IT導入補助金は介護業も利用できる?対象の ITツールや補助額も解説
2024/07/23
2024/4/5
介護業を営む人の中には、ITツールを導入して業務の悩みを解決したいと考えている人もいますよね。その際、ITツール導入費用にIT導入補助金を利用できると耳にした人もいるでしょう。
当記事では、介護を営む事業者がIT導入補助金を利用できるのかを解説します。また、IT導入補助金の概要や利用する際の流れも紹介しているため、ITツールの導入にIT導入補助金を利用したい人は参考にしてみてください。
なお、この記事はIT導入補助金2024の公式サイトを元に作成しています。
目次
介護業もIT導入補助金を利用できる
介護業を営む事業者も、ITツールを導入する際にIT導入補助金を利用できます。IT導入補助金は業種を問わず中小企業や小規模事業者、個人事業主などが利用できる補助金であり、介護業で利用できるITツールも補助対象となる場合があります。
【IT導入補助金の概要】
目的 | ITツールの導入にともない生産性の向上やインボイス制度への対応をする企業の支援をすること |
補助対象経費 |
ソフトウェア・ハードウェア・導入関連費
|
補助額 | 最大450万円 |
補助率 | 1/2〜4/5以内 |
対象者 |
「中小企業」
「小規模事業者」
※インボイス枠(電子取引類型)のみ中小企業と取引している大企業も対象 |
参考:「IT導入補助金とは」|IT導入補助金2024公式サイト
IT導入補助金を利用できる事業者は、中小企業や小規模事業者にあてはまる法人または個人事業主です。介護業の場合は、デイサービスや訪問介護サービスなどを行うサービス業のほか、医療法人、社会福祉法人などが対象者としてIT導入補助金を利用できます。
対象者に該当する場合は、ソフトウェアやハードウェアを導入する際にIT導入補助金を利用できます。ただし、受け取れる補助金はITツール導入費用の全額ではなく、補助上限額や補助率の範囲内となります。
なお、IT導入補助金の利用には審査があり、全ての申請者が補助金を受け取れるとは限りません。また、IT導入補助金は後払いの制度であり、審査に通過した場合もツールの導入時には費用の全額を立て替える必要がある点に留意しましょう。
介護業は審査で加点項目に該当する場合がある
IT導入補助金の交付申請の審査では、採択される可能性を上げることにつながる「加点項目」という仕組みがあります。介護業を営む事業者の中で「介護職員等特定処遇改善加算を取得している」事業者は加点項目に該当し、審査においてプラス要因として働きます。
介護職員の確保と定着につなげていくために、賃上げや職場環境を改善するためのもの。 【算定要件】
「職位・職責・職務内容等に応じた任用要件と賃金体系を整備すること」 昇給を判定する仕組みを設けること」
「生産性の向上のための業務改善の取組」「両立支援・多様な働き方の推進」 「腰痛を含む心身の健康管理」「やりがい・働きがいの醸成」
|
参考: 介護職員処遇改善加算・介護職員等特定処遇改善加算・介護職員等ベースアップ等支援加算の概要|厚生労働省公式サイト
介護業において「介護職員等特定処遇改善加算」に該当していれば、審査において有利になります。しかし、該当していない場合でも審査で不利になることはありません。
なお、審査には加点項目以外に減点項目もあります。採択されるために、事前に不採択になる理由も確認しておきたい人は「IT導入補助金で不採択になる理由を特定して改善する方法を解説」を参考にしてみてください。
経営課題の解決につながるソフトウェアやハードウェアが対象
IT導入補助金は、経営課題の解決につながるソフトウェアやハードウェアが補助対象になります。IT導入補助金の枠ごとに補助対象経費が異なるため、導入したいITツールに合わせて枠を選びます。
【IT導入補助金で対象のITツール】
枠 | 補助対象経費 | |
通常枠 | ソフトウェア |
|
インボイス枠
(インボイス対応類型) |
ソフトウェア |
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ハードウェア |
|
|
インボイス枠 (電子取引対応類型) |
ソフトウェア |
|
セキュリティ対策推進枠 | サービス |
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※IT導入補助金の公式サイト「補助対象について」を元に、株式会社ソラボが作成
たとえば、他の業務との兼ね合いで労務の時間確保が難しい場合は、労務のソフトウェアを導入することで、入力業務の自動化やクラウド上での情報共有により課題解決につながります。また、インボイス制度に対応するために、インボイス制度対応の会計のソフトウェアを導入する場合も対象となります。
経営課題を解決できるITツールを導入することにより、業務の効率化につながります。介護業においては、業務が効率化できるITツールを導入することにより、介護のサービスに従事できる時間の増加やサービスの質の向上につながる可能性があります。
なお、導入できる具体的なITツールを知りたい人は「IT導入補助金で利用できるITツールとは?主なツールの一覧も紹介」を参考にしてみてください。
介護の業種固有の機能を持つソフトウェアも対象になる
介護業専用に設計されたソフトウェアも、IT導入補助金で導入できます。通常枠では、各業種固有の機能を持つソフトウェアが補助対象経費に含まれているからです。
【業種固有プロセスの介護業に該当するソフトウェアの例】
ソフトウェアの製品名 | 導入した場合の効果 |
ほのぼの |
|
カイポケ |
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Care-wing |
|
介舟ファミリー |
|
まもる君クラウド |
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参考:「ITツール・IT導入支援事業者検索」|IT導入補助金2024公式サイト
たとえば、介護サービスの利用者1人ひとりの情報管理や共有がしにくいという経営課題がある場合は、介護対象者の情報を管理するクラウド型のソフトウェアを導入できます。利用者の情報をクラウド上で管理できるため、スマホやタブレットなどの端末から記録や確認ができるようになり、情報の管理と共有に関する課題の解決につながります。
介護業種特有の経営課題にあったITツールも、IT導入補助金の通常枠で申請できます。どのようなITツールを導入したらいいかわからない、または専門家のアドバイスを聞きたい人は「みらデジ経営チェック」を利用して、課題にあったITツール導入のヒントをもらいましょう。
介護業でIT導入補助金を利用した事例
IT導入補助金を利用したい介護事業者は、介護業でITツールを導入した事例を確認しておきましょう。導入事例を確認することで、実際に採択された企業が導入したITツールや取り組みを知ることができます。
事業内容 |
居宅介護やデイサービス、訪問サービス等
|
従業員数 |
35名(中小企業)
|
経営課題 |
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導入したITツール |
介護業務支援ソフトウェア ほのぼのNEXT クラウド型(介護の業種固有プロセスに該当)
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効果 |
|
参考:「ITツール活用事例」|IT導入補助金2024公式サイト
介護現場における業務をクラウド化したことにより、業務の効率化や働き方の改善を実現した取り組みがあります。管理データのクラウド化により、情報共有に関する課題の解決だけでなく、従業員が働きやすい環境づくりにもつながりました。
ほかにも、経営課題を解決する様々な取り組みが採択されています。IT導入補助金に採択された企業の事例や、採択されるポイントを知りたい人は「IT導入補助金の活用事例と審査で採択されるポイントを解説」を参考にしてみてください。
交付される補助額はITツール導入費用の1/2から4/5
ITツールの導入にIT導入補助金を利用することで、ITツール導入費用の1/2から4/5の補助額を受け取れます。IT導入補助金は「通常枠」「セキュリティ対策推進枠」「インボイス枠」の枠ごとに、補助率や補助上限額が決められています。
【IT導入補助金の補助額と補助率】
枠 | 項目 | 補助上限額 | 補助率 | |||
通常枠
|
1機能以上 |
ソフトウェア
|
5万~150万円未満 |
1/2
|
||
4機能以上 | 150万円~450万円 | |||||
インボイス枠
|
インボイス対応類型
|
ソフトウェア
|
小規模事業者
|
350万円
|
0〜50万円の部分 | 4/5 |
50〜万超350万円の部分 | 2/3 | |||||
中小企業
|
0〜50万円の部分 | 3/4 | ||||
50万超〜350万円の部分 | 2/3 | |||||
電子取引類型
|
ハードウェア
|
PC・タブレット等 | ~10万円 |
1/2
|
||
プリンター・レジ等 | ~20万円 | |||||
ソフトウェア
|
小規模事業者 中小企業 |
~350万円
|
2/3 | |||
大企業 | 1/2 | |||||
セキュリティ対策推進枠 | セキュリティ強化サービス | 5万~100万円 | 1/2 |
参考:「補助対象について」|IT導入補助金2024公式サイト
たとえば、介護業に特化したソフトを導入する場合は、通常枠の補助率1/2で計算します。介護業に特化したソフトの導入費用が100万円の場合は、補助率1/2を掛けることで、受け取れる補助額は50万円であると計算できます。
インボイス対応類型でソフトウェアを導入する場合は、補助率が4/5〜2/3と他の枠よりも計算が複雑なため「補助金シミュレーター」で計算してみてください。また、唯一ハードウェアを導入できる枠で、最大半額のハードウェア購入の補助金を受け取れます。
IT導入補助金で受け取れる補助額は「ITツールの導入費用×補助率」で計算できます。介護業はどの枠にも申請ができるため、受け取れる補助額を計算する際は、申請する枠の補助額や補助率を確認しましょう。
IT導入補助金を利用する際の流れを確認する
IT導入補助金を利用する際は、申請やITツール導入の手順を間違えると補助金が受け取れなくなるため、全体の流れを確認してから手続きをしましょう。
【IT導入補助金の流れ】
① 交付申請前の準備
|
② 交付申請 |
〜審査〜 |
③ ITツールを導入
|
④ 事業実績報告 |
〜確定検査〜 |
⑤ 補助金の交付(入金)
|
⑥ 事業実施効果報告
|
たとえば、ITツールの導入は審査で採択された後に行う必要があるため、交付申請前にITツールを導入した場合にはIT導入補助金を受け取れません。また、補助金を受け取れるのは、ITツールの支払いと運用が開始した後のため、ITツール導入時の支払い金額は事前に用意しておく必要があります。
交付申請の準備がすべて完了したら、IT導入支援事業者と共に交付申請の手続きを進めることができます。申請後には「交付申請の審査」と「事業実績報告の確定検査」を通過する必要があり、補助金をすぐに受け取ることができない点を留意しておきましょう。
交付申請には事前準備が必要となる
IT導入補助金を利用したい人は、交付申請の事前準備を進めましょう。IT導入補助金を利用するには、申請者情報や導入したいITツール情報、事業計画などを「申請マイページ」に入力した上で交付申請する必要があるからです。
【交付申請を行うための準備】
① 申請する枠の概要を把握する IT導入補助金の公式サイトや公募要領、交付申請の手引きなどを確認する ② 3つの申請要件を満たす 「gBizIDプライム」アカウントの取得 「SECURITY ACTION」の実施 「みらデジ経営チェック」の実施 ③ 導入するITツールを探す 「ITツール・IT導入支援事業者検索」で導入したいソフトウェアを探す ④ IT導入支援事業者へ依頼をする 導入したいITツールを取り扱うIT導入支援事業者に交付申請の依頼をする ※IT導入補助金を利用してITツールを導入するか迷っている状態での相談からでもよい |
IT導入補助金を利用するには、交付申請の準備で導入したいITツールを取り扱うIT導入支援事業者を見つけ、IT導入補助金を利用したい旨を相談する必要があります。相談するIT導入支援事業者の選び方がわからない人は「IT導入補助金の支援事業者とは?サポート内容や選び方を解説」を参考にしてみてください。
なお、当サイトを運営する株式会社SoLaboもIT導入支援者です。ITツールの導入支援はもちろん、IT導入補助金の申請サポートも実施しているため、IT導入補助金の利用を考えている人は、無料診断よりお問い合わせください。
無料診断この記事のまとめ
IT導入補助金は、介護業を含むさまざまな業種の事業者が利用できる補助金です。企業だけでなく、中小企業や小規模事業者にあてはまる個人事業主も利用できる補助金です。
生産性向上やインボイス制度の対応などに、利用するソフトウェアやハードウェアが補助対象になります。IT導入補助金を利用して導入できるソフトウェアは、労務や会計などのソフトウェア以外にも、介護業に特化したソフトウェアも導入できます。
また、受け取れる補助額は「ITツールの導入費用×補助率」で計算できます。交付申請やITツールの導入は、IT導入支援事業者を共に実施する必要があるため、IT導入補助金に申請したい人は、IT導入支援事業者に相談をしましょう。