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PROFILE
nailsalon mavie
荒木早百合
大学で管理栄養士を専攻後、美容部員として勤務。在学中からダブルスクールで技術を磨き、結婚、出産後に上位資格を取得。大手サロンでの経験を経て、自身のサロン「nailsalon mavie」を立ち上げ、現在に至る。プロ視点の提案力と丁寧なカウンセリングを強みに、圧倒的なリピーター率を誇るサロンへと成長させる。現在はスタッフ教育にも注力し、「失敗を共有し、共に高め合う」組織文化を構築。お客様満足を最優先に、今日も指先のときめきと小さな幸福を提供し続ける。
お話を伺ったのは、ネイルサロン「nailsalon mavie」を運営する荒木早百合さん。リピーター率9割を誇るサロンでは、提案力と丁寧なヒアリングで、お客様が思わず心がときめくネイルを提供しています。可愛さという「スパイス」で日常に小さな幸せを届け続ける、経営者としての歩みと、その想いに迫ります。
お客様の「今の理想」を、プロの提案で形にする
- ― 現在、 ネイルサロン「nailsalon mavie」では、どのようなサービスを提供されていますか?
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荒木氏:当店ではジェルネイルをメインに、お客様一人ひとりに合わせた丁寧なカウンセリングを大切にしています。ただご要望を伺うだけでなく、プロの視点からこちらからも提案を行い、対話を通じてその方の「理想のデザイン」を一緒に形にしていくことを心がけています。
こうした一歩先を行く提案をするために、欠かせないのが事前の準備です。 ご来店前には必ずスタッフと、お客様のカルテやメモを徹底的に確認します。「前回はどんなデザインだったか」「どんな好みの傾向があるか」を事前に把握した上で施術に入るんです。特にリピーター様の場合は、それらを踏まえた上で「前回はこうだったので、今回はこんなデザインはいかがですか?」と提案を行います。納得のいくデザインを作るためにも、コミュニケーションを大切にしているんです。
また、デザインの美しさはもちろんですが、ベースとなる自爪の健康も欠かせません。そのため、爪への優しさと環境への配慮を両立したジェルを厳選し、負担を最小限に抑える施術を追求しています。
自爪を健やかに保ちながら、長く心地よくネイルを楽しんでいただく。そして何より、お客様に心から「満足して帰っていただく」。そのために、技術面でも対話の面でも、できる限りのことを尽くしたいと考えています。
- ― 徹底した事前準備があるからこそ、お客様も安心して相談できるのですね。最近はSNSで見つけた「持ち込みデザイン」を希望される方も多いのではないですか?
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荒木氏:はい、多いですね。最近は特にAI生成のデザインをお持ちいただく機会が増えました。ただ、AI画像は物理的に再現が難しいものも多いんです。 せっかく貴重なお金とお時間を使っていただく以上、「なんとなく似せて、結局なんか違う……」という結果にはしたくありません。だからこそ、できないことはプロとしてハッキリお伝えします。
その代わり、「なぜ再現できないのか」を丁寧にご説明した上で、「このパーツを使ったり、この色を重ねれば理想の雰囲気にできます」など、代案をご提案します。お客様の「好き」という気持ちを汲み取りながら、現実的な技術で理想以上のものを作り上げる。技術力はもちろん、説明力も重要だなと感じます。
- ― そうした提案を受けたお客様の反応はいかがですか?
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荒木氏:実は、ご予約の前日までInstagramでいろいろな方の投稿写真を見て「これにしようかな」と迷われていたお客様も、当店のサンプルをお見せしたり提案したりすると、「あ、こっちの方がいいです!」と、サンプル内から選んでくださったり、当初の予定とは違うデザインに決められる方が結構多くいらっしゃるんです。
事前の準備も大切ですが、やっぱり実際にお店で色や質感を見ていただくことで、その時の直感や「今の気分」にぴったりのデザインが見えてくる。そんなライブ感のある提案も、お客様に喜んでいただけている理由かもしれません。
ホテルの壁も床も、全てがネイルのインスピレーション
- ― 現在、Instagramなどのトレンドが大きくサービスに影響していると思いますが、どのように情報収集されていますか?
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荒木氏: 正直、ネイルが生活の一部すぎて、毎日、あらゆる場所や物がインスピレーションの源なんです。例えば、出かけた先でもホテルの壁の質感や、床のデザインとの合わせ方を無意識にチェックしてしまったり……。ときには実際に触れて質感までじっくり確かめて、携帯で写真を撮ったりもします。自分でも「ちょっと怪しい人に見えているかも」と苦笑いしてしまうほどです(笑)。
また、お客様との何気ない会話からも、「今これが流行っているんだな」「こういうのが好きな方が多いんだな」というヒントがたくさん見えてきます。そうした日常の風景や対話から得たものを、時間があれば常にサンプルに落とし込むようにしているんです。
管理栄養士からネイリストへ。私の人生を変えた「指先の魔法」
- ― ネイルの仕事を始められたきっかけは、何だったのでしょうか?
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荒木氏: 女手一つで育ててくれた母が厳しく、「国家資格のある学校じゃないと許さない」と言われたこともあり、管理栄養士の資格を取れる大学に進学したんです。でも本当はアパレルとか、ネイルに興味あって。管理栄養士は衛生面からカラーネイルができないんですよね。
それでもネイルをしたい気持ちがあって。人生で初めてネイルサロンに行きました。オーダーしたのは、色もデザインもない、本当にシンプルな「クリアネイル」です。
ものすごくドキドキして緊張しましたし、そこで施術してくれたネイリストのお姉さんが、私にはとてもキラキラして見えました。施術していただいたのは、カラーも何もないクリアネイルだけなのに、美意識がすごく上がったんです。3週間で変えないといけないんですが、その3週間の私のテンションはもう本当に高くて。嬉しくて毎日眺めていました(笑)。
- ― 透明なネイルが、大きな転機になったのですね。
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荒木氏:自分の指先を見るたびに美意識がぐんと上がって、不思議なほど自信が湧いてきたんです。 女性なら共感いただけると思うのですが、爪が綺麗というだけで「なんだか何でもできそう!」って、謎の元気が出てくるじゃないですか(笑)。その「指先から生まれる魔法」のような力に、すっかり魅了されてしまいました。
同時に、担当してくれたネイリストさんとの時間も楽しく、施術を受けること自体にものすごく癒やされている自分に気づいたんです。「私は本当にネイルが好きなんだ」と気付いてからは、昼は大学、夜はネイルスクールというダブルスクールの生活を送りました。必死に勉強して、在学中に最初の資格を取得したんです。
- ― 「やる側」として生きる決意をされたのは、いつ頃でしたか?
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荒木氏:その後は母の勧めもあり、大手化粧品メーカーの美容部員として就職しました。日々お客様と接する中で、人に喜んでいただく楽しさを実感したのですが、同時に「大好きなネイルを通じて、目の前の方を笑顔にしたい」という想いがより強くなっていきました。
そんな中、もう一つの大きな転機となったのが妹の存在です。まだ素人同然の時に、妹の爪に下手なりに絵を描いてあげたことがあったんです。そうしたら、妹が本当に喜んでくれて……。その姿を見た時、「ネイルをしてもらうのが好き」だけど、それ以上に、「大好きなネイルで、誰かの毎日をハッピーにできる喜び」に心が動いたんです。
そこからは、結婚、出産を経験したのちに、改めてスクールに入り直して上位資格を取り、大手サロンでの勤務を経て独立に至りました。「指先から元気を届ける楽しさ」と「誰かに喜んでもらえる幸せ」。この2つの原体験が、今も私の原動力になっています。
成功も失敗も分かち合う。「個」の技術を「チーム」の信頼へ
- ― 荒木様の高い提案力や技術は、スタッフ間でどのように共有されていますか?
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荒木氏: 当店では、施術したネイルを写真に撮り、ご希望に合わせてお客様へプレゼントしています。第三者の視点で撮るほうが綺麗に残せますし、何より喜んでいただけますから。そしてその写真をスタッフにも共有するんですよ。
「この質感はどう出したの?」「どんなお客様だった?」と、一歩踏み込んだ振り返りを行います。良かった点を褒め合うのはもちろん、「もっとこうすれば良かった」という改善案も出し合うんです。
- ― 写真をきっかけに、深いフィードバックを行っているのですね。
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荒木氏:はい。今はネイルサロンが溢れている時代だからこそ、最終的には「この人にやってほしい」という個人への信頼が、選ばれる理由になります。そのためには、日々の予習と復習が欠かせません。
特に新規のお客様については、「どんな雰囲気の方で、施術中は静かに過ごしたいか、お話したいか」といった細かいニュアンスまで共有します。Instagramの流行で、今まで経験したことのないデザインを依頼される機会も増えましたが、成功事例も失敗事例も共有し合っていれば、どんなオーダーにも自信を持って挑戦できます。
こうした振り返りの時間を月に数回、しっかり確保することで、「mavieらしい提案」ができる体制を整えています。
ダブルブッキングの失敗で気づくお客様への感謝の気持ち
- ― 運営する中で、課題に直面されたことはありますか?
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荒木氏: 大きな失敗がありました。ダブルブッキングです。ホットペッパーと電話予約の管理の仕組みを理解していなくて、来店予定の時間に2人のお客様が来られてしまったんです。
お客様には本当に申し訳ないことをしました。施術には1時間半は確保しないといけないので、どうしようもなく、お一人に事情を説明して、お帰りいただくしかありませんでした。もし自分がそのお客様だったら、確実に怒りますよね。ネイルって何か大事な予定の前に予約される方も多いので、台無しにしてしまったわけじゃないですか。
ですが、そのお客様は「全然いいよ、また後で来るわ」と優しく対応してくださって。「なんで、こんなに優しい世界にいさせてもらえているんだろう」って思ったほどです。
その時は体が震えるくらい罪悪感に苛まれました。本当に大きな失敗ですし、今思い出しても胸が苦しくなる経験ですが、あの時いただいた優しさが、今の私の「お客様に感謝の気持ちを返さないといけない」という信念の原点になっています。
- ― その経験が、スタッフ教育にも影響を与えているんですね。
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荒木氏: 以前は「失敗を知られると、信頼を失う」と思っていた時期もありました。でも、過ちは繰り返してほしくないので、今はあえて自分の失敗をすべてスタッフに共有しています。「こんなミスをして、こう対応したけれど、別の選択肢もあったかもしれない」という風に。
そうすることで、もし同じ状況に陥った時、スタッフが一人で抱え込まずに対応できるじゃないですか。その上で「最終的には私が責任を持つから」という言葉も伝える。すると、スタッフも「失敗しても大丈夫」という安心感が生まれて、失敗談を共有しやすくなるんです。
- ― 荒木さんご自身の経験が、理想のリーダー像に繋がったのですね。
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荒木氏:私自身、過去に別のサロンで勤めていた時に「最後は責任持つからね」という言葉が欲しくて。その一言があるだけで、どれほど救われるかを知っているからこそ、自分はそれを言える人になりたかったんです。
もちろん、技術面や「お客様第一」という姿勢については、プロとして妥協せず厳しく伝えます。でも、人間は誰しも失敗するもの。その上で「お客様に感謝を忘れない」という気持ちを共有しています。
チャレンジを恐れずに「誰かを幸せにする」勇気を
- ― 最後に、これからネイルの仕事を志す人や、起業を考えている人へメッセージをお願いします。
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荒木氏: 私は特別なコネがあったわけでも、親戚に経営者がいたわけでもありません。本当に「普通の主婦」からのスタートで、結婚・出産を経てからもう一度スクールに入り直しましたが、育児をしながらの勉強や練習は、想像以上の大変さでした。
ネイリスト含む美容の業界って、華やかでキラキラしたイメージですよね。でも、実際は軽い憧れや「好き」という気持ちだけでは、続けていくのが難しい世界です。だからこそ、「好き」も大事にしつつ、覚悟を持って向き合ってほしいです。本気で一生懸命取り組めば、その時間は必ず技術と自信になって返ってきます。
私は慎重なタイプなので、独立まで10年かかりました。新しい挑戦が怖いのは、当たり前です。でも、本気で好きな気持ちがあるなら、勇気を出して一歩踏み出してみてほしいです。
私自身、ここまで本当にいろいろありましたけど、あの時諦めずに頑張ってよかったなと思っていますし、足を踏み入れない限り、自分の願う世界へ行くことはできません。やらずに後悔するより、挑戦して、その先にある景色を見てほしいです。
「誰かを幸せにしたい」。その強い気持ちと覚悟があれば、きっと道は拓けます。諦めずに、自分を信じて進んでください。
nailsalon mavie
ときめく爪で、日常に「可愛い」のスパイスを
ネイルサロン「nailsalon mavie」は、営業前のメモ確認から始まる丁寧なヒアリングと提案力で、お客様に心がときめくネイルを提供します。スタッフ全員で施術の写真共有と月数回の振り返りを行い、技術向上に努めています。AI生成の画像あふれる時代だからこそ「技術的にできないこと」を明確に伝え、より理想に近づけるように再提案します。「この人にやってほしい」と信頼されるネイルサロンを目指し、お客様の日常に小さな幸せを届け続けます。