補助金の計算方法と計算例を解説

2024/09/06

2024/9/6

この記事の監修

株式会社SoLabo田原広一

株式会社SoLabo 代表取締役/税理士有資格者田原 広一(たはら こういち)

融資支援実績6,000件超、補助金申請支援実績1,300件超、事業再構築補助金採択支援件数は第4回~第8回まで5回連続で日本一を獲得。 『小規模事業者持続化補助金』、『事業再構築補助金』、『IT導入補助金』は自社での申請・採択も経験。「補助金ガイド」LINE公式アカウントでは約4万人の登録者に情報発信を実施。

補助金の申請を検討している人の中には、受け取れる金額がいくらなのかを知りたい人もいますよね。補助金額を知るためには、基本的な計算方法があるので、決まった値をあてはめて計算すれば、おおよその金額を確認できます。

当記事では、補助金の計算方法と計算例を解説します。補助金額を算出する際の具体例もあわせて紹介するので、補助金の計算方法を確認したい人は、参考にしてみてください。

補助金の基本的な計算方法を確認する

国や地方自治体が公募する補助金にはさまざまな種類があるものの、基本的な計算方法は共通しています。そのため、基本的な計算方法を理解しておけば、どの補助金においてもおおよその補助金額を見積もることが可能です。

【補助金額の計算方法】

補助金額=補助対象経費×補助率

補助金額とは「いくらもらえるか」の金額であり、補助対象経費とは物品の購入やサービスの契約などに「いくらかかったか」の金額です。また、補助率とは「補助対象経費の何割が補助金として支給されるか」を示す割合で、各補助金によって1/2や3/4といった割合が設定されています。

補助金額を確認したい場合は、基本的に「補助対象経費×補助率」の公式を使います。その際、補助金ごとに対象となる経費や補助率が設定されているため、各補助金に用意されている「公募要領」で概要を確認しておきましょう。

①補助金の計算に必要になる項目をおさえる

補助金の計算に必要になる項目をおさえましょう。補助金を計算する際は「補助対象経費」「補助率」「補助上限額」の3つを把握できていないと補助金額を算出できないため、各項目の概要や数値を理解しておくことが必要です。

【基本的な補助金の計算に必要な3項目】

項目 概要
補助対象経費 補助金の対象となる物品購入やサービスの契約などに支払った経費
補助率 補助対象経費に対して補助金で補助される割合
補助上限額 補助金で支給される最大の金額

補助対象経費は、各補助金によって異なる項目が設定されています。たとえば、機械購入や広告宣伝の経費が対象になる補助金やエコ投資の経費が対象になる補助金などさまざまです。使用した経費の合計額が「補助対象経費」となり、補助金額の計算に用いられます。

また、補助率や補助上限額も補助金ごとに異なる割合や金額が設定されています。補助対象経費に補助率をかけた金額が設定されている補助上限を超える場合、受け取れる金額は補助上限額までとなります。

補助金額を計算するには、補助対象経費、補助率、補助上限額の3項目を理解する必要があります。補助金を利用する際は、経費の合計と、各補助金に設定された補助率や補助上限額を正しく把握し、計算できるようにしておきましょう。 

②補助対象経費を算出する

補助金額を計算する際は、補助金を利用して購入や契約したい経費の合計を算出する必要があります。補助対象経費は、補助率や補助上限額のようにあらかじめ設定されている数値ではなく申請者によって異なるため、正確な補助金額を計算するには補助対象経費を正しく算出しておくことが重要です。

項目 活用例
機械装置等費
  • 生産性を向上させるための大型オーブン
  • 新商品開発に必要な製麺機
  • 業務効率化のための自動包装機
広報費
  • 販促用チラシの作成
  • 視認性の高い看板の制作
展示会等出展費
  • イベントや商談会の出展費

旅費

  • 地方の催事などへ出向いて販売促進を行った際の交通費や宿泊費

設備処分費

  • 事業に必要なスペースを確保するため不要なものを処分する費用

委託・外注費

  • ロゴデザインの委託費
  • 内装工事業者の委託費

ウェブサイト関連費

  • ウェブサイト制作費
  • リスティング広告掲載費
  • ECサイト改修費

クラウドサービス利用費

  • 顧客管理システム(CRM)の利用費
  • 在庫管理のためのクラウドベースのERPシステム導入費
  • 会計や請求業務を効率化するクラウドサービスの利用費

技術導入費

  • 新製品開発に必要な先進的な技術導入費
  • 自動化システムやAI技術を導入するための費用
  • 製品の品質検査装置や測定機器の導入費

専門家経費

  • 経営コンサルタントによる経営改善アドバイス費用
  • ITコンサルタントによる業務効率化の支援費用
  • 法律専門家によるコンプライアンスアドバイス

たとえば、事業の販路開拓を目的とする補助金では、新商品作成のための機械購入費や、あらたな集客を得るためのECサイト制作費などが対象経費として設定されています。近年では、窓の高断熱化を推進するための断熱材やガラス、窓枠などが対象経費になる補助金もあります。

一方で、販路開拓を目的に購入するものでも、補助対象外となる経費として設定されている場合もあるため、確認しておく必要があります。特に、車やパソコンなどの補助事業以外でも使用できるような汎用性の高いものは、対象外となる可能性が高い傾向があります。

補助金額を計算する際は、補助対象経費の合計額を算出しておく必要があります。自分が申請する補助金の経費項目の合計金額を正しく算出するためには、見積書や領収証などを用意し、正確な金額を用いて計算しましょう。

③算出した対象経費に補助率を掛ける

補助率は、補助対象経費に対して補助金で補助される割合であり、補助金額を算出する際は、対象経費の合計額に補助率を掛けて計算します。また、補助率は各補助金によって異なるため、自分が申請する補助金の補助率は公募要領にて確認しましょう。

たとえば、対象経費の金額が120万円の場合、補助率が3/4の補助金であれば、120万円×3/4=90万円なので、受け取れる補助金額は90万円となります。一方、同じ120万円の対象経費を使った場合でも、補助率が1/2の補助金ならば受け取れる補助金額は60万円となります。

補助金額を算出する際は、各補助金に設定されている補助率を用いて計算することになります。「補助対象経費の合計額×補助率」が補助金額を算出するための基本的な計算式となることを留意しておきしょう。

④算出された補助金額と補助上限額を比較する

補助対象経費の合計額に補助率を掛けて補助金額を算出したら、補助金額と補助上限額と比較しましょう。対象経費の合計×補助率で算出された金額が補助上限額を超える場合は、補助上限金額以上の金額は受け取れないためです。

たとえば、補助率が3/4で補助上限額が100万円の補助金に申請する際、申請額が160万円だった場合は、160万円×3/4=120万円という計算になります。その際、補助金に定められている補助上限額は100万円なので、実際に受け取れるのは100万円までの金額となります。

各補助金には、補助上限額が設定されています。対象経費の合計額に補助率を掛けて算出された金額が補助上限額を上回る場合、受け取れる補助金は補助上限額までの金額に制限されます。そのため、算出された補助金額が120万円だった場合でも、補助上限額が100万円であれば、申請額は100万円となることを留意しておいてください。

具体的な計算例を見て補助金の計算方法を理解する

具体的な数字や金額を用いた計算例を見て、補助金の計算方法を理解しましょう。補助率や補助上限額が異なれば、もらえる補助金額にも差が出るため、正確な数値で計算しなければなりません。

【申請枠ごとの補助率と補助上限額の例】

申請枠 A枠 B枠
補助率 2/3 2/3(赤字事業者の場合は3/4)
補助上限額 50万円 200万円

各補助金には、補助金の目的や対象事業などに応じて異なる申請枠が用意されている場合があります。表の例では、A枠とB枠のそれぞれの申請枠で、補助率や補助上限額に差があります。

たとえば、A枠で120万円の対象経費を使った場合の補助金額を計算すると、120万円に補助率2/3を掛けて約80万円が算出されます。しかし、通常枠の補助上限額は50万円であるため、実際に申請できる金額は50万円となります。(120万円×2/3=約80万円>50万円)

一方、確定申告で赤字だった事業者がB枠に申請する際の補助率は3/4です。補助対象経費の合計額が200万円だった場合、200万円に3/4を掛けて算出された150万円は補助上限額を上回らないので、そのままの金額が補助金額として受け取れることになります。(200万円×3/4=150万円<200万円)

実際に具体的な補助金の計算をする際は、補助金の申請類型や申請枠ごとに定められた割合や金額、その他の特別な条件などに沿って計算することになります。計算方法が難しい場合は、各補助金の公募要領や公式サイト内の計算例を確認してみてください。

申請する経費によって計算の工程が変わる場合もある

補助金の計算方法は、定められた補助率や補助上限額以外にも、各補助金に設定されたさまざまな条件によって異なることがあります。実際の補助金の例を用いて「申請する経費によって計算方法の工程が変わる」場合の計算例を確認してみましょう。

【補助率2/3・補助上限額50万円の補助金に申請する飲食店の計算例】

<条件>ウェブサイト関連費は、補助金額の全体の1/4までの金額が補助される
<申請する経費>業務用オーブン80万円、ウェブサイト関連費20万円
手順 計算方法
① 経費に補助率を掛ける 機械装置等費費:80万円×2/3=53万円
ウェブサイト関連費:20万円×2/3=13万円
55万円+13万円=66万円
② 算出された金額と補助上限額を比較する 申請金額:66万円>補助上限額50万円なので補助上限額の50万円を申請
③ 申請額の1/4以下の金額をウェブサイト関連費として申請する <申請する金額50万円の内訳>
機械装置等費 37.5万円
ウェブサイト関連費 12.5万円
計 50万円

たとえば、いくつかある補助対象経費の中の1つである「ウェブサイト関連費」にかかった経費のみに特別な条件が設けられた補助金があります。

この補助金では、ウェブサイト関連費として申請できる金額は全体の補助金額の1/4の金額までという条件があるため、50万円の申請額に対してウェブサイト関連費として申請できる金額は、最終的に12.5万円までとなります。

申請する補助金によっては、一部の対象経費のみ補助率が違う場合や、特定の条件が設けられている場合があります。その場合は条件を考慮しながら補助金の申請額を算出することになるため、計算工程を確認しておきましょう。

補助金を計算する際の注意点を確認する

補助金額を計算する際は、注意点を確認しておく必要があります。注意点を知らずに申請を行うと、想定よりも少ない補助金額が交付される可能性があるため、注意点を事前に確認しておきましょう。

【補助金申請に関する注意点】

  • 対象にならない経費を申請しても審査時に除外されてしまう
  • 補助金は消費税を抜いた金額で申請する
  • 経費項目ごとに補助率が異なる場合がある
  • 事業者の条件によって補助率や補助上限額が異なる場合がある

対象経費を計上する際は、補助対象にならない経費の項目を把握しておく必要があります。特に、汎用性の高いパソコンやコピー機、自転車などは補助対象外となる可能性が高いことを留意しておいてください。

また、補助金によっては経費ごとに異なる補助率が設定されている場合や、従業員数によって補助金額や補助率が異なる場合もあります。正確な補助金額を算出するためには、各補助金の申請枠に設定されている条件を確認し、計算ミスがないよう注意しましょう。

なお、補助金は消費税を抜いた金額に対して支給されます。補助金額を算出する際は、税抜きの経費で計算してください。

まとめ

補助金の計算方法は、基本的に「補助対象経費×補助率」の公式を用いて算出します。算出された金額と補助上限額を比較し、受け取れる金額を確定します。

補助金ごとに設定されている条件により、補助率や補助上限額が異なる場合や計算方法の工程が変わる場合もあるため、申請する補助金の概要を確認しておく必要があります。

注意点として、補助対象外の経費を申請した場合の金額は除外されることや、消費税が補助対象外であることを念頭に置きつつ、計算ミスを防ぐために計算方法の手順を事前に確認しましょう。

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