IT導入補助金でチャットボットは導入できる?導入費用に対する補助額も解説
2024/04/08
2023/6/30
チャットボットを導入すると、社内では従業員からの質問、社外ではお客様からの問い合わせに対してチャットボットが自動で応対してくれます。そのため、問い合わせ業務を受ける人事や総務、カスタマーサポートなどの部署の業務効率化につながります。
問い合わせ業務が忙しい人の中には、チャットボットの導入で業務を効率化したいと考えるもいますよね。その際「チャットボットの導入に補助金が使えるのでは?」と考える人もいるでしょう。
当記事では、IT導入補助金を利用してチャットボットを導入する方法を解説します。また、チャットボットを導入した際にIT導入補助金がいくら受け取れるのかも解説しているため、チャットボットの導入を考える人は参考にしてみてください。
なお、この記事はIT導入補助金2024の「通常枠の公募要領」をもとに作成しています。
目次
チャットボットは通常枠で導入できる
IT導入補助金の通常枠は、チャットボットの導入に利用できます。通常枠は、生産性向上に使用するITツールが対象とされているため、生産性向上に使用するソフトウェアとしてチャットボットの導入もできます。
【通常枠で導入できるソフトウェアの機能】
項目 |
ソフトウェアが持つ機能
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業務プロセス
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①顧客対応・販売支援
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②決済・債権債務・資金回収
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③供給・在庫・物流
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④会計・財務・経営
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⑤総務・人事・給与・労務・教育訓練・法務・情シス
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⑥業種固有プロセス
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汎用プロセス |
⑦汎用・自動化・分析ツール
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参考:「通常枠の公募要領」|IT導入補助金2024公式サイト
通常枠で導入できるソフトウェアは、機能にごとにプロセスという形で分類されています。通常枠で導入できるチャットボットは「①顧客対応・販売支援」「⑤総務・人事・給与・労務・教育訓練・法務・情シス」などの業務プロセスか、汎用プロセスのいずれかの機能を持ちます。
IT導入補助金を利用してチャットボットを導入するには、通常枠に申請することと業務プロセスか汎用プロセスの機能を持つチャットボットであることが必要です。業務プロセスと汎用プロセスでは導入の方法が異なるため、通常枠でチャットボットを導入したい人は以下の項目を参考にしてみてください。
なお、通常枠はIT導入補助金に申請する際の枠の一つです。申請前に通常枠について詳しく知りたい人は「IT導入補助金2023の通常枠とは?対象となる要件も解説」の記事を参考にしてみてください。
業務プロセスの場合は単体で導入できる
チャットボットが業務プロセスの機能を持つ場合は、チャットボット単体で導入ができます。業務プロセスを持つチャットボットは、顧客対応や総務などの特定の業務の生産性の向上に繋がるため、単体での導入が可能です。
【業務プロセスを持つチャットボットの一例】
チャットボット名称 | 概要 |
チャットプラス 「AIチャットボット」 | 「①顧客対応・販売支援」に該当。 社内外からの問い合わせに対してチャットボットで返答したり、チャット履歴のデータ分析を活用して売上増加につなげられる(ChatGPTも連携可能)。 |
受発注システム付きチャットボットスタンダード | 「①顧客対応・販売支援」に該当。 キャンペーンの申込の受発注や申込者の管理ができ、メルマガ配信機能を使い集客や業務効率向上が図れる。 |
MetaGate(自動アクション・チャットボットプラン) | 「①顧客対応・販売支援」に該当 Instagramを活用した集客支援ツールで、チャットボット機能だけでなく、Instagramのアカウントのインサイト分析やフォローなどの自動化ができる。 |
HRBrain AIチャットボットプラン~100名 | 「⑤ 総務・人事・給与・労務・教育訓練・法務・情シス」に該当。 社内の人事や労務管理などが一括で管理でき、生成AIや他のチャットツールとの連携で社内問い合わせの自動化も可能。 |
参考:「ITツール・IT導入支援事業者検索」|IT導入補助金2024公式サイト
たとえば、チャットプラス 「AIチャットボット」は①顧客対応・販売支援の機能を持つ、チャットボットのため単体での導入ができます。また、業務プロセスを持つソフトウェアの中には、チャットボット専用ではなく追加機能としてチャットボットが利用できるソフトウェアもあります。
1つのソフトウェアだけを導入したい場合、チャットボットが業務プロセスの機能を持っている必要があります。業務プロセスのソフトウェアは、メインがチャットボットの機能でないことも考えられるため、導入したい機能がついているかを確認しましょう。
なお、業務プロセスを持つソフトウェアを1つでも導入する場合は、複数のソフトウェアを同時に申請することができます。業務プロセスを持つチャットボット以外に導入したいソフトウェアがある人は、ソフトウェアの複数申請を考えてみるとよいでしょう。
汎用プロセスの場合は他のツールと合わせると導入できる
チャットボットが汎用プロセスの機能を持つ場合は、他のソフトウェアと合わせることで導入ができます。汎用プロセスを持つチャットボットは、単体での導入はできないためです。
【チャットボットと他のソフトウェアを合わせて導入する際の一例】
項目 | ソフトウェアの名称 | 概要 |
汎用プロセスのチャットボット
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チャットプラス(ビジネスライト) |
社内のヘルプデスク以外にもお客様窓口やマーケテイング支援の目的で活用できる。チャットボットが応答するシナリオを独自で作成できる。
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チャットボットサービス「Ki-CHATTEN」 |
顧客サポートや社内のヘルプデスクの業務を自動化できる。利用シーンごとに選択肢、一問一答型などを選択できる
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HRBrain AIチャットボットプラン1名~500名 |
従業員からの問い合わせに対して、チャットボットが自動で返答し、質問の傾向をグラフで可視化できる。
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人事総務専用AIチャットボット CB4-人事・総務 |
人事部や総務部のよくある問い合わせから、問い合わせのテンプレートを利用できる。
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業務プロセスを持つソフトウェア
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Lステップ |
「①顧客対応・販売支援」に該当。
LINEの公式アカウントを利用したマーケティングツール。 |
ユビレジ プレミアムプラン |
「②決済・債権債務・資金回収管理」に該当。
iPadでPOSシステムを利用できるレジ。 |
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freee会計 ベーシックパッケージ |
「④会計・財務・経営」に該当。
簿記や経理の知識がない人でも利用できる会計システム。 |
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SmartHR HRストラテジープラン 50名以下 |
「⑤総務・人事・給与・労務・教育訓練・法務・情シス」に該当。
従業員情報や各種手続きの管理ができる労務管理システム。 |
参考:「ITツール・IT導入支援事業者検索」|IT導入補助金2024公式サイト
たとえば、汎用プロセスのチャットプラスを導入したい場合は、業務プロセスのfreee会計と組み合わせて導入する必要があります。2つのソフトウェアを導入する分、導入費用が高くなりますが、会計業務の生産性を向上させつつ、チャットボットの利用ができます。
汎用プロセスのチャットボットは、業務プロセスのソフトウェアと組み合わせることでさらなる生産性の向上が見込めます。そのため、汎用プロセスのチャットボットを導入したい人は、業務プロセスを持つ他のソフトウェアと組み合わせて導入ができないかを考えてみましょう。
なお、IT導入補助金で対象のソフトウェアは、本記事で紹介したもの以外にも様々な種類のソフトウェアがあります。業務プロセスを持つソフトウェアのイメージがつかない人は「IT導入補助金で利用できるITツールとは?主なツールの一覧も紹介」を参考にしてみてください。
チャットボットの導入費用に対して1/2の補助額が受け取れる
IT導入補助金を利用することでチャットボットの導入費用に対して1/2の補助額が受け取れます。チャットボットが導入できる通常枠で受け取れる補助額は「ITツールの導入費用×補助率1/2」で計算することができます。
【通常枠の補助額】
通常枠 | 補助額 | 補助率 | |
1機能以上 | 5万円~150万円 |
※クラウド利用料最大2年分
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1/2以内
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4機能以上 | 150万円〜450万円 |
参考:「通常枠の公募要領」|IT導入補助金2024
たとえば、チャットボットに100万円の導入費用がかかる場合、補助率が1/2のため、50万円の補助額を受け取れます。また、サブスプリクション型のチャットボットが2年で120万円の場合は、60万円の補助額が受け取れ3年度目からは実費負担となります。
通常枠を利用してチャットボットを導入する場合は、導入費用の半額の補助が受け取れます。IT導入補助金を利用しても補助率が設定されているため、導入費用の全額の補助は受けられないことを留意しておきましょう。
なお、補助金の対象となるITツールは、ソフトウェアだけでなく拡張機能やデータ連携ツール、導入コンサルティング、保守サポートなどの費用も1/2が補助されます。IT導入補助金を利用する人は、ソフトウェア以外にも補助対象ということを覚えておきましょう。
IT導入補助金の利用をするにはまず全体の流れを確認する
チャットボットの導入にIT導入補助金の利用を考えたら、まず全体の流れを確認しましょう。IT導入補助金を利用する場合、全体の流れを間違うことで補助金を受け取れないからです。
【IT導入補助金の全体の流れ】
※ITツール:ソフトウェア(チャットボット)、拡張機能、セキュリティサービス、導入コンサルティング、保守サポートなど |
参考:「新規申請・手続きフロー」|IT導入補助金2024公式サイト
たとえば、IT導入補助金を利用する際は、チャットボットの導入前に交付申請を行う必要があります。申請者は、導入したいチャットボットを取り扱うIT導入支援事業者と共に交付申請を行います。
IT導入補助金の流れを踏まえずに行動すると、補助金が受け取れない可能性があります。IT導入補助金を受け取るために、決められた流れ以外でITツールを導入するミスがないように、ひとつひとつの手順を確認しながら手続きを進めましょう。
対象者に含まれるかを確認する
IT導入補助金を利用する際は、自身が対象者に含まれるかを確認しましょう。IT導入補助金では、おもに中小企業や小規模事業者が対象者に定められているため、中小企業と小規模事業者の定義の確認が必要です。
【IT導入補助金の対象者の定義】
業種 | 資本金・出資額 (以下) |
常時使用する従業員の数 (以下) |
①製造業、建設業、運輸業 | 3億円 | 300人 |
②卸売業 | 1億円 | 100人 |
③サービス業 | 5,000万円 | 100人 |
④小売業 | 5,000万円 | 50人 |
⑤ゴム製品製造業 | 3億円 | 900人 |
⑥ソフトウェア業または 情報処理サービス業 |
3億円 | 300人 |
⑦旅館業 | 5,000万円 | 200人 |
⑧その他の業種(上記以外) | 3億円 | 300人 |
⑨医療法人と社会福祉法人および学校法人 | – | 300人 |
⑩商工会や都道府県連合および商工会議所 | – | 100人 |
⑪中小企業支援法第2条第1項第4号に規定される中小企業団体 | – |
主たる業種に記載の従業員規模
|
⑫特別の法律によって設立された組合またはその連合会 | – |
主たる業種に記載の従業員規模
|
⑬一般と公益の財団法人と社団法人 | – |
主たる業種に記載の従業員規模
|
【補助対象となる小規模事業者】
業種 | 常時使用する従業員の数(以下) |
①商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く) | 5人 |
②サービス業のうち宿泊業・娯楽業 | 20人 |
③製造業その他 | 20人 |
参考:「補助対象者」|IT導入補助金2024公式サイト
たとえば、経営コンサルタントを営む会社が資本金1千万円で従業員が30人の場合は、サービス業として中小企業に該当します。また、従業員が20人以下の旅館を営む会社であっても、宿泊業の小規模事業者に該当し対象となります。
IT導入補助金の対象者は、業種と資本金、従業員数から確認できます。申請者自身が対象者に含まれているかを確認する際は、従業員数や資本金を正確に把握することで交付申請の審査の際に、申請の不備を減らせると覚えておきましょう。
対象のチャットボットはITツール検索で探す
IT導入補助金で対象のチャットボットを探す際は「ITツール・IT導入支援事業者検索」を使いましょう。IT導入補助金で導入できるITツールは「ITツール・IT導入支援事業者検索」で見つけられるものに限られるからです。
たとえば「ITツール・IT導入支援事業者検索」でチャットボットを探す際は、ツール名の項目にチャットボットの商品名を入力することで探せます。また、詳細に検索したい場合は、導入したいITツールに合わせて申請する枠のチェック項目にチェックを入れて検索ができます。
導入したいチャットボットを見つけたら、そのチャットボットを取り扱うIT導入支援事業者に相談することになります。相談する際は、電話やメールなどでIT導入支援事業者に「IT導入補助金を利用して〇〇ツールを導入したい」との旨を伝えましょう。
なお、導入したいITツールをIT導入支援事業者が取り扱っていなかった場合でも、新規でITツールの追加が可能な場合は追加してくれる場合もあります。そのため、導入したいITツールの取り扱いがない場合、IT導入支援事業者に新たなソフトウェアの追加が可能かを聞くと良いでしょう。
この記事のまとめ
IT導入補助金を利用してチャットボットを導入したい人は、通常枠を利用することで補助金を受け取れます。通常枠でチャットボットを導入する場合は、業務プロセスの有無により単体で導入できるか、他のソフトウェアの導入も必要かが決まります。
通常枠で受け取れる補助額は、ITツール本体や導入関連費の半額です。チャットボットの導入にIT導入補助金を利用したい人は「ITツール・IT導入支援事業者検索」からチャットボットを探しましょう。