IT導入補助金で不動産業が導入できるITツールとは?利用の流れも解説
2024/04/04
2023/8/17
IT導入補助金は、中小企業から個人事業主までが利用できます。不動産業を営む場合で自身が対象者かを判断するには、事業規模が「従業員300人以下」「資本金3億円以下」の事業者に該当するかを確認してみましょう。
不動産業を営む人の中には、ITツールを導入して業務を効率化したいと思う人もいますよね。その際、ITツールの導入に対してIT導入補助金が貰えると耳にした人もいるでしょう。
当記事では、IT導入補助金で不動産業が導入できるITツールを解説します。また、IT導入補助金を利用する際の流れや補助額についても紹介しているため、これからIT導入補助金を活用してみたい人は参考にしてみてください。
なお、当記事はIT導入補助金2024の公式サイトにある公募要領や交付申請の手引きをもとに作成しています。
不動産業の生産性を向上させるITツールが導入できる
IT導入補助金では、不動産業の生産性向上が期待できるITツールが導入できます。IT導入補助金の目的が、働き方改革や賃上げ、インボイスの導入などの国の制度変更に対応していくために、ITツールを導入し生産性を向上させることだからです。
【導入できるITツールの例】
項目 | 商品の名称 | 概要 |
不動産固有の機能を持つソフト
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いえらぶCLOUD |
仲介業向けと管理業向け、ホームページ制作などの不動産の幅広い業務の機能を備えている。
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いい生活賃貸クラウド物件広告 |
物件広告に特化しているシステムで、掲載しているポータルサイトを一括で管理や分析ができる。
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賃貸名人在宅パック |
賃貸管理に特化しているシステムで、1つのシステムでまとめて管理でき、在宅勤務にも対応している。
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賃貸革命10パック |
物件仕入や契約管理など仲介業務の機能だけでなく、家賃管理や問い合わせなどの管理業務までの機能が備わっている。
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ノマドクラウド |
仲介業向けのシステムで、再来店を狙える自動追客や顧客管理の機能が備わっている。
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業務ごとに特化したソフト
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Lstep(Lステップ)スタート |
【LINEマーケティングのシステム】
質問に対しての応答の自動化や来店予約、相談もLINE上で対応できる。 |
クラウドサインCorporateプラン |
【電子契約のシステム】
紙の契約書ではなく、PCやタブレットを使ってクラウド上で契約を交わすことができる。 |
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マネーフォワードクラウド 会計 |
【クラウド会計のシステム】
銀行や勤怠管理などと連携したり、AIを活用することで入力や仕訳が自動化できる。 |
参考:「ITツール・IT導入支援事業者検索」|IT導入補助金2024公式サイト
たとえば、紙ベースの情報管理に不便さを感じる場合は「いえらぶ」や「賃貸管理」などのクラウド上で情報を一元管理できるソフトを導入すると良いでしょう。クラウド上で、物件やオーナー情報を管理できるため、探す手間が短縮できます。
また、成約率を上げたい場合は「ノマドクラウド」や「Lstep」などの集客や追客が強化できるソフトを導入するとよいでしょう。メールやLINEを利用して物件情報やお悩み解決の情報を発信し、顧客とのつながりを持った状態で来店予約までが行えます。
IT導入補助金では、不動産業向けのソフトウェア以外にも、業務ごとの機能を持つソフトウェアが導入できます。導入したいITツールが決まったら、そのITツールが自社で生産性の向上が見込めるかを考えてみましょう。
なお、申請する枠によっては、セキュリティ強化のサービスやPC、レジなどのハードウェアも補助されます。ソフトウェア以外に導入できるITツールが知りたい人は「IT導入補助金で利用できるITツールとは?主なツールの一覧も紹介」を参考にしてみてください。
導入できるITツールはITツール検索で探せるものだけ
IT導入補助金で導入できるITツールは「ITツール・IT導入支援事業者検索」で探せるものだけです。IT導入補助金では、IT導入支援事業者が登録したITツールのみが補助対象となるため、「ITツール・IT導入支援事業者検索」に登録されているITツール以外は補助対象外となります。
たとえば、お名前検索を利用する場合は、ツール名の欄に「いえらぶ」や「賃貸革命」などの導入したいITツールの商品名を入力すると探せます。また、条件検索を利用する場合は、取り扱い業種の項目で「不動産業向け」に絞り込むことで探せます。
ITツールを探す際は、ITツール検索の「ツール名から探す」や「要件/目的から探す」で探します。導入するITツールが決まったら、そのITツールを取り扱うIT導入支援事業者に「IT導入補助金を利用して導入したい」との旨を相談してみてください。
交付される補助額は枠ごとに異なる
IT導入補助金を利用した際に、交付される補助額は申請する枠ごとに異なります。IT導入補助金では「通常枠」「インボイス枠」「セキュリティ対策推進枠」など、枠ごとに補助上限額や補助率が異なるからです。
【枠ごとの補助額と補助率】
通常枠 | |||
項目 | 補助額 | 補助率 | |
ソフトウェア
|
1機能以上 | 5万円~150万円未満 |
1/2以内
|
4機能以上 | 150万円~450万円以下 | ||
インボイス枠(インボイス対応類型) | |||
項目 | 補助額 | 補助率 | |
ソフトウェア
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〜350万円
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3/4以内
(~50 万円部分) ※小規模事業者は4/5
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2/3以内
(50 万円超~350万円部分) |
|||
PC・タブレット | ~10万円 |
1/2以内
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レジ・券売機 | ~20万円 | ||
インボイス枠(電子取引類型) | |||
項目 | 補助額 | 補助率 | |
ソフトウェア
|
~350万円
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2/3以内
(中小企業・小規模事業者等) |
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1/2以内
(その他の事業者等) |
|||
セキュリティ対策推進枠 | |||
項目 | 補助額 | 補助率 | |
サービス | 5万円~100万円未満 | 1/2以内 |
参考:「補助対象について」|IT導入補助金2024公式サイト
たとえば、通常枠で「いえらぶ」の導入費用100万円を申請する場合は、補助率1/2となるため50万円の補助金が受け取れます。通常枠は、4つ以上の機能をもつソフトウェアを導入することもでき、最大450万円の補助が可能です。
また、インボイス対応類型で「マネーフォワード」の導入費用100万円を申請する場合は、約72万円の補助金が受け取れます。インボイス枠は、ソフトの機能数によって補助額や補助率が異なるため「補助金シミュレーター」で計算してみましょう。
受け取れる補助金額を求める際は「ITツールの金額×補助率=受け取れる補助金」で計算が可能です。不動産業は全ての枠を利用することができるため、受け取れる補助金を計算する際は、枠ごとの補助上限額と補助率を確認しましょう。
利用の流れを間違うと補助金が受け取れなくなる
IT導入補助金を利用する場合、流れを間違うと補助金が受け取れなくなります。IT導入補助金では、交付申請のタイミングやITツール導入のタイミングなどが細かく決められているからです。
【IT導入補助金を利用する際の流れ】
①IT導入補助金の理解を深める ②ITツール・IT導入支援事業者を選定する ③交付申請の手続きを行う ④交付決定の通知を確認する ⑤ITツールの導入を開始する ⑥事業実績報告を行う ⑦補助金が入金されたことを確認する ⑧事業実施効果報告を行う |
参考:「新規申請・手続きフロー」|IT導入補助金2024公式サイト
たとえば、交付申請を行う前にITツールの導入を開始していると補助金は受け取れません。また、ITツール導入後に報告する事業実績報告は、定められた期間内に報告しないと補助金が受け取れなくなります。
IT導入補助金を利用する際は、必ずITツールの導入を行う前に交付申請をしてください。IT導入補助金は、交付申請の審査で不採択になることもありますが、利用の手順を間違えると補助金が受け取れない可能性もあるということを覚えておきましょう。
この記事のまとめ
不動産業がIT導入補助金で導入できるのは、生産性の向上が見込める「不動産向け」や「業務ごと機能」を持つITツールです。導入したいITツールを探す際は「ITツール・IT導入支援事業者検索」で、商品名や条件を絞って検索してみましょう。
導入したいITツールが決まったとしても、必ず交付決定を受けるまでは、ITツールの導入を進めてはいけません。IT導入補助金の手続きは、IT導入支援事業者にサポートしてもらいながら進めるものですが、申請者も利用の流れは必ず覚えておきましょう。