補助金と助成金の違いを項目別に解説  

2024/10/30

2023/10/13

この記事の監修

株式会社SoLabo田原広一

株式会社SoLabo 代表取締役/税理士有資格者田原 広一(たはら こういち)

融資支援実績6,000件超、補助金申請支援実績1,300件超、事業再構築補助金採択支援件数は第4回~第8回まで5回連続で日本一を獲得。 『小規模事業者持続化補助金』、『事業再構築補助金』、『IT導入補助金』は自社での申請・採択も経験。「補助金ガイド」LINE公式アカウントでは約4万人の登録者に情報発信を実施。

補助金や助成金の申請を検討している人の中には、補助金と助成金の違いについて疑問に思う人もいるのではないでしょうか?当記事では、補助金と助成金の違いを、項目別に比較しながら解説します。補助金と助成金は何が違うのかを知りたい人は参考にしてみてください。

なお、補助金と助成金をいくつかの項目別に比較するとそれぞれ違いは確認できるものの、明確な定義はありません。そのため、双方の「傾向」という視点で理解し、実際には補助金の特色に近い内容の助成金や、その逆の支援制度もあることを留意しておいてください。

補助金と助成金の相違点

補助金と助成金はどちらも資金調達に利用できる制度ですが、目的や管轄などの項目ごとにそれぞれの傾向を比較することにより、相違点が見えてきます補助金と助成金を項目別に比較し、どのような特徴や違いがあるのかを確認してみましょう。

【補助金と助成金の比較項目】

項目 補助金 助成金

目的

  • 政策目標の達成
  • 産業振興
  • 特定事業の支援
  • 社会的支援
  • 雇用促進
  • 労働環境の改善

管轄

  • 経済産業省
  • 厚生労働省

財源

  • 国や自治体の予算
  • 雇用保険料

受給の難易度

  • 申請要件を満たし、採択審査に通過することが必須
  • 申請要件を満たせばほぼ給付される傾向

公募期間

  • 一定期間のみ公募
  • 通年申請可能
支給額の相場
  • 数十万円~数億円
    (会社や事業の規模に応じて変動)
  • 数万万円~数百万円
    (雇用や支援活動に応じて変動)

支給期間

  • 一度の支給で終了
  • 継続的に支給される傾向

たとえば、補助金の主な管轄は経済産業省や中小企業庁で、産業振興や地域活性化などの目的を支援することを目的としています。一方、助成金は主に厚生労働省が管轄しており、雇用促進や職場環境の改善などの支援を目的としています。

また、補助金は、予算や採択件数が限られているため、競争率が高く、審査に通過するためには質の高い事業計画や経費計画を示す必要があります。一方、助成金の場合は、要件を満たしていれば給付される傾向にあります。

補助金と助成金を比較すると、補助金は「経済的な取組みへの支援」に重点を置き、助成金は「社会的な課題解決への支援」に重点を置いている傾向があります。両制度の目的を把握すると、その概念によって管轄や財源などの違いも理解しやすくなるため、まずは補助金と助成金の目的を詳しく確認しましょう。

制度の目的

補助金と助成金は、それぞれ特定の目的に基づいて支給されます。補助金は政策目標や産業支援を通じて経済成長を促進することを目的とし、助成金は社会的な支援や雇用の向上を目的としている傾向があります。

【補助金と助成金の支援内容】

補助金
支援項目 対象となる事業内容
販路開拓
  • マーケティング活動や広告戦略の強化
  • 展示会出展
  • 海外市場進出 など

事業再編

  • 経済変化に対応した事業転換
  • M&A
  • 非中核事業の分割・統合など

商品開発

  • 新製品や新サービスの研究開発
  • プロトタイプの製造
  • 地域特産品の開発

DX化

  • ITツール導入
  • 業務の自動化
  • デジタル技術活用による生産性向上

地域活性化

  • 観光地の整備、地域特産品のブランディング
  • 地域イベントの開催
  • 雇用創出

助成金

支援項目 対象となる事業内容

雇用促進

  • 障がい者や高齢者の雇用
  • 新卒や若年者の採用支援
  • 特定地域や産業の雇用創出を目的とした活動

職場環境の改善

  • 労働環境の改善
  • 安全対策や健康増進
  • 産業医の配置やメンタルヘルス対策
  • 福利厚生の向上

福祉支援

  • 育児や介護を支援する制度の導入
  • ワークライフバランスを支える環境づくり
  • 育児・介護休業制度の整備

地域社会支援

  • 地域での人材確保や職場定着支援
  • 地域コミュニティにおけるボランティア活動
  • 地域特化型の雇用支援プログラム

補助金は、産業支援を目的としているため、企業や個人事業主が売上向上や事業再建などの取り組みを行う際に活用できる傾向があります。たとえば、新商品開発に向けた機械装置の購入費や、新事業実施に向けた事業所や店舗の改装費などに補助金を使えます。

一方で、助成金は、従業員の雇用促進や職場環境の改善を行う際に活用できる傾向にあります。たとえば、就職氷河期で正規雇用に就けなかった人を「トライアル」という形態で雇用し、使用期間を経て正社員に登用する場合にも助成を受けることができます。

補助金と助成金の支援目的は、補助金と助成金における相違点のひとつです。目的の違いを理解することで、補助金・助成金の管轄や、制度を実施するための「お金の出どころ」なども見えてくるため、双方の違いを確認してみましょう。

管轄と財源

補助金と助成金は、それぞれ管轄する機関や、実施に必要な財源に違いがあります。事業活動や産業振興に対する経済的支援は「経済産業省」、雇用促進や少子高齢化対応といった社会的支援は「厚生労働省」が主に管轄している傾向があるためです。

たとえば、経済産業省や、経済産業省に属する中小企業庁は、企業や個人事業主を対象に、ものづくり、事業再建、IT導入などの補助金を提供しています。経済産業省の補助金の財源は、国や地方自治体の予算(税金)であり、国税や地方税として集められた税金が充てられます。

一方、厚生労働省は、育児・介護と仕事の両立を支援することや、企業年金制度の導入などをサポートする助成金を管轄しています。厚生労働省の財源は、主に事業者が支払う雇用保険の保険料であるため、雇用や従業員関連の取り組みに活用される経緯には納得がいきます。

補助金の管轄は主に経済産業省、助成金の管轄は主に厚生労働省です。補助金は税金を財源とし、予算内で支給されるため、予算が不足する場合には公募が行われない可能性もあります。現在公募されている補助金や助成金については、管轄省庁の公式ページで確認してみてください。

受給の難易度

補助金と助成金を比較すると、受給の難易度にも違いが見られます。補助金を申請した場合は、助成金に比べ、申請から受給までの工程が多いためです。

【補助金と助成金の申請から受給までの流れ】

補助金
工程 内容

①事前準備

  • 補助金の申請要件を満たしておく
  • 電子申請のアカウントを取得する

②申請

  • 電子申請や郵送申請などの申請方法がある
  • 作成した事業計画書や申請書類を提出する
③採択審査
  • 申請内容に基づき審査が行われ、優秀な事業計画が採択される
④採択
  • 公式サイトにて採択者発表後、メールや郵送での採択通知が届く

⑤交付申請

  • 採択者は見積書や図面などを提出し、交付申請を行う
  • 事務局による交付申請内容の確認後、交付決定通知が届く

⑥補助事業実施

  • 交付決定後、事業計画に基づいた補助事業を開始する
  • 実績報告で必要となる領収書、発注書、納品書などを保管する

⑦実績報告

  • 事業終了後に実績報告書を作成し、証ひょう(=証拠書類)とともに提出する
  • 証ひょう(領収書や発注書、購入商品の写真など)の整理がポイント

⑧確定審査

  • 報告書が承認され、最終的な支給額が決定される

⑨補助金の受給

  • 指定の銀行口座に補助金が交付される
助成金
工程 内容

①実施計画を策定

  • 助成金の要件に沿った実施計画を策定する
  • 雇用促進の助成金であれば、雇用予定者の職務内容や研修計画などをまとめる

②申請

  • 必要書類を提出し、助成金の申請を行う
  • 計画書、要件を満たす証明書(雇用契約書など)が求められる場合が多い

③計画の実施

  • 申請後、助成金の条件に沿って計画通りに活動を進める

④支給申請

  • 計画の取り組みが終了したら報告書類を作成し、支給申請を行う

⑤助成金の受給

  • 提出書類の内容が審査され、問題が無ければ口座に助成金が振り込まれる

たとえば、補助金を申請する場合、原則として「採択審査」が行われます。主に、申請時に提出した「補助事業計画書」や「経費計画書」などが審査され、優秀な内容から採択が決まります。不採択だった場合は以降の工程に進めず、補助金を受給することができません。

一方、助成金の場合は、各助成金制度で定められている要件を満たしていれば申請した計画を実施でき、実施後の手続きを経て助成金を受給できるという流れです。そのため、受給の難易度は助成金より補助金の方が高い傾向があります。

補助金や助成金を比較した場合、助成金の方が受給のハードルが低いと言えます。補助金は予算や採択件数があらかじめ決まっているため、審査に通過する競争率も高くなります。申請の際は、説得力のある事業計画書の作成がポイントになるため、事前準備に尽力しましょう。

公募期間と支給期間

補助金と助成金には、公募期間や支給期間の相違点があります。両制度の公募期間と支払われる期間にはそれぞれ特徴があるため、内容を確認してみましょう。

補助金と助成金の公募期間と支給期間】

補助金 助成金
公募期間 定められた期間内のみ公募される 通年で申請可能
支給期間 一度の支給で終了 継続的に支給される傾向
例:一定期間の雇用助成など
支給額の相場 数十万円〜数千万円
(規模に応じて変動)
数万円〜数百万円
(雇用や支援活動に応じて変動)

補助金は一度の大型プロジェクトや設備投資などの支援金が一度に交付され、数十万円から数千万円といったまとまった補助金額が支給されます。たとえば、飲食店の新規事業を開始するための店舗改装費や厨房設備費に対して250万円の補助金を一度に受給するイメージです。

一方、助成金は雇用維持や人材育成など継続的な取り組みを支援するために、数ヶ月から複数年にわたって分割して支給される傾向があります。たとえば、育児や介護と仕事の両立を支援する助成金で、30万円が休業取得時と職場復帰時の2回に分けて支給されるイメージです。

補助金の公募期間は数週間から数ヶ月と限られた期間が設定されているのに対し、助成金は通年で公募されていることが多い傾向にあります。申請する補助金や助成金の支給額や支給期間を知りたい場合は、各制度の公式サイトや公募要領を確認してみましょう。

相違点をおさえた人は共通点も確認しておく

補助金と助成金の相違点をおさえた人は、共通点も確認しておきましょう。相違点と共通点の両方を知っておくことで、制度をより理解しやすくなります。

【補助金と助成金の共通点】

  • 返済の義務がない
  • 原則的に後払い

補助金と助成金の共通点のひとつは、返済の義務がないことです。不正受給や事業計画の未達などの例外を除き、原則として返済義務のない収入として扱われます。

また、もうひとつの共通点として、補助金も助成金も原則として後払いで支給されます。申請した事業や計画の実施後に取り組み内容の審査が行われ、問題なく認められると入金されるという仕組みです。

補助金や助成金は、いずれも返済の義務なく受け取れる支援金です。また、入金時期は原則として後払いとなるため、まずは補助金や助成金の取り組みを実施する資金を準備しておきましょう。

まとめ

補助金は、産業支援を目的としており、企業や個人事業主が売上向上や事業再建などの取り組みを行う際に活用できる傾向があります。一方で、助成金は、社会的支援を目的としており、従業員の雇用促進や職場環境の改善を行う際に活用できる傾向があります。

補助金は主に経済産業省が管轄し、財源は税金であるため、予算内で支給が行われます。予算が不足する場合には、公募が行われないこともあります。対して、助成金は厚生労働省が主に管轄し、財源は事業者が支払う雇用保険料で賄われています。

補助金は予算や採択数が決められているため、競争率が高く、受給難易度も高い傾向です。一方で、助成金は要件を満たせば受給しやすいとされています。どちらも返済義務のない支援金ですが、事業や取り組みのための資金はあらかじめ準備しておくことが必要です。

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