個人事業主が補助金を活用するときのポイントを解説

2024/08/22

2024/8/22

この記事の監修

株式会社SoLabo田原広一

株式会社SoLabo 代表取締役/税理士有資格者田原 広一(たはら こういち)

融資支援実績6,000件超、補助金申請支援実績1,300件超、事業再構築補助金採択支援件数は第4回~第8回まで5回連続で日本一を獲得。 『小規模事業者持続化補助金』、『事業再構築補助金』、『IT導入補助金』は自社での申請・採択も経験。「補助金ガイド」LINE公式アカウントでは約4万人の登録者に情報発信を実施。

補助金の中には、個人事業主が活用できるものもあります。国や地方自治体の補助金は原則として返済が不要なため、個人事業主が補助金を活用することにより、財政面の負担を減らせる可能性があります。

当記事では、個人事業主が補助金を活用するときのポイントを解説します。補助金の対象者や対象経費、留意点も紹介するため、補助金を活用したい個人事業主の人は参考にしてみてください。

ポイントは条件に合った補助金を探すこと

個人事業主が補助金を活用する場合、条件に合った補助金を探すことがポイントです。補助金は「生産性向上」「地域経済活性化」などの目的が定められている関係上、色々な条件が設定されているため、補助金を活用したい個人事業主の人は補助金の条件を整理してみましょう。

【補助金を探すときの条件例】

  • 対象者に含まれるかどうか
  • 対象経費に含まれるかどうか
  • 必要書類を揃えられるかどうか

補助金を探すときの条件は「対象者に含まれるかどうか」「対象経費に含まれるかどうか」「必要書類を揃えられるかどうか」が挙げられます。あらゆる補助金の中から条件に合った補助金を探すことになるため、補助金を活用したい人は各項目を確認してみましょう。

対象者に含まれるかどうか

補助金を探すときの条件のひとつは個人事業主が対象者に含まれるかどうかです。各補助金は補助対象者が定められているため、補助金を活用したい個人事業主の人は補助金の対象者を確認してみましょう。

【補助金申請における対象者の例】

補助金名

事業形態

特記事項

小規模事業者持続化補助金

  • 小規模事業者

 

  • 商工会議所の管轄地域内で事業を営んでいること
  • 商工会議所の支援を受けること

ものづくり補助金

  • 中小企業者
  • 小規模企業者
  • 小規模事業者 など
  • 設備投資を行うこと

IT導入補助金

  • 中小企業等
  • 小規模事業者
  • ITツールを導入すること
  • IT導入支援事業者の支援を受けること

たとえば、小規模事業者持続化補助金は個人事業主が補助対象に含まれています。小規模事業者持続化補助金の公募要領では、個人事業主や法人を含む「小規模事業者」が対象者とされているため、個人事業主は小規模事業者持続化補助金に申請が可能です。

また、IT導入補助金は個人事業主が対象に含まれています。IT導入補助金の公募要領では、個人事業主や法人を含む「中小企業等」と「小規模事業者」が対象者とされているため、個人事業主はIT導入補助金に申請が可能です。

なお、個人事業主が対象と明記されている補助金でも対象外となる場合が考えられます。「課税所得が規定以上の額」「国の助成制度を活用している事業との重複」など、場合によっては補助対象外となる可能性があるため、補助金を活用したい個人事業主の人は補助対象外となる場合も確認しておくようにしましょう。

対象経費に含まれるかどうか

補助金を探すときの条件のひとつは補助を受けたい経費が対象経費に含まれるかどうかです。各補助金は対象となる経費が定められているため、補助金を活用したい個人事業主の人は補助金の対象経費を確認してみましょう。

【補助金申請における対象経費の例】

補助金名

対象経費の例

具体例

小規模事業者持続化補助金

機械装置等費

3Dプリンター

ウェブサイト関連費

ウェブサイトの作成費や更新費

旅費

宿泊代やバス運賃、電車賃

ものづくり補助金

機械装置・システム構築費

電子計算機、デジタル複合機

専門家経費

専門家への謝礼

クラウドサービス利用費

クラウドサービスの利用費、通信料

IT導入補助金

(インボイス枠)

ソフトウェア購入費

ソフトウェアの使用料、保守費用

ハードウェア関連費

パソコン、タブレット、プリンター

たとえば、ものづくり補助金は「機械装置・システム構築費」が対象経費に含まれています。具体例として「測定工具」「検査工具」「電子計算機」「デジタル複合機」などが挙げられ、単価が税抜き50万円以上の設備投資をすることが条件となります。

また、IT導入補助金のインボイス枠は「ハードウェア関連費」が対象経費に含まれています。具体例として「パソコン」「タブレット」「プリンター」などが挙げられ、ソフトウェアの購入先として選定したIT導入支援事業者から購入することが条件となります。

なお、対象経費はそれぞれの補助金の申請枠によって異なる可能性があります。申請枠を設けている補助金は枠ごとに対象経費が異なることも考えられるため、補助金を活用したい個人事業主の人は申請枠ごとの対象経費を確認してみましょう。

必要書類を揃えられるかどうか

補助金を探すときの条件のひとつは必要書類を揃えられるかどうかです。必要書類は補助金次第ですが、補助金を申請するときは複数の書類を提出することになるため、補助金を活用したい個人事業主の人は必要書類を確認してみましょう。

【補助金申請における必要書類の例】

書類名

概要

確定申告書の控え

直近分の確定申告書の控え

所得税の納税証明書

直近分の所得税の納税証明書

開業届の控え

税務署印が押された開業届の控え

収支予算書

収入と支出の予算額を明示した書類

たとえば、「確定申告書の控え」が必要となる補助金があります。確定申告を終えた個人事業主でなければ確定申告書の控えの準備ができないため、開業したばかりの個人事業主は補助金の申請ができないおそれがあります。

また、「開業届の控え」が必要となる補助金があります。個人事業主が開業届を税務署へ出さないことによる罰則はありませんが、開業届の控えの提出が必要となる補助金があるため、開業届を出していない個人事業主は補助金の申請ができないおそれがあります。

なお、代替案が設けられている場合もあります。「決算期を迎えていない場合は確定申告書の控えは不要」「設立後間もない場合は設立事業計画書を提出」などの代替案が設けられている場合もあるため、補助金を活用したい個人事業主の人は各補助金の規程を確認してみましょう。

ポイントを押さえた人は補助金の留意点も確認する

補助金を活用するときのポイントを押さえた人は、個人事業主が補助金を活用するときの留意点も確認しておきましょう。留意点を確認しておかなければ、想定通りに補助金を活用できないおそれがあります。

【個人事業主が補助金を活用するときの留意点】
  • 入金は事業完了後の場合がある
  • 補助金は所得税額に影響する場合がある

補助金を活用するときの留意点として「入金は事業完了後の場合があること」「補助金は所得税額に影響する場合があること」が挙げられます規定は補助金ごとに異なるため、各補助金の規程に従うことになりますが、補助金を活用したい個人事業主の人は留意点の一例として各項目を確認してみましょう。

入金は事業完了後の場合がある

個人事業主が補助金を活用するときの留意点のひとつは、補助金の入金が事業完了後になる場合があることです。事業を行う資金を先払いする関係上、資金繰りが逼迫するおそれがあるため、補助金を活用したい個人事業主の人は補助金が入金されるまでの流れを確認してみましょう。

【補助金が入金されるまでの流れの例】
  1. 補助金を申請する
  2. 申請内容の審査が行われる
  3. 審査に通過した場合は採択通知を受ける
  4. 事業を行う
  5. 事業の完了を報告する
  6. 事業内容の審査が行われる
  7. 審査に通過した場合は補助金が入金される

補助金に採択された後は、原則として入金より前に事業を行うことになります。入金が事業の完了後となる場合は、事業を行うための資金を事業者が立て替えることになるため、補助金に採択された場合でもそれ相応の自己資金を工面しておかなければなりません。

また、入金までにかかる期間は補助金次第です。補助金によっては「事業完了後から3か月」「事業完了後から半年」など、事業完了後の審査に時間がかかることも考えられるため、事業完了後すぐに入金されるとは限りません。

なお、最終的な補助金額は原則として事業完了後の審査により確定します。対象経費に含まれないと判断された場合は、採択されたあとに補助金額が減額されるおそれもあるため、補助金を活用したい個人事業主の人は各補助金の規程に従って事業を実施しましょう。

補助金は所得税額に影響する場合がある

個人事業主が補助金を活用するときの留意点のひとつは、補助金が所得税額に影響する場合があることです。事業に関する補助金は収入として扱われる関係上、受給した年の所得税が増える可能性があるため、補助金を活用したい個人事業主の人は所得税の算出方法を確認しておきましょう。

【所得税の算出方法】

項目

概要

算出方法

(収入-経費-所得控除)×税率-税額控除=基準所得税額

算出するときの留意点

  • 国庫補助金等の総収入金額不算入の特例により、税負担を軽減できる場合がある
  • 1年間の収入から経費を差し引いた収支が赤字の場合、所得税は生じない

所得税の基準所得税額は1年間の収入から経費や所得控除を差し引き、所得金額ごとに定められた税率を掛けることにより算出できます。原則として補助金は収入に算入されるため、収入の増加に伴って所得税額も増えることが考えられます。

また、国庫補助金等の総収入金額不算入の特例により、税負担を軽減できる場合があります。国税庁の公式サイトによると、個人事業主が補助金を受給して固定資産の取得や改良をした場合、取得や改良に活用した補助金額分を収入として算入しない特例があります。

ただし、所得税額の算出方法は個人事業主の状況次第となる可能性があります。受給する補助金の種類や個人事業主の所得状況によっても、所得税額の算出方法が異なることも考えられるため、確定申告をするときは事業所を管轄する税務署に確認することも検討してみましょう。

補助金における税金の情報が知りたい人は「補助金に税金はかかるのか?課税の仕組みを交えながら解説」を参考にしてみてください。

まとめ

個人事業主が補助金を活用する場合、条件に合った補助金を探すことがポイントです。条件は「対象者に含まれるかどうか」「対象経費に含まれるかどうか」などが挙げられるため、補助金を活用したい個人事業主の人はそれぞれの条件を押さえておきましょう。

補助金を探すときの条件のひとつは個人事業主が対象者に含まれるかどうかです。補助金は「中小企業」「小規模事業者」など、対象者が定められているため、補助金を活用したい個人事業主の人はまずは個人事業主が対象者に含まれるかどうかを確認してみてください。

補助金を活用するときは留意点があります。補助金の留意点は「入金は事業完了後の場合があること」「補助金は所得税額に影響する場合があること」が挙げられるため、補助金を活用したい個人事業主の人は覚えておきましょう。

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