補助金ガイド

テレワークで使えるIT導入補助金の補助対象経費を解説

2024/04/09

2022/11/17

この記事の監修

株式会社SoLabo 代表取締役/税理士有資格者田原広一(たはら こういち)

融資支援実績6,000件超、補助金申請支援実績1,300件超、事業再構築補助金採択支援件数は第4回~第8回まで5回連続で日本一を獲得。 『小規模事業者持続化補助金』、『事業再構築補助金』、『IT導入補助金』は自社での申請・採択も経験。「補助金ガイド」LINE公式アカウントでは約4万人の登録者に情報発信を実施。

補助金を使ってテレワークをしたい人の中には、IT導入補助金に関心がある人もいますよね。その際、補助の対象となるパソコンやセキュリティ、ソフトウェアを詳しく知りたい人もいるでしょう。

当記事では、IT導入補助金のテレワーク向け補助対象経費を解説します。IT導入補助金の対象者や、申請方法も紹介するので、テレワークで使える補助金を探している人は、当記事を参考にしてみてください。

なお、当記事はIT導入補助金2024の「公募要領」を元に作成しています。

IT導入補助金ではテレワーク向けのパソコンやソフトが補助される

IT導入補助金では、テレワーク向けのパソコンやソフトの購入費用が補助されます。IT導入補助金を使うと、事業者がテレワーク環境を整える際の金銭的負担が軽減できます。テレワークを実施したい事業者は、IT導入補助金の活用を検討してみましょう。

【IT導入補助金で補助されるテレワーク向けの経費】

補助対象経費 補助されるIT製品の例
通常枠

 業務プロセスに該当するソフトウェア

  • 勤怠管理システム
  • 給与計算システム
  • CRM(顧客管理システム)
インボイス枠(インボイス対応類型)

会計・受発注・決済に該当するソフトウェア

  •  会計ソフト
  • インボイス対応請求システム

パソコンやPOSレジなど、一部のハードウェア

  • パソコン
  • タブレット
  • プリンター/スキャナー
セキュリティ対策推進枠

「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているいずれかのサービス

  •  防検サイバー
  •  PCセキュリティみまもりパック
  •  EDR運用監視サービス「ミハルとマモル」

参考:各枠の「公募要領」|IT導入補助金2024公式サイト

たとえば、通常枠で申請する場合、IT導入補助金では給与計算システムや顧客管理システムが補助されるので、申請者が必要なシステムを申請すれば、経理や営業の従業員もテレワークへ移行できます。

また、インボイス枠(インボイス対応類型)で申請する場合、ハードウェアが補助されるので、事業者は在宅ワークをする従業員や営業に対し、パソコンやタブレットを支給できます。

事業者がこれまでの業務をテレワーク化するなら、業務に関連するソフトウェアとパソコンの用意が必要です。IT導入補助金をテレワークに利用したいなら、まずはテレワークでどのようなIT製品が必要になるのか、具体的にイメージしてみてください。

なお、ハードウェアを申請する場合は、インボイス枠(インボイス対応類型)からソフトウェアと合わせて申請する必要があります。補助対象のソフトウェアは枠で異なるため、希望のソフトウェア次第では、通常枠とインボイス枠(インボイス対応類型)を一度に申請することになります。

パソコンは最大で4台程度までが補助の対象となる

IT導入補助金でパソコンは上限10万円まで、補助率1/2で補助されます。IT導入補助金で補助されるパソコンはIT導入支援事業者が販売する標準価格なので、IT導入補助金で5万円のパソコンを購入する場合は、パソコンは最大で4台程度までが補助の対象となります。

【パソコンの補助額と補助率】

補助上限額  補助率
パソコンなどのハードウェア:~10万円
※下限なし
※パソコン、タブレット、スキャナー、プリンターおよびそれらの複合機が購入可能
補助対象経費の1/2以内

参考:「インボイス枠(インボイス対応類型)の公募要領」|IT導入補助金2024公式サイト

たとえば、15万円のパソコンを1台15万円で購入する場合、IT導入補助金では上限10万円まで補助されるので、15万円のうち「7.5万円が自腹」「7.5万円が補助金」となります。

IT導入補助金を使うと、テレワークで必要なパソコンを購入する際、金銭的負担を軽減できます。テレワークで新たなパソコンを導入する必要がある事業者は、IT導入補助金の利用を検討してみましょう。

なお、IT導入補助金でパソコンを購入する場合、IT導入支援事業者からの購入と、ソフトウェアの購入も必要です。IT導入補助金でパソコンを購入したい人は、「IT導入補助金でパソコンを購入できる?条件や購入手順を解説」を参考にしてみてください。

ソフトウェアは最大450万円まで補助される

IT導入補助金では、テレワークに使えるソフトウェアが最大450万円まで補助されます。IT導入補助では幅広い機能をもつソフトウェアが対象なので、IT導入補助金を活用すると、社内のさまざまな業務をテレワークに移行できます。

【ソフトウェアの補助額と補助率】

補助上限額   補助率
通常枠 「顧客対応」「決済」「調達」「会計」など全7カテゴリーの機能をもつソフトウェア
  • 1機能以上:30万円~150万円未満
  • 4機能以上:150万円~450万円
補助対象経費の1/2以内
インボイス枠(インボイス対応類型) 「会計」「受発注」「決済」機能を持つソフトウェア
5万円~350万円
  • 50万円以下: 4/3以
    (小規模事業者は4/5以内)
  • 50万円超:2/3以内
セキュリティ対策推進枠 独立行政法人情報処理推進機構が公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているいずれかのサービス
5万円~100万円
補助対象経費の1/2以内

参考:各枠の「公募要領」|IT導入補助金2024公式サイト

たとえば、通常枠へ1機能をもつソフトウェアを申請する場合、顧客対応または決済などのソフトウェアが30~150万円未満まで補助されます。「Web広告に特化したCMS」や「デリバリー専門店向けデリバリーシステム」などが支援され、Web広告やデリバリー業もテレワークで仕事ができます。

また、インボイス対応類型の場合、会計機能をもつソフトウェアが5万円~350万円まで補助されるので「マネーフォワードクラウド会計ビジネス」が支援され、経理担当者もテレワークで仕事ができます。

IT導入補助金を使うと、テレワークで必要となるクラウド型ソフトウェアの費用も補助されます。サブスク型のソフトウェアを利用する場合も、2年分の月額費用が対象になります。新たにテレワーク環境を整えたい事業者は、IT導入補助金の利用を検討してみましょう。

なお、IT導入補助金で実際に補助される具体的なソフトウェアの一覧を知りたい人は、「IT導入補助金で利用できるITツールとは?主なツールの一覧も紹介」から確認してみてください。

IT導入補助金で対象となるのは中小企業や小規模事業者

IT導入補助金は、主に中小企業向けの補助金です。IT導入補助金を利用する際は、自社の資本金と従業員の数を調べ、IT導入補助金の対象事業者に当てはまるかを確認しましょう。

【IT導入補助金の対象事業者(中小企業・小規模事業者)の事業規模】

業種 資本金 常時使用する従業員の数
① 製造業、建設業、運輸業 3億円以下  300人以下
②卸売業  1億円以下  100人以下
③ サービス業
(ソフトウェア業又は情報処理サービス業、旅館業を除く)
5,000万円以下 100人以下
④ 小売業 5,000万円以下 50人以下
⑤ ゴム製品製造業
(自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工場用ベルト製造業を除く)
 3億円以下  900人以下
⑥ ソフトウェア業又は情報処理サービス業 3億円以下 300人以下
⑦ 旅館業 5,000万円以下 200人以下
⑧ その他の業種(上記以外) 3億円以下 300人以下

※この他、対象要件を満たせば医療法人、学校法人、商工会等の組織も補助の対象
参考:各枠の「公募要領」|IT導入補助金2024公式サイト

たとえば、製造業の場合、資本金3億円以下従業員数300人以下の企業なら、「生産スケジューラー」や「製品情報管理システム」などの導入費用が対象なので、生産管理の仕事をテレワークに移行できます。

また、不動産業の場合、サービス業として資本金5,000万円以下で従業員数100人以下の企業なら、「入居者アプリ」や「クラウド販売管理」などの導入費用が対象なので、入居者対応や営業職の仕事をテレワークに移行できます。

IT導入補助金の主な対象は、国内で事業をする中小企業と小規模事業者です。資本金と常時雇用する従業員数が基準内なら、豊富なITツールが補助されます。IT導入補助金に関心があるなら、まずは自社の資本金と従業員数を調べ、自社が対象となのかを確認しましょう。

なお、常時雇用する従業員とは、期間に定めのない契約で雇用するアルバイトやパートも含みます。IT導入補助金の事業規模を確認する際は、アルバイトやパートを含めた従業員数を調べてみてください。

IT導入補助金に申請できるのは要件を満たす事業者

IT導入補助金の対象事業者は、IT導入補助金の申請要件を満たすと申請できます。申請するための要件は「基本要件」と呼ばれ、基本要件を満たす事業者はIT導入補助金に申請できます。

【基本要件の内容(抜粋)】

基本要件の種類 内容
事業場所の遵守 申請時点で法人は国内で登記していて、個人は国内で事業をしている
最低賃金の遵守 交付申請の直近月において、申請者が営む事業場内の最低賃金が法令上の地域別最低賃金以上である
SECURITY ACTIONの実施 IPAが実施している「SECURITY ACTION」の「★ 一つ星」または「★★ 二つ星」いずれかの宣言を行う
労働生産性の数値目標 労働生産性の伸び率が1年後に3%以上、かつ事業計画期間において労働生産性を年平均成長率3%以上向上させる数値目標を作成する
 GビズIDプライムの取扱いルールの遵守 申請マイページに係るログイン ID 及びパスワードは、責任をもって適切に管理し、IT導入支援事業者を含む第三者に渡さない
生産性向上の報告 IT導入支援事業者と確認を行ったうえで、生産性向上に係る情報を事務局へ報告する

参考:「通常枠の公募要領」|IT導入補助金2024公式サイト

たとえば、基本要件の「SECURITY ACTION」宣言の場合、IT導入補助金は国内の事業者のセキュリティや生産性を向上する目的があるため、IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)の「SECURITY ACTION」宣言を行う必要があります。

また、基本要件の労働生産性の伸び率の場合、IT導入補助金ではITツールの導入で事業者の生産性が上がることを目的とするため、1年後に3%以上かつ事業計画期間の年平均成長率をあげる数値目標を立てる必要があります。

IT導入補助金の基本要件は、申請の際に事業者が満たすべき最低限の条件です。IT導入補助金の基本要件には、「SECURITY ACTION」のようにITセキュリティに関する条件と、ITツールの導入による生産性に関する条件があると覚えておきましょう。

個人事業主も要件を満たせば申請できる

IT導入補助金は小規模事業者も対象の補助金なので、要件を満たせば、個人事業主も法人と同様に申請できます。IT導入補助金に個人事業主が申請する場合、直近の納税証明書を提出する必要があるため、確定申告をしてからIT導入補助金でテレワーク環境を整えましょう。

【個人事業主がIT導入補助金に申請する際の必要書類】

種類 具体的な書類名
本人確認書類 (有効期限内の)運転免許証もしくは運転経歴証明書もしくは住民票(発行から3ヶ月以内のもの)
事業継続確認書類1 税務署の窓口で発行された直近分の所得税の納税証明書(「その1」もしくは「その 2」)
事業継続確認書類2 税務署が受領した直近分の確定申告書 B の控え

参考:「通常枠の公募要領」|IT導入補助金2024公式サイト

たとえば、事業継続確認書類1の場合、個人事業主は直近分の所得税の納税証明書を提出する必要があるため、納税している個人事業主はIT導入補助金に申請が可能です。

また、事業継続確認書類2の場合、個人事業主は直近の確定申告書Bの控えを提出する必要があるため、確定申告をしている個人事業主はIT導入補助金に申請できます。

個人事業主の場合、確定申告をして納税をするとIT導入補助金へ申請できます。IT導入補助金ではさまざまな業種に合ったITツールが補助されるので、業務のデジタル化を検討している個人事業主は、IT導入補助金の利用を検討してみてください。

なお、個人事業主としてIT導入補助金に申請する流れや詳しい要件を知りたい人は、「IT導入補助金を個人事業主は使える?条件や用途を解説」を参考にしてみてください。

申請するにはまずIT導入支援事業者を探すことになる

IT導入補助金は、かならずIT導入支援事業者を通して申請する補助金です。IT導入補助金でテレワーク環境を整えるなら、希望のITツールを販売するIT導入支援事業者を探し、IT導入支援事業者とともに申請し、採択後にIT導入支援事業者からITツールを購入します。

【申請までの流れ】

項目  概要
1.IT導入補助金の概要を確認  IT導入補助金公式サイトや公募要領を確認する
2.IT導入支援事業者とITツールを選定 事業の課題や悩みにあわせて、導入するITツールを決めます。また、IT導入補助金の申請サポートやITツールを提供しているIT導入支援事業者も選定する。
3.申請する枠の選定  導入するITツールの機能にあわせて、申請する枠を決定する。
4.必要書類の準備 IT導入補助金へ申請する際に添付する必要書類を準備する。IT導入補助金は電子申請のため、必要書類はスキャンを行い、電子化する。
5.gBizIDプライムの取得 gBizIDの公式サイトからIT導入補助金の申請に必要な「gBizIDプライム」を取得する。
6.Security Actionの実施 申請要件の1つ、IPAが実施する「SECURITY ACTION」の宣言を行う。
7.申請作業  IT導入支援事業者から招待を受け「申請マイページ」から申請作業を行う。

たとえば、事業者がパソコンを申請したい場合、IT導入支援事業者の中にはハードウェアを取り扱わない事業者もいるため、ハードウェアを取り扱うIT導入支援事業者を探すようにしましょう。

また、事業者が電子申請をする場合、IT導入補助金ではIT導入支援事業者が発行する「申請マイページ」から申請できるため、IT導入支援事業者へ連絡して「申請マイページ」の招待リンクを取得しましょう。

IT導入補助金は他の補助金と違い、IT導入支援事業者を通して申請する補助金です。IT導入支援事業者はITツールを販売する事業者なので、IT導入補助金でテレワークを進めたい人は、IT導入支援事業者に「テレワーク向けの製品はありますか?と尋ねてみましょう。

なお、IT導入支援事業者の探し方を知りたい人は、「IT導入補助金のIT導入支援事業者とは?サポート内容や選び方を解説」を参考にしてみてください。

同じ内容で他の助成金や補助金は受給できない

IT導入補助金と他のテレワーク向けの助成金は、併用できない場合があります。補助対象経費が別の場合は併用できる可能性があるので、テレワーク向けの助成金や補助金を併用したい人は、該当の補助金の「補助対象経費」に注目してください。

【IT導入補助金と他の助成金の併用の有無】

助成金または補助金の名前 補助対象経費 併用の有無
人材確保等支援助成金
(テレワークコース)
  • 就業規則・労働協約・労使協定の作成・変更
  • 外部専門家によるコンサルティング
  • テレワーク用通信機器等の導入・運用
  • 労務管理担当者に対する研修
  • 労働者に対する研修
一部可
〈不可の経費〉
  • 外部専門家によるコンサルティング
  • テレワーク用通信機器等の導入・運用
  • 労務管理担当者に対する研修
  • 労働者に対する研修

たとえば、人材確保等支援助成金(テレワークコース)の場合、補助対象経費にはテレワーク用通信機器機の導入費用があるため、IT導入補助金でパソコンを申請する場合は、人材確保等支援助成金(テレワークコース)でパソコンを申請できません。

一方、IT導入補助金を使ってテレワークを実現する場合、IT導入補助金では就業規則や労使協定の作成費用は補助されないので、人材確保等支援助成金(テレワークコース)を利用して就業規則や労使協定の策定をしても補助されます。

IT導入補助金とIT導入補助金以外の助成金や補助金を併用する場合、補助対象経費が違えば、申請は可能です。パソコンや同じ機能をもつソフトウェアなど、同一のIT製品の補助のために複数の補助金と助成金は使えないので、注意しましょう。

この記事のまとめ

IT導入補助金では、テレワーク向けのパソコンやソフトの購入費用が補助されます。IT導入補助金を使うと、事業者がテレワーク環境を整える際の金銭的負担を軽減できるので、テレワークを実施したい事業者は、IT導入補助金の活用を検討してみましょう。

パソコンはIT導入補助金で上限10万円まで、補助率1/2で補助されます。IT導入補助金は枠により補助金額が異なるので、テレワーク向けのソフトを購入する前に、自社が申請する枠の補助金額と補助率を確認しておきましょう。

IT導入補助金と他のテレワーク向けの助成金は、補助対象経費が別の場合は併用できる場合があります。テレワーク向けの助成金や補助金を併用したい人は、各補助金の「補助対象経費」に注目し、IT導入補助金と同じ補助対象経費を申請しないように気をつけましょう。

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