IT導入補助金で導入できる会計ソフトを解説
2024/08/29
2023/5/26
会計ソフトを導入したい人の中には、IT導入補助金を使って会計ソフトを購入したい人もいますよね。その際「どのような会計ソフト」を「いくらまで購入できる」のか、具体的な情報を知りたい人もいることでしょう。
当記事では、IT導入補助金で導入できる会計ソフトを解説します。実際に購入できる会計ソフトの商品名も記載しましたので、IT導入補助金を使って会計ソフトを購入したい人は、当記事を参考にしてみてください。
なお、当記事はIT導入補助金2024の公式サイトの「資料ダウンロード」にある「通常枠」と「インボイス枠(インボイス対応類型)」の公募要領をもとに作成しています。
目次
導入できるITツールには仕訳の自動化や確定申告ができる会計ソフトがある
IT導入補助金で対象のITツールには、仕訳の自動化や確定申告ができる会計ソフトがあります。ITツールとは「事業者がIT導入補助金で補助を受けて導入できるソフトウェア」のことで、「freee会計」や「弥生会計」などを指します。
【IT導入補助金で導入できる会計ソフト】
会計ソフト名称 | 概要 |
freee会計 | 請求書の作成、帳簿・レポート作成などが自動化できる |
弥生会計 | 会計に必要な機能を網羅。インボイス制度の仕訳に対応する |
やよいの青色申告 | はじめて確定申告する人でも、税務署に行かずにオンラインで青色申告ができる |
マネーフォワードクラウド会計 | 銀行口座、クレジットカードなどを登録するだけで、取引を自動取得し仕訳を提案する |
勘定奉行クラウドiJシステム | 個別業務の自動化だけでなく、経理業務全体の制度化が可能 |
OZO3経費 | 精算・支払い業務の入力をペーパーレスで実現する。勘定奉行クラウドと自動連係が可能 |
ジョブカン経費精算 | ICカード読み取りや承認経路分岐など、独自の機能で交通費精算や仕訳時間を効率化する |
バクラク申請 | 稟議関連の作業を効率化する、経理向けの会計ソフト。領収書AI自動読取機能や申請と支払う漏れのチェック機能がある |
PCAクラウド会計 | 日常の取引入力をすることで、試算表から決算書までを自動作成 |
農業簿記11 | 質問に答えるだけで、農業に特化した仕訳ができる。農業の事例を選ぶだけで伝票入力が可能 |
建設大臣NX Super スタンドアロン版 | 仕訳データの入力時に現場や業者を選択すると、適切な工事台帳や原価管理資料を出力する |
参考:「ITツール・IT導入支援事業者検索」|IT導入補助金2024公式サイト
たとえば、freee会計の場合、事業者が銀行口座やクレジットカードを登録すると、freee会計が自動で記帳と仕訳をします。 freee会計は複数の取引を自動化できるソフトなので、経理業務にかける時間を短縮できます。
また、弥生会計の場合、仕訳の自動化に加え、会計ソフトをはじめて利用する人をサポートする機能が付属します。操作説明動画や1年間の導入サポートを行うアフターサービスがあるので、操作で不明な点があっても解決しながら操作できます。
IT導入補助金では、ビジネスで一般的に使用されている会計ソフトが対象となっています。この他、農業や建設業などの業種に特化した会計ソフトもあります。IT導入補助金で会計ソフトを導入したい人は、自社に合った会計ソフトを探してみてください。
なお、当サイトを運営する株式会社ソラボはIT導入支援事業者として、freee会計、弥生会計、マネーフォワードなどの会計ツールの導入を支援しています。IT導入補助金の申請にはIT導入支援事業者を窓口にするのが必須である他、経営状況からいくらくらいの補助を受けられそうか無料で診断しますので、IT導入補助金を活用して会計ソフトの導入を検討している人は以下の無料診断より落ち合わせ下さい。
無料診断5万円以下の会計ソフトも申請できる
IT導入補助金では、5千円や1万円などの5万円以下の会計ソフトも申請できます。IT導入補助金で会計ソフトを申請できる方法は2つあり、そのうちの1つ「インボイス対応類型」から申請すると「5万円以上の会計ソフト」という補助金額の下限がなくなるからです。
【会計ソフトを申請できる2つの枠の概要】
項目 | インボイス枠(インボイス対応類型) | 通常枠 |
補助金額 | 下限なし~350万円以下 ※補助対象経費による |
5万円~450万円以下 ※補助対象経費と類型による |
補助率 | 2/3、3/4、4/5以内のいずれか ※補助対象経費による |
1/2以内 |
補助対象経費 |
|
|
参考:「資料ダウンロード」にある各枠の公募要領|IT導入補助金2024公式サイト
たとえば、通常枠の場合、会計ソフトだけで申請するなら、10万円以上の会計ソフトを申請する必要があります。通常枠の最低補助金額は5万円なので、補助率1/2をかけて5万円となる金額は10万円だからです。
一方、インボイス枠(インボイス対応類型)の場合、会計ソフトだけで申請するなら、5千円の会計ソフトでも申請自体は可能です。インボイス枠(インボイス対応類型)で最低補助金額は設定されていないからです。
インボイス対応類型では「下限なし~350万円」が、通常枠では「5万円~450万円」までが補助されます。個人事業主として青色申告ソフトだけ欲しい人や、クラウド会計のみ申請したい人などは、インボイス対応類型を選択しましょう。
なお、クラウドの会計ソフトの中には、サブスクとして月額払いのソフトもあります。IT導入補助金では、有料プランの契約のみが補助の対象です。IT導入補助金では、最大2年分の月額プラン料金が申請できるので、覚えておきましょう。
会計ソフトと同時にパソコンやタブレットも申請できる
インボイス対応類型から申請すると、会計ソフトだけでなく、パソコンやタブレットも申請できます。IT導入補助金には複数の枠があり、「インボイス枠(インボイス対応類型)」のみ、ITツールを使うためのハードウェアが補助されるからです。
【会計ソフトとパソコン・タブレットを申請するモデル例】
枠 | インボイス枠「インボイス対応類型」 |
補助対象経費 | <ソフトウェア購入費> クラウド会計ソフト:6万円(月額5千円×12か月分=6万円) <パソコン> 10万円 <タブレット> 10万円 計:26万円 |
自己負担額 | 11.5万円 |
たとえば、中小企業がインボイス対応類型で「クラウド会計ソフト」「パソコン」など計26万円を申請する場合、採択されると14.5万円を受け取れます。中小企業の場合、ソフトウェアの補助率は3/4、ハードウェアの補助率は1/2だからです。
IT導入補助金では、ITツールを導入する事業者のみ、ハードウェアも同時申請できます。その際、購入先の業者はIT導入支援事業者である必要があります。IT導入補助金を使ってパソコンやタブレットを購入する場合は、IT導入支援事業者から購入するようにしましょう。
なお、事業者がIT導入補助金で会計ソフトやパソコンの代金を支払うタイミングは、交付決定を受けたあとです。申請の段階では、IT導入支援事業者と会計ソフトやパソコンの購入契約を交わさないよう、留意してください。
会計ソフトを導入するにはIT導入補助金の仕組みを確認しておく
IT導入補助金で会計ソフトを導入するには、申請者がIT導入補助金の仕組みを理解する必要があります。IT導入補助金の仕組みを把握していないと、会計ソフトを申請しても交付決定されない可能性があるからです。
【IT導入補助金で会計ソフトを補助してもらう仕組み】
項目 | 概要 |
申請できる事業者 | IT導入補助金の対象事業者であり、申請要件を満たしている |
申請できる補助対象経費 | ITツール検索に登録されている会計ソフトである |
申請方法 | IT導入支援事業者に支援してもらい、電子申請「j Grants」から申請する |
ITツールの支払い方法 | 現金またはクレジットカードの一括で支払う |
採択後の手続き | ITツールの導入後、実績報告をする |
たとえば、IT導入補助金の申請時の場合、資本金が3億円以内かつ従業員数が300人以下の中小企業者で、申請要件を満たす事業者が対象です。IT導入補助金では「事業場内最低賃金が地域別最低賃金以上」といった申請要件を満たす必要があるからです。
また、IT導入補助金の補助対象経費の場合、会計ソフトはIT導入補助金の「ITツール検索」に登録されているソフトのみ申請できます。市販の会計ソフトでもITツール検索に登録されていないソフトは、IT導入補助金の補助の対象とならないからです。
IT導入補助金で会計ソフトの補助を受けるには、IT導入補助金の仕組みを理解し、適切な申請方法で申請する必要があります。無料でIT導入補助金に申請できるかを判断するIT導入支援事業者もいるので、気になる人は、IT導入支援事業者に問い合わせしてみましょう。
無料診断個人事業主やNPO法人も申請できる
個人事業主やNPO法人も、IT導入補助金を使って会計ソフトやパソコンを申請できます。IT導入補助金の対象事業者となる「中小企業者」には、個人事業主や事業規模を満たすNPO法人や医療法人も含まれるからです。
【IT導入補助金の対象事業者の要件】
-中小企業者 -個人事業主 -NPO法人 -医療法人 -学校法人 |
たとえば、大企業と関連のない事業者の場合、IT導入補助金では大企業が株式1/2以上をもつ子会社や関連会社は対象外です。IT導入補助金の公募要領に記載の「申請の対象外となる事業者」に、その旨が記載されているからです。
一方でNPO法人や医療法人の場合は、資本金は3億円以下、従業員数は300人以下なら、補助の対象となる可能性があります。
IT導入補助金では、大企業に関わりのない中小企業が対象です。中小企業には従業員のいない個人事業主や、事業規模の要件を満たす法人も含まれます。会計ソフトで青色申告やインボイス対応をしたい個人事業主は、IT導入補助金の利用を検討してみましょう。
なお、個人事業主の人がIT導入補助金に申請する際は、必要書類の準備や要件の確認も必要です。IT導入補助金に関心のある個人事業主の人は「個人事業主はIT導入補助金を利用できる?申請方法や必要書類も解説」を参考にしてみてください。
対象の会計ソフトはITツール検索から探せる
IT導入補助金で対象の会計ソフトは、IT導入補助金の公式サイトにある「ITツール検索」で探せます。当記事で紹介した会計ソフト以外にも、複数の会計ソフトが対象です。希望の会計ソフトを見つけたい人は、詳細な条件を設定して探してみてください。
たとえば、インボイス対応の会計ソフトを探す場合、ITツール検索の項目「インボイス枠」のタブをひらき「会計・財務ソフトウェア」にチェックを入れます。さらに、ハードウェアの項目にチェックを入れると、会計・財務ソフトウェアに関連したハードウェアが検索できます。
また、確定申告ができる会計ソフトの場合は「ツール名から探す」に「確定申告」と入力します。検索結果を見ると、確定申告ができる会計ソフトが表示され、会計ソフト情報やツールの機能、申請できる枠などが表示されます。
ITツール検索を活用すると、会計ソフトと会計ソフトを扱うIT導入支援事業者がセットで表示されます。自社が導入したい会計ソフトの名前が決まっている場合は「ITツール検索」の「ツール名から探す」に、購入したい会計ソフトの名前を入力してみましょう。
なお、IT導入支援事業者を探したい人は「IT導入支援事業者を探す」タブをクリックし、IT導入支援事業者名や申請する枠を絞って検索してみてください。
IT導入支援事業者と共に申請する
IT導入補助金は、事業者が単独で申請できる補助金ではありません。IT導入補助金を使って会計ソフトを購入する場合は、申請前に希望のITツールを販売するIT導入支援事業者を探しましょう。事業者は、希望のITツールを扱うIT導入支援事業者と共に申請します。
【IT導入補助金で会計ソフトを購入する手続きの流れ】
事業者の手続き | IT導入支援事業者導入補助金の手続き |
①欲しい会計ソフトを探す | – |
②欲しい会計ソフトを「ITツール検索」で調べる | – |
③①事業者がIT導入支援事業者へ「IT導入補助金で会計ソフト(やパソコン)を購入したい」と連絡する | |
④②事業者がIT導入補助金の対象事業者であり、申請要件を満たすかを確認する | |
⑤IT導入支援事業者に指示された申請準備をする | ③会計ソフトの導入計画を立てる ④IT導入補助金の申請準備をする |
⑤⑥IT導入補助金に申請する | |
⑥IT導入補助金に交付決定を受ける | ⑥会計ソフトの提供準備をする |
⑦事業者とIT導入支援事業者の間で、会計ソフト購入の契約書を交わす | |
⑧IT導入支援事業者へ会計ソフトの支払いをする | ⑧事業者から会計ソフトの支払いを受け、会計ソフトを納品する |
⑨会計ソフトの導入(補助事業)を実施する | – |
たとえば、事業者がIT導入支援事業者へ連絡する場合、IT導入支援事業者は事業者が対象事業者であるか、申請要件を満たすかを確認します。IT導入補助金では、申請要件を満たさない事業者が申請しても、不採択となるからです。
また、事業者がIT導入補助金に申請する場合は、事業者はIT導入支援事業者から「申請マイページ」を取得します。IT導入補助金の申請は、事業者がIT導入支援事業者から申請マイページのリンクを受け取り、そこから電子申請する仕組みだからです。
IT導入補助金で会計ソフトを購入する手続きが、IT導入支援事業者と共に行います。IT導入補助金で会計ソフトを導入する際は、IT導入支援事業者と二人三脚で手続きをすることになると、留意しておきましょう。
この記事のまとめ
IT導入補助金で対象のITツールには、会計の自動化やインボイス対応ができる会計ソフトがあります。具体的には、事業者は「freee会計」や「弥生会計」などの会計ソフトを、IT導入補助金で補助を受けて導入できます。
IT導入補助金では、インボイス対応類型から申請する場合、5千円や1万円などの5万円以下の会計ソフトも申請できます。また、会計ソフトと合わせてパソコンやタブレットを申請することも可能です。
IT導入補助金は、事業者が単独で申請できる補助金ではありません。IT導入補助金を使って会計ソフトを購入する際は、申請前に、希望のITツールを販売するIT導入支援事業者を探しましょう。そして申請は、希望のITツールを扱うIT導入支援事業者と共に申請します。