IT導入補助金でクラウドサービスを利用するには?
2024/08/30
2023/4/28
IT導入補助金の活用を検討している人の中には、IT導入補助金でクラウドサービスを安く導入したい人もいますよね。その際、IT導入補助金でクラウドサービスの利用方法を知りたい人もいるでしょう。
当記事では、IT導入補助金で対象になるクラウドサービスの利用方法を解説していきます。クラウドサービスの補助金額がいくらになるかも紹介しているため、IT導入補助金のクラウドサービスについて知りたい人は参考にしてみてください。
なお、この記事ではIT導入補助金2024の公式サイトにある「通常枠・インボイス枠(対応類型)」の公募要領をもとに作成しています。
目次
IT導入補助金の目的に合ったクラウドサービスが利用できる
IT導入補助金でクラウドサービスを利用するには、IT導入補助金の目的に合ったクラウドサービスを選びましょう。IT導入補助金でクラウドサービスを申請するには「通常枠」「インボイス枠(インボイス対応類型)」の目的に合うものであることが必要です。
【IT導入補助金の枠ごとの目的】
項目 | 目的の内容 |
通常枠 | 「働き方改革・被用者保険の適応拡大・賃上げ・インボイスの導入」等の制度変更への対応するために、ITツールを利用し、生産性の向上を図ること |
インボイス枠(対応類型) | 企業間取引のデジタル化を進め、インボイス制度へ対応すること |
参考:IT導入補助金2024公式サイト「通常枠」「インボイス枠(インボイス対応類型)」の公募要領をもとに株式会社SoLaboが作成
たとえば、営業支援機能を持つクラウドサービスを導入することで、営業力が高まり向上につながると考えられます。業績が向上することで、通常枠の目的である賃上げや被用者保険の適応拡大につなげることができます。
また、インボイス対応の会計機能を持つクラウドサービスを導入することで、企業間取引の際に適格請求書が発行できます。適格請求書を発行できるようになることは、インボイス対応類型の目的であるインボイス制度への対応につながります。
IT導入補助金は、働き方改革やインボイス導入などの国の制度変更への対応や生産性向上をするためのクラウドサービスが対象です。対象となるクラウドサービスは、クラウドサービスが持つ機能ごとに分類されているため、それぞれの項目を確認してください。
なお、IT導入補助金ではソフトウェアやハードウェアなどのITツールが補助金の対象です。クラウドサービスやシステムはソフトウェアに含まれることを留意しておきましょう。
通常枠は7種類に当てはまるクラウドサービスが対象
通常枠は、7種類に当てはまるクラウドサービスが対象です。クラウドサービスの機能を種類別にしたものをプロセスといい、通常枠では7種類のプロセスに当てはまるクラウドサービスが導入できす。
【プロセス7種類と対象のクラウドサービスの一例】
プロセスの種類 | クラウドサービスの一例 | |
業務プロセス
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①顧客対応・販売支援 | ・Liny ・SuperConcierge ・Point PRO |
②決済・債権債務・資金回収 | ・Misoca ・IRODORI CREATE ・レスポス |
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③供給・在庫・物流 | ・PICKING GO ・TKSCloud8 在庫機能 |
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④会計・財務・経営 | ・弥生会計 ・freee会計 ・楽々精算 |
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⑤総務・人事・給与・労務・教育訓練・法務・情シス | ・freee勤怠管理Plus ・freee人事労務 ・KING OF TIME |
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⑥業種固有プロセス | ・Log Meet ・Web版運輸システムK-TRANS |
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汎用プロセス | ⑦汎用・自動化・分析ツール | ・Chatwork ・kintone ・Microsoft365 |
たとえば、業務プロセスの④会計・財務・経営に該当するfreee会計や弥生会計は、金融機関の情報を自動で取り込みや帳簿への自動反映などができるクラウドサービスです。⑥業種固有プロセスは、農業や製造業などの業種ごとに特化した、クラウドサービスが該当します。
一方、汎用プロセスは、業務プロセスと合わせて申請する必要があります。汎用プロセスに該当するChatworkは、グループチャットやタスク管理ができるクラウドサービスで、単独での申請はできませんが、業務プロセスと合わせて申請することはできます。
通常枠は、業務プロセス6項目と汎用プロセス1項目に該当するクラウドサービスが対象です。他の枠と比較して幅広い分野のクラウドサービスを導入できるので、導入したいサービスが決まっている人は、どのプロセスに該当するのかを確認してみましょう。
なお、通常枠はインターネットを介したクラウドサービスを申請すると、審査時に加点されるため審査を有利に進められます。オンプレミスと呼ばれる、本体機器を据え置くタイプのソフトウェアには、加点がつかないことも留意しておきましょう。
インボイス枠のインボイス対応類型は3種類の機能が対象
インボイス枠のインボイス対応類型は、3種類の機能のいずれかに当てはまるクラウドサービスが対象です。対象となる3種類の機能は、インボイス制度の適格請求書が発行できるクラウドサービスの機能が設定されています。
【対象の機能とクラウドサービスの一例】
対象の機能 | 各機能に該当するクラウドサービスの一例 |
会計 | ・弥生会計 ・freee会計 ・マネーフォワードクラウド |
受発注 | ・Misoca ・まもる君クラウド ・弥生販売 |
決済 | ・レジポン ・LMessage ・セルフチェックインシステム |
たとえば、受発注機能に該当する弥生販売は、販売や売上、仕入れ情報を管理できるクラウドサービスです。また、決済機能をもつレジポンは、レジのデータをもとに在庫管理や売上集計などの統計分析に役立てることのできるサービスです。
インボイス対応類型は「会計・受発注・決済」の機能を持つクラウドサービスが対象です。インボイス制度への対応ができる枠のため、インボイスの対応をしたい人は、3つの機能のいずれかを持っているかを確認しましょう。
なお、インボイス対応類型と通常枠の両方の枠で、対象のクラウドサービスが被る場合もあります。インボイス対応類型は、クラウドサービス以外にもハードウェアが導入できるため、ハードウェアも同時に補助金に申請したい人は、インボイス枠のインボイス対応類型を選びましょう。
クラウドサービス利用料の最大2年分が補助の対象
IT導入補助金は、クラウドサービス利用料の最大2年分が補助対象です。IT導入補助金でクラウドサービスが申請できる枠は、通常枠とインボイス枠の2つの枠のみで、どちらもクラウドの利用料2年分が対象です。
【クラウドサービスに関連する経費】
項目 | 補助金の対象経費 | |
共通
|
ソフトウェア | ・クラウドサービス利用料(最大2年分) |
オプション | ・拡張機能 ・データ連携ツール ・セキュリティ |
|
役務 | ・導入コンサルティング ・導入設定・マニュアル作成・導入研修 ・保守サポート |
|
インボイス枠(インボイス対応類型)のみ | ハードウェア | ・PC・タブレット・プリンター ・スキャナー・複合機・レジ・券売機 |
参考:IT導入補助金2024公式サイト「通常枠」「インボイス枠(インボイス対応類型)」の公募要領をもとに株式会社SoLaboが作成
たとえば、月額10万円のクラウドサービスを導入した場合、初年度分の120万円と次年度分の120万円が、IT導入補助金の対象になります。3年目以降は、補助の対象外となるため、毎年120万円全額実費負担になります。
IT導入補助金の「通常枠」または「インボイス対応類型」に申請し、採択されることで、クラウドサービス利用料の最大2年分が補助金の対象になります。クラウドサービスの利用料は全額補助されるわけではないので、各枠の補助率を確認しておきましょう。
なお、クラウドサービスの関連経費も補助金の対象です。クラウドサービスを導入する場合、オプションとしてセキュリティ強化のサービスや、ハードウェアとしてPCなどを、クラウドサービスの関連経費として導入できます。
通常枠の補助上限額は450万円
IT導入補助金の通常枠は、補助金の上限額が450万円と設定されています。クラウドサービスの補助金額は、補助金の上限額以外にも、補助率が関係します。
【通常枠の補助金額と補助率】
補助金額 | 補助率 |
最大450万円 ※クラウド利用料2年分 |
1/2以内 |
参考:IT導入補助金2024公式サイト「通常枠」の公募要領をもとに株式会社SoLaboが作成
たとえば、通常枠で導入するクラウドサービスの利用料が2年で100万円の場合、補助率が1/2になるため、補助金を受け取れる額は50万円です。900万円以上のクラウドサービスを導入する場合は、補助金の上限450万円が受け取れます。
通常枠で受け取れる補助金額は、補助率1/2で計算し最大で450万円です。導入するクラウドサービスの費用の、半額が補助金額なので、導入したいクラウドサービスの費用を確認して、受け取れる補助金額を計算してみましょう。
なお、通常枠は、申請するクラウドサービスのプロセス数により、補助額の範囲が異なります。通常枠の補助額や補助率を詳しく知りたい人は「IT導入補助金2023の通常枠とは?対象となる要件も解説」を参考にしてみてください。
インボイス対応類型の補助上限額は380万円
IT導入補助金のインボイス枠のインボイス対応類型は、補助金の上限額が380万円と設定されています。インボイス対応類型のソフトウェアは、補助金額の上限350万円の内、50万円を境に補助率が異なります。ハードウェアは、導入するものによって補助額が異なります。
【インボイス対応類型の補助金額と補助率】
補助金額 | 補助率 | |
ソフトウェア
最大350万円 ※クラウド利用料2年分 |
下限無し〜50万円 | 3/4以内(小規模事業者は4/5) |
50万円超〜350万円 | 2/3以内 | |
ハードウェア
最大30万円 |
PC・タブレット等:10万円以下 |
1/2以内
|
レジ・券売機等:20万円以下 |
参考:IT導入補助金2024公式サイト「インボイス枠(インボイス対応類型)」の公募要領をもとに株式会社SoLaboが作成
たとえば、インボイス対応類型で導入するクラウドサービスの利用料が2年で200万円の場合、受け取れる補助金額は約140万円になります。補助金額140万円の内、0円〜50万円までは補助率3/4で計算され、50万円超〜140万円の部分は補助率2/3で計算されます。
また、ハードウェアは「PCやタブレット等」と「レジや券売機等」で最大補助額が異なります。20万円のPCを導入する場合は、半額の10万円で導入できます。50万円のレジを導入する場合は、最大の20万円が補助されます。
インボイス対応類型のソフトウェアで受け取れる補助金は、50万円を境に補助率が3/4と2/3で異なり、補助金の上限額は350万円です。ハードウェアは、レジや券売機に利用する場合は20万円、PCやタブレットに利用する場合は10万円の補助が受けられます。
なお、導入したいクラウドサービスの費用がわかる人は「補助金シミュレーター」を使って受け取れる補助金額を確認してみましょう。
まずは導入したいクラウドサービスをITツール検索で探す
IT導入補助金に申請したい人は、まず導入したいクラウドサービスを「ITツール検索」で探しましょう。IT導入補助金では、公式にITツールとして登録されているものしか補助対象にならないため、IT導入補助金2024公式サイトのITツール検索で探しましょう。
ITツール検索は、導入したいクラウドサービスが具体的に決まっていない場合「営業エリア」「クラウド対応ツール」と導入したい種類の機能に、チェックを入れ検索します。また、導入したいクラウドサービスが決まっている場合は、ITツール名で検索ができます。
たとえば、会計システムのクラウドサービスを導入したい場合は「会計」「クラウド対応ツール」の項目にチェックを入れることで、会計システムのクラウドサービスを探せます。
IT導入補助金に申請したい人は、まずITツール検索でクラウドサービスを見つけ、そのサービスを取り扱うIT導入支援事業者に相談しましょう。補助金を受ける事業者のみでの申請はできないため、必ずIT導入支援事業者に相談が必要です。
なお、どんなクラウドサービスを導入すればいいのかわからない人は、IT導入支援事業者から目的にあったサービスを紹介してもらうこともできます。
当サイトを運営する株式会社SoLabo(ソラボ)もIT導入支援事業者です。インボイス対応のためのサービスや、生産性向上のためのサービスなど目的に合わせたサービスを紹介して欲しい人は、無料相談からお問い合わせください。
導入したい他のITツールも取り扱うIT導入支援事業者に相談する
IT導入補助金を利用する際は、導入したいITツールを取り扱うIT導入支援事業者に相談しましょう。IT導入補助金では、ITツールをIT導入支援事業者から購入することになるため、導入したいITツールの取り扱いがあるかを事前に確認しておく必要があります。
たとえば、会計や給与、決済などの金融関連のデータを管理できるソフトウェアとハードウェアを導入したい場合、導入したいソフトウェアとハードウェアを取り扱うIT導入支援事業者に相談をすることで希望のITツールを導入できます。
IT導入支援事業者を選ぶ際は、導入したいITツールを取り扱っているかを確認し、相談してみましょう。IT導入支援事業者によっては、現在取り扱っていないITツールでも登録してくれる場合もあるため、導入したいITをツールが登録されていない場合は、登録を依頼してみましょう。
この記事のまとめ
IT導入補助金でクラウドサービスを利用するには、国の制度変更への対応や生産性向上などの目的に合ったクラウドサービスを選びましょう。
通常枠かインボイス対応類型に申請し採択されることで、クラウドサービスが補助されます。クラウドサービスの補助金額は、クラウド利用料の2年分が対象で「通常枠は1/2」「インボイス枠(インボイス対応類型)は2/3~4/5」です。
対象となるクラウドサービスは、機能ごと分類されています。IT導入補助金でクラウドサービスを導入したい人は、まず導入したいクラウドサービスをITツール検索で探しましょう。