IT導入補助金の利用の流れは?交付申請や入金のタイミングも解説
2024/04/08
2023/5/16
ITツールの導入を考えている人の中には、IT導入補助金を利用して導入費用を抑えたい人もいますよね。その際、IT導入補助金への申請やITツールの導入をどのような手順で行うか知りたい人もいるでしょう。
当記事では、IT導入補助金の利用の流れを解説しています。また、交付申請の流れや入金のタイミングも説明しているため、IT導入補助金の利用を考えている人は参考にしてみてください。
なお、この記事はIT導入補助金2024公式サイトの「交付申請の手引き」や「公募要領」をもとに作成しています。
目次
IT導入補助金を利用する際の流れ
IT導入補助金を利用したい人は、IT導入補助金の公募要領や交付申請の手引きで定められている利用の流れに沿って手続きを進めましょう。流れに沿って手続きを進めないと補助金がもらえない可能性があるからです。
流れ |
①交付申請の準備 |
②ITツールとIT導入支援事業者を探す |
③交付申請 |
〜審査〜 |
④ITツールを導入 |
⑤事業実績報告 |
〜確定検査〜 |
⑥補助金の交付(入金) |
⑦事業実施効果報告 |
参考:「交付申請の手引き_通常枠、セキュリティ対策推進枠、インボイス枠(インボイス対応類型、電子取引類型)」|IT導入補助金2024
IT導入補助金を利用するには、ITツールを導入する前に交付申請をしなければいけません。交付申請前には、交付申請に必要なアカウントの作成や経営課題のチェック、IT導入支援事業者の選択などの準備があります。
また、補助金が入金されるのは、ITツールの導入前ではなく「交付申請の審査」と「事業実績報告の確定検査」を通過したITツール導入後です。ITツールの導入時にかかる費用は先に申請者が全額支払い、事業実績報告を行った後に補助金が入金されます。
交付申請の前にITツールを導入してしまった場合や各報告を忘れた場合など、IT導入補助金の流れから逸脱してしまうと補助金を受け取れない可能性がある点に注意しましょう。
なお、IT導入補助金の利用にはさまざまな条件があるため、交付申請の準備を始める前にIT導入補助金の概要を理解しておく必要があります。円滑に交付申請の準備を進められるよう、事前に公式サイトの各資料や「IT導入補助金とは?対象や流れをわかりやすく解説」などを確認しておきましょう。
①交付申請をするための準備を行う
IT導入補助金に交付申請をしたい人は、申請するにあたり必要となる手続きを事前に済ませましょう。交付申請サービスを利用するためのアカウント作成など、申請をするための準備を行わないと交付申請ができないからです。
【IT導入補助金の交付申請前に必要な手続き】
項目 | 概要 |
「gBizIDプライム」アカウントの取得 | 行政サービスにログインできる共通アカウント ● 「SECURITY ACTION」や「みらデジ」にログインできる ● IDの発行には約2週間かかる |
「SECURITY ACTION」の実施 | 情報セキュリティ対策に取り組むことを自己宣言する制度 「★一つ星」「★★二つ星」のいずれかを宣言する |
「みらデジ経営チェック」の実施 | 取り組むべき経営課題やデジタル化状況を把握できるサービス ● デジタル化診断ツールで経営課題を把握できる ● 専門家への経営相談ができる |
gBizIDプライムアカウントの発行にはおおよそ2週間の時間が掛かり、gBizIDプライムアカウントを取得した後にみらデジ経営チェックを実施します。交付申請を考えている人は、交付申請の準備にも数週間の時間がかかるため余裕を持ったスケジュールで準備を進めましょう。
②導入したいITツールと相談するIT導入支援事業者を探す
IT導入補助金を利用したい人は、導入したいITツールと相談するIT導入支援事業者を探しましょう。「ITツール・IT導入支援事業者検索」を利用することで、IT導入補助金の事務局に登録されているITツールとIT導入支援事業者を探せます。
「ITツール・IT導入支援事業者検索」でITツールやIT導入支援事業者を探す際は、ITツールの製品名やIT導入支援事業者の会社名を入力し検索します。また、導入したいITツールの特徴やIT導入支援事業者の営業地域などの条件で絞り込むこともできます。
導入したいITツールを取り扱うIT導入支援事業者を見つけたら、IT導入補助金の利用を考えている旨を相談してみましょう。IT導入支援事業者に相談することで、交付申請の手続きやITツール導入などのサポートを受けられます。
導入したいITツールを、複数のIT導入支援事業者が取り扱っている場合もあります。IT導入支援事業者の選び方がわからない人は「IT導入補助金の支援事業者とは?サポート内容や選び方を解説」を参考にしてみてください。
なお、当サイトを運営する株式会社SoLaboもIT導入支援事業者であり、ITツールの導入支援やIT導入補助金の申請サポートを実施しています。IT導入補助金の申請について相談したい人や、受け取れる補助額を知りたい人は、無料診断よりお問い合わせください。
無料診断③IT導入支援事業者と協力して交付申請を行う
IT導入補助金の交付申請は、IT導入支援事業者と協力して手続きを行いましょう。IT導入補助金の交付申請は、IT導入支援事業者から電子申請をするための「申請マイページ」の招待を受けて手続きを進める必要があります。
【交付申請の際に実施すること】
項目 | 内容 | |
申請マイページへの情報入力 |
|
|
提出書類の準備
|
法人 |
|
個人 |
|
参考:「交付申請の手引き_通常枠、セキュリティ対策推進枠、インボイス枠(インボイス対応類型、電子取引類型)」|IT導入補助金2024
交付申請は、申請マイページに申請者の会社情報や導入するITツールの情報を入力し、事業の実態を証明する書類や税金に関する書類を提出などの手続きを行います。また、申請マイページに情報を入力する際や必要書類を揃える際に、不明点があればIT導入支援事業者に都度相談することでサポートしてもらうことも可能です。
IT導入補助金の交付申請は、申請者が1人で行うものではなく、IT導入支援事業者と協力して手続きを行います。交付申請の際は「交付申請の手引き」を確認しながら、申請マイページに情報を入力しましょう。
なお、交付申請の審査で不採択になると補助金を受け取ることはできません。IT導入補助金の審査に落ちる理由を確認しておきたい人は「IT導入補助金で不採択になる理由を特定して改善する方法を解説」を参考にしてみましょう。
④審査で採択されたらITツールの導入を開始する
ITツールを導入できるのは、交付申請の審査において採択され、交付決定の通知を受け取った後です。IT導入補助金では、交付決定通知を受け取る前に導入したITツールは補助対象外となります。
【ITツール導入の流れ】
|
ITツールを導入するタイミングは交付決定を受けた後であり、交付決定を受ける前にITツールの発注や契約、支払いなどを行っていた場合は、補助金を受け取ることができません。また、ITツールを導入する際の流れは、IT導入補助金の規定により決められているため、守らなかった場合は補助金を受け取ることができない可能性があります。
ITツールを導入する際は、最初に「契約と発注」からITツールの導入を開始しなければ、補助金を受け取ることができません。ITツール導入の順番は、ITツール導入後に行う事業実績報告の際に事務局に確認されるため、ITツール導入の際は流れを確認してからITツールの導入を開始しましょう。
なお、ITツールの導入を開始する時点では、まだIT導入補助金を受け取っていないため、申請者がITツールの導入費用の全額を立て替える必要があります。IT導入補助金を利用してITツールを導入する人は、ITツールを導入する前にITツール導入費用の全額を用意しておきましょう。
⑤ITツールの導入が完了したら事業実績報告をする
ITツールの導入が完了し運用を開始したら、事業実績報告を行います。事業実績報告では、ITツールの導入が正しく行われたかを事務局に確認されます。
【事業実績報告の際に提出する書類】
報告する書類 | 内容 |
請求の書類 |
|
支払いの書類 |
|
補助金を受ける口座情報 |
|
ITツールの利用を証する資料 |
|
事業実績報告として提出する書類は、ITツールの導入に関する請求書類や導入費用を支払ったことが確認できる明細などです。報告した内容は、事務局に確定検査という形で、不備や不正がないかを確認されます。
事業実績報告は、ITツールが問題なく導入されたかを証明する報告です。すでに交付決定を受けている人でも、ITツールの導入の手順を間違えていた場合やITツールの利用を開始していなかった場合などは交付決定を取り消される可能性もあることを留意しておきましょう。
⑥確定検査を通過したら補助金が入金される
事業実績報告の確定検査を通過したら、申請者はIT導入補助金の入金手続きを進めることができます。事業実績報告をする申請者はすでに交付決定を受けていますが、確定検査を通過しないと補助金が入金されないからです。
【確定検査から補助金が入金されるまでの流れ】
入金までの流れ | 実施者 |
1.事業実績報告の確定検査を実施 |
事務局
|
2.確定検査の確認と結果に対する承認を依頼 | |
3.確定検査の結果に承認する | 申請者 |
4.補助金額の確定通知を発行 |
事務局
|
5.補助金額の確定後約1か月程度で補助金が入金(交付)される | |
6.指定口座への入金(交付)を確認する | 申請者 |
参考:「事業実施・実績報告の手引き」|IT導入補助金2023
確定検査に通った場合、補助金事務局から補助金確定内容の承認の通知が届きます。申請者は、申請マイページから補助金額を確認し承認することで、補助金が入金されます。
補助金が入金されるのは、確定検査の結果で提示された補助金額に承認をした約1ヶ月後です。ただし、補助金が入金されても、事業実施期間中に不正が発覚した場合は補助金の返還を求められる可能性があります。
⑦最大3年間にかけて事業実施効果報告をする
IT導入補助金が入金されても、最大3年間にかけて事業実施効果報告を行う必要があります。事業実施効果報告とは、ITツール導入後のインボイス制度への対応状況やどれだけ生産性向上に繋がったかを報告するものです。
【IT導入補助金2024年における事業実施効果報告の期間】
枠 | 対象の期間 | 事業実施効果報告 |
通常枠
|
1年度目(2025年4〜2026年3月) | 2026年4月〜7月 |
2年度目(2026年4〜2027年3月) | 2027年4月〜7月 | |
3年度目(2027年4〜2028年3月) | 2028年4月〜7月 | |
セキュリティ対策推進枠 | 3年度目(2027年4〜2028年3月) | 2028年4月〜7月 |
インボイス枠 (インボイス対応類型) |
ITツール導入後〜 | 2026年1月~3月 |
たとえば、IT導入補助金2024の通常枠の申請者には、ITツール導入の翌年度の2025年4月から、ITツール導入による効果を確認するための期間が設けられており、年1回のペースで計3回の事業実施効果報告を行います。
事業実施効果報告では、交付申請時に立てた事業計画が達成できているかを事務局に確認されます。補助金が入金された後も、ITツール導入の効果について、枠ごとに定められた期間で事業実施効果報告を行わなければいけません。
なお、基本的に、事業実施効果報告の内容で交付が取り消されることはありませんが、通常枠で150万円以上の補助金をした人のみ、交付申請時の計画が未達成の場合に補助金の返還が必要です。通常枠で150万円以上の申請を考えている人は「賃上げ目標が未達だとIT導入補助金がもらえない?申請枠ごとの扱いも解説」を参考にしてみてください。
IT導入補助金を利用したい人は事業スケジュールを確認する
IT導入補助金を利用したい人は、申請する枠の「事業スケジュール」を確認しましょう。事業スケジュールを見ることで、IT導入補助金の各工程における締切や補助金を受け取れる時期を把握できるため、計画性をもって申請の準備や事業の実施ができます。
【通常枠の第1次締切分に交付申請する場合のスケジュール】
流れ |
実施スケジュール
|
|
1〜2ヶ月程度 |
交付申請の「締切日」 | 2024年3月15日 |
〜審査〜 | |
「交付決定日」 | 2024年4月24日 |
「事業実施期間」
|
2024年4月24日
〜2024年10月31日 |
「事業実績報告期限」 | 2024年10月31日 |
〜確定検査〜 | |
補助金の交付(入金) |
確定検査の結果を承認
した約1ヶ月後
|
事業実施効果報告 |
2026年〜2028年の間で
年1回(計3回)報告する
|
参考:「事業スケジュール」|IT導入補助金2024公式サイト
IT導入補助金を利用したい人は、申請マイページの作成や必要情報の入力があるため「締切日」の1~2ヶ月前から準備をはじましょう。事務局の審査で採択された場合、交付申請から約5週間後の「交付決定日」以降にITツールを導入できます。
また、確定検査にかかる期間については言及されていませんが、1ヶ月程度かかったとの口コミもあるため、詳細を知りたい人は事務局に問い合わせてみましょう。
IT導入補助金では、交付申請から補助金が入金されるまでに9ヶ月程度かかる可能性があります。IT導入補助金への申請を考えている人は、IT導入補助金を受け取るまでの全体の流れを把握するため、事前に事業スケジュールを確認しておきましょう。
この記事のまとめ
IT導入補助金では、申請の工程やITツールの導入手順が決められているため、公募要領や交付申請の手引きで定められた流れに沿った手続きが必要です。各種申請やITツールの導入手順を間違えてしまうと、補助金をもらえない可能性もあるため注意しましょう。
交付申請の審査や事業実績報告の確定検査を通過することで、IT導入補助金を受け取ることができます。IT導入補助金は後払いの制度であり、ツールの導入時には補助金を受け取れないため、事前に自己資金を用意しておく必要があります。