jGrants(Jグランツ)とは?

2024/08/29

2024/8/21

この記事の監修

株式会社SoLabo田原広一

株式会社SoLabo 代表取締役/税理士有資格者田原 広一(たはら こういち)

融資支援実績6,000件超、補助金申請支援実績1,300件超、事業再構築補助金採択支援件数は第4回~第8回まで5回連続で日本一を獲得。 『小規模事業者持続化補助金』、『事業再構築補助金』、『IT導入補助金』は自社での申請・採択も経験。「補助金ガイド」LINE公式アカウントでは約4万人の登録者に情報発信を実施。

国や自治体が実施する補助金の中には、申請方法としてjGrants(以下、Jグランツ)を採用している制度があります。はじめて補助金の申請をする人や、これまで書類郵送での申請をしていた人は、Jグランツがどのようなものか気になっている人もいるでしょう。

当記事ではJグランツとは何かを解説しています。Jグランツの概要を知りたい人や、はじめてJグランツを利用する人は参考にしてみてください。

なお、当記事は「Jグランツ」および「gBizID」の公式サイトをもとに作成しています。

Jグランツとは補助金の電子申請システムのこと

Jグランツとは、デジタル庁が運営する補助金の電子申請システムのことですJグランツを利用することにより、パソコンやスマホを用いて補助金の応募から採択後の手続きまでをオンラインで完結できます。

【Jグランツを利用してできること】

  • 申請したい補助金の検索
  • 国や自治体の補助金への申請
  • 申請内容や審査結果の確認
  • 事業者情報や補助事業計画の変更手続き
  • 実績報告の提出
  • 補助金の請求手続き
  • APIを活用した補助金データの取得

Jグランツを利用してできることのひとつとして「申請したい補助金の検索」が挙げられます。Jグランツには補助金検索機能があり、補助金名や業種、対象地域など条件を絞って自社に合う補助金を探すことが可能です。

また、Jグランツを利用してできることのひとつとして「国や自治体の補助金への申請」が挙げられます。パソコンやスマホからJグランツ内の申請フォームに必要事項を入力して送信することにより、書類の郵送や窓口へ行くことなく補助金の申請を完了させることができます。

そして、Jグランツを利用してできることのひとつとして「申請内容や審査結果の確認」が挙げられます。Jグランツのマイページにログインすることにより、Jグランツから申請した内容や審査における採択結果を確認することが可能です。

ほかにも、事業者情報の変更や採択後の手続き、APIによる補助金データの取得など、補助金申請に関わるさまざまな工程をJグランツから行うことができます。2019年の運用開始以降、国が実施する補助金だけでなく地方自治体の補助金においてもJグランツによる電子申請が取り入れられています。

Jグランツを利用するメリット

書面による郵送申請と比較した場合、Jグランツによる補助金の電子申請には複数のメリットが挙げられます。補助金の申請において、Jグランツによる電子申請にはどのようなメリットがあるのかを確認してみましょう。

【補助金の申請にJグランツを利用するメリット】

  • 時間や場所を問わずに申請できる
  • コスト削減につながる
  • 事業者の基本情報を保存しておける

Jグランツを利用するメリットのひとつは「時間や場所を問わずに申請できること」です。パソコンやスマホなどの端末があれば、オンライン上で24時間365日時間や場所を選ばずに手続きができるため、申請窓口や郵便局などの営業時間を気にすることなくオフィスや自宅などから申請ができます。

また、Jグランツを利用するメリットのひとつは「コスト削減につながること」です。補助金の申請から受給までをオンラインで完結できることから、書類の郵送にかかる金銭面のコストや申請窓口へ行くための時間面のコストを削減することにつながります。

そして、Jグランツを利用するメリットのひとつは「事業者の基本情報を保存しておけること」です。Jグランツに基本情報を保存しておけば、複数の補助金へ申請する場合や翌年度以降に別の補助金へ申請する際などに登録した情報を反映できるため、必要事項の入力にかかる工数を削減できます。

Jグランツを利用する主なメリットは、申請者の負担や経費の軽減につながることです。補助金によっては書面による郵送申請とJグランツによる電子申請を選べるものもあるため、Jグランツを利用するメリットをふまえて申請方法を選択してみてください。

Jグランツを利用するデメリット

書面による郵送申請と比較した場合、Jグランツによる補助金の電子申請にはデメリットとなり得る点もあります。メリットを確認した人は、Jグランツによる電子申請のデメリットも確認してみましょう。

【Jグランツを利用するデメリット】

  • 操作方法の確認など手間が発生する
  • 紙の書類はデータ化して送信する必要がある
  • システムエラーが起こる可能性がある

Jグランツを利用するデメリットのひとつは「操作方法の確認など手間が発生する可能性があること」です。はじめてJグランツを利用する人や電子端末の操作に慣れていない人にとっては、操作方法の確認や登録手続きなどが手間と感じられる可能性があります。

また、Jグランツを利用するデメリットのひとつは「紙の書類はデータ化して送信する必要があること」です。Jグランツによる申請の場合、原則として各種補助金の必要書類もJグランツから提出することになるため、紙で発行された書類はデータ化して添付ファイルとして送信する必要があります。

そして、Jグランツを利用するデメリットのひとつは「システムエラーが起こる可能性があること」です。推奨環境以外の端末から操作を行った場合にエラーとなることや、一定時間操作をせずに申請画面を放置した場合にはタイムオーバーとなり入力内容が消去されることがあります。

Jグランツを利用する主なデメリットは、電子システム特有の手間やエラーが発生する可能性があることです。はじめて利用する際には登録に時間が掛かる可能性があるほか、締め切り前はシステムが混みあいエラーが発生しやすくなる恐れがあるため、Jグランツによる申請は時間に余裕をもって行いましょう。

Jグランツを利用して補助金を申請する手順

Jグランツによる補助金の電子申請を行う場合、申請から受け取りまでのさまざまな場面においてJグランツから手続きを行う必要があります。補助金の申請を検討している人は、Jグランツを利用して補助金を申請する際の手順を確認しておきましょう。

【Jグランツによる補助金申請手順】

フェーズ

手順

詳細

応募

①申請したい補助金を探す

Jグランツの補助金検索機能から補助金を探す

②gBizIDの取得・ログイン

取得したgBizIDを使ってJグランツのマイページへログインする

③申請内容の入力・送信

申請フォームの項目に沿って必要事項の入力と書類の添付を行う。

申請内容をもとに審査が実施される

④採択結果の確認と交付申請

採択された場合はフォームの項目に沿って交付申請を行う

事業実施

⑤必要な手続きの実施

補助事業期間中に事業計画等の変更がある場合はJグランツのマイページから変更手続きを行う

受取り

⑥実績報告

補助事業の終了後、Jグランツのマイページから実績報告を行う

⑦精算払請求

実績報告をもとに補助金額が確定される(確定検査)。

金額の確認後、Jグランツのマイページから精算払請求を行うことで補助金が振り込まれる

補助金を利用する場合、まずは利用したい補助金へ応募します。Jグランツでは補助金の検索と申請に加え、申請内容をもとに行われる審査結果の確認と補助を受けるための手続きである交付申請も行うことができます。

つぎに、申請した内容に沿って補助金の対象となる事業である「補助事業」を実施します。補助事業の実施期間において、事業計画や事業者情報など申請内容に変更が生じた場合はJグランツのマイページから変更手続きをすることが可能です。

そして、補助事業完了後は実績報告と補助金の請求を行います。実績報告の提出や確定した補助金の請求手続きもJグランツのマイページから行うことができます。

補助金を利用するときの流れは、原則「①補助金への応募」「②補助事業の実施」「③補助金の受取り」となっています。Jグランツによる申請手続きも、補助金申請の手順に沿ってマイページから各種手続きを行うこととなります。

なお、各手続きにおけるJグランツの詳しい利用方法を知りたい人は「事業者クイックマニュアル」を参考にしてみてください。

Jグランツの利用にはgBizIDの取得が必要

Jグランツの利用には、複数の行政サービス にログインできる共通認証システム「gBizID」の取得が必要です。補助金の電子申請ではJグランツとgBizIDの両方を使用しますが、それぞれ異なるシステムであるため、各システムにおける役割の違いを確認しておきましょう。

【JグランツとgBizIDの役割】

システム名

概要

Jグランツ

補助金の電子申請システム。

Jグランツのマイページにある申請フォームから補助金申請を行う

gBizID

複数の行政サービスにログインできる共通認証システム。

gBizIDを使ってJグランツのマイページにログインする

gBizIDとは、Jグランツにログインするための認証システムのことです。gBizIDを取得しなければ補助金の申請を行うJグランツのマイページへのログインができないため、Jグランツを利用するために事前にgBizIDを取得しておく必要があります。

また、gBizIDを取得することにより、複数の行政サービスを利用できるようになります。一度取得すれば有効期限なく利用できる共通認証システムであるため、翌年度以降にJグランツを通して別の補助金に申請する場合にも、同一のgBizIDを利用して申請が可能です。

Jグランツは補助金の電子申請を行うためのシステムであり、gBizIDはJグランツを利用するために必要となるアカウントです。Jグランツを利用して補助金の申請を行う場合には、gBizIDの取得もあわせて必要となる点に留意しておきましょう。

gBizIDの種類

gBizIDには大きく3種類のアカウントがあります。アカウントの種類によって利用できる行政サービスが異なるため、利用したいサービスに合わせてアカウントを申請する必要があります。

【gBizIDの種類】

種類

概要

発行までの目安

gBizIDプライム

書類審査後に発行されるアカウント。

Jグランツのすべてのサービスを利用できる

オンライン:即日

書類郵送:1~2週間程度

gBizIDメンバー

gBizIDプライムが発行する従業員用アカウント。

Jグランツのすべてのサービスを利用できる

即日

gBizIDエントリー

審査不要で発行できるアカウント。

Jグランツの利用は不可

即日

gBizIDプライムは申請内容の確認(審査)後に発行されるアカウントであり、Jグランツのすべてのサービスを利用できます。gBizIDプライムを取得していれば、Jグランツに限らずgBizIDが対応するすべてのサービスの利用が可能です。

また、gBizIDメンバーはgBizIDプライムから発行される従業員用のアカウントであり、Jグランツのすべてのサービスを利用できます。携帯電話からの本人確認により即日発行が可能ですが、補助金によってはgBizIDメンバーからの申請を受け付けていない制度もあります。

そして、gBizIDエントリーは審査不要で発行できるアカウントですが、Jグランツの利用には対応していません。審査や本人確認なしで即日発行できるものの、gBizIDエントリーに対応しているのは一部の行政サービスに限られています。

なお、gBizIDプライムの申請にはオンラインと書類郵送の2つの方法があります。オンラインの場合は最短即日のアカウント発行が可能ですが、書類郵送の場合はアカウント発行までに2週間程度を要する可能性があるため、補助金の申請を検討している人は余裕をもってgBizIDを取得しましょう。

Jグランツを利用して申請できる補助金の具体例

Jグランツを利用して申請できる補助金にはさまざまな種類があります。国が実施する補助金や助成金に加え、全国の自治体においてもJグランツによる電子申請に対応している補助金や助成金が実施されているため、当記事では具体例として一部の制度を紹介します。

【Jグランツを利用して申請できる補助金一覧】

管轄

補助金名

概要

IT導入補助金

中小企業等の生産性向上につながるITツールの導入を支援する補助金

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者や個人事業主等の販路開拓につながる取組を支援する補助金

事業再構築補助金

ポストコロナに対応するための中小企業等の思い切った事業再構築を支援する補助金

ものづくり補助金

「革新的サービス開発」「試作品開発」「生産プロセスの改善」のための設備投資を支援する補助金

雇用関連助成金

「雇用維持」「雇用環境整備」「人材開発」など、雇用に関する条件を満たす取組を支援する助成金

自治体

経営展開サポート事業

(東京都)

既存事業の「深化」や「発展」の取組を通じて経営基盤の強化を図る事業者を支援する助成金

奨学金返還支援事業補助金

(埼玉県)

従業員の奨学金返還支援を行う県内の中小企業等を支援する補助金

中小企業止水板等設置事業費補助金

(福岡県久留米市)

大雨等による浸水被害の防止や軽減を図るため、浸水対策のための工事費用を支援する助成金

国や自治体が実施するさまざまな補助金や助成金が、Jグランツによる電子申請に対応しています。Jグランツを利用して申請できる補助金をさらに詳しく知りたい人は、Jグランツの公式サイト内にある検索システム「補助金を探す」を利用してみてください。

まとめ

Jグランツとは、デジタル庁が運営する、補助金の電子申請システムのことです。Jグランツでは補助金の検索や申請、実績報告などが可能であり、パソコンやスマホを用いて国や自治体が実施する補助金に関する各種手続きをオンラインで完結できます。

Jグランツのメリットは、申請者の負担やコストの軽減につながることです。パソコンやスマホから24時間申請作業を行えるほか、書類による申請の際に発生する郵送費や交通費の削減にもつながる可能性があります。

また、Jグランツのデメリットは。電子システム特有の手間やエラーが発生する可能性があることです。電子端末の操作に慣れていない人にとっては操作が複雑に感じられることや、補助金の締切付近は回線の混雑によりシステムエラーが発生しやすくなることが考えられます。

なお、Jグランツの利用には複数の行政サービスにログインできる共通認証システム「gBizID」の取得が必要です。gBizIDがなければJグランツのマイページへログインすることができないため、補助金の申請をする前にgBizIDを取得しましょう。

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