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PROFILE
やきとんまこちゃん
藤木誠
御徒町の繁盛店「やきとんま~ちゃん」等で修業するなど、飲食業を長年経験。コロナ禍で飲食業から離れ、飲食を通した「人との繋がりの温かさ」を再認識し、飲食業へ復帰。約3年難航した物件探しを乗り越え、平井駅徒歩30秒の好立地に店舗を構え、大衆居酒屋「やきとんまこちゃん」を開業。
看板メニューの「レバー」や「煮込み」の提供に加え、顧客との積極的なコミュニケーションによる空間作りを重視し、地域に愛され、高評価を獲得する繁盛店として成長中。
お話を伺ったのは、東京都江戸川区平井駅前で飲食店「やきとんまこちゃん」を経営する藤木誠さん。料理の味や雰囲気作りを含めて「ここで飲む理由」を追求する藤木さんの、情熱的な挑戦の軌跡を辿ります。
「ここで飲む理由」を濃密に営む大衆居酒屋
- ― まずは、経営されているお店についてお聞かせください。
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藤木氏: 東京・江戸川区の平井駅前徒歩30秒、20席ほどの小さな大衆居酒屋を営んでいます。
地元の常連の方々がふらっと立ち寄るような、本当に生活に近い距離感で使ってもらえるお店です。平井駅の飲食店の中では、若い方や女性の方も多く来店するので、いい意味で敷居の低い店ですね。ありがたいことにオープン当初から満席になる時間帯もあり、手応えを感じつつも、もっと高みを目指せると感じています。
今の時代はお客様と関わらなくても済んでしまうタッチパネル注文などもありますが、そんな時代だからこそ、コミュニケーションが大事だと思っています。
店側も楽しんで、お客様にも楽しんでいただく。「ここで飲む理由」をもっと濃くして、料理の味はもちろん、店側と常連さんが自然と交わる空気や、初めて来た人が気後れせずに話に入れる雰囲気などを作っています。
- ― 口コミの「人柄」「居心地」への評価が印象的でしたが、意識されていることは?
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藤木氏: 20席という小規模な店なので「空気作り」は特に意識しています。一人で来店される方も多いので、その方の表情や動きを見ながら対応を判断しています。
人気メニューをお勧めするなどを入り口にして、極力全員に話しかけることを心掛けています。こういった小規模な店は、普段知り合えない方ともフラットな感じで話せるのが魅力なんですよね。
コロナ禍で自問自答、心地よさを求めて飲食店開業を決意
- ― 一度、飲食を離れられたそうですが、そこから開業に至ったのは、どういう経緯があってのことでしょうか?
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藤木氏: コロナ禍で飲食業界が厳しい時期には、一時的に貨物ドライバーとして働いていたのですが、この経験が転機になりましたね。運送業を経て、改めて「飲食での人との繋がり」の良さに気づくことができました。
飲食業や運送業以外にも営業職の経験があるのですが、「会社が売りたい商品を、色を付けて売る」というのが合わなくて。自分が自信を持って「良い」と思えるものを提供して、目の前でお客様から「美味しい」と言ってもらえる。それが自分に合っていることが分かったんです。
あとは、過去の勤務先で、理不尽で不健康な上司の下で働いていた際に「従業員もお客様も、心から楽しめる場」で働きたい!と強く感じたのもきっかけの一つですね。
そこから繁盛しているお店を独自に調べたりして、「居酒屋をやるなら大衆店がいいな」と思い、実際に働いて学びました。気になったらとことんこだわって、リサーチをするタイプなんですよ。
約3年「物件浪人」を経て掴んだ駅前30秒の好立地
- ― 独立の準備ではかなり苦労をされたと伺いましたが…?
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藤木氏: ええ。実は2〜3年動き続けても物件が見つからず、融資だけが先に決まってしまうという状態で。
最初は上野エリアで探していましたが条件が合わなかったり、面談まで行って「やっぱり貸せません」と言われたり、迷っている間に他の方に取られたり。物件の変更の影響を受けて、お店の方向性もだんだん変わっていきました。
ただ、結果的に何度も失敗したからこそ、今の「平井駅徒歩30秒」という最高の場所に出会えた。振り返れば、あの遠回りが全部必要だったんだなと感じます。

「圧倒的な看板メニュー」と「口コミ」でファン作り
- ― 集客やファン作りのためにどんな工夫をされていますか?
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藤木氏: 一番は「圧倒的な看板メニュー」を作ることですね。修行時代から磨いてきた「レバー」と「煮込み」には絶対的な自信があります。「レバー苦手なんだよね」という方には「もし口に合わなかったらお代はいりません!」と言って押し売りしています(笑)。
でも、これまで一度も「口に合わなかった」とは言われていません。みなさん驚くほど美味しそうに食べてくれるし、何回もレバーをおかわりしてくれるんです。あの瞬間は何度見ても嬉しいですね。
- ― 口コミの運用も徹底されていますよね。
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藤木氏: ええ。MEOは意識して行っています。お客様のことはよく見ているので、「この方、口コミ書いてくれそうだな」と思った方には素直に「口コミお願いします!」と伝えますし、いただいたコメントには必ず丁寧に返信します。
返信する際は「レバー」などの単語も入れてみたり。地道ですが、これだけで検索順位が上がり、新規のお客さんの集客に繋がる。口コミって「お客さんが参加する店づくり」でもあると思うんです。
- ― やきとん屋をしながら、アイスやアサイーボウルのデリバリーも行っているそうですが。
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藤木氏: マーケティングや経営など独学して、売上を上げる為に色々調べて試していまして。
効率も考えて、色々な経営者の考えを取りいれて、臨機応変に動いています。営業開始時間の17時までの時間を埋めるためにどうすべきか考えて、ゴーストレストランも始めました。仕入れた高品質なアイスとアサイーボールを、ウーバーイーツを通じて販売することで、手間をかけずに空いている時間と空間を有効活用しています。
「常に上機嫌でいること」が大切
- ― 組織づくりで大切にしていることはありますか?
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藤木氏: 常に上機嫌でいることです。生活の半分が仕事なので、いつも楽しんでやりたいんです。
これは仕事でもプライベートでも大事な価値観で、メンタルや体調は仕事に直結すると思っているんですよ。だから、運動や食事で体調を整えるのも仕事のうちで、二日酔いで店に立つなんて、僕の中では完全にアウトです。健康や上機嫌でいるために、食事や運動が重要だと従業員にも伝えているし、ジムにも通ってもらってます(笑)
また、僕が売上を作り、「スタッフが豊かに働ける場所」にすることが、店主としての責任だと思っています。従業員にも「しっかり休み・「遊び・働く」の意味を感じられる環境を作りたい。飲食業は拘束時間が長い分、心身が磨り減ることも多いですが、そのような状態では、お客さんに良いサービスは届けられませんからね。
「まずは動く」「楽しんでやる」を心がけて
- ― 最後に、挑戦したい読者に一言お願いします。
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藤木氏: とにかく「動く」ことです。考えるだけでは何も変わらない。小さくても一歩踏み出せば、景色は必ず変わります。僕も物件が見つからず落ち込みましたが、動き続けたからこそ今があります。
そしてもう一つは、「楽しんでやる」こと。この二つは、自分のモチベーションを保つためにも常に心掛けているんです。
人生の半分以上は仕事の時間ですから、そこを楽しくできるかどうかで人生は大きく変わる。僕は今、自分の店でお客さんが笑っているのを見るだけで、「やってよかった」と心から思えます。これからも「平井で一番上機嫌な居酒屋」であり続けたいですね。
やきとんまこちゃん
常連がリピートする看板メニューと『上機嫌』な接客で、街の人々をつなぐ平井駅徒歩30秒の大衆居酒屋「やきとんまこちゃん」。
平井駅から徒歩30秒という好立地に店舗を構える。 名物は「レバー」と「煮込み」。特にレバーは「苦手な人でも食べられる」と自信を持って提供し、多くの常連客がリピートする看板メニュー。
単なる飲食店にとどまらず、お客様同士が自然に会話を楽しめる空間づくりと、スタッフ自身が心身共に健康で楽しんで働く「上機嫌な接客」を大切にする。
アナログなコミュニケーションを武器に、Googleマップの高評価やSNSを活用した集客、さらにはアイドルタイムのUberEats活用など、柔軟かつ戦略的な店舗運営を行う。