350万円 | 2/3〜1/2以内 ※事業規模による |
参考:「補助対象について」|IT導入補助金2024公式サイト
たとえば、通常枠で100万円のソフトウェアを導入する場合は、補助率1/2をかけて50万円の補助金を受け取れます。また、インボイス対応類型で20万円のパソコンを購入する場合は、補助率1/2をかけて10万円の補助金を受け取れます。
通常枠やセキュリティ対策推進枠の補助率は1/2であり、導入費用に対して最大半額の補助金を受け取ることができます。インボイス対応類型は、企業規模や補助額の範囲に応じてソフトウェアの補助率が4/5や2/3と複雑になっているため「補助金シミュレーター」で計算してみてください。
IT導入補助金を利用する場合は、ITツール導入費用の全額が補助されるのではなく、枠によって1/2~4/5(50%〜80%)の金額が補助金として受け取れます。補助金を受け取れるのは、申請者がITツール導入費用の全額を支払った後のため、IT導入補助金に申請する人はITツールの導入費用の全額を準備しておきましょう。
IT導入補助金を利用する際の申請方法
IT導入補助金を利用する際は「申請マイページ」から電子データで交付申請を行います。IT導入補助金は、申請やITツールの導入などの流れを間違えると補助金を受け取れなくなる可能性があるため、IT導入補助金を利用する人は全体の流れを確認しましょう。
【IT導入補助金の流れ】
手順 | 概要 |
1.IT導入補助金の概要を把握 |
|
2.申請に必要な準備を行う |
|
3.ITツールとIT導入支援事業者を探す |
|
4.交付申請の手続きを行う |
|
~審査~ | |
5.ITツールを導入 |
|
6.事業実績報告 |
|
〜確定検査〜 | |
7.補助金の交付(入金) |
|
8.事業実施効果報告 |
|
参考:各枠の「公募要領」||IT導入補助金2024公式サイト
IT導入補助金の交付申請を行う前に、必要となる手続きがあります。「申請マイページ」へログインするための「gBizID」の取得のほか、セキュリティ対策への自己宣言である「SECURITY ACTION」および経営課題を把握するための「みらデジ経営チェック」の実施が求められています。
IT導入補助金に交付申請をしたら、補助金事務局や外部審査委員会による審査が実施されます。IT導入補助金では「交付申請の審査」や「事業実績報告の確定検査」を通過することで補助金を受け取れるようになります。
補助金が入金された後も、ITツール導入後の効果として粗利益や労働生産性、給与支給総額などの事業実績の報告をしなければいけません。通常枠で補助金を150万円以上申請した人のみ、賃上げ目標が未達成だと補助金の返還を求められるため、該当する人は「賃上げ目標が未達だとIT導入補助金がもらえない?申請枠ごとの扱いも解説」を確認してみてください。
なお、IT導入補助金では申請枠ごとに複数回の公募が行われており、それぞれ交付申請の締切が異なります。交付申請の準備には1~2カ月程度かかる可能性があるため「事業スケジュール」から希望する枠のスケジュールを確認し、余裕も持って準備ができる締切回へ申請しましょう。
個人事業主は交付申請の必要書類が異なる
個人事業主の交付申請の必要書類は、法人と異なります。法人は「履歴事項全部証明書」「法人税の納税証明書」の書類の準備が必要ですが、個人事業主では用意することができない書類のため、別の書類を準備する必要がります。
【個人事業主が交付申請時に提出する書類】
提出書類 | 概要 |
本人確認書類 (いずれか1つ) |
|
事業実態確認書類1 |
|
事業実態確認書類2 |
|
参考:「交付申請の手引き(通常枠、セキュリティ対策推進枠、インボイス枠(インボイス対応類型、電子取引類型))」|IT導入補助金2024公式サイト
個人事業主が準備する書類は「本人確認ができる書類1点」と「事業を実施していたことを確認できる書類2点」です。いずれの書類も、電子データとして申請マイページに添付して補助金事務局へ提出します。
ただし、前年度に納税や確定申告をしていない場合には、書類の発行ができません。個人事業主として開業してから1年以上経過していない場合は交付申請ができないため、翌年度以降の申請を検討しましょう。
なお、必要書類を用意する際に、書類の発行場所がわからない人は「IT導入補助金の必要書類を解説!書類の準備や注意点も紹介」を参考にしてみてください。
交付申請をする際はIT導入支援事業者に依頼が必要
IT導入補助金に交付申請する人は、IT導入支援事業者への依頼が必要です。IT導入補助金の申請者は、IT導入支援事業者が取り扱うITツールを導入し、IT導入支援事業者ともに交付申請の手続きを行う必要があるからです。
IT導入補助金は「申請者」と「IT導入支援事業者」が共同事業者として、交付申請やITツールの導入、各報告を行う制度です。そのため、申請者がIT導入補助金を利用したい時は「ITツール・IT導入支援事業者検索」で探し、IT導入支援事業者への依頼が必要になります。
【IT導入支援事業者のサポート内容の一例】
|
たとえば、導入したいソフトウェアに対していくらIT導入補助金が受け取れるのかを知りたい人は、ソフトウェアの機能や金額から補助額の見積もりを依頼できます。また、交付申請の内容のチェックやITツール導入時の設定、ITツール導入後の保守管理まで一貫してIT導入支援事業者がサポートしてくれます。
IT導入補助金で導入できるITツールは、IT導入支援事業者が取り扱うものだけです。導入したいITツールを決めたら、導入したいITツールを扱うIT導入支援事業者に、電話やメールなどでIT導入補助金を利用したい旨を相談してみましょう。
なお、当サイトを運営する株式会社SoLaboもIT導入支援者であり、ツールの導入支援はもちろん、IT導入補助金の申請サポートも実施しています。どのようなツールを導入すべきか悩んでいる人や、いくらの補助を受けられそうか知りたい人は、無料診断よりお問い合わせください。
無料診断この記事のまとめ
IT導入補助金は、「中小企業」または「小規模事業者」に含まれる個人事業主も利用できる補助金です。法人と個人事業主で、申請の条件や補助内容に違いはありません。
ただし、申請の際の必要書類は、法人と個人事業主で異なります。「履歴事項全部証明書」と「法人税の納税証明書」は法人のみが用意できる書類であるため、個人事業主の場合は代わりに「本人確認書類」と「事業実態確認書類」を用意する必要があります。
IT導入補助金を受け取るには「交付申請の審査」や「事業実績報告の確定検査」を通過する必要があります。交付申請の準備から入金後の事業実施効果報告までは、IT導入支援事業者がサポートしてくれるため、申請を考えている人は「ITツール・IT導入支援事業者検索」でサポートを依頼するIT導入支援事業者を探しましょう。